33 / 330
番外編 北支部
闘う捨て地
しおりを挟む
「北の方は暮らしに変化はある? 」
トリアが抹茶ケーキにフォークをさして聞いた。
「この辺は気候変動もあって、
雪も少なくなっただろう。
だから中心地にこだわる住民も、
少なくなってるんだよね。
今じゃ中央のやり方に反対しているものが、
捨て地に越してきてるし。
別に黒地は普通に生活できてるんだから、
問題はないんだけど」
倉田がケーキを口に入れて考え込む顔をした。
「なに? なんかあるの? 」
「ん~
この有名店のケーキ屋さんもそうなんだけど、
老舗のお店が捨て地に移住してることもあって、
議員たちが騒いでるんだよ」
倉田がトリアを見た。
「そうそう。
この前もAI推進庁と捨て地再興庁の大臣が来て、
国民置き去りで捨て地法案通して、
捨て地排除の演説して帰って行った。
それで捨て地に越した反対派の議員が、
大臣と対峙して大揉めした事件があったのさ」
「捨て地で戦う政治家がいるのは北の強みだね」
キャトルの話にアートンが驚いた顔で振り返った。
「まぁね。捨て地は真実の壁だから、
移住するにも覚悟がいるからね。
彼は数少ない国民の為に動いてくれる人物なんだよ。
捨て地で闘うというだけでも、
信頼度は高くなる。
今回も大臣は捨て地に入ろうとはせず、
真綿で首を締めるように、
捨て地排除の法案について延々と語ってた」
「大沢派の人間だし、
自分達は神に選ばれしものだとかなんとか。
だったら堂々と正面突破で捨て地に来ればいいのに、
それができない後ろ暗さは、
多少感じてるみたい」
カランもケーキを食べながら笑った。
「そういえばさ。
水沢記者って今、
捨て地に住んでるんだって? 」
キャトルが皆の顔を見ながら言った。
「黄色の捨て地にいるそうです。
捨て地の人間は黒地に出入りが自由だから、
見つからないように動いているみたいですよ」
「気を付けないと危険を伴うんだよね」
向井の話にアートンも顔を顰めた。
「どういうこと? 」
アンが怪訝そうな顔をした。
「黒地に長くいると負にやられてしまうので、
濁った人間は平気なんですけど、
そうじゃないと負に飲まれて亡くなりますから」
「あ~だから、神様のシャカシャカなんだ」
キャトルが向井の顔を見た。
「そうです。あれは持つものを守ってくれるので、
手に取れる人には邪な気持ちがない証拠なんです。
濁りのある人には結界と同じで触れないので」
「となると今日除去した場所を守って行けば、
黒地の中でも濁りの人間は入れなくなるってこと? 」
キャトルの言葉に向井とアートン、トリアが顔を見合わせた。
「あんたいいことに気づいたわ」
「へっ? 」
トリアが頷きながらキャトルを見た。
「今、捨て地にもスパイはいるんですよ」
「そうなの? 」
倉田達の顔が驚きに変わった。
トリアが抹茶ケーキにフォークをさして聞いた。
「この辺は気候変動もあって、
雪も少なくなっただろう。
だから中心地にこだわる住民も、
少なくなってるんだよね。
今じゃ中央のやり方に反対しているものが、
捨て地に越してきてるし。
別に黒地は普通に生活できてるんだから、
問題はないんだけど」
倉田がケーキを口に入れて考え込む顔をした。
「なに? なんかあるの? 」
「ん~
この有名店のケーキ屋さんもそうなんだけど、
老舗のお店が捨て地に移住してることもあって、
議員たちが騒いでるんだよ」
倉田がトリアを見た。
「そうそう。
この前もAI推進庁と捨て地再興庁の大臣が来て、
国民置き去りで捨て地法案通して、
捨て地排除の演説して帰って行った。
それで捨て地に越した反対派の議員が、
大臣と対峙して大揉めした事件があったのさ」
「捨て地で戦う政治家がいるのは北の強みだね」
キャトルの話にアートンが驚いた顔で振り返った。
「まぁね。捨て地は真実の壁だから、
移住するにも覚悟がいるからね。
彼は数少ない国民の為に動いてくれる人物なんだよ。
捨て地で闘うというだけでも、
信頼度は高くなる。
今回も大臣は捨て地に入ろうとはせず、
真綿で首を締めるように、
捨て地排除の法案について延々と語ってた」
「大沢派の人間だし、
自分達は神に選ばれしものだとかなんとか。
だったら堂々と正面突破で捨て地に来ればいいのに、
それができない後ろ暗さは、
多少感じてるみたい」
カランもケーキを食べながら笑った。
「そういえばさ。
水沢記者って今、
捨て地に住んでるんだって? 」
キャトルが皆の顔を見ながら言った。
「黄色の捨て地にいるそうです。
捨て地の人間は黒地に出入りが自由だから、
見つからないように動いているみたいですよ」
「気を付けないと危険を伴うんだよね」
向井の話にアートンも顔を顰めた。
「どういうこと? 」
アンが怪訝そうな顔をした。
「黒地に長くいると負にやられてしまうので、
濁った人間は平気なんですけど、
そうじゃないと負に飲まれて亡くなりますから」
「あ~だから、神様のシャカシャカなんだ」
キャトルが向井の顔を見た。
「そうです。あれは持つものを守ってくれるので、
手に取れる人には邪な気持ちがない証拠なんです。
濁りのある人には結界と同じで触れないので」
「となると今日除去した場所を守って行けば、
黒地の中でも濁りの人間は入れなくなるってこと? 」
キャトルの言葉に向井とアートン、トリアが顔を見合わせた。
「あんたいいことに気づいたわ」
「へっ? 」
トリアが頷きながらキャトルを見た。
「今、捨て地にもスパイはいるんですよ」
「そうなの? 」
倉田達の顔が驚きに変わった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

『 ゆりかご 』 ◉諸事情で非公開予定ですが読んでくださる方がいらっしゃるのでもう少しこのままにしておきます。
設樂理沙
ライト文芸
皆さま、ご訪問いただきありがとうございます。
最初2/10に非公開の予告文を書いていたのですが読んで
くださる方が増えましたので2/20頃に変更しました。
古い作品ですが、有難いことです。😇
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
" 揺り篭 " 不倫の後で 2016.02.26 連載開始
の加筆修正有版になります。
2022.7.30 再掲載
・・・・・・・・・・・
夫の不倫で、信頼もプライドも根こそぎ奪われてしまった・・
その後で私に残されたものは・・。
・・・・・・・・・・
💛イラストはAI生成画像自作
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
子持ちの私は、夫に駆け落ちされました
月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。

娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる