28 / 330
番外編 北支部
懲りない人々
しおりを挟む
「大沢帝国崩壊の少し前に、
ここでも一部住民が、
署名活動や抗議の抵抗運動があったんだよ。
ただ政治批判は就職活動にも影響するからね。
偏った正義とマスコミにも叩かれて、
若者は参加しなくなったよ。
小さくても抵抗するものがいるうちは、
冥王も力を貸しましょうと、
俺達に守るように言ってたんだけど、
今やこんな状態でしょう。
冥界も人数が少ないし、
除去で精一杯なんだよ」
キャトルはため息をつきながら笑った。
「悪霊が増えるわけね」
トリアも難しい顔をした。
「そういえばこの辺りの刑務所はどうですか? 」
向井が辺りを見回しながら聞いた。
北は地震続きで住める土地がさらに狭まっている。
外国人も母国に戻る者が増え、
移民に占領されている地域もある。
それぞれがコミュニティーの中で生活しているが、
捨て地にいる自国民だけが、
増える捨て地法案に辟易していた。
それでも黒地よりストレスはなく、
自由な暮らしができることに満足しているのが救いだ。
この景色の生活を享受できるだけでも、
不便以上の喜びを感じているのかもしれない。
「国の面積自体は変わってないけど、
地殻変動、気候変動なんかもあって、
住めない土地が増えたからね。
北は八か所あったんだけど、
この前の結界で受刑者、刑務官が消されて、
今は二ヵ所だけ。
罪人の消去だから問題ないけど、
消えなかったものもいるからさ。
中央はどう? 」
倉田の話に、
「中央も似たようなもんです」
「じゃあ、西も同じか」
向井とトリアが顔を見合わせた。
「刑務所内でも残った人間は、
軽いパニック状態だったから記憶操作したの。
それと外国人も消えてるから、
その事でも冥王とディッセは呼び出されて出掛けて行った。
悪霊消えて金消えて…疲労困憊よ」
トリアは不満げに皆の顔を見回した。
「なんで俺達がそんなことまでしなきゃいけないのさ。
死んでるのに~」
牧野が不機嫌に声をあげた。
「国によっては冥界も手抜きがあるけど、
ここは黙認できないくらい、
事態が悪化してるからね。
国民性じゃないの」
アートンは笑って牧野の背中を叩くと、
「問題のある所だけ片付けちゃおう」
と倉田を見た。
倉田のバングルから映像が浮かび上がる。
「北は三分の二が黒地なんだけど………」
映像に触れながら説明する。
「黒地の中の白い点があるだろう。
これは冥王のお守りを持っている人。
それが………ここに集中してるんで、
この辺りは生活も大変だと思うんだよね。
大臣からの締め付けもあるし」
向井達も画像を見ながら頷いた。
ここでも一部住民が、
署名活動や抗議の抵抗運動があったんだよ。
ただ政治批判は就職活動にも影響するからね。
偏った正義とマスコミにも叩かれて、
若者は参加しなくなったよ。
小さくても抵抗するものがいるうちは、
冥王も力を貸しましょうと、
俺達に守るように言ってたんだけど、
今やこんな状態でしょう。
冥界も人数が少ないし、
除去で精一杯なんだよ」
キャトルはため息をつきながら笑った。
「悪霊が増えるわけね」
トリアも難しい顔をした。
「そういえばこの辺りの刑務所はどうですか? 」
向井が辺りを見回しながら聞いた。
北は地震続きで住める土地がさらに狭まっている。
外国人も母国に戻る者が増え、
移民に占領されている地域もある。
それぞれがコミュニティーの中で生活しているが、
捨て地にいる自国民だけが、
増える捨て地法案に辟易していた。
それでも黒地よりストレスはなく、
自由な暮らしができることに満足しているのが救いだ。
この景色の生活を享受できるだけでも、
不便以上の喜びを感じているのかもしれない。
「国の面積自体は変わってないけど、
地殻変動、気候変動なんかもあって、
住めない土地が増えたからね。
北は八か所あったんだけど、
この前の結界で受刑者、刑務官が消されて、
今は二ヵ所だけ。
罪人の消去だから問題ないけど、
消えなかったものもいるからさ。
中央はどう? 」
倉田の話に、
「中央も似たようなもんです」
「じゃあ、西も同じか」
向井とトリアが顔を見合わせた。
「刑務所内でも残った人間は、
軽いパニック状態だったから記憶操作したの。
それと外国人も消えてるから、
その事でも冥王とディッセは呼び出されて出掛けて行った。
悪霊消えて金消えて…疲労困憊よ」
トリアは不満げに皆の顔を見回した。
「なんで俺達がそんなことまでしなきゃいけないのさ。
死んでるのに~」
牧野が不機嫌に声をあげた。
「国によっては冥界も手抜きがあるけど、
ここは黙認できないくらい、
事態が悪化してるからね。
国民性じゃないの」
アートンは笑って牧野の背中を叩くと、
「問題のある所だけ片付けちゃおう」
と倉田を見た。
倉田のバングルから映像が浮かび上がる。
「北は三分の二が黒地なんだけど………」
映像に触れながら説明する。
「黒地の中の白い点があるだろう。
これは冥王のお守りを持っている人。
それが………ここに集中してるんで、
この辺りは生活も大変だと思うんだよね。
大臣からの締め付けもあるし」
向井達も画像を見ながら頷いた。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

『 ゆりかご 』 ◉諸事情で非公開予定ですが読んでくださる方がいらっしゃるのでもう少しこのままにしておきます。
設樂理沙
ライト文芸
皆さま、ご訪問いただきありがとうございます。
最初2/10に非公開の予告文を書いていたのですが読んで
くださる方が増えましたので2/20頃に変更しました。
古い作品ですが、有難いことです。😇
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
" 揺り篭 " 不倫の後で 2016.02.26 連載開始
の加筆修正有版になります。
2022.7.30 再掲載
・・・・・・・・・・・
夫の不倫で、信頼もプライドも根こそぎ奪われてしまった・・
その後で私に残されたものは・・。
・・・・・・・・・・
💛イラストはAI生成画像自作
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
子持ちの私は、夫に駆け落ちされました
月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。

娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる