上 下
27 / 223
番外編 北支部

北の異変

しおりを挟む
大沢帝国崩壊後、

神の結界と向井の水の結界から、

この国の土地はある意味分断され始めていた。

それでも金が手元に入れば問題はないのか、

政府は捨て地を盾に中央人を煽り、

国民を扇動していた。

そんな事態が続いていたこともあり、

向井達は急ぎ北支部に出向くと、

危険箇所の黒地だけ除去をすることにした。

「ねえ~シール屋さんは? 」

こんが話をする向井とキャトル、倉田を見上げた。

「お仕事終わったらね」

「いつ終わる? 」

向井の顔を見て三鬼が聞いた。

「牧野君の頑張り次第かな? 」

「マキちゃんが頑張ればいいの? 」

キャトルの顔をこんが見上げた。

「勝手なこと言うなよ。頑張れは終わるお仕事じゃないの」

「マキちゃんは怖いのか? 

じいじが言ってたぞ」

呉葉が牧野の方を見た。

「怖くねぇよ」

「じゃあ、頑張れよ」

倉田も笑うと不貞腐れる牧野の肩を叩いた。


この日は、

向井、牧野、安達、トリア、アン、アートンがやってきた。

中央も式神課の仕事、

キャラクターグッズ販売で忙しく、

「みんなお泊りしたいって言ってたんだけどね」

とアートンが説明した。

「ハクも楽しそうでよかった」

カランが言うと、

「他の三人より少し小さいでしょう。

だからチビ達もハクの面倒は見てるんですよ」

と向井が微笑んだ。

チビ達はフェムティとキャトルに、

一生懸命話をしている。

「みんな、大きくなってるんだ」

倉田はそういって牧野を見て笑った。

「なんだよ」

「ん? そうやって並んでると、

安達君も大きくなったなと思って」

嬉しそうな顔の安達に、

「俺だってこの前測ったら、

1cm伸びてたんだよ」

牧野が声をあげるのを大人達は笑った。

「まぁ、牧野君も若いから大丈夫だよ」

アートンが牧野を見た。

「ちびちゃん達が、

シール屋に行きたいって言ってたけど」

倉田が聞く。

「この前、

キャトルさんが中央に来た時、

フレークシールを持ってきてくれたんです。

そのキャラクターやお花に夢中で、

聞いたらここに専門店があるそうなので、

お泊りしてお店に行きたいそうです」

「だったらとっとと片付けますか」

向井の話にカランが言い、

チビ達はフェムティとアン、安達に任せて、

下界に下りて行った。


北の中心部は悪霊の質が違う事もあるのか、

中央より毒で膨れ上がっていた。

「よくこんな状態で暮らせてるよね。

犯罪はどうなの? 」

アートンが眉間にシワを寄せた。

「北は百年前から土地だけじゃなくて、

水源地の買収でも問題視されてきたのに、

放置されてたでしょう。

先生達は金のニオイでしか動かないから、

国民が自分で考えて変えていかないと、

国が潰れるのも時間の問題かな………」

カランもため息をついた。

「国が変わっても基本、

俺達の仕事は変わらないから、

それはいいんだけど。

今までのような自由は減るかもね」

キャトルの言葉に牧野の頬が膨れた。

「そんな顔すんなよ」

倉田が笑った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

独り日和 ―春夏秋冬―

八雲翔
ライト文芸
主人公は櫻野冬という老女。 彼を取り巻く人と犬と猫の日常を書いたストーリーです。 仕事を探す四十代女性。 子供を一人で育てている未亡人。 元ヤクザ。 冬とひょんなことでの出会いから、 繋がる物語です。 春夏秋冬。 数ヶ月の出会いが一生の家族になる。 そんな冬と彼女を取り巻く人たちを見守ってください。 *この物語はフィクションです。 実在の人物や団体、地名などとは一切関係ありません。 八雲翔

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

処理中です...