『アンダーワールド・番外編』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

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番外編

手芸屋さんへ

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「ねえ、ここの商店街に、

手芸と画材ショップ出来たの知ってる? 」

トリアが着せ替えマグネットを見ながら思い出したのか、

弥生達を振り返った。

「えっ? いつできたの? 」

「二週間前かな~

私、松田先生と見に行ってきたの」

「中央が黒地になってから、

手芸屋さんも行かなくなっちゃって、

最近は西の捨て地に行ってるの」

弥生がチビ達の洋服を着せながら話した。

「欲しいのが揃うなら、そこで購入しようかな」

「中央にあった問屋さんの直営店だって言ってた。

その会社が捨て地に越して、

ここにお店出したらしいのよ。

かなり中も広くて三階建てで地下もあるし、

松田先生も助かるって喜んでたから、

揃ってるんじゃないかな。

私もリボンとチビ達に、

コラージュ用のシール買ってきたの」

その話にチビがリュックからクリアファイルを出した。

「そんなものも入れてきたの? 」

早紀が笑うと、

「トリアにもらったシール」

と三人が広げて見せた。

「シール? 」

ハクものぞくとあっという顔をして、

リュックからノートを取り出した。

「そうか、ハクにはファイルはないから、

一つ用意しないとね」

トリアがハクのノートを見てびっくりした。

「どうしました? 」

向井も床に広げたノートを見て、

「これがハクの世界なんですね」

とハクの頭を撫でた。

他の三人と違い、

ページごとに物語の様にシールが貼られ、

ちぎり絵の様に木になっていたり、

コラージュが作られていた。

ハクが楽しそうにノートを触って、

「き、とり、でんしゃ」

と説明した。

「ねえ、これからそのお店に行ってみない? 」

アンが皆の顔を見た。

「ついでにお昼も見てみようか」

新田が言い、チビも行くと声をあげた。

「あっ、でも俺達は明日の準備があるからダメだ」

ディッセが黒谷の顔を見た。

「それとセーズとゼスにも手伝ってもらうよ。

坂下君もいないし下準備があるからね」

「いいよ」

二人が頷くと、

こんと呉葉が三つ編みドーナツにリボンがないと、

セットした姿を鏡で見て文句を言った。

「今日は持ってきてないもん。

お家に戻ったらね」

弥生の言葉に不機嫌な顔をする。

「そんな顔をしてると、

せっかくの美人さんが台無しですよ」

向井が二人の頭に手を乗せた。

そんな朝の風景を安達はパンを食べながら、

嬉しそうに見ていた。


朝食後、みんなで商店街までのんびりと歩いていた。

「お天気がいいと気持ちいいね」

新田が三鬼と手を繋ぎながら言った。

途中で駄菓子屋の前を掃除する奥さんを見つけ、

「こんにちは。着せ替えセット有難うございました」

向井がお礼を言うと、

「いいのよ。業者さんも処分に困ってたんだから、

喜んでもらえたらそれで」

奥さんが笑った。

「おばちゃん、ありがとう」

チビ達が駆け寄ると、おもちゃの事を真剣に話していた。

奥さんは笑いながら頷くと、

「これからみんなでお出かけ? 」

「商店街をのぞいて来ようと思って」

とトリアが説明した。

「気を付けてね」

チビ達が手を振り、坂を降り始めた。

「あお~」

向井に手を引かれて歩くハクが空を指さした。

「そうですね。青色だ」

笑顔でハクを見る。

横を見ると安達と呉葉とこんが、

花をじっと見ていた。

甘い香りに足が止まったのだろう。

「このはなはなんだ? 」

呉葉が振り向いて聞いた。

蝋梅ろうばいね。この辺りはお花も咲いて、

お散歩にもいいわね」

アンが呉葉達を見ながら微笑んだ。
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