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番外編

着せ替え人形 今と昔

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「裏もあるんですか? 」

佐久間が不思議そうに聞いた。

「そうよ」

トリアがそこまで言って、

「そうだ。イラスト書いて、

たまには昔の遊びを体験するのもいいかもね。

形を作って印刷すれば、

色塗って、自分だけのオリジナル着せ替えが作れる」

トリアはそういって笑うと、

紙の着せ替えが分からない者達を見回し頷いた。


夜には牧野とチビ達がお風呂に入っている間に、

夕飯の準備をし、

大人達は既にビールを開けて飲んでいた。

「あったかい床の上で冷たいビール。

サイコーだわ」

早紀が飲みながら笑った。

「そういえば車、変えたの? 」

新田が駐車場見て言った。

「ほら、地震が多いでしょう。

捨て地と言えど、

いざ逃げる時にキッチンカーで、

老人二人は無理だからさ。

普段の車を売って車中泊用に買い替えたの。

中古でいいのが手に入ったんだよね」

「へえ~それで牧野君が乗りたいって騒いでたんだ」

ディッセが笑いながらビールを飲んだ。

「あれは商用バンなんだけど、

カスタムしたんで、

キッチンも付いてるし、

ベッドもテーブルもあるんだよ」

「かなりコンパクトなのによくできてますね」

感心する向井に黒谷も笑顔になった。

そんな話をしているとチビ達が、

きゃあきゃあ言いながら出てきた。

「呉葉とこんは髪の毛乾かさないと、

風邪ひいちゃう」

弥生とアンが慌てて逃げる二人を捕まえた。

「三鬼とハクはショートだから、

もう殆ど乾いてるね」

坂下がドライヤーを持ってくると、

向井と一緒に乾かした。

「今回はハクが入って六人になったから、

牧野君と安達君が出てきたら、

一緒に写真を撮ろう」

佐久間がカメラを用意した。

「ギャラリーのチビのコーナーも、

随分と写真が増えたよね」

ヴァンが言いながら風呂から出てきた牧野達を見た。

「あれ? 安達君大きくなってるね」

「えっ? 」

「前は牧野君の肩くらいだったけど、

耳位になってるよ」

「ん? 」

牧野が隣に立つ安達を見てハッとなった顔をした。

「そういえば牧野と話すときの目線が近くなった」

喜ぶ安達に、

「げっ、冗談だろう」

牧野が渋い顔をした。

大人達が笑うのを見て、

「ちびちゃんたちより大きいんですから、

いいでしょう。

ほら、お写真撮るからそこに並んでください」

佐久間がカメラを持って、

壁に並ばせた。

「チビと一緒にすんなよ」

牧野は不貞腐れた顔で壁に並ぶと、

「ほら、ポーズとって~」

佐久間が笑いながらカメラを構えた。

そのあとはみんなで食べて、

ホットプレートでミニどら焼きを作り、

お腹が膨れたチビ六人組は、

サンルームで気持ちよさそうに寝ていた。

向井が毛布を掛けても気づかず寝ている姿に、

大人達も笑顔になった。

「この時間が少しでも続くように、

みんなで頑張ろう」

ディッセが言い、

「向井君と坂下君には今まで以上に、

働いてもらわないとね」

とトリアが二人を見た。

嫌な顔をする二人に笑いながら、

大人達の宴は続いた。
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