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番外編

ハクのお泊りセット

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そしてお泊りの日がやってきた。


昨日はハクのお泊りセットを用意するため、

向井とトリア、新田と早紀で、

ハクを連れて捨て地のキッズショップにやってきた。

残りのチビは牧野達とプールに入っていたので、

今のうちにと急いで下界に下りた。

「この所捨て地でも悪霊はいないけど、

小さな負の念は浮遊してるね」

新田が霊銃で片付けながら言った。

「人が増えれば仕方がないのよ。

でも、大きな犯罪はほぼゼロだから、

皆ゆったりしてて、これくらいが捨て地の人口には、

丁度いいんじゃないの」

トリアも青空を見ながら話した。

ハクと手を繋いで歩く向井も、

「人が増えれば犯罪も多くなるのが通常ですが、

真実の壁の存在も抑止力になっているんでしょう」

と言い、まぶしそうに空を見上げた。


店に着くとハクが電車の形をした建物に、

「わぁ~」

と嬉しそうに口を開けて見上げた。

ここは捨て地の子供服の会社が展開している店の一つだ。

十二歳までの子供服と十代、二十代の若者、

三十代からのパパママ世代と四十代以上のシニア世代とあり、

捨て地では話題の人気店である。

「三鬼達はリュックに入れてるけど、

ハクにはちょっと大きすぎて無理かな」

新田が店の中にあるリュックを見て言った。

「猫~にゃんにゃん~」

「恐竜と電車以外で初めてじゃない? 」

ハクが指さす猫の形をしたリュックを見て、

早紀が笑った。

「これがいいの? 」

「あ~ちゃんと一緒」

と自分の耳を触った。

「あぁ~安達君のイヤーカフとお揃いですね」

向井も笑顔になると、

「これにお泊りセット入れますか」

と嬉しそうなハクを見た。

「じゃあ、歯磨きセットとパジャマとブラシ? 」

トリアが指を曲げながら言い、ハクを見た。

「ブラシ………いる? 」

ナチュラルショートで、

栗毛で少しくせ毛のヘアスタイルに、

「どんな髪型だって櫛はいるよ。

三鬼だってショートマッシュだけど、

ちゃんとセットしてんだよ」

と新田が言った。

「そっか、あんなぽわぽわでも、

毎日スタイリングしてるんだもんね」

トリアは笑うとブラシも一つカゴにいれた。

パジャマはルームウェアにして、

ハクがプリントされた恐竜を選んだ。

「じゃあ、これだけ精算してくるね」

トリアがレジを済ませると、

向井達は店を出た。


「ここは商店街が大きくて充実してるよね。

これならスーパーも小店舗で間に合うし、

生活にも便利だね」

黄色の捨て地に来たので、

ついでだからお昼を買って帰ろうかと、

アーケードまで足を延ばした。

「捨て地も住む地域によって違いがありますからね。

この辺りはファミリー層が多いんだと思います。

赤や青は単身者やお年寄りの方が多いので」

「あぁ~そういう事か」

向井の説明に早紀も頷いた。

いろんなお店でハクも楽しそうに、

キョロキョロと見ていた。
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