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番外編

気づいたら外泊?

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黒谷は目を覚ますと、

あぁそうか。昨日あのまま寝ちゃったんだっけ………

見ると向井達も気持ちよさそうに寝ている。

考えたら二十年近く追われるように生きてきたから、

こうやってのんびりできるのっていいな。

黒谷は笑顔で伸びをすると起き上がった。

「ん? 」

向井も目を覚ますと、

「そっか。酔って寝ちゃったんだ」

と笑いながら起き上がった。

「向井さんも珈琲飲む? 」

黒谷はキッチンに行くと声をかけた。

「いただきます」

向井もテーブルの上を片付けると、

空き缶を分別ごみに捨てた。

「あれだけあったのに、綺麗に食べちゃいましたね」

向井もキッチンに来ると、マグカップを受け取った。

「カツとブタの串が少し残ったから、

それで煮込み丼にしようか」

「そうですね」

二人はキッチンカウンターに寄りかかって、

珈琲を飲みながら言った。

「あの三人は起きないね~」

「運動会のあとですからね。

疲れてるんだと思いますよ。

床も暖かくて気持ちいいんでしょう」

小さなブランケットにくるまって、

ぐっすり寝ている。

「向井さんは疲れてないの? 」

「俺は元々眠りが浅いんですよ。

死んでからはよく寝てる方かな? 」

ハハハと向井が笑った。

「死んでる方が健康的なんだ」

黒谷もふき出すと、食事の用意を始めた。

「なんか手伝いましょうか」

向井が言うと、

「じゃあ、お店の冷凍庫から、

保存してあるご飯持ってきてもらえる? 

五人分だから………袋三個とあと卵七個」

「はい」


朝食の香りが充満してくると、

「いい匂い………」

とディッセが起きだし、

「腹減った~」

と牧野と安達も目を覚ました。

「今何時? 」

ディッセが聞く。

「八時」

黒谷が丼を作ると、向井と運んできた。

「あれ? 今日土曜日だよね。

キッチンカーはないの? 」

安達が丼を受け取り言った。

「明日は出店するけど、

今日はお休み。

休息しないと俺も疲れるからね」

黒谷が笑いながらソファーに座った。

向井がお茶を運んでくると、テーブルに並べた。

「床が暖かいのって気持ちいいな」

牧野は丼を食べながら床を触った。

「でも気を付けないと風邪ひきますよ。

牧野君は掘りごたつで寝て、体調崩したでしょ」

向井が苦笑する。

「分かってるんだけどさ~気持ちいいんだよね~」

牧野はそこまで言って何かを思い出したのか、

「そうだ。黒谷がお休みなら、

俺達と出かけない? 」

と言った。

「いいけど、どこ行くの? 」

黒谷がご飯を食べながら牧野を見た。

「えっとね~」

安達はそういうとディッセのタブレットを開き、

テーブルの中央に置いて見せた。

皆でのぞくと、

『ゾンビ少年とねこねこコラボ』

の文字と映像があった。

「青と赤の捨て地の真ん中に、

使われてなかったスポーツジムがあったでしょ」

安達が説明を始めた。

「あ~俺が住む団地と青の商店街の間のね」

黒谷も思い出すように頷いた。
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