「アンダーワールド＊冥界と下界＊」～神・死神・人間・妖怪の戦が今始まる～番外編

番外編

盛り上がる大運動会

西と北からも参加していることもあり、

参加人数が多くなり、

三チームに色分けされた。

赤チーム・青チーム・緑チーム。

向井とディッセで集めた限定食品は、

打ち上げでなくなってしまうが、

種目で優勝すると、

優香特製の天上界フルーツのクッキーが貰えることもあり、

皆真剣だった。

チビ達は玉入れで優勝し、

クッキーをもらって大喜びしていた。

「まあ、全員何かしらで優勝できるようにしたからね。

団体競技を増やしたのはよかったね」

「そうですね。仮装行列、応援合戦、ダンス、綱引き。

ディッセさんとセイ君が準備してくれたそうですね。

有難うございます」

向井がそれぞれのチームの応援合戦を見ながら、

ディッセに言った。

「これくらいどうってことないから」

ディッセが笑う。

「向井さんに言われなきゃ、

競技の種類なんて思いつかなかったよ。

牧野君に言ったら障害物にリレーに徒競走でしょう。

どれも走るのばっかりじゃない」

「牧野君の得意分野なんでしょうね」

向井もハハハと笑った。

「冥王も何とか走れてよかったじゃん」

トリアも歩いてくると二人の肩に手を置いた。

「リレーで優勝狙ってたのに、

毘沙門天のチームに負けて二位だったのは悔しい。

ね～」

トリアが向井を見た。

「まさか虎獅狼と毘沙門天様があんなに早いとは、

俺も油断しちゃいました」

向井も二人を見て笑った。

「うちの神様と大違いだわ」

トリアも呆れ気味に言うと、

早紀達にもっと運動しろと注意されている冥王を見た。

三人はそんな姿に笑うと、

「まぁ今回の主役は安達君とチビですから、

あの五人が喜んでいるなら、

冥王の足の遅さもいい余興になったんじゃないですか」

と向井も冥王を見た。



夕食は恒例の焼き肉パーティーで、

みんな飲んで食べてと盛り上がっていた。

向井が途中で席を立つと、

「黒谷君のとこ？　だったら俺も行く。

作品納品しなきゃなんないし」

ディッセもやってきてそういい、

二人は黒谷の店へと出かけた。

部屋に入ると、

「おっ、あったかい～

これ床暖？　」

ディッセがソファーに座り、

気持ちよさそうに寝転がった。

「ちびちゃん達が遊びに来てるでしょ。

ここでゴロゴロするのが嬉しいみたいだからさ。

部屋が広いから、

妖鬼さんと相談して、

低コストの床暖を入れてもらったの。

断熱をしっかりしてくれたけど、

寒いでしょ。

ずっと使う訳じゃないし、

切り替えもできるから、

電気代は少し上がるけど、

コタツより便利なんだよね。

捨て地は光熱費の基本料金も高いからね」

「はい、串焼きとビール。

食事はまだだって言ってたから持ってきました。

俺達も途中で抜けてきたので、

一緒に食べようと思って」

通信がつながっている状態で連絡して来たので、

色んな串焼きを詰めてきた。

「嬉しい～」

黒谷はそういうと、

「じゃあこれも三人で食べよう」

とラザニアと煮込みハンバーグを運んできた。

「牧野君が知ったら悔しがるね～」

ディッセは笑うと、袋から串焼きを出した。

そんな話をしてると安達と牧野がやってきた。

「えっ？　」

三人が驚いていると、

「なっ？　いいもん食べてるだろ？　」

牧野は安達にそういうとソファーに座った。

「牧野が向井が串焼き詰めてたから、

黒谷と美味しいもん食べてるって、

だから来た」

安達もハンバーグを見て笑顔になると、

「美味しそう～」

と座った。

「牧野君はそのカンを、

もっと他に活かせれば悪霊にも勝てるのにね」

ディッセはケラケラ笑うと、

ビールのプルトップを開けた。