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番外編

お寝坊の安達

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そんな話をしていると、安達が空間から飛び込んできた。

「寝坊した~」

くしゃくしゃの髪でやってきた姿に二人は笑うと、

「珈琲淹れるね」

黒谷がキッチンに向かった。

「最近はよく眠れてるみたいですね。

体調はどうですか? 」

向井が聞くと、黒谷がマグカップを安達に渡した。

「有難う。なんか毎日疲れちゃってさ。

お仕事より大変~」

安達は笑うと珈琲を飲んだ。

「その上下のスポーツジャージカッコいいね。似合ってるよ。

安達君はリレーに出るんだって? 」

黒谷が笑顔で聞くと、

「うん。俺は牧野と新田とディッセのチームなの。

でね、バトンを受け取る練習してるんだ。

難しいんだよ」

楽しそうに話す安達に二人も笑った。

「向井さんも何か出るの? 」

黒谷の言葉に、

「俺はチビ達と大玉転がしして、

リレーも出ますよ。

安達君とはライバルですね」

と向井は安達を見た。

「向井はティンとオクトとトリアのチームなの」

安達が言うのを聞いて黒谷がビックリした顔をした。

「えっ? 男女混合なの? なのに安達君のチームは男性だけ? 

ずるくない? 」

「これね、

冥界のヴァーチャルアシストがチーム分けしてるんですよ。

一応能力値を計算して同じにしてるそうなんですけど、

今回は冥王も出るって張りきってて」

「えっ? 」

向井の話に黒谷の目が見開いた。

「佐久間さんと早紀ちゃん、セーズさんのチームなんですけど、

他のメンバーから文句言われて、

毎日トレーニングマシンで走ってます」

向井が笑った。

「冥王って面白いね」

黒谷もふき出す。

「こういう事でもないと運動しないので、

丁度いいのかもしれませんね。

さて、そろそろ戻らないと」

向井が立ち上がると、二人も店の方に向かった。

「お弁当はこれね。

ちびちゃんたちのはお子様ランチになってるから。

今回は坂下君にパンを焼いてもらったから、

サンドイッチだよ」

「俺がね~食べたいパンをお願いしたの」

安達が嬉しそうに話した。

「だってね。三種類だから食感も味も違いを楽しめるよ」

黒谷が向井に説明した。

「それは楽しみだ」

向井はそういうと、

「じゃあ終わったら来ますから」

と安達の開けたゲートに箱を吸い込ませ、

「じゃあね」

と安達が手を振り、二人は冥界に戻って行った。


死神課に行くと、

お弁当を運ぶセイたちの姿が見えた。

「あれ? こっちじゃないの? 」

安達が聞くと、

「運動会はこっちのホールでやるんです」

セイの説明に、

「ホールなんてもう一つあった? 」

と向井も驚いた。

「もう一つ第二多目的ホール作ったの」

妖鬼が向井達に近づいてきて言った。

「えっ? 」

二人が驚いていると、

「リレーするって言うからさ。

あの広さだと狭いでしょ。

冥王がこの前天上界に行った時に、

冥界の空間でも許可を取ったって言うんで、

思いっきり広げたんだよ」

妖鬼が笑いながら言った。

「へえ~」

二人は驚くと残りの箱を妖鬼と持ち上げ、

一緒に歩き出した。

部屋に入ると、

「凄い………」

安達の目が輝いた。

青空が広がり、3D空間には木々や小鳥のさえずりも聞こえる。

「本当に外にいるみたいですね」

向井も感嘆の声を出した。

「だろ? 今じゃ捨て地でもこの景色は、

なかなか拝めないでしょ」

「本当ですね」

向井も笑顔で妖鬼を見た。
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