ダンジョンライフ

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第2話

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「色々と説明しなくちゃだからとりあえずこれに座ってよ」

テトラがそう言うと、目の前にテーブルとそれを挟んで二組のゆったりとしたソファーが現れる。
これも神様パワーってやつかと思いながらソファーに座るとテトラはその対面のソファーに着地した。

「まずはそうだね.......君がここに来たワケを話す前にダンジョンが地球にあるのは何故かを説明するね」
「わかった」
「簡単に言うと、地球を救うためさ」
「というと?」

テトラ曰くこういうことらしい。

神々は色々な世界を管理していて地球のある世界もその一つ。
みんな大好き剣と魔法の世界もあるらしいがそれはともかく、地球の人類はやり過ぎた。
発展の代償として自然を破壊し、国と国、人と人同士による争いは絶えず、限りあるリソースを奪い合っているような状態だ。

これをどうにかしようと協議した結果、この〝ダンジョン計画〟がスタートした。

ダンジョンは各国の状況を考慮してその領土の何処かに出現する。
出現したダンジョンは一定期間放置のような状況が続くとと内部にいる魔物が溢れ出す。
溢れ出した魔物は体内の魔石のエネルギーが消失するまで暴れ回る。
結果として各国は国力をダンジョンにさかなければならなくなる。

そしてその魔物だが、倒すとその魔石と素材をドロップする。
魔石は使い方次第でクリーンなエネルギー資源となり、素材は生活の糧となる。

ダンジョンに国力を割かせ、かつ資源として利用させることで現在の状況を打破しようという事だ。

「それなりの犠牲者とか出そうだが良いのか?」
「ん~申し訳ないけどそこは必要な犠牲ってことで割り切って貰うしかないかな。脅威としてある程度認識して貰う必要があるし、人口が減るのも悪いことばかりじゃないって僕達神々の間で結論が出てるから」

人口が減ればその分必要なリソースも減る。
理屈はわかるがそれが最善なのかと疑問もわく。
ただ、俺にこれを止める術も権利もない。

「そうか.......それで、そのダンジョンは具体的にどういうもんなんだ?」
「日本のゲームやライトノベルを参考にしたよ!」
「おいおい」
「結構参考にしてる神もいるんだよ?」
「まじかよ」
「まじまじ。ちょっとゴメンね、はいっ」
『ステータス情報を獲得しました』
「ん?」

テトラが何かをしたのか、頭の中に機械的な女性の声が響いた。

「今のは?」
「天の声ってやつ?他にもレベルが上がった時とかにも聞こえてくるよ」
「それで、ステータスってのは」
「〝ステータスオープン〟って声に出してみて」
「ステータスオープン」

すると、俺の目の前に半透明の画面が現れた。
そこにはーー



ープロフィールー

【氏名】佐々木 龍一

【性別】男

【生年月日】1989/5/27

【年齢】30

【ランキング】1/1

ーステータスー

【レベル】0

【生命力】248/248

【魔力】152/152

【肉体レベル】0

【魔力レベル】0

残りSP:0

ースキルー

【 】Lvー【 】Lvー【 】Lvー【 】Lvー【 】Lvー【 】Lvー【 】Lvー【 】Lvー【 】Lvー【 】Lvー

ー称号ー
【先導者】
【テトラの加護】



「おお~」
「これが君のステータスだね。プロフィールは良いとして、他の説明をするね」

レベルは魔物を倒すと経験値が得られ、規定値に達すると上昇する。
その時にSPステータスポイントというのが得られる。

生命力はそのままの意味で、これがゼロになると死ぬ。
魔力は魔法(あるのか)を使う時に必要で、弱い魔法ほど必要な魔力が少なく、強い魔法ほど多い。
魔力は時間経過で回復するが、スキルの中にそれを強化するものもあるらしい。

肉体強度と魔力強度は獲得したSPを消費することで上昇する。
肉体強度をあげれば生命力と身体能力が上昇し、魔力強度をあげれば魔力と魔法の攻撃力、魔法に対する防御力が上昇する。

スキルは〝スキルオーブ〟というアイテムを使用することで得られる。
スキルオーブは低確率だが魔物がドロップし、稀に見つかる宝箱の中にもあるとか。
スキルにもレベルがあり、使えば使うほど上昇するそうだ。
最大で獲得できるスキルは10個まで。
スキルを10個所持した状態でスキルを獲得しようとしてもできない。

「それで、この〝ランキング〟と〝称号〟ってのは.......」
「ランキングはステータスを得ている人間の強さを総合的に判断して順位化したものだね。今は君1人しかいないから1位だよ!」
「お、おう」
「称号は特定の行動をするとゲットできるんだけど、詳しいことはそこをタップしてみてよ」
「どれどれ」

【先導者】
この世界で初めてダンジョンに踏み込んだ者
「獲得経験値上昇」「獲得スキル熟練度上昇」「獲得SP上昇」

【テトラの加護】
テトラによって与えられた加護
EXエクストラスキル「鑑定EX」「ステータス隠蔽EX」「異空間収納EX」を得る

「えぇ.......」

とんでもない効果だった。
所謂チートってやつでは?

「ねぇねぇテトラさんや」
「どうしたんだいりゅーいちさんや」
「これってやりすぎでは?」
「てへぺろ」

このEXスキルは完全に俺だけのオンリーワンなスキル。
少なくとも今後、他の誰かに加護を与えることはないそうだ。
一応同様の効果を持つ通常スキルもあるが、どんなにスキルレベルが高くても俺の鑑定や隠蔽を妨害・突破できない。
異次元収納は容量無限で収納した物の時間経過を個別に設定できる優れものだ。
そしてこの3つはスキル枠を消費しないのだと。

「まぁ有難く受け取るとするよ」
「うんうん。そうしたまえ」
「んで、結局俺はどうしてここに?」
「加護を与える為というのが一つ、それと君が足を踏み入れたダンジョンの説明がもう一つだね」

俺が足を踏み入れたダンジョンは所謂〝試作品〟
現状は地球に存在する唯一無二のダンジョンらしい。
試しに開通させてみたところにたまたま俺が現れたそうだ。

「そこで、君にはこのダンジョンのテスターをやって欲しい」
「テスター?」
「別に無理にとは言わないけど、実際に誰かに潜って貰った方が僕としてもありがたいんだよね。日本時間で約3年後の1月1日に世界中にダンジョンを設置するつもりなんだけど、そのためのデータが欲しいんだ!」
「なるほど」
「君以外にはこれ以降試作ダンジョンを見つけられないように隠蔽するし、死なれても困るから生命力がゼロになっても入口で復活するようにもなってるよ。もちろん、手に入るドロップアイテムやお宝は全部君の物にして良いからね。あとは.......そうだ!ダンジョン内にいくら居ても外だと殆ど時間が経過しないようにしちゃおうかな。加齢とかは気にしなくていいよ。全部僕の方でなんとかしておくから!」
「大盤振る舞いだな」

類まれなる好条件な気がする。
これが企業なら大変ホワイトなのだろう。

「どれぐらいの頻度で潜れば良いんだ?」
「ん?特にどれぐらいということはないよ?さっき言ったように無理する必要はないからね」
「どうするも俺の自由ってことか」
「そういうこと!」

幸か不幸か俺は現在無職。
時間だけなら有り余っている状態だ。

「ちょうど時間もあるし、なるべく潜ってみるようにするよ。テトラに貰った力の恩もある」
「ありがと~!」

俺はダンジョンに潜ることを決意した。
それに、ここでそれなりの力をつければ実際にダンジョンが稼働した時にある程度対処できるだろう。



世界がダンジョンを知るまでーー2年と半年ーー


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