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最終章 真実をその手に掴み悪を討て
人間と魔物から産まれし半魔の子
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第一陣と第二陣を退けられたことをコカットスから聞いたデイモンことオズモンド・ピースは、オズマリア帝国軍の侵攻を開始させることを決める。殺されても痛くも痒くもない人間どもをデイモンの域のかからない魔物どもの討伐に使い潰す。人間もデイモンに従わない魔物も排除できる一石二鳥であった。
「成程な。スパーダだけでなくクスネまでマリアナに付くとは、フッフッフッ面白い。では、次だ。人間どもを魔王国に侵攻させる。俺の意に従わない魔物は駆逐し作り直す。我が再び最強の魔王国を建造するのだ」
「デイモン様、ダークスがまだ帰ってきていないようじゃが」
「フッフッフッ。あやつはもうこの世にはおらんよ。どうやら、忌々しい我が娘マリアナと子を成したこの魂の持ち主の父よ」
「成程、側で成長を見守りながらどうすれば分離できるかを模索していたというところであろうかのぅ。しかし、我らデイモン四天王、今一度集まれようとはなぁ。メドー・ダイボ・ヴァンピよ」
「この古の魔物メデューサのメドーがデイモン様に逆らう魔物を石に変えて差し上げますわ」
「イシニナッタヤツラハ、コノダイダラボッチノダイボノデカイテデ、タタンデヤル」
「悠久の時を生きるヴァンパイアのヴァンピ。身に付けたこの策の数々、もう一度振るえようとは感涙の極み。咽び泣きそうだ」
「お前たちの出番は最後だ。この俺と共に魔王国へと攻め込むその時まで、英気を養っておけ」
オズマリア帝国の人間どもを率いて、魔王国への侵攻の先陣を任されたのは、屍王プリンス・蛾女王ウエストリンギア・犬母ダイアンサスの半魔となりし3将である。
「お前たち、臆せず戦え、死んだらこの俺がゾンビにして生き返らせてやる」
「ゾンビとなって死んでも大丈夫よ。私の子供たちの巣として使ってあげるから」
「ちょっとちょっと、ウエストリンギア姉様、肉は私の可愛い子たちの餌にするんだから骨だけあ・げ・る」
率いる3人の見た目が人を通り越していたので、オズマリア帝国の兵士たちは、困惑していた。
「あの、オズモンド王様からは貴方様たちが前線に立つから後方支援をと言われていたのですが」
「あぁ、俺の可愛い女たちを前線に立たせろだと。舐めた口聞いてんじゃねぇぞ。ただの士卒が将軍様に口答えしてんじゃねぇ。言われた通りやりゃあ良いんだよ。それがお前らの仕事だろ。国を捨てたお前らのよ」
プリンスが任されていたのは、エンペラード王国の元兵達である。だが、目の前のプリンスと名乗るこの男があのプリンスだとは誰も思っていない。むしろ別人だと思っているからこの態度である。
「ですが我らは人、魔物と戦うとなるとやはり貴方様の力が」
ザシュッと音がして、倒れる兵士。
「ヒィ、なっ何を」
「要は魔物になれば、そんなこと考えずに戦えるよな」
倒れた兵士が起き上がりあぅあぅと言いながら、他の兵士の元に向かっていく。
「待ってください。俺たちちゃんと戦いますから。こんな姿にだけはなりたくねぇ」
「最初からそうしてりゃ良いんだ。お前ら売国奴どもに拒否権はねぇんだからなぁ」
「俺たちは売国奴なんかじゃねぇ。オズマリア帝国市民権を得た兵士たちだぞ。それにこの扱い。酷すぎる」
「今、口開いたのどいつだ。ゾンビにしてやるよ」
全員が1人の男を指差した。
「お前たち、なんで俺を売る。嫌だ嫌だあんな姿になりたくねぇ」
「そうそう。従順にしていれば、何も怖いことなんかねぇさ」
全員、恐怖から従わざるおえなかった。
「流石、プリンスお兄ちゃん、じゃあ、私もやっちゃおうかな」
ウエストリンギアは1人の兵士を見せしめにするかのようにモスとの間に産まれた子供達を身体に埋めこんだ。すると身体の中から無数の蟲たちが這い出てきた。
「ヒィ、なんで帝国市民権を持つ俺たちがこんな目に」
「元売国奴なんだから当たり前じゃない。ねぇダイアンサス」
「えぇ、ウエストリンギア姉様」
ダイアンサスも1人の兵士を捕まえて、見せしめに子供たちに食べさせた。
「ギャァ。イタイ、イタイ、イタイ」
「こんな事が、いつからオズマリア帝国は魔物の巣窟となっていたんだ」
「今、オズマリア帝国の悪口言ったの誰?」
兵士たちが一斉に1人の男を指差す。
「なんで、なんでお前ら。一緒に苦楽を共にした仲じゃねぇか。俺を売るっていうのか」
「残念ね。そんな思い出よりも恐怖ってのは上なのよ」
「ギャァ。イタイ。イタイ。モウタベナイデ」
「こうなりたくなかったら、アンタたちも頑張るのよ」
そしてこの中に1人の男が居た。ルビーとオズモンド・ピースとの間に産まれた嫡男、ダイヤである。ダイヤには、昔の母のような正義感が備わっていて、オズモンド・ピースの行いにずっと疑問を感じていた。そして、今この悍ましい所業にも疑問を抱かずにはいられなかった。どうして、同じ帝国市民を持つものをこうも惨殺する事ができるのか。どうして、オズモンド・ピースは、このような魔の者を将軍に就けたのか。自分は、本当に母と父に従っていて良いのだろうか。魔物を滅ぼす事には賛成だ。魔物がいるから人から笑顔が消える。だが、その魔物をオズマリア帝国が密かに飼っているのはどうなのだろう。矛盾では無いのか。何かよからぬ事があるのではないか。勘繰る気持ちは堂々巡り。しかし、ダイヤもまたこの場は目を瞑るしかなかった。
「成程な。スパーダだけでなくクスネまでマリアナに付くとは、フッフッフッ面白い。では、次だ。人間どもを魔王国に侵攻させる。俺の意に従わない魔物は駆逐し作り直す。我が再び最強の魔王国を建造するのだ」
「デイモン様、ダークスがまだ帰ってきていないようじゃが」
「フッフッフッ。あやつはもうこの世にはおらんよ。どうやら、忌々しい我が娘マリアナと子を成したこの魂の持ち主の父よ」
「成程、側で成長を見守りながらどうすれば分離できるかを模索していたというところであろうかのぅ。しかし、我らデイモン四天王、今一度集まれようとはなぁ。メドー・ダイボ・ヴァンピよ」
「この古の魔物メデューサのメドーがデイモン様に逆らう魔物を石に変えて差し上げますわ」
「イシニナッタヤツラハ、コノダイダラボッチノダイボノデカイテデ、タタンデヤル」
「悠久の時を生きるヴァンパイアのヴァンピ。身に付けたこの策の数々、もう一度振るえようとは感涙の極み。咽び泣きそうだ」
「お前たちの出番は最後だ。この俺と共に魔王国へと攻め込むその時まで、英気を養っておけ」
オズマリア帝国の人間どもを率いて、魔王国への侵攻の先陣を任されたのは、屍王プリンス・蛾女王ウエストリンギア・犬母ダイアンサスの半魔となりし3将である。
「お前たち、臆せず戦え、死んだらこの俺がゾンビにして生き返らせてやる」
「ゾンビとなって死んでも大丈夫よ。私の子供たちの巣として使ってあげるから」
「ちょっとちょっと、ウエストリンギア姉様、肉は私の可愛い子たちの餌にするんだから骨だけあ・げ・る」
率いる3人の見た目が人を通り越していたので、オズマリア帝国の兵士たちは、困惑していた。
「あの、オズモンド王様からは貴方様たちが前線に立つから後方支援をと言われていたのですが」
「あぁ、俺の可愛い女たちを前線に立たせろだと。舐めた口聞いてんじゃねぇぞ。ただの士卒が将軍様に口答えしてんじゃねぇ。言われた通りやりゃあ良いんだよ。それがお前らの仕事だろ。国を捨てたお前らのよ」
プリンスが任されていたのは、エンペラード王国の元兵達である。だが、目の前のプリンスと名乗るこの男があのプリンスだとは誰も思っていない。むしろ別人だと思っているからこの態度である。
「ですが我らは人、魔物と戦うとなるとやはり貴方様の力が」
ザシュッと音がして、倒れる兵士。
「ヒィ、なっ何を」
「要は魔物になれば、そんなこと考えずに戦えるよな」
倒れた兵士が起き上がりあぅあぅと言いながら、他の兵士の元に向かっていく。
「待ってください。俺たちちゃんと戦いますから。こんな姿にだけはなりたくねぇ」
「最初からそうしてりゃ良いんだ。お前ら売国奴どもに拒否権はねぇんだからなぁ」
「俺たちは売国奴なんかじゃねぇ。オズマリア帝国市民権を得た兵士たちだぞ。それにこの扱い。酷すぎる」
「今、口開いたのどいつだ。ゾンビにしてやるよ」
全員が1人の男を指差した。
「お前たち、なんで俺を売る。嫌だ嫌だあんな姿になりたくねぇ」
「そうそう。従順にしていれば、何も怖いことなんかねぇさ」
全員、恐怖から従わざるおえなかった。
「流石、プリンスお兄ちゃん、じゃあ、私もやっちゃおうかな」
ウエストリンギアは1人の兵士を見せしめにするかのようにモスとの間に産まれた子供達を身体に埋めこんだ。すると身体の中から無数の蟲たちが這い出てきた。
「ヒィ、なんで帝国市民権を持つ俺たちがこんな目に」
「元売国奴なんだから当たり前じゃない。ねぇダイアンサス」
「えぇ、ウエストリンギア姉様」
ダイアンサスも1人の兵士を捕まえて、見せしめに子供たちに食べさせた。
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「こんな事が、いつからオズマリア帝国は魔物の巣窟となっていたんだ」
「今、オズマリア帝国の悪口言ったの誰?」
兵士たちが一斉に1人の男を指差す。
「なんで、なんでお前ら。一緒に苦楽を共にした仲じゃねぇか。俺を売るっていうのか」
「残念ね。そんな思い出よりも恐怖ってのは上なのよ」
「ギャァ。イタイ。イタイ。モウタベナイデ」
「こうなりたくなかったら、アンタたちも頑張るのよ」
そしてこの中に1人の男が居た。ルビーとオズモンド・ピースとの間に産まれた嫡男、ダイヤである。ダイヤには、昔の母のような正義感が備わっていて、オズモンド・ピースの行いにずっと疑問を感じていた。そして、今この悍ましい所業にも疑問を抱かずにはいられなかった。どうして、同じ帝国市民を持つものをこうも惨殺する事ができるのか。どうして、オズモンド・ピースは、このような魔の者を将軍に就けたのか。自分は、本当に母と父に従っていて良いのだろうか。魔物を滅ぼす事には賛成だ。魔物がいるから人から笑顔が消える。だが、その魔物をオズマリア帝国が密かに飼っているのはどうなのだろう。矛盾では無いのか。何かよからぬ事があるのではないか。勘繰る気持ちは堂々巡り。しかし、ダイヤもまたこの場は目を瞑るしかなかった。
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