53 / 71
最終章 真実をその手に掴み悪を討て
オックスは魔王に忠誠を誓う
しおりを挟む
オズマリア軍の第一陣の攻勢を凌いだ魔王軍は、城へと戻っていた。
「魔王様、御無事で何よりです」
「あっネイル~ただいま~、はい。これ戦利品」
「これは、知恵の冠ですね。では、オズマリア軍の先鋒は魔物だったのですね」
「うん。ゴブリンとオークとコボルトだったよ~」
「というか魔王様のそのお姿は?」
「エヘヘ。こんな力を得たの~」
マリアナはネイルに指先を向けるとネイルが子供の姿になる。
「魔王ちゃま、これは、あまりにもはじゅかちいです」
「ごめんごめん。ネイルは若いから必要なかったね~」
ネイルにかけた若返りの魔法を解除する。
「ゴホン。魔王様、オークも排除したと言っておきながら後ろのオークは?」
「すまぬ。魔王様に対しての今までの非礼を詫び、忠誠を誓うことを決めたオックスと申す。このような姿で戦働きはもうできそうにないが許してくれ」
「勝手なやつだな」
客間からカイルが出てきた。
「お前は!?オズモンドと名乗るデイモン様が危険視していた人間の男!」
「あぁ、お前の腕を切り落とした男でもあるけどな」
「そうであったな。人間ながらあっぱれな強さよ。かつて、攻めた際に相手をした男によく似ている。あの男も強かったがデイモン様には敵わなかったようだが」
「へぇ、俺によく似た男か」
「えぇ、おそらくファインでしょうね。オズモンドと聞いて、一瞬戸惑いましたが、やはりカイルから聞いた通り私の知るオズモンドではなかったようで安心しました」
「その姿はエルフ?だが、その姿はかつて人間国を攻めた際に俺が戦った男が守っていた女?どういうことだ?」
「こういうことです」
イーリスはそういうと姿を人間に変えた。
「成程、お前もまた人間を愛してしまった者だったということか。俺は、愚かな選択をした。デイモン様と共に歩めば我が妻アレクシアは殺されないと思ったのだ。俺は昔から色んな人間の女を肉鎧にしてきた。それがオークとしての務めだったからだ。人間どももオークの下半身につけられた人間の女を見て攻撃を躊躇う。その隙に粉砕するのが我らオークの本分だった。だが、俺は間違えていた。本当に大事なら戦場に出してはならなかったのだ。俺は、アレクシアと離れたくない一心で、俺が守れば良い。そう考えていた。その結果が、お前に片腕を落とされ。コルトの野郎にもう片腕を落とされる結果となったのだ。どうだ惨めであろう。もう戦うことのできないオークなど」
「そんなことはありません。オークだろうとエルフだろうと人を愛してしまったことに変わりはありません」
「フッありがとう。少し、心が軽くなった気がするよ」
そういうとオックスは下半身の力を緩めアレクシアからそれを引き抜き。服を着た。
「オックス様?まさか、私に飽きたのですか?」
「馬鹿を言うな!大事な存在だからこそ労わる気持ちが大事だと学んだのだ。お前は魔物ではなく人間なのだから」
「そのようなこと。私にとっては、オックス様の下半身が居場所なのです」
「馬鹿者、これからは共に森にデートに出かけたりのんびりとした時間をゆっくりと歩んでいこう」
「オックス様!はい。ずっと私を側に置いてくださいませ」
「あぁ。勿論だ。改めて、俺は誓う。生涯、我が妻はアレクシアだけだとな」
「良い話だ~マリアナちゃん、泣けてきちゃったよ~」
「マリアナ、貴方、すごく若くない?」
「イーリスちゃんは、歳とったね~」
「何よ。歳相応って言いなさい。辛かったわね。息子が親の転生体にされるなんて」
「父のことは許さない。私とライトの可愛い息子を檻の中に閉じ込め、転生体として利用したことを。その身を持って償わせてやる」
「えぇ、私もファインを殺したことを絶対に許さないわ。久々にハイエルフとしての魔法を解禁しちゃうんだから」
「イーリスちゃん。ということは久々にコンビ、マリリスの結成だね」
「えぇ、この魔王国を滅ぼそうっていうなら根絶やしにしてあげましょう」
「まさか、かつて魔王国を震撼させたマリリスが現魔王様とこの御仁だったとは。雪女風情などと罵ったことを含め数々の無礼を謝る。俺は、今後はマリアナ様を魔王様として、仕える」
「ありがとう~オックスちゃん。じゃあ、その腕治してあげないとねイーリスちゃん」
「えぇ、オックスだったわね?こっちを向いてくれるかしら?」
「何を言っている?魔法のスペシャリストと言われるハイエルフといえども切り離された腕を治すなど不可能だろう」
そこに数匹のオークが入ってきた。
「王よ。御無事でしたか。良かった」
「お前たち、まさか死んだと思っていた。俺のせいですまぬ」
「何をおっしゃいます。我らのために頭を下げてくださった。あの時、我らは序列ではなく貴方様を生涯の王と定めたのです。貴方様の斬られた腕はこちらに」
そういうとイーリスに腕を渡すオークたち。
「ありがとう。これで完璧ね。だって、物がここにあるんだもの」
イーリスは、何やら呪文を唱えた。
「リ・グロース」
オックスの腕が綺麗に引っ付いた。
「これでどうかしら動かしてみてくれる?」
オックスは恐る恐る握ったり開いたり、曲げたり伸ばしたりを繰り返す。
「こんなことが可能なのか?あんなにずっと続いていた斬られた痛みですらまるで無かったかのようだ。これでアレクシアを抱きしめられる」
「オックス様!苦しいです」
「すっすまない。嬉しくてつい」
「ほら、こうです」
「こっこうか」
「はい。心地良いです」
「あぁ、俺もだ。この幸せのため、マリアナ魔王様のため、この魔王国のためこのオックス、今一度武働きをさせてもらおう」
「頼りにしてるよ~オックスちゃん」
「で、マリアナはいつまでその姿なの?」
「ずっと~気に入っちゃったし」
「まぁ、良いんじゃない。歳を取らないハイエルフと違って雪女は歳とるものね」
「酷い、私が年増って言ってるよね。それ」
「さぁ、どうでしょう」
「全く、愉快だ(人間と共に生きるか。全ての魔物がこうであれば、それもそれで素晴らしいせかいやもしれんな)」
「まとまってるところ悪いんだけどさ。まだ第一陣を凌いだだけだからな」
カイルの言葉に皆がまぁ良いんじゃないって感じであった。
「魔王様、御無事で何よりです」
「あっネイル~ただいま~、はい。これ戦利品」
「これは、知恵の冠ですね。では、オズマリア軍の先鋒は魔物だったのですね」
「うん。ゴブリンとオークとコボルトだったよ~」
「というか魔王様のそのお姿は?」
「エヘヘ。こんな力を得たの~」
マリアナはネイルに指先を向けるとネイルが子供の姿になる。
「魔王ちゃま、これは、あまりにもはじゅかちいです」
「ごめんごめん。ネイルは若いから必要なかったね~」
ネイルにかけた若返りの魔法を解除する。
「ゴホン。魔王様、オークも排除したと言っておきながら後ろのオークは?」
「すまぬ。魔王様に対しての今までの非礼を詫び、忠誠を誓うことを決めたオックスと申す。このような姿で戦働きはもうできそうにないが許してくれ」
「勝手なやつだな」
客間からカイルが出てきた。
「お前は!?オズモンドと名乗るデイモン様が危険視していた人間の男!」
「あぁ、お前の腕を切り落とした男でもあるけどな」
「そうであったな。人間ながらあっぱれな強さよ。かつて、攻めた際に相手をした男によく似ている。あの男も強かったがデイモン様には敵わなかったようだが」
「へぇ、俺によく似た男か」
「えぇ、おそらくファインでしょうね。オズモンドと聞いて、一瞬戸惑いましたが、やはりカイルから聞いた通り私の知るオズモンドではなかったようで安心しました」
「その姿はエルフ?だが、その姿はかつて人間国を攻めた際に俺が戦った男が守っていた女?どういうことだ?」
「こういうことです」
イーリスはそういうと姿を人間に変えた。
「成程、お前もまた人間を愛してしまった者だったということか。俺は、愚かな選択をした。デイモン様と共に歩めば我が妻アレクシアは殺されないと思ったのだ。俺は昔から色んな人間の女を肉鎧にしてきた。それがオークとしての務めだったからだ。人間どももオークの下半身につけられた人間の女を見て攻撃を躊躇う。その隙に粉砕するのが我らオークの本分だった。だが、俺は間違えていた。本当に大事なら戦場に出してはならなかったのだ。俺は、アレクシアと離れたくない一心で、俺が守れば良い。そう考えていた。その結果が、お前に片腕を落とされ。コルトの野郎にもう片腕を落とされる結果となったのだ。どうだ惨めであろう。もう戦うことのできないオークなど」
「そんなことはありません。オークだろうとエルフだろうと人を愛してしまったことに変わりはありません」
「フッありがとう。少し、心が軽くなった気がするよ」
そういうとオックスは下半身の力を緩めアレクシアからそれを引き抜き。服を着た。
「オックス様?まさか、私に飽きたのですか?」
「馬鹿を言うな!大事な存在だからこそ労わる気持ちが大事だと学んだのだ。お前は魔物ではなく人間なのだから」
「そのようなこと。私にとっては、オックス様の下半身が居場所なのです」
「馬鹿者、これからは共に森にデートに出かけたりのんびりとした時間をゆっくりと歩んでいこう」
「オックス様!はい。ずっと私を側に置いてくださいませ」
「あぁ。勿論だ。改めて、俺は誓う。生涯、我が妻はアレクシアだけだとな」
「良い話だ~マリアナちゃん、泣けてきちゃったよ~」
「マリアナ、貴方、すごく若くない?」
「イーリスちゃんは、歳とったね~」
「何よ。歳相応って言いなさい。辛かったわね。息子が親の転生体にされるなんて」
「父のことは許さない。私とライトの可愛い息子を檻の中に閉じ込め、転生体として利用したことを。その身を持って償わせてやる」
「えぇ、私もファインを殺したことを絶対に許さないわ。久々にハイエルフとしての魔法を解禁しちゃうんだから」
「イーリスちゃん。ということは久々にコンビ、マリリスの結成だね」
「えぇ、この魔王国を滅ぼそうっていうなら根絶やしにしてあげましょう」
「まさか、かつて魔王国を震撼させたマリリスが現魔王様とこの御仁だったとは。雪女風情などと罵ったことを含め数々の無礼を謝る。俺は、今後はマリアナ様を魔王様として、仕える」
「ありがとう~オックスちゃん。じゃあ、その腕治してあげないとねイーリスちゃん」
「えぇ、オックスだったわね?こっちを向いてくれるかしら?」
「何を言っている?魔法のスペシャリストと言われるハイエルフといえども切り離された腕を治すなど不可能だろう」
そこに数匹のオークが入ってきた。
「王よ。御無事でしたか。良かった」
「お前たち、まさか死んだと思っていた。俺のせいですまぬ」
「何をおっしゃいます。我らのために頭を下げてくださった。あの時、我らは序列ではなく貴方様を生涯の王と定めたのです。貴方様の斬られた腕はこちらに」
そういうとイーリスに腕を渡すオークたち。
「ありがとう。これで完璧ね。だって、物がここにあるんだもの」
イーリスは、何やら呪文を唱えた。
「リ・グロース」
オックスの腕が綺麗に引っ付いた。
「これでどうかしら動かしてみてくれる?」
オックスは恐る恐る握ったり開いたり、曲げたり伸ばしたりを繰り返す。
「こんなことが可能なのか?あんなにずっと続いていた斬られた痛みですらまるで無かったかのようだ。これでアレクシアを抱きしめられる」
「オックス様!苦しいです」
「すっすまない。嬉しくてつい」
「ほら、こうです」
「こっこうか」
「はい。心地良いです」
「あぁ、俺もだ。この幸せのため、マリアナ魔王様のため、この魔王国のためこのオックス、今一度武働きをさせてもらおう」
「頼りにしてるよ~オックスちゃん」
「で、マリアナはいつまでその姿なの?」
「ずっと~気に入っちゃったし」
「まぁ、良いんじゃない。歳を取らないハイエルフと違って雪女は歳とるものね」
「酷い、私が年増って言ってるよね。それ」
「さぁ、どうでしょう」
「全く、愉快だ(人間と共に生きるか。全ての魔物がこうであれば、それもそれで素晴らしいせかいやもしれんな)」
「まとまってるところ悪いんだけどさ。まだ第一陣を凌いだだけだからな」
カイルの言葉に皆がまぁ良いんじゃないって感じであった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
『希望の実』拾い食いから始まる逆転ダンジョン生活!(改訂版)
IXA
ファンタジー
凡そ三十年前、この世界は一変した。
世界各地に次々と現れた天を突く蒼の塔、それとほぼ同時期に発見されたのが、『ダンジョン』と呼ばれる奇妙な空間だ。
不気味で異質、しかしながらダンジョン内で手に入る資源は欲望を刺激し、ダンジョン内で戦い続ける『探索者』と呼ばれる職業すら生まれた。そしていつしか人類は拒否感を拭いきれずも、ダンジョンに依存する生活へ移行していく。
そんなある日、ちっぽけな少女が探索者協会の扉を叩いた。
諸事情により金欠な彼女が探索者となった時、世界の流れは大きく変わっていくこととなる……
人との出会い、無数に折り重なる悪意、そして隠された真実と絶望。
夢見る少女の戦いの果て、ちっぽけな彼女は一体何を選ぶ?
絶望に、立ち向かえ。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

クラス転移、異世界に召喚された俺の特典が外れスキル『危険察知』だったけどあらゆる危険を回避して成り上がります
まるせい
ファンタジー
クラスごと集団転移させられた主人公の鈴木は、クラスメイトと違い訓練をしてもスキルが発現しなかった。
そんな中、召喚されたサントブルム王国で【召喚者】と【王候補】が協力をし、王選を戦う儀式が始まる。
選定の儀にて王候補を選ぶ鈴木だったがここで初めてスキルが発動し、数合わせの王族を選んでしまうことになる。
あらゆる危険を『危険察知』で切り抜けツンデレ王女やメイドとイチャイチャ生活。
鈴木のハーレム生活が始まる!

無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。


家の庭にレアドロップダンジョンが生えた~神話級のアイテムを使って普通のダンジョンで無双します~
芦屋貴緒
ファンタジー
売れないイラストレーターである里見司(さとみつかさ)の家にダンジョンが生えた。
駆除業者も呼ぶことができない金欠ぶりに「ダンジョンで手に入れたものを売ればいいのでは?」と考え潜り始める。
だがそのダンジョンで手に入るアイテムは全て他人に譲渡できないものだったのだ。
彼が財宝を鑑定すると驚愕の事実が判明する。
経験値も金にもならないこのダンジョン。
しかし手に入るものは全て高ランクのダンジョンでも入手困難なレアアイテムばかり。
――じゃあ、アイテムの力で強くなって普通のダンジョンで稼げばよくない?

『希望の実』拾い食いから始まる逆転ダンジョン生活!
IXA
ファンタジー
30年ほど前、地球に突如として現れたダンジョン。
無限に湧く資源、そしてレベルアップの圧倒的な恩恵に目をつけた人類は、日々ダンジョンの研究へ傾倒していた。
一方特にそれは関係なく、生きる金に困った私、結城フォリアはバイトをするため、最低限の体力を手に入れようとダンジョンへ乗り込んだ。
甘い考えで潜ったダンジョン、しかし笑顔で寄ってきた者達による裏切り、体のいい使い捨てが私を待っていた。
しかし深い絶望の果てに、私は最強のユニークスキルである《スキル累乗》を獲得する--
これは金も境遇も、何もかもが最底辺だった少女が泥臭く苦しみながらダンジョンを探索し、知恵とスキルを駆使し、地べたを這いずり回って頂点へと登り、世界の真実を紐解く話
複数箇所での保存のため、カクヨム様とハーメルン様でも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる