ヴェスパラスト大陸記

揚惇命

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最終章 真実をその手に掴み悪を討て

元に戻り再会を喜ぶ母

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 イーリスがカイルのモノを受け入れ、しばらく時間が経った。カイルはダメだと我慢していたが容赦なく締め付けてきて限界を迎えていた。
「母さん、僕たちは母子なんだ。ダメだって」
「ブヒッブヒブヒ」
「カイル、もう諦めるんじゃ。ほら、イーリスも欲しておるぞ。ライト、黒衣の鎧の中にこんなモノを隠し持っているとはな」
「満足してくれたようで良かったよ。マリアナ」
「やはり生身のお前ともう一度したいと募るだけであった」
「それは叶わない夢だよ。僕は死んでるんだから。ピースのことを頼んだよ」
 黒衣の鎧が消え、天に昇っていくように見えた。
「あぁ、息子の不始末は母である妾がつけねばならん。ライトよ。永遠に眠れ」
「もうダメだ。離れて、離れて母さん」
「ブヒッブヒブヒ。ブヒーーーーーー(この固さ、大きさはこっちの方が大きいけど、この暖かいものを私は知っている。あの人が私に教えてくれた愛)」
 気を失うイーリス。息が絶え絶えで、茫然自失のカイル。
「ようやった。これでイーリスも元に戻るじゃろ。愛は救うんじゃ」
「俺、なんてことを。母さんの中に出すなんて、子供が」
「安心せい。馬鹿者、魔族の子を産ませようと思ったらお互いに情欲の愛がなければならん。お前にないなら大丈夫じゃ」
「いや、俺、そんなのリリスの時もミューラの時もマモーネの時も無かったよ。というか魔王はさ。僕とやった時に愛紋章ができたって嘘ついたよね」
「どうじゃ。興奮したじゃろ。魔王と子が作れると」
「無いよ。あんな冷たい中、ライトはよく耐えられたよね」
「彼奴は、妾の心すら溶かしてくれたがな。それもトロトロに」
「はいはい惚気話、ご馳走様。さっき、天に昇っていくのが見えたけど魔を宿した者は天に帰れないって言ってなかったっけ?」
「そうじゃ。だから父がかけた呪いを50年もかけてようやく解いてやった。彼奴は、息子の側を離れられんかったからな。こっちから会いにいくこともできんかったしの」
「へぇ」
「なんじゃ、その気のない返事は」
「興味ないからね」
「そうか。それよりも相変わらずお前のは凶悪じゃな。あのイーリスを気絶させるとは」
「母さんとやってしまったっていう罪悪感しか残らないけど」
「いちいち、細かいことを気にする男じゃな。お前は人間か」
「人間だ」
「ハハハ。そうであったな。イーリスが目を覚ますまで時間がかかろう。お前も休めておくのじゃ」
「魔王様、こちらにいらっしゃいましたか。これは?イーリス様?どうしてここに?」
「なんだネイル。珍しいのぅ。お前が城を出るなんて」
「魔王様!引き篭もり引き篭もりと虐めないでください。それより報告が間も無く魔物壁が完成するとの御報告がそれに伴いゴブリン・オーク・コボルトなど多数の魔物が魔王国内で反乱を。左将軍のマリィと右将軍のミリィが出陣して、敵を押し留めてくれています」
「息子め。仕掛けてきおったか。魔物で魔物を滅ぼそうとするなど。流石、父の残忍さを引き継いでいる。いや、父そのものか。用意周到よな。妾もライトも自分の子だと喜んだのに、それが父の転生体なんだからなんとも皮肉なもんじゃ」
「いま、さらっととんでもないことを聞いた気がするんだけど。結局、息子息子って呼んでるけど息子じゃないの?」
「いや、産んだのは妾じゃ。そういう面では息子と言える。だが、ライトの中に魔を宿した父の名残が妾がライトと交わったことを良いことに息子に流れ込んだ。そして、やがて死んだ父をその名残が呼び込み転生したってところじゃ」
「それって結局、魔王の父親ってことじゃん!」
「そうなるな。やれやれ、お前はここでイーリスを見ておけ、魔物の反逆者どもの駆逐は妾がしてやるとしよう。リリス・ミューラ・マモーネ、ここはヴェルンに任せ妾を手伝うのじゃ」
「わかりました。アンタに任せるのは癪だけど。ダーリンのこと頼むわよ」
「坊や。私が帰るまで、別の女に手を出したらどうなるかわかってるよね」
「カイル様、お側を少し離れることをお許しくださいませ」
「あぁ(魔王が家族一緒の時を過ごせと気を利かせてくれたみたいだな)」
「では、私はこれにて魔王城にて全体の作戦指揮を取ります」
「うむ。頼んだぞネイル」
「はっ」
 魔王たちが魔物の反乱を鎮めるため此処を出て数日。
「ここは、何処?」
「イーリス、良かった。元に戻ったようですね」
「まさか貴方はフレーズヴェルグの赤ちゃん?私は確か。うっ。ファインが死んで、そうよ。オズモンドに国民たちと息子を守るため媚び諂って、身体を許し、兵士たちが国民達を殺して、自死を。あぁカイルもあの中に。うっうっ」
「安心してください。心を壊した貴方を救った人が来てくれています」
「母さん。ごめん。俺も母さんが倒産の亡骸の側でオズモンドに忠誠を誓う映像を見せられて、ついこの間まで記憶を無くしていたんだ」
「そんな。カイルなの?こんなに大きくなって、貴方と離れ離れとなって20年。私のせいで辛い思いをさせてごめんなさいね」
「良いんだよ。こうしてまた会えたんだ。母さん」
「こんな私のことをまだ母さんと呼んでくれるのね。ありがとうカイル。あの映像には、貴方のことを託したランダスが映っていなかった。ランダスは?」
「奴隷生活の中で俺のことを守るため心労が祟って、じいちゃんは、うっうっ」
「そんな。ランダスまで。うっ。それよりも貴方がいるってことは、ここは鳥賊の峡谷?」
「はい」
「私はどうしてここに?」
「オズモンドが運んできたんだ」
「何故、オズモンドが?」
「いや、ライトさんの方」
「ライトが!生きてたの?マリアナが喜ぶわ」
「ううん。オズモンドに殺されてた」
「なんか混乱してきたわ。さっきからカイルはライトのことを別のオズモンドって、どういうこと?」
 僕は魔王から聞いたことを母さんに告げるのだった。
「そう。そんなことが。じゃあ、あのオズモンドはマリアナの子なのね。マリアナが1番辛いわね。親子で殺し合いなんて。カイル、オズモンドは恐らく幻覚を使っているわ。徐々に徐々にだけど他の国の王妃達の頭の中を弄っているように見えた。この魔王国を守って、第二の故郷が滅んだ私にはもうここしかないから」
「勿論、そのつもりだよ。ここに来るまで、魔物は全て滅するものだって思ってたけど。良い魔物がいることがわかったからね」
「ありがとう」
 母さんが元に戻ったので、俺も前線で戦うリリス達に合流するため行動するのだった。
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