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最終章 真実をその手に掴み悪を討て
衝撃の事実
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争う声と俺を呼びかける声が聞こえる。
「このクソ鳥、本当に大丈夫なんでしょうね」
「もしもカイル様が意識を戻さなかったら焼き鳥にしますわよ」
「坊や、早く戻ってきて。お願いだから」
「大丈夫。カイル様は強くなられました。全てにきちんと向き合い必ず帰ってきてくださるでしょう。その時、初めてイーリスへの誤解も解けるのです」
「イーリスへの誤解って?あっ確かダーリンが売女とか言ってたわね。あのイーリスがそんなことありえないって皆で言ったんだけどね」
「貴方方は、ある特定のトラウマ的な記憶を見せられ記憶を失ったとします。時を経て、当時敵国の王に目の前で凌辱されている女性が母だったと知る。そして、周りにいた国民たちはその光景を見て、売国奴だと罵り石を投げつける。そんな光景だけを見て、信じられれでしょうか?」
「まさか坊やはそのことだけを見ていた?」
「えぇ、私は生前のイーリスと契約を交わしました。命を救われた代わりに貴方のお役に立つと。イーリスは敵国の王に身を委ねてでも唯一の希望である息子との再会を拠り所として生き抜く覚悟をしました。愛するファインが死んだことを知った後にです。イーリスは本当に強いエルフです。エルフの力を使えば敵国の王を殺すことだってできたはず。でもしなかった。息子が囚われていたから。オズモンドが知らなくても捕虜を一斉処刑するかも知れない。その中に自分の息子がいる状況です。従う他なかった。私はイーリスとの約束を果たすため。弱き赤ちゃん鳥としてではなく。この鳥賊の峡谷へと帰り、長となりました。密かにカイル様をここから見守りながら」
「だったらもっと早くダーリンを救えたじゃない?クソ鳥、何してんのよ!」
「辛辣ですね。人造魔物を作り出す男に鳥賊の峡谷の我々だけで挑めと?それが魔王様を貶めることになってもですか?」
「魔王様を貶めるって、どっどういうことよ?」
「私が人間国に戦争を仕掛けたことになれば、人間との融和を必死に説いていた魔王様のお立場はどうなります?ですが、それでもカイル様自身の身が危険にさらされるのなら放り出して助けたかも知れません。ですがカイル様は聡い子でした。オズマリア兵に挑んだ時も捕まっていたランダスおじさまを助けるために父ちゃんを離せ~と。当時5歳の子供がです。ここでカイル様がランダスを離せと言っていたら、きっと何者か徹底的に調べ上げられて、悲惨な運命を辿ることとなったでしょう」
カイルは目を覚ましヴェルンの首に腕を回して抱きつく。
「お前は全てを見て見守ってくれていたんだなヴェルン。お前と離れ離れになって20年か。その間も名を得ることもなくお前は母さんとの約束を果たしてくれていたのだな。感謝する」
「何をおっしゃいます。カイル様が御無事でいてくださり本当に良かった。イーリスのように心を壊さなくて本当に良かった」
「ヴェルン、それはどういうことだ?母さんの身に何かあったと言うのか?」
「カイル様、そうでしたね。カイル様がこちらに来られて、間も無く一年ですか。カイル様がオズマリア帝国領を脱出したあの日、王都では、敵国の王の子を一向に産まずこの日に起きた事件で完全に心を壊したイーリスに対して、1番下の身分。兵士たちの慰み者としての性奴隷処分が降されるはずでした。それに待ったをかけた1人の男が居ます」
「母さんの身ににそんなことが起こっていたなんて、俺はあの時母さんは売女であり売国奴だとそう思っていた。どうなっても構わないと。だが真実を知った今、俺は母さんに今一度逢いたい。母さんを助けてくれた1人の男とは何者なのだ?」
「その男の名もオズモンドと呼ばれています」
「オズモンドだと!?オズモンドが2人????一体どういうことなんだ」
「その話は妾からするのじゃ」
「まっ魔王様!?」
「ようやく名前を貰えたようじゃな。暴食の名もなき鳥王よ」
「えぇ、イーリスの言葉を伝えた私をここまで鍛えてくださり感謝しております魔王様」
「良いのじゃ。では、その話をしてやるからよく聞くのじゃ。今より70年も昔のことなのじゃ。人間国に魔王国と融和を考えた1人の英傑が産まれた。その英傑の名をオズモンドという。成長した彼は1人でこの魔王国にやってきて我が父に捕まった。人間と魔物は仲良くできるという彼の言葉に人間嫌いの父は耳を貸さず殺そうとしたがただ殺すだけではつまらないと考え、彼に一つ恐ろしい提案をした。そこまでいうのならその身に魔を宿せとな。彼はその言葉を受け入れた。妾は同じ考えを持つ彼に興味を持ち、彼と逢瀬を重ねた。彼が帰る時には、1人の子供が産まれる。魔物と人間の間の子じゃ。彼も妾も大層喜んだ。この子はきっと人間と魔物の架け橋になってくれると。だからオズモンド・ピースと名付けた。だが妾は、人間嫌いの父を甘く見ていたのじゃ。産まれた子は、妾と彼の想いとは裏腹に父の強大な負の魔力を持って生まれた。やがて成長した妾の息子は、彼を殺し王の座を席巻。20年前に破竹の勢いで七国を統一した。その事を妾はカイル。お前から聞くまで知らなかったんじゃよ」
魔王の口から語られる衝撃の事実に唖然となる一同。
「このクソ鳥、本当に大丈夫なんでしょうね」
「もしもカイル様が意識を戻さなかったら焼き鳥にしますわよ」
「坊や、早く戻ってきて。お願いだから」
「大丈夫。カイル様は強くなられました。全てにきちんと向き合い必ず帰ってきてくださるでしょう。その時、初めてイーリスへの誤解も解けるのです」
「イーリスへの誤解って?あっ確かダーリンが売女とか言ってたわね。あのイーリスがそんなことありえないって皆で言ったんだけどね」
「貴方方は、ある特定のトラウマ的な記憶を見せられ記憶を失ったとします。時を経て、当時敵国の王に目の前で凌辱されている女性が母だったと知る。そして、周りにいた国民たちはその光景を見て、売国奴だと罵り石を投げつける。そんな光景だけを見て、信じられれでしょうか?」
「まさか坊やはそのことだけを見ていた?」
「えぇ、私は生前のイーリスと契約を交わしました。命を救われた代わりに貴方のお役に立つと。イーリスは敵国の王に身を委ねてでも唯一の希望である息子との再会を拠り所として生き抜く覚悟をしました。愛するファインが死んだことを知った後にです。イーリスは本当に強いエルフです。エルフの力を使えば敵国の王を殺すことだってできたはず。でもしなかった。息子が囚われていたから。オズモンドが知らなくても捕虜を一斉処刑するかも知れない。その中に自分の息子がいる状況です。従う他なかった。私はイーリスとの約束を果たすため。弱き赤ちゃん鳥としてではなく。この鳥賊の峡谷へと帰り、長となりました。密かにカイル様をここから見守りながら」
「だったらもっと早くダーリンを救えたじゃない?クソ鳥、何してんのよ!」
「辛辣ですね。人造魔物を作り出す男に鳥賊の峡谷の我々だけで挑めと?それが魔王様を貶めることになってもですか?」
「魔王様を貶めるって、どっどういうことよ?」
「私が人間国に戦争を仕掛けたことになれば、人間との融和を必死に説いていた魔王様のお立場はどうなります?ですが、それでもカイル様自身の身が危険にさらされるのなら放り出して助けたかも知れません。ですがカイル様は聡い子でした。オズマリア兵に挑んだ時も捕まっていたランダスおじさまを助けるために父ちゃんを離せ~と。当時5歳の子供がです。ここでカイル様がランダスを離せと言っていたら、きっと何者か徹底的に調べ上げられて、悲惨な運命を辿ることとなったでしょう」
カイルは目を覚ましヴェルンの首に腕を回して抱きつく。
「お前は全てを見て見守ってくれていたんだなヴェルン。お前と離れ離れになって20年か。その間も名を得ることもなくお前は母さんとの約束を果たしてくれていたのだな。感謝する」
「何をおっしゃいます。カイル様が御無事でいてくださり本当に良かった。イーリスのように心を壊さなくて本当に良かった」
「ヴェルン、それはどういうことだ?母さんの身に何かあったと言うのか?」
「カイル様、そうでしたね。カイル様がこちらに来られて、間も無く一年ですか。カイル様がオズマリア帝国領を脱出したあの日、王都では、敵国の王の子を一向に産まずこの日に起きた事件で完全に心を壊したイーリスに対して、1番下の身分。兵士たちの慰み者としての性奴隷処分が降されるはずでした。それに待ったをかけた1人の男が居ます」
「母さんの身ににそんなことが起こっていたなんて、俺はあの時母さんは売女であり売国奴だとそう思っていた。どうなっても構わないと。だが真実を知った今、俺は母さんに今一度逢いたい。母さんを助けてくれた1人の男とは何者なのだ?」
「その男の名もオズモンドと呼ばれています」
「オズモンドだと!?オズモンドが2人????一体どういうことなんだ」
「その話は妾からするのじゃ」
「まっ魔王様!?」
「ようやく名前を貰えたようじゃな。暴食の名もなき鳥王よ」
「えぇ、イーリスの言葉を伝えた私をここまで鍛えてくださり感謝しております魔王様」
「良いのじゃ。では、その話をしてやるからよく聞くのじゃ。今より70年も昔のことなのじゃ。人間国に魔王国と融和を考えた1人の英傑が産まれた。その英傑の名をオズモンドという。成長した彼は1人でこの魔王国にやってきて我が父に捕まった。人間と魔物は仲良くできるという彼の言葉に人間嫌いの父は耳を貸さず殺そうとしたがただ殺すだけではつまらないと考え、彼に一つ恐ろしい提案をした。そこまでいうのならその身に魔を宿せとな。彼はその言葉を受け入れた。妾は同じ考えを持つ彼に興味を持ち、彼と逢瀬を重ねた。彼が帰る時には、1人の子供が産まれる。魔物と人間の間の子じゃ。彼も妾も大層喜んだ。この子はきっと人間と魔物の架け橋になってくれると。だからオズモンド・ピースと名付けた。だが妾は、人間嫌いの父を甘く見ていたのじゃ。産まれた子は、妾と彼の想いとは裏腹に父の強大な負の魔力を持って生まれた。やがて成長した妾の息子は、彼を殺し王の座を席巻。20年前に破竹の勢いで七国を統一した。その事を妾はカイル。お前から聞くまで知らなかったんじゃよ」
魔王の口から語られる衝撃の事実に唖然となる一同。
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