ヴェスパラスト大陸記

揚惇命

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三章　仲間集めの旅

サイクロプスによる襲撃を受ける

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　魔王様の突然の来襲で、裏切り者のシープマンの党首を瞬殺。アラクネを解放し、最強の傭兵土蜘蛛のスパーダを配下に加えることに成功。カイルは、リリスとミューラと共に次なる街へと向かっていた。
「まだつかない？」
「えぇ、もうちょっと頑張ってダーリン」
「坊や。お姉さんが担いであげましょうか」
「ばっ馬鹿にすんじゃねぇ。まだ疲れてなんかねぇ」
「あらあら、無理しなくて良いのよ坊や」
　そこにサイクロプスたちが襲いかかってきた。
「女とイチャイチャしてんじゃねぇよ」
「サイクロプス！」
「お頭、コイツですぜ」
「ほぅ。どうやら当たりを引いたようだ。覚悟」
「脳筋のあんたたちなんか怖くないっての。チャーム」
「何かしたか色欲のリリスよ。我があの御方より賜りし力は、アブノーマルインバリッドよ。どんな状態異常も我らには通用せん」
「そんな、私の得意な魔法が効かないなんて」
「アンタだけじゃなくて私も状態異常が得意だからね。弱ったわね」
「死ね。魔王に仕えし愚鈍な輩よ」
　ガキーン。
「ほぅ、我が一撃を防ぐか。流石、オックスの腕を切り落としたというべきか」
「お前も、その妙な力を持っているということは、オズモンドの手下か」
「オズモンド？誰のことだ。我らが主はあの御方ただ1人ぞ」
　どういうことだ？コイツのこの反応まるでオズモンドでは無いと言ってるようでは無いか。どういうことなんだ？
「それよりシープスのやつとはまだ連絡が取れんのかお前たち」
「ヘイ。この場にて挟撃する手筈となっていたのですが」
　シープス？この名前から察するに魔王に粉砕されたシープマンの名前か。成程、これは利用できそうだな。揺さぶりをかけるか。
「仲間を待ってるようだが来ないということは裏切られたんじゃねぇ？」
「貴様、シープスを愚弄するか。アヤツはそんなやつでは無い。あの御方を一身に信奉する我の相方ぞ」
「お前らの言うあの御方って誰だよ」
「それは、あの御方はあの御方だ」
「何も知らねぇのに信奉とか言えなくね」
「コイツ、あの御方とは」
「そこまでです。サイプス。それ以上、乗せられてどうするのです」
「すまねぇ。ゴーブの兄貴」
「全く、貴方と言う男は厄介な相手ですね」
「お前、どうしたんだ？前と全然、話し方すら違うじゃねぇか」
「新たな力をあの御方より賜りましてね。この知性の冠に変えたことで我が知恵は数万倍に膨れ上がったのですよ。もう、前のようには行きませんよ」
　おいおい何でもありかよ。でも口調まで変わるとかある？なんか好き勝手弄られてそれで良いのかって思うが。
「お前たち、リリスとミューラを足止めなさい。この男さえ殺せれば何も問題はありません」
「はっ」
「サイプス、わかっていますね。あの御方のため。その力で目の前の男を叩き潰すのです」
「勿論だ」
　だが、コイツの力は厄介だ。あの巨体から振り下ろされる棍棒の一撃で地面に穴が空いてるところもある。我ながらよく防げたなと褒めてやりたいのだが。
「へぇ～何やら面白いことやってんじゃねぇの。俺も混ぜてくれや」
「貴方はスパーダ。オックスが雇ったのでしたね。これでこちらの戦力は2倍。さぁ、死になさい人の子よ」
　コイツ、本当に賢くなってんのか？情報ぐらい最新のを取り入れとけよ。今のスパーダは、こっちの味方。その証拠にサイプスって奴が滅多打ちにされてんじゃねぇか。
「ヌグオー。貴様、一体何の真似だ。これだから傭兵風情は信用ならんというのだ」
「何をしているのですスパーダ。敵はこちらではなく、そちらですよ」
「お前ら、さっきから何勘違いしてんだ。俺が傭兵だ？魔王様に忠誠を誓う土蜘蛛のスパーダとは俺のことよ。次はどいつが打ちのめされてぇんだ。さっさとかかって来い。この俺様とやりあえる奴なんてそうそういねぇからなぁ」
「オックスの奴、まさかしくじったか。あの馬鹿者が。ゴホン。冷静にならなくては。サイプス、まだやれますね？」
「あぁ、やられっぱなしで頭に来たぜ。コイツは殺す」
「良いねぇ。最高じゃねぇか。せいぜい楽しませてくれよ」
　サイクロプスが全く相手にならない。それもそのはずスパーダの腕か足か知らんが8本だ。手数が違う。サイプスに打ち身の傷がどんどんと増える。
「我ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ」
「おいおい。シープマンよりも弱いじゃねぇか」
「シープマンだと？貴様、我の相方シープスを殺したのか」
「へぇ、アイツ。シープスって名前だったのか。粉々にしちまったぜ」
「シープスの仇取らせてもらう。貴様は死刑だ」
「おいおい、俺に攻撃も当てられねぇような雑魚が何言ってんだ」
「我の真の力をみよ」
「良いねぇ。キンキラキンじゃねぇか。さぞかし良い音が鳴るんだろうな」
「最早、我には何も効かん。ヌグァ」
「おいおい、少し固くなった程度じゃねぇか。舐めてんのか。オラオラオラ」
「ガハッグベッボキッ」
「これはまずいですね。ここで戦力を失うわけにはいきません。それでは」
　ゴーブがサイプスと共に亜空間へと消え、取り敢えず危機は去ったのだった。

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