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二章 いざ魔王国へ
魅了が解けたエルフの村
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エルミアの魅了魔法を解きその正体がサキュバスだと見破った次の日、アリエルたちも魅了魔法が解けていた。
「そう、ここ最近亡くなったエルミア母さんと暮らしている感覚を不思議に思わなかったわけだ」
「おい、俺を助けてくれたアリエルさんを騙したサキュバス、俺に従うならとっととお前の真名を名乗れ。そうじゃないならもう、アレはやらねぇぞ」
「そんな、連れて行ってくれるって言ったじゃない酷いわルイスちゃん」
「まぁまぁ、ルイス君のお陰で、僕たちも助かったわけなんだからさアリエルが怒るのもわかるけど冷静にね」
「そもそも、エルフの族長を継ぐということは、当代が亡くなった時なのだ。それなのにまるで母がいてるように思い込まされるとは、不覚だ。自分に腹が立つ」
「何かおかしいとは思ってたのだ。でもその違和感に気付かなかったのだ」
「まぁ、メルロスちゃんは、若干魅了耐性持ちだからねぇ。だからこちらも意識を逸らすの大変だったもの」
「お前、反省してないだろ。あーあ、残念だなぁ。俺に協力するって言ったから助けてやろうと思ったんだが、無理ってことなら仕方ねぇな。お前も人間を喰らう魔物なんだろ?処分してやろう」
「待って、待ってってば。サキュバスが真名を明かすってことは、そのあの生涯を共に添い遂げるって事だよ。その覚悟あるの?」
「ねぇな。でもお前に拒否権はねぇんだよ。言わないなら魔物として処分するだけだ」
「酷い酷いわルイスちゃん」
「お前たちが人間の国に攻め込まなければ、じいちゃんもあんな目に遭わずに済んだんだ」
「ちょっと待って、何それ?私たちが人間の国に攻め込んだ?えっどういうこと?魔王様から何も聞いてないんだけど?」
「まるで当事者のようにいうじゃねぇか?関わってんのか?」
「うぅ。もうわかったわよ。名乗れば良いんでしょ名乗れば。私は、魔王軍四天王が1人、魅了のリリス。ルイスちゃんのアレが美味しくなかったら私の方がアンタを消してるんだからね」
「魔王軍四天王だと!?テメェがテメェがじいちゃんを」
「だから落ち着きなさいっての。全く身に覚えないんだって。そりゃ確かに私たちも正気を少しもらったりはするわよ。でも人間は私たちにとって、必要な供給源なのよ。攻め滅ぼすために侵攻なんてしないわよ」
「確かに、妾も魔王が動いたと聞いたことはない。そもそも、この北の勢力圏で魔王軍に関係ないものがあること自体有り得ないからな。この村も魔王様から援助していただいている。だが最近、魔物どもが人間の女を捕らえるケースが増えていた。魔王様は、それに苦慮しておられ妾たち人間に見た目が近いエルフ族に助け出すように厳命していたのだ」
「どっどういうことだ?俺がじいちゃんから聞いた話と全然違う」
「その、辛いことを思い出させてしまか申し訳ないのだがルイス殿が聞いたじいちゃんの言葉とやらを教えてもらえぬか?」
「あっあぁ。俺は真実を知らねばならない。話そう」
ルイスは、自分が産まれる前に突如として魔物が人間の国を襲ったこと。カイルというレインクラウズクリア王国の元皇子であること。5歳の時に受けた心の傷が元で記憶喪失であること。自身を育ててくれたじいちゃんであるルーカスことランダスがそれらを語って聞かせてくれたことを話した。
「酷い酷いよ。同じ人間同士で虐げるなんて」
「その話の中で聞いたオズモンド王とやらが送り込んだ14人の娘については心当たりがある。確かオーク共に捧げられていたはず」
「ひょっとして、オークとオズモンド王が協力関係で、娘を餌に魔物たちを扇動して、各国を襲わせたとは、考えられないかな?」
「リオン、きっとそうよ。流石、妾のダーリン」
「アリエル、ほらルイス君も見てるから」
「はぅ~」
「いえ、それだけで人間の国6国に被害を与えられる兵力が準備できたとは思えないわ。魔王様ですら人間の国を攻めるのに集められる兵力なんて、一国程度よ。本当に魔物だったのかしら?」
「どういうことだ?じいちゃんが嘘を言っていたと言うつもりか?それとも自分の罪から逃げているつもりか?」
「そう興奮しないでよルイスちゃん。でもおかしいと思わないの?そもそも、私は今の話を聞いてオズモンドって男のことをすごく恐ろしいと感じたわ。まるで、各国の王妃を手中に収めるためだけに戦争をしたとさえ思える。しかも、どれも魔王国では名の知られた王たちが圧倒されただけでなく殺されてるわけでしょ。一体、この魔王国に轟いてもいない男にどうしてそんな力が?しかも今聞いた話が本当ならあの壁で、魔王国と人間国の争いが止まるなら開発を止めるつもりはないって言ってた魔王様の行動すら無に喫してしまう。ルイスちゃんの旅に同行してあげるって言ったけど、私と共に魔王様の元に来てもらうわ」
「そうやって、俺を魔王に差し出すつもりだな。そうはいかないぞ」
「ルイスちゃんがどう思っても構わないけど、このままだとそのオズモンドの次の狙いは、この魔王国なのよ。オズモンドが共通の敵である以上、私たちとルイスちゃんで共闘するべきじゃないかしら。オズモンドの人心掌握術・必要とないものは娘まで切り捨てる冷酷さ。少なくとも私は危険視しているわ」
「わかった。だがなんか不穏な行動をしたらお前を殺す」
「えぇ、ルイスちゃんがそれで納得するのなら私を人質に使いなさい」
こうして、俺は魔王の元に向かうこととなる。
「そう、ここ最近亡くなったエルミア母さんと暮らしている感覚を不思議に思わなかったわけだ」
「おい、俺を助けてくれたアリエルさんを騙したサキュバス、俺に従うならとっととお前の真名を名乗れ。そうじゃないならもう、アレはやらねぇぞ」
「そんな、連れて行ってくれるって言ったじゃない酷いわルイスちゃん」
「まぁまぁ、ルイス君のお陰で、僕たちも助かったわけなんだからさアリエルが怒るのもわかるけど冷静にね」
「そもそも、エルフの族長を継ぐということは、当代が亡くなった時なのだ。それなのにまるで母がいてるように思い込まされるとは、不覚だ。自分に腹が立つ」
「何かおかしいとは思ってたのだ。でもその違和感に気付かなかったのだ」
「まぁ、メルロスちゃんは、若干魅了耐性持ちだからねぇ。だからこちらも意識を逸らすの大変だったもの」
「お前、反省してないだろ。あーあ、残念だなぁ。俺に協力するって言ったから助けてやろうと思ったんだが、無理ってことなら仕方ねぇな。お前も人間を喰らう魔物なんだろ?処分してやろう」
「待って、待ってってば。サキュバスが真名を明かすってことは、そのあの生涯を共に添い遂げるって事だよ。その覚悟あるの?」
「ねぇな。でもお前に拒否権はねぇんだよ。言わないなら魔物として処分するだけだ」
「酷い酷いわルイスちゃん」
「お前たちが人間の国に攻め込まなければ、じいちゃんもあんな目に遭わずに済んだんだ」
「ちょっと待って、何それ?私たちが人間の国に攻め込んだ?えっどういうこと?魔王様から何も聞いてないんだけど?」
「まるで当事者のようにいうじゃねぇか?関わってんのか?」
「うぅ。もうわかったわよ。名乗れば良いんでしょ名乗れば。私は、魔王軍四天王が1人、魅了のリリス。ルイスちゃんのアレが美味しくなかったら私の方がアンタを消してるんだからね」
「魔王軍四天王だと!?テメェがテメェがじいちゃんを」
「だから落ち着きなさいっての。全く身に覚えないんだって。そりゃ確かに私たちも正気を少しもらったりはするわよ。でも人間は私たちにとって、必要な供給源なのよ。攻め滅ぼすために侵攻なんてしないわよ」
「確かに、妾も魔王が動いたと聞いたことはない。そもそも、この北の勢力圏で魔王軍に関係ないものがあること自体有り得ないからな。この村も魔王様から援助していただいている。だが最近、魔物どもが人間の女を捕らえるケースが増えていた。魔王様は、それに苦慮しておられ妾たち人間に見た目が近いエルフ族に助け出すように厳命していたのだ」
「どっどういうことだ?俺がじいちゃんから聞いた話と全然違う」
「その、辛いことを思い出させてしまか申し訳ないのだがルイス殿が聞いたじいちゃんの言葉とやらを教えてもらえぬか?」
「あっあぁ。俺は真実を知らねばならない。話そう」
ルイスは、自分が産まれる前に突如として魔物が人間の国を襲ったこと。カイルというレインクラウズクリア王国の元皇子であること。5歳の時に受けた心の傷が元で記憶喪失であること。自身を育ててくれたじいちゃんであるルーカスことランダスがそれらを語って聞かせてくれたことを話した。
「酷い酷いよ。同じ人間同士で虐げるなんて」
「その話の中で聞いたオズモンド王とやらが送り込んだ14人の娘については心当たりがある。確かオーク共に捧げられていたはず」
「ひょっとして、オークとオズモンド王が協力関係で、娘を餌に魔物たちを扇動して、各国を襲わせたとは、考えられないかな?」
「リオン、きっとそうよ。流石、妾のダーリン」
「アリエル、ほらルイス君も見てるから」
「はぅ~」
「いえ、それだけで人間の国6国に被害を与えられる兵力が準備できたとは思えないわ。魔王様ですら人間の国を攻めるのに集められる兵力なんて、一国程度よ。本当に魔物だったのかしら?」
「どういうことだ?じいちゃんが嘘を言っていたと言うつもりか?それとも自分の罪から逃げているつもりか?」
「そう興奮しないでよルイスちゃん。でもおかしいと思わないの?そもそも、私は今の話を聞いてオズモンドって男のことをすごく恐ろしいと感じたわ。まるで、各国の王妃を手中に収めるためだけに戦争をしたとさえ思える。しかも、どれも魔王国では名の知られた王たちが圧倒されただけでなく殺されてるわけでしょ。一体、この魔王国に轟いてもいない男にどうしてそんな力が?しかも今聞いた話が本当ならあの壁で、魔王国と人間国の争いが止まるなら開発を止めるつもりはないって言ってた魔王様の行動すら無に喫してしまう。ルイスちゃんの旅に同行してあげるって言ったけど、私と共に魔王様の元に来てもらうわ」
「そうやって、俺を魔王に差し出すつもりだな。そうはいかないぞ」
「ルイスちゃんがどう思っても構わないけど、このままだとそのオズモンドの次の狙いは、この魔王国なのよ。オズモンドが共通の敵である以上、私たちとルイスちゃんで共闘するべきじゃないかしら。オズモンドの人心掌握術・必要とないものは娘まで切り捨てる冷酷さ。少なくとも私は危険視しているわ」
「わかった。だがなんか不穏な行動をしたらお前を殺す」
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こうして、俺は魔王の元に向かうこととなる。
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