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3章 ヒートマウンテンを攻略せよ!

侵攻に当たって、相談

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 村に戻ると親父の側に年季の入った壮年男性とまだまだ幼い少年が居た。

「おー。トモカズ、お前のこと待っとったんじゃ」

「ということは親父も女神の言葉を?」

「おー。聞いた聞いた。次は何や雪原のビーストタウンを攻略せよって話やったな?」

「あぁ」

「そのことをモノノフから聞いてな。こうして、トモのことを待っていた。俺のことは知っているな?」

「勿論、弓兵隊の指揮をとってくれた狩人の人ですよね?」

「そうか。どうやらモノノフから聞いた通り、前までのお前ではないのだな。なら改めて名乗るとしよう。俺の名前は、アペリオだ。記憶の共有者といえば、わかるか?」

「その説明で十分だ。親父が世話になっている」

「フッ。気にするな。こちらも滅ぶ運命の村だったところをトモとモノノフに救ってもらったのだ。その仲間となれて、光栄だ。話は変わるが、リザードマンの奴らがこの村を攻めてこなかった。そして、モノノフから武装解除という指示を受けてな。トモ、お前が言っていた女神云々の話は、何なのだ?」

「アペリオのおっちゃん、その前に僕にも名前を名乗らせてよ」

「そうだったな。すまん」

「トモにぃちゃんは、僕の名前も知らないんだよな?改めて、名乗らせてもらうぜ。僕の名前は、チルダだい」

「良し、では自己紹介も済んだところで、先ほどの話の続きだが」

「アぺリオのおっちゃん、そんなあっさり流すなよ~」

「いや、皆んなも気になっているのだろう。俺と親父は、どうやら女神に選ばれたこの世界に遣わされた救世主らしい。この村にリザードマンが襲ってくることも王都エインヘリヤルにゴブリンが襲ってくることも啓示を受けた。そして、今回新たに受けた啓示がスノーフィールドにあるビーストタウンの制圧と魔王四天王が1人、ライオウの討ち取りだ」

 皆の反応は、概ね覚悟していたのだろう。
 そのことについては、何も言わない。
 この場で1人だけライオウと聞いて、ペコラがガクガクと震えていた。
 俺は、その肩を抱き寄せる。

「僕ちゃん」

「心配するな。お前のことは俺が守ってやる。だから、震えるな」

「ありがとう。私、アイツだけは許せない。でも、それと同じぐらいアイツと関わって、僕ちゃんに何かあったらと思うともっと怖くなって」

「大丈夫だ。俺は、居なくならない。今までだってそうだったろ」

「うん。そうだよね」

 俺とペコラのやり取りにルナが問いかける。

「今ので、だいたいわかったけど。ペコラさんにとってもそのライオウって奴は因縁の相手って事だよね?」

「僕ちゃんとナイアちゃんは、知ってるんだけど。皆んなはまだ知らなかったよね。私、アイツの奴隷だったの。両親の店を盾に取られて、男と寝て金を得る。その挙げ句、ガイルに売られた哀れな女が私。だからセックスなんて、気持ちいいものじゃなくて、気持ち悪いものだった。僕ちゃんと出会うまでね。僕ちゃんに本当に愛されるセックスの気持ちよさを教えてもらったのよ」

 ペコラの前半の話こそ、聞いていた面々も沈痛な面持ちになったが後半の惚気を聞いて、呆れていた。
 主に俺に対して。

「最後のは、惚気だね。でも、そんな相手の元に攻め込むに当たって、ペコラさんは、後方支援に回るべきじゃないかな。身の安全のことを考えたら」

「いや。その必要はない。ライオウを倒すのは簡単だ」

 俺の言葉に全員にクエスチョンマークが浮かんでいた。

「ライオウは脳筋だ。厄介なのは、取り巻きの3人だ。その3人をいつものやり方で調略する」

 言葉を続けた俺の言葉に納得したのは、ルナだ。

「成程、ということは、女なんだね。その取り巻きは」

「あぁ。ライオウにとって不幸なことにな」

「そりゃ災難だね。目の前で寝取られた僕なら気持ちがよくわかるよ」

「それとライオウを完全に潰すにあたって、ライオウが嫌がる相手をもう1人利用しようと考えている。魔王四天王の紅一点、ラミアのビビアンだ」

 俺の言葉に最も驚いたのは、リザードマンのナイアだった。

「ビビアン様は、ヒートマウンテンから一度も外に出ることがないと聞きます。まさか、御主人様は、ヒートマウンテンまで攻略するつもりなのですか?」

「あぁ。ついでに攻略して、調略する」

「僕ちゃんの性欲は、どうなってんだろうね」

「どうせならこれを使った方が早いからそうするだけだ。節操がないみたいに言うな」

「はいはい。そういうことにしておいてあげるよ。ホント、色々悩んでたのが馬鹿みたい。もう、ライオウなんて怖くない(父さん・母さん、ようやく仇を討てるよ)」

「ゴホン。トモカズがどうしたいかは、よくわかった。ワシはいつも通り拠点防衛に務めよう」

「それならうちが拠点防衛のお手伝いするだっちゃ」

 親父の言葉にミミッキュが手伝いを申し出た。

「せっかく皆んなを受け入れてもらえるっちゃ。それぐらい、するだっちゃ」

「では、頼むとしようかの」

 こうして、親父は村の防衛、俺が侵攻軍を指揮することとなった。
 そして、ミミッキュが言ってた通り、7人の幼女が村に加わった。

「なぁ、ミミッキュ。何で、宝箱の姿じゃないんだ?」

「これがうちらの本当の姿だっちゃ!」

「えっ?ミミックなんだよな?」

「そうだっちゃ。あっ、そういうことだっちゃね。ダーリン、うちらの種族の名前、知らないだっちゃね?」

「ミミックに種族なんてあるのか?物質系か?」

「違うだっちゃ!うちらは、真似するのが大好きなモンタージュ族だっちゃ。宝箱に化けてる状態がミミックだっちゃよ」

「何ですと!?」

 ということは、この娘たちは合法ロリなのか!?

「ダーリン、いやらしい目で妹たちを見ないで欲しいだっちゃ」

「すまん」

 ミミッキュたちがモンタージュ族という、物真似が大好きな種族だったということが判明して、トモカズは、ヒートマウンテンに巣食う四天王が1人、ラミアのビビアンの調略に向かうのだった。
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