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2章 ゴブリン共の脅威から防衛せよ!
急を要する
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エイン砦からゴブリンが撤退したのを見届けた俺は、この場をポールさんに任せて、ここから王都までの距離は遠くないので、ミミッキュにキラリを預けて、防衛を任せることにした。
「行くのか?」
「ゴブリンがここを狙ったって事は、王都の中で何か問題が起こっているのは間違いないかと」
「俄には信じられんが。思い当たることはあるのだ。実はな。王都に向かった兵からの定時連絡が途絶えている。その後、すぐにゴブリンと戦闘になったので確認の兵を送ることはできなかったが。待て、だとしたらリーシア様が危ないのでは?」
「あっ」
「あっじゃないだろう!そのことに思い至っていながら王都にリーシア様を向かわせるなど何を考えているのだ」
「すみません」
「全く。トモ殿は、城の中が危険だと考えているのだな?」
「城の中というか。宰相を務めるルカが怪しいと考えています」
「そうか。宰相が魔物に国を売るとは考えられん。根っからの魔物嫌いだからな。あっ」
「突然、どうしたんですポールさん?」
「そのことをリーシア様は知ってるか?」
「あっ!」
「知ってるのだな。はぁ。厄介なことになった。リーシア様は、あれで結構お転婆なのだ。今頃、乗り込んでおられるかもしれん」
リーシアも知ってるから軽率な行動はしないだろうって考えてたけど自分で解決しようとして、乗り込む可能性もあったのか。
俺としたことが完全な人選ミスだ。
でも、あの状況で、非戦闘員を王都に無事に送り届けられるのは、リーシアを置いて他にいなかった。
本当にそうか?
ミミッキュにマネコの魔法で、リーシアに化けてもらって送り届けることもできたのでは?
こうしちゃいられない。
「ミミッキュ、キラリを預けるからここでゴブリンの動きを監視!ナイアとペコラは、王都近くの野営地で待機!ステラは俺と一緒にリーシアの救出に向かう」
「ダーリンのためだっちゃ。うちに任せるだっちゃ」
「コーン」
「ごめんなキラリ。急を要するからメイメイには任せられないんだ。ゴブリンから皆んなを守ってやってくれ、できるよな?」
「コンコーン」
「ヨーシヨシヨシ。キラリ、偉いぞ」
「うちもダーリンに頭撫でられたいだっちゃ」
「何でだよ!というか宝箱に戻らなくて良いのか?」
「うちは、こっちが真の姿だっちゃ」
「ん?ミミックって宝箱だろ?」
「うちがミミックだっちゃ。でも宝箱の姿ではないだっちゃ。あくまで宝箱に化けてるだけだっちゃ」
「そうだったのか。ごめんな。ほら、これで良いか」
俺はミミッキュの頭に手を添えて、子供をあやすようにポンポンとしてやる。
だってミミッキュって見た目幼女だもんな。
こうやって、子供あやすみたいな感じで対応して良いよな?
最近、世間ではキモいとか言われるって聞いたけど。
「うわーい、ダーリンに頭撫でられて勇気百倍だっちゃ」
うん。
問題なかったみたいだ。
「ここは任せる」
「任せるだっちゃ」
「これがテイマーの力か。トモ殿からお預かりしたミミッキュ殿とキラリ殿は、無事に返すとお約束しよう。こちらの心配まで、重ね重ね感謝致す。リーシア様のことを頼みましたぞ」
「はい。そっちは任せてください」
俺たちは出発して、王都近くの野営地でメイメイとナイアとペコラと一時的に別れる。
「ナイアにペコラ。そしてメイメイ。いつも外で待機させてすまない。一刻も早く、皆んなが中に入れるようにするから、今は我慢してくれ」
「御主人様、お気になさらず。メイメイとペコラとここで御主人様の帰りをお待ちしております」
「僕ちゃん、リーシアちゃんのことは頼んだよ」
「クゥーン」
俺の妻は、どうしてみんなできた奴らばかりなんだ。
俺は抱きしめて、それぞれと交互にキスを交わし、メイメイはわしゃわしゃしてやる。
「んぐっ♡御主人様ぁ♡そんなことされたら欲しくなっちゃいます♡」
「んぐっ♡僕ちゃん、そういうところだよ。全く」
「クゥ~~ン」
「続きは、帰ってきてからな」
俺はそう言って、ステラと共に王都の中へと入って行った。
「おっ坊主か。リーシア様から伝言を伝えてくれと頼まれて待ってたんだ。『こっちのことは私に任せてくださいですわ』ってどういう意味だ?」
「リーシアの馬鹿!何、1人で無茶しようとしてんだ」
「それどういう意味だ坊主?」
「ライルさんは、王都が不穏なことには勘づいてるよな?」
「おぅ。よく、俺が不穏に感じてるってわかったな。顔に出てたか?」
「いや、そんな気がしただけだ。ただのカマかけだよ」
「そうか。で、その新しく連れてる女は魔物か?人間か?」
「宗教国家ブッラの聖職者で、名をステラ・ハートと申します。トモ様の女です」
「あっ。はぁ。いやぁ。坊主の性欲は凄いな。リーシア様に、リザードマンに獣人ときて、聖職者ときたか。羨ましすぎだろ!おい!」
「なんか、モテるんだから仕方ないだろ!」
「わかったわかった。そんなに怒んなよ。ほら、とっとと通りな。リーシア様に危険が迫ってんだろ。頼んだぜ。チンマー」
「何だよそれ?」
「女をすけこますチンチンとテイマーをかけてみた」
「ふざけんなよ!リーシアを助けたら覚えてろよ!」
「はいはい。とっとと行けチンマー」
「クソー」
通って城に向かうトモカズの背を見送って、ライルは呟く。
「これでも期待してんだぜトモ」
「行くのか?」
「ゴブリンがここを狙ったって事は、王都の中で何か問題が起こっているのは間違いないかと」
「俄には信じられんが。思い当たることはあるのだ。実はな。王都に向かった兵からの定時連絡が途絶えている。その後、すぐにゴブリンと戦闘になったので確認の兵を送ることはできなかったが。待て、だとしたらリーシア様が危ないのでは?」
「あっ」
「あっじゃないだろう!そのことに思い至っていながら王都にリーシア様を向かわせるなど何を考えているのだ」
「すみません」
「全く。トモ殿は、城の中が危険だと考えているのだな?」
「城の中というか。宰相を務めるルカが怪しいと考えています」
「そうか。宰相が魔物に国を売るとは考えられん。根っからの魔物嫌いだからな。あっ」
「突然、どうしたんですポールさん?」
「そのことをリーシア様は知ってるか?」
「あっ!」
「知ってるのだな。はぁ。厄介なことになった。リーシア様は、あれで結構お転婆なのだ。今頃、乗り込んでおられるかもしれん」
リーシアも知ってるから軽率な行動はしないだろうって考えてたけど自分で解決しようとして、乗り込む可能性もあったのか。
俺としたことが完全な人選ミスだ。
でも、あの状況で、非戦闘員を王都に無事に送り届けられるのは、リーシアを置いて他にいなかった。
本当にそうか?
ミミッキュにマネコの魔法で、リーシアに化けてもらって送り届けることもできたのでは?
こうしちゃいられない。
「ミミッキュ、キラリを預けるからここでゴブリンの動きを監視!ナイアとペコラは、王都近くの野営地で待機!ステラは俺と一緒にリーシアの救出に向かう」
「ダーリンのためだっちゃ。うちに任せるだっちゃ」
「コーン」
「ごめんなキラリ。急を要するからメイメイには任せられないんだ。ゴブリンから皆んなを守ってやってくれ、できるよな?」
「コンコーン」
「ヨーシヨシヨシ。キラリ、偉いぞ」
「うちもダーリンに頭撫でられたいだっちゃ」
「何でだよ!というか宝箱に戻らなくて良いのか?」
「うちは、こっちが真の姿だっちゃ」
「ん?ミミックって宝箱だろ?」
「うちがミミックだっちゃ。でも宝箱の姿ではないだっちゃ。あくまで宝箱に化けてるだけだっちゃ」
「そうだったのか。ごめんな。ほら、これで良いか」
俺はミミッキュの頭に手を添えて、子供をあやすようにポンポンとしてやる。
だってミミッキュって見た目幼女だもんな。
こうやって、子供あやすみたいな感じで対応して良いよな?
最近、世間ではキモいとか言われるって聞いたけど。
「うわーい、ダーリンに頭撫でられて勇気百倍だっちゃ」
うん。
問題なかったみたいだ。
「ここは任せる」
「任せるだっちゃ」
「これがテイマーの力か。トモ殿からお預かりしたミミッキュ殿とキラリ殿は、無事に返すとお約束しよう。こちらの心配まで、重ね重ね感謝致す。リーシア様のことを頼みましたぞ」
「はい。そっちは任せてください」
俺たちは出発して、王都近くの野営地でメイメイとナイアとペコラと一時的に別れる。
「ナイアにペコラ。そしてメイメイ。いつも外で待機させてすまない。一刻も早く、皆んなが中に入れるようにするから、今は我慢してくれ」
「御主人様、お気になさらず。メイメイとペコラとここで御主人様の帰りをお待ちしております」
「僕ちゃん、リーシアちゃんのことは頼んだよ」
「クゥーン」
俺の妻は、どうしてみんなできた奴らばかりなんだ。
俺は抱きしめて、それぞれと交互にキスを交わし、メイメイはわしゃわしゃしてやる。
「んぐっ♡御主人様ぁ♡そんなことされたら欲しくなっちゃいます♡」
「んぐっ♡僕ちゃん、そういうところだよ。全く」
「クゥ~~ン」
「続きは、帰ってきてからな」
俺はそう言って、ステラと共に王都の中へと入って行った。
「おっ坊主か。リーシア様から伝言を伝えてくれと頼まれて待ってたんだ。『こっちのことは私に任せてくださいですわ』ってどういう意味だ?」
「リーシアの馬鹿!何、1人で無茶しようとしてんだ」
「それどういう意味だ坊主?」
「ライルさんは、王都が不穏なことには勘づいてるよな?」
「おぅ。よく、俺が不穏に感じてるってわかったな。顔に出てたか?」
「いや、そんな気がしただけだ。ただのカマかけだよ」
「そうか。で、その新しく連れてる女は魔物か?人間か?」
「宗教国家ブッラの聖職者で、名をステラ・ハートと申します。トモ様の女です」
「あっ。はぁ。いやぁ。坊主の性欲は凄いな。リーシア様に、リザードマンに獣人ときて、聖職者ときたか。羨ましすぎだろ!おい!」
「なんか、モテるんだから仕方ないだろ!」
「わかったわかった。そんなに怒んなよ。ほら、とっとと通りな。リーシア様に危険が迫ってんだろ。頼んだぜ。チンマー」
「何だよそれ?」
「女をすけこますチンチンとテイマーをかけてみた」
「ふざけんなよ!リーシアを助けたら覚えてろよ!」
「はいはい。とっとと行けチンマー」
「クソー」
通って城に向かうトモカズの背を見送って、ライルは呟く。
「これでも期待してんだぜトモ」
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