転生したらオープニングで滅ぼされる村の子供?でした➖現代知識とゲーム知識とエッチな知識を駆使して生き残りたいと思います➖

揚惇命

文字の大きさ
上 下
55 / 142
2章 ゴブリン共の脅威から防衛せよ!

旅の司祭ステラ・ハート

しおりを挟む
 私の名前はステラ・ハートと申します。

 私の出身地であるブッラの大聖堂にある金色に輝く女神像からは、女神様のお告げが聞こえることがあるそうで、私はブッラのシスター教会に所属していることもあり、毎日礼拝に訪れています。

 今日も礼拝をしていたのです。

『シスターステラ、私の声が聞こえますか?』

 えっ?

 今、何処かから声が聞こえました。

 でも国民の皆様に開放される礼拝の時間はまだ先です。

 一体誰でしょうか?

『シスターステラ、聞こえますか?聞こえたら返事を』

「はい」

『聞こえているようですね。これは女神のお告げです。すぐに北西にあるエイン砦に向かいなさい。魔物の軍勢が向かっています。多くの罪なき民を助けるのです。それがシスターの務め』

「そんな。女神様の声が聞こえるだなんて。あのその神秘的な声じゃなくて、色っぽい声をしていらっしゃるのですね?」

『私は隣人を愛する愛の女神ですから』

「成程、理解しました。このステラ・ハートがお役に立てるのなら女神様のお告げに従います。あのこれ以降の連絡手段はどうすれば宜しいのでしょうか?」

『この天然娘が。とっとと行きなさいっての』

「あの何かおっしゃられましたでしょうか?」

『いえ、何でもありません。そうですね。では、こうしましょう。貴方がいつも持ち歩いている木彫りの女神像を通して、必要なら新たなお告げをします』

「女神様は何でも御存知なのですね。でも、これはそのあの私が夜こっそりと1人でするためのアレでして、木彫りの女神像だなんて大層なものでは、まさかアレも見られているのでしょうか?すみませんすみません。神に仕える身でありながら我慢できなかったんです」

『チッ。大丈夫ですよ。女性も溜まりますからね。そのような事で、私は見放したりしませんよ。あの、そろそろ向かってもらえると助かるのですが』

「あっ私ったらすみませんすみません。女神様と話せたのが嬉しくて、このステラ・ハートにお任せください。エイン砦の皆様はお救いします」

『お願いしますね』

 こうして、ステラ・ハートが旅立ったのを見て、金色に輝く女神像の中から女神のフリをしていたフードを被った妖艶な女性が現れる。

---------------

 はぁ。

 演出とは言え、女神像の中に入るのは疲れるわね。

 でもこれでステラの闇堕ちの布石は打てたかしら。

 その後のことは、リードに任せるとしましょう。

 あんな勇者なんかのために私が死ぬ運命よりも勇者を闇堕ちさせて、魔王様に仕える道を選択したんだもの。

 だって魔王様があんなに小さくて小さくて可愛いだなんて~。

 あぁ小さくて可愛い魔王様~。

 可愛い魔王様のためにお姉ちゃんがまだまだ暗躍させてもらうわ。

 この魔族として生まれ変わったサキュバスの力を使ってね。

 ウフフ、ごめんなさいねステラ。

 でも貴方もきっと魔族の身体を気にいると思うわ。

 さて、次は人間の商人に化けて、王都エインヘリヤルを混乱に陥れないと。

 ある時は女神様のフリ、ある時は商人のフリをしているこの女性こそが魔王に魂を売り渡した勇者の幼馴染の女の子であり、その中身はトモカズと同じくこの世界とは別の世界の転生者である。

 おねショタが大好物な女性で、引き篭もってダクドラばかりをしていた超絶やり込みプレイヤーでもある。

 この世界に転生してすぐに勇者の村を襲いに来た小さくて、子供にしか見えない魔王様を見て、勇者をあっさり売り渡し、魔王様の女となり、魔族のサキュバスとなるのを全く躊躇わないぐらい好みの男性に甘々なのである。

 それと並行して、目的のためなら躊躇いのなさも持ち合わせていて、まだ完全に闇堕ちの完成していない勇者を闇の衣という精神を少しづつ黒く染め上げる玉の中に閉じ込めて、自身はせっせと勇者パーティの女性たちを闇堕ちさせる準備を進めているのである。

 あぁん。

 それにしても2Dじゃなくて3Dは良いわ~。

 魔王様が実はあんなにちっちゃくて可愛いだなんて~。

 お姉ちゃんが守ってあげなくちゃ~。

 騙されているとは知らずステラは、女神様と話せたことにウキウキとしながらエイン砦へと向かったのである。

----------------

 はわわ~。

 女神様と話しちゃいました~。

 あんなに色っぽい声をしているだなんて~。

 それに私がやってる不浄なことも許してくださいました。

 女神様のお告げのためにエイン砦をお救いしないとですね。

 ステラ・ハート、頑張っちゃいます。

 意気込んでいたステラだったがエイン砦に着いて間も無く捕まっていた。

「はわわ~不審者じゃないのです。この砦に危険が迫っていると女神様が」

「そのような諫言で、我が砦の兵士を誑かす貴様こそ危険人物である」

 職務に忠実で、頭が固くて、全身鎧をキッチリと着込んで、ステラを詰問しているのがエイン砦の砦長である。

「そんな~。私はブッラの宗教教会所属のシスターなんです。これ、これを見てください」

 ステラが取り出したのは、身分を証明するものではなくて、最近この世界でも普及し始めていた避妊具、簡単に言うとコンドームである。

「お前は何がしたいのだ?いつからシスターは、こういうことに寛容になったのだ?破廉恥め。やはり信用ならん。閉じ込めておくのだ」

「はっ」

 2人の兵士が砦長の言葉で、ステラの両脇を抱えて、牢屋へと向かう。

「待ってください~。女神様がここに危険が訪れるって~言ってたんです~」

「煩い煩い煩い。ただでさえ、最近活発化してきた魔物共に頭を悩ませているところにそのような諫言で、兵士たちを不安がらせよって、見たところ人間であるから殺さず拘束するということに感謝せよ」

「でもでも私は~」

「えぇい、とっとと連れていけ!」

 ステラ・ハートは、超が付くほどの天然でドジっ子だった。

 急いでいたとしてもどう間違ったら教会手帳とコンドームを間違えるのか。

 まぁどっちも一応四角ではあるが。

 いや間違えるわけがない。

 しかし、それをやってのけて仕舞えるのがステラ・ハートという人物なのである。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜

EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」 優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。 傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。 そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。 次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。 最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。 しかし、運命がそれを許さない。 一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか? ※他サイトにも掲載中

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【BL】どうやら精霊術師として召喚されたようですが5分でクビになりましたので、最高級クラスの精霊獣と駆け落ちしようと思います。

riy
BL
風呂でまったりしている時に突如異世界へ召喚された千颯(ちはや)。 召喚されたのはいいが、本物の聖女が現れたからもう必要ないと5分も経たない内にお役御免になってしまう。 しかも元の世界へも帰れず、あろう事か風呂のお湯で流されてしまった魔法陣を描ける人物を探して直せと無茶振りされる始末。 別邸へと通されたのはいいが、いかにも出そうな趣のありすぎる館であまりの待遇の悪さに愕然とする。 そんな時に一匹のホワイトタイガーが現れ? 最高級クラスの精霊獣(人型にもなれる)×精霊術師(本人は凡人だと思ってる) ※コメディよりのラブコメ。時にシリアス。

悪役令嬢はバッドエンド回避で自由になり平穏に生きるはずだったのに、なぜこんなに求婚が!?

花草青依
恋愛
タイトル通りのギャグ短編小説/画像はChatGPT

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

錬金術師として召喚されたけど、錬成対象が食べ物限定だったので王宮を追い出されました。

茜カナコ
ファンタジー
キッチンカーでクレープ屋を営んでいた川崎あおいは、ある日異世界に召喚された。 錬金術師として扱われたが、錬成対象が食べ物だけだったため、王宮を追い出されたあおい。 あおいは、町外れの一軒家で、クレープ屋を始めることにした。

異世界で俺だけレベルが上がらない! だけど努力したら最強になれるらしいです?

澤檸檬
ファンタジー
旧題 努力=結果  異世界の神の勝手によって異世界に転移することになった倉野。  実際に異世界で確認した常識と自分に与えられた能力が全く違うことに少しずつ気付く。  異世界の住人はレベルアップによってステータスが上がっていくようだったが、倉野にだけレベルが存在せず、行動を繰り返すことによってスキルを習得するシステムが採用されていた。  そのスキル習得システムと異世界の常識の差が倉野を最強の人間へと押し上げていく。  だが、倉野はその能力を活かして英雄になろうだとか、悪用しようだとかそういった上昇志向を見せるわけでもなく、第二の人生と割り切ってファンタジーな世界を旅することにした。  最強を隠して異世界を巡る倉野。各地での出会いと別れ、冒険と楽しみ。元居た世界にはない刺激が倉野の第二の人生を彩っていく。

処理中です...