54 / 142
2章 ゴブリン共の脅威から防衛せよ!
前回の反省点
しおりを挟む
トモカズが目を覚ますとそこは見慣れた家だった。
「おぅ。起きたかトモカズ?」
「親父、ごめんしくじった」
「謝ることはない。前回と同様こちらもゴブリンの群れになすすべが無かったってことは無いからよ」
「親父、ゴブリンの群れに対処できたのか?」
「まぁな。アイツら見た目鬼だが小さいだろう。だから深い穴を掘って、枝の上に草を乗せてその上に土を乗せて、罠とわからないように同化させたわけよ。すると最初の一陣は、穴に落ちて這い上がれる様子は無かった。まぁ多勢に無勢で結果負けはしたがな。前回よりは進歩できたわけよ」
「流石だな。こっちは全然ダメだ。王都が目の前で無惨にゴブリンに食い尽くされるのを見ていることしかできなかった」
「そうか。それは辛かったな。でもトモカズよ。進歩したな。前のお前なら耐えきれずに命断ってたろう」
「ナイアにもペコラにも親父にも悲しい思いさせたからな。もうあんなことはしないよ」
「そうか。まぁ俺の方はこんな感じだ。次は、トモカズの方の話を聞かせてくれるか?反省会して、お互い今回に活かすようにな」
「あぁ、そうだな」
俺は親父にできるだけわかりやすく起こった事を話した。
「成程な。薄々リザードマンの嬢ちゃんと獣人の嬢ちゃんにメイメイとキラリが先だったから、イレギュラーがあったことは、察していたが」
ん?
メイメイとキラリが先?
どういう事だ?
確か女神様の話では、俺と親父にだけ勇者の力が適用されているんだよな。
待てよ。
そうか勇者の力ってことは、パーティー認識されている者も共に教会で生き返る。
成程な。
支配印で縛られているからかと思ってたけど、勇者パーティという認識か。
そして、そのパーティにメイメイとキラリも加わったと。
これは朗報だな。
メイメイやキラリが俺のことを忘れて暴れ狂う未来は取り敢えずはないって事だ。
「お前が怪訝な顔を浮かべるのも無理はない。ワシの方でもな。2人ほど覚えている人間がいた。1人は子供達を束ねる少年でまだ幼いからな。ショックを受けていたが、今は立ち直って、子供達と共に落とし穴を改良しようとしている。もう1人は、ヤンキー青年の親父さんだ。目の前で奥さんがゴブリンに犯される光景を見て、取り乱していたがこんな想いを抱えるのが妻ではなくて、良かったと共に新たな防衛設備について、話し合っている」
「成程、親父のパーティって事だな」
「ガハハ。まだ少年とワシとワシに近い男性の3人パーティじゃがな。村のことは安心せい。三人寄れば文殊の知恵と言うじゃろ」
「確かにな。そっちは心配しなくて良さそうだ」
「うむ。任せておけ。それよりもじゃ。そのゴブリンの肉鎧?という女性が問題じゃな」
「あぁ、そうなんだよな。その場で、平然と次から次へとゴブリンを産み落としていた。かつての勇者パーティの1人なんだけどな」
「そりゃプレイヤーのトモカズとしては、相当ショックだろうな」
「ショックを通り越したね。まぁ頭から血ダラダラ流してて、死ぬ間際に聞いた声でしか気付けないほど姿形が変わってたんだけどな」
「身体は真っ黒で、お腹からお前とは違う紋様があって、現代で言うところの黒ギャルになってたわけだな?」
「あぁ、何というか全く真逆で、合ってない感じがしたな。元々のステラは、青い修道服を纏って、透き通るような色白の女性で、手に錫杖と教本を持ち、青い編笠で日差しから白い肌を守って、旅をしている」
「それがどうして、ゴブリンの女になったかじゃな」
「まぁ、ステラの出身は、王都エインヘリヤルから南西部に位置する宗教国家、ブッラだからこの辺りに居たのはそんなにおかしくはないんだけどな」
「南西部ってことは、この村から反対側じゃな」
「あぁ。この村は、王都から最も遠い東に位置しているからな」
ちょっと待てよ。
あの数のゴブリンの進軍にこの村が気付いてないって事は、こっち側からゴブリンが現れたわけじゃない。
ということは、西側って事だ。
で、異常に真っ先に気付かないと行けない砦があったはずだ。
勇者が魔王を倒しに城に乗り込み、追い詰められた魔王が王都に魔物の大群を送り込むイベントの時に、命からがら王都に魔物の襲来を知らせた兵士がいた砦が。
何だったかな。
ここまで出かかっているんだけど。
そうだ、エイン砦だ!
王都の西側の玄関口である砦で、魔物の大群を前に善戦虚しく落ちる砦。
どうして、あんな使命感の塊みたいな兵士が王都に知らせを寄越せないのか。
それはゴブリンが早くからこの砦を占拠したって事にならないか?
アイツらは男は皆殺し、興味があるのは苗床になる人間の女だけだ。
砦には、給仕係の女性が何人かいたはずだ。
その中にステラが居たということはないか?
いや、旅の僧侶が砦に立ち寄る理由があるか?
休むならこの辺りに点在する村に行き、一晩止めてもらった方が快適だろう。
あくまで可能性の範囲だ。
だが引っかかる。
こういう直感は大事にするべきだ。
「親父、可能性の話なんだが。王都の西に位置する玄関口の砦がゴブリンに早くから占拠されていたとしたらどうなる?」
「まぁ、攻める上で、砦と城同士の連携を防ぐという点に置いても間違いではない。だが、そうなるとお前の言うリードというゴブリンの長は、相当な策士だぞ」
「あぁ。そうなんだよ。リードは、策士なんだ」
思い出した。
中盤で戦うことになる魔王軍幹部のリードは、話せることを示唆するテキストはないが。
リードの任されている洞窟の至る所には、罠が張り巡らされている。
踏むと足板が外れて、棘の罠を踏みダメージを受ける床、ワイヤーに引っかかると矢が飛び出してくる装置、迂闊に壁を触ると瘴気が吹き出して、MPを持ってかれるなんてものもあったな。
とにかく搦手が得意な魔王軍幹部がリードだ。
リードなら人間が1番嫌がる手を早々に打って、力を蓄えていてもおかしくない。
1週間で王都に攻め寄せる大軍ができたのだ。
多くの女性が関わっているか。
ステラのようにゴブリンにとって、孕み袋として、相性の良かった相手が居たかのどちらかだ。
「なら決まりじゃな。トモカズ、お前は先ずエイン砦の様子を見てくるのだ。もう落ちてるなら。早急に対策を練り、落ちてないなら事情を話して女だけでも王都へ流すのが良いじゃろう」
「あぁ。それが最善だ。親父、また村を留守にするけど頼んだ」
「おぅ。まかせておけ」
こうして俺は、エイン砦に打開策を見出し、向かうのだった。
「おぅ。起きたかトモカズ?」
「親父、ごめんしくじった」
「謝ることはない。前回と同様こちらもゴブリンの群れになすすべが無かったってことは無いからよ」
「親父、ゴブリンの群れに対処できたのか?」
「まぁな。アイツら見た目鬼だが小さいだろう。だから深い穴を掘って、枝の上に草を乗せてその上に土を乗せて、罠とわからないように同化させたわけよ。すると最初の一陣は、穴に落ちて這い上がれる様子は無かった。まぁ多勢に無勢で結果負けはしたがな。前回よりは進歩できたわけよ」
「流石だな。こっちは全然ダメだ。王都が目の前で無惨にゴブリンに食い尽くされるのを見ていることしかできなかった」
「そうか。それは辛かったな。でもトモカズよ。進歩したな。前のお前なら耐えきれずに命断ってたろう」
「ナイアにもペコラにも親父にも悲しい思いさせたからな。もうあんなことはしないよ」
「そうか。まぁ俺の方はこんな感じだ。次は、トモカズの方の話を聞かせてくれるか?反省会して、お互い今回に活かすようにな」
「あぁ、そうだな」
俺は親父にできるだけわかりやすく起こった事を話した。
「成程な。薄々リザードマンの嬢ちゃんと獣人の嬢ちゃんにメイメイとキラリが先だったから、イレギュラーがあったことは、察していたが」
ん?
メイメイとキラリが先?
どういう事だ?
確か女神様の話では、俺と親父にだけ勇者の力が適用されているんだよな。
待てよ。
そうか勇者の力ってことは、パーティー認識されている者も共に教会で生き返る。
成程な。
支配印で縛られているからかと思ってたけど、勇者パーティという認識か。
そして、そのパーティにメイメイとキラリも加わったと。
これは朗報だな。
メイメイやキラリが俺のことを忘れて暴れ狂う未来は取り敢えずはないって事だ。
「お前が怪訝な顔を浮かべるのも無理はない。ワシの方でもな。2人ほど覚えている人間がいた。1人は子供達を束ねる少年でまだ幼いからな。ショックを受けていたが、今は立ち直って、子供達と共に落とし穴を改良しようとしている。もう1人は、ヤンキー青年の親父さんだ。目の前で奥さんがゴブリンに犯される光景を見て、取り乱していたがこんな想いを抱えるのが妻ではなくて、良かったと共に新たな防衛設備について、話し合っている」
「成程、親父のパーティって事だな」
「ガハハ。まだ少年とワシとワシに近い男性の3人パーティじゃがな。村のことは安心せい。三人寄れば文殊の知恵と言うじゃろ」
「確かにな。そっちは心配しなくて良さそうだ」
「うむ。任せておけ。それよりもじゃ。そのゴブリンの肉鎧?という女性が問題じゃな」
「あぁ、そうなんだよな。その場で、平然と次から次へとゴブリンを産み落としていた。かつての勇者パーティの1人なんだけどな」
「そりゃプレイヤーのトモカズとしては、相当ショックだろうな」
「ショックを通り越したね。まぁ頭から血ダラダラ流してて、死ぬ間際に聞いた声でしか気付けないほど姿形が変わってたんだけどな」
「身体は真っ黒で、お腹からお前とは違う紋様があって、現代で言うところの黒ギャルになってたわけだな?」
「あぁ、何というか全く真逆で、合ってない感じがしたな。元々のステラは、青い修道服を纏って、透き通るような色白の女性で、手に錫杖と教本を持ち、青い編笠で日差しから白い肌を守って、旅をしている」
「それがどうして、ゴブリンの女になったかじゃな」
「まぁ、ステラの出身は、王都エインヘリヤルから南西部に位置する宗教国家、ブッラだからこの辺りに居たのはそんなにおかしくはないんだけどな」
「南西部ってことは、この村から反対側じゃな」
「あぁ。この村は、王都から最も遠い東に位置しているからな」
ちょっと待てよ。
あの数のゴブリンの進軍にこの村が気付いてないって事は、こっち側からゴブリンが現れたわけじゃない。
ということは、西側って事だ。
で、異常に真っ先に気付かないと行けない砦があったはずだ。
勇者が魔王を倒しに城に乗り込み、追い詰められた魔王が王都に魔物の大群を送り込むイベントの時に、命からがら王都に魔物の襲来を知らせた兵士がいた砦が。
何だったかな。
ここまで出かかっているんだけど。
そうだ、エイン砦だ!
王都の西側の玄関口である砦で、魔物の大群を前に善戦虚しく落ちる砦。
どうして、あんな使命感の塊みたいな兵士が王都に知らせを寄越せないのか。
それはゴブリンが早くからこの砦を占拠したって事にならないか?
アイツらは男は皆殺し、興味があるのは苗床になる人間の女だけだ。
砦には、給仕係の女性が何人かいたはずだ。
その中にステラが居たということはないか?
いや、旅の僧侶が砦に立ち寄る理由があるか?
休むならこの辺りに点在する村に行き、一晩止めてもらった方が快適だろう。
あくまで可能性の範囲だ。
だが引っかかる。
こういう直感は大事にするべきだ。
「親父、可能性の話なんだが。王都の西に位置する玄関口の砦がゴブリンに早くから占拠されていたとしたらどうなる?」
「まぁ、攻める上で、砦と城同士の連携を防ぐという点に置いても間違いではない。だが、そうなるとお前の言うリードというゴブリンの長は、相当な策士だぞ」
「あぁ。そうなんだよ。リードは、策士なんだ」
思い出した。
中盤で戦うことになる魔王軍幹部のリードは、話せることを示唆するテキストはないが。
リードの任されている洞窟の至る所には、罠が張り巡らされている。
踏むと足板が外れて、棘の罠を踏みダメージを受ける床、ワイヤーに引っかかると矢が飛び出してくる装置、迂闊に壁を触ると瘴気が吹き出して、MPを持ってかれるなんてものもあったな。
とにかく搦手が得意な魔王軍幹部がリードだ。
リードなら人間が1番嫌がる手を早々に打って、力を蓄えていてもおかしくない。
1週間で王都に攻め寄せる大軍ができたのだ。
多くの女性が関わっているか。
ステラのようにゴブリンにとって、孕み袋として、相性の良かった相手が居たかのどちらかだ。
「なら決まりじゃな。トモカズ、お前は先ずエイン砦の様子を見てくるのだ。もう落ちてるなら。早急に対策を練り、落ちてないなら事情を話して女だけでも王都へ流すのが良いじゃろう」
「あぁ。それが最善だ。親父、また村を留守にするけど頼んだ」
「おぅ。まかせておけ」
こうして俺は、エイン砦に打開策を見出し、向かうのだった。
1
お気に入りに追加
43
あなたにおすすめの小説
【BL】どうやら精霊術師として召喚されたようですが5分でクビになりましたので、最高級クラスの精霊獣と駆け落ちしようと思います。
riy
BL
風呂でまったりしている時に突如異世界へ召喚された千颯(ちはや)。
召喚されたのはいいが、本物の聖女が現れたからもう必要ないと5分も経たない内にお役御免になってしまう。
しかも元の世界へも帰れず、あろう事か風呂のお湯で流されてしまった魔法陣を描ける人物を探して直せと無茶振りされる始末。
別邸へと通されたのはいいが、いかにも出そうな趣のありすぎる館であまりの待遇の悪さに愕然とする。
そんな時に一匹のホワイトタイガーが現れ?
最高級クラスの精霊獣(人型にもなれる)×精霊術師(本人は凡人だと思ってる)
※コメディよりのラブコメ。時にシリアス。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界へ五人の落ち人~聖女候補とされてしまいます~
かずきりり
ファンタジー
望んで異世界へと来たわけではない。
望んで召喚などしたわけでもない。
ただ、落ちただけ。
異世界から落ちて来た落ち人。
それは人知を超えた神力を体内に宿し、神からの「贈り人」とされる。
望まれていないけれど、偶々手に入る力を国は欲する。
だからこそ、より強い力を持つ者に聖女という称号を渡すわけだけれど……
中に男が混じっている!?
帰りたいと、それだけを望む者も居る。
護衛騎士という名の監視もつけられて……
でも、私はもう大切な人は作らない。
どうせ、無くしてしまうのだから。
異世界に落ちた五人。
五人が五人共、色々な思わくもあり……
だけれど、私はただ流れに流され……

義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話
よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。
「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる