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2章 ゴブリン共の脅威から防衛せよ!

前回の反省点

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 トモカズが目を覚ますとそこは見慣れた家だった。

「おぅ。起きたかトモカズ?」

「親父、ごめんしくじった」

「謝ることはない。前回と同様こちらもゴブリンの群れになすすべが無かったってことは無いからよ」

「親父、ゴブリンの群れに対処できたのか?」

「まぁな。アイツら見た目鬼だが小さいだろう。だから深い穴を掘って、枝の上に草を乗せてその上に土を乗せて、罠とわからないように同化させたわけよ。すると最初の一陣は、穴に落ちて這い上がれる様子は無かった。まぁ多勢に無勢で結果負けはしたがな。前回よりは進歩できたわけよ」

「流石だな。こっちは全然ダメだ。王都が目の前で無惨にゴブリンに食い尽くされるのを見ていることしかできなかった」

「そうか。それは辛かったな。でもトモカズよ。進歩したな。前のお前なら耐えきれずに命断ってたろう」

「ナイアにもペコラにも親父にも悲しい思いさせたからな。もうあんなことはしないよ」

「そうか。まぁ俺の方はこんな感じだ。次は、トモカズの方の話を聞かせてくれるか?反省会して、お互い今回に活かすようにな」

「あぁ、そうだな」

 俺は親父にできるだけわかりやすく起こった事を話した。

「成程な。薄々リザードマンの嬢ちゃんと獣人の嬢ちゃんにメイメイとキラリが先だったから、イレギュラーがあったことは、察していたが」

 ん?

 メイメイとキラリが先?

 どういう事だ?

 確か女神様の話では、俺と親父にだけ勇者の力が適用されているんだよな。

 待てよ。

 そうか勇者の力ってことは、パーティー認識されている者も共に教会で生き返る。

 成程な。

 支配印で縛られているからかと思ってたけど、勇者パーティという認識か。

 そして、そのパーティにメイメイとキラリも加わったと。

 これは朗報だな。

 メイメイやキラリが俺のことを忘れて暴れ狂う未来は取り敢えずはないって事だ。

「お前が怪訝な顔を浮かべるのも無理はない。ワシの方でもな。2人ほど覚えている人間がいた。1人は子供達を束ねる少年でまだ幼いからな。ショックを受けていたが、今は立ち直って、子供達と共に落とし穴を改良しようとしている。もう1人は、ヤンキー青年の親父さんだ。目の前で奥さんがゴブリンに犯される光景を見て、取り乱していたがこんな想いを抱えるのが妻ではなくて、良かったと共に新たな防衛設備について、話し合っている」

「成程、親父のパーティって事だな」

「ガハハ。まだ少年とワシとワシに近い男性の3人パーティじゃがな。村のことは安心せい。三人寄れば文殊の知恵と言うじゃろ」

「確かにな。そっちは心配しなくて良さそうだ」

「うむ。任せておけ。それよりもじゃ。そのゴブリンの肉鎧?という女性が問題じゃな」

「あぁ、そうなんだよな。その場で、平然と次から次へとゴブリンを産み落としていた。かつての勇者パーティの1人なんだけどな」

「そりゃプレイヤーのトモカズとしては、相当ショックだろうな」

「ショックを通り越したね。まぁ頭から血ダラダラ流してて、死ぬ間際に聞いた声でしか気付けないほど姿形が変わってたんだけどな」

「身体は真っ黒で、お腹からお前とは違う紋様があって、現代で言うところの黒ギャルになってたわけだな?」

「あぁ、何というか全く真逆で、合ってない感じがしたな。元々のステラは、青い修道服を纏って、透き通るような色白の女性で、手に錫杖と教本を持ち、青い編笠で日差しから白い肌を守って、旅をしている」

「それがどうして、ゴブリンの女になったかじゃな」

「まぁ、ステラの出身は、王都エインヘリヤルから南西部に位置する宗教国家、ブッラだからこの辺りに居たのはそんなにおかしくはないんだけどな」

「南西部ってことは、この村から反対側じゃな」

「あぁ。この村は、王都から最も遠い東に位置しているからな」

 ちょっと待てよ。

 あの数のゴブリンの進軍にこの村が気付いてないって事は、こっち側からゴブリンが現れたわけじゃない。

 ということは、西側って事だ。

 で、異常に真っ先に気付かないと行けない砦があったはずだ。

 勇者が魔王を倒しに城に乗り込み、追い詰められた魔王が王都に魔物の大群を送り込むイベントの時に、命からがら王都に魔物の襲来を知らせた兵士がいた砦が。

 何だったかな。

 ここまで出かかっているんだけど。

 そうだ、エイン砦だ!

 王都の西側の玄関口である砦で、魔物の大群を前に善戦虚しく落ちる砦。

 どうして、あんな使命感の塊みたいな兵士が王都に知らせを寄越せないのか。

 それはゴブリンが早くからこの砦を占拠したって事にならないか?

 アイツらは男は皆殺し、興味があるのは苗床になる人間の女だけだ。

 砦には、給仕係の女性が何人かいたはずだ。

 その中にステラが居たということはないか?

 いや、旅の僧侶が砦に立ち寄る理由があるか?

 休むならこの辺りに点在する村に行き、一晩止めてもらった方が快適だろう。

 あくまで可能性の範囲だ。

 だが引っかかる。

 こういう直感は大事にするべきだ。

「親父、可能性の話なんだが。王都の西に位置する玄関口の砦がゴブリンに早くから占拠されていたとしたらどうなる?」

「まぁ、攻める上で、砦と城同士の連携を防ぐという点に置いても間違いではない。だが、そうなるとお前の言うリードというゴブリンの長は、相当な策士だぞ」

「あぁ。そうなんだよ。リードは、策士なんだ」

 思い出した。

 中盤で戦うことになる魔王軍幹部のリードは、話せることを示唆するテキストはないが。

 リードの任されている洞窟の至る所には、罠が張り巡らされている。

 踏むと足板が外れて、棘の罠を踏みダメージを受ける床、ワイヤーに引っかかると矢が飛び出してくる装置、迂闊に壁を触ると瘴気が吹き出して、MPを持ってかれるなんてものもあったな。

 とにかく搦手が得意な魔王軍幹部がリードだ。

 リードなら人間が1番嫌がる手を早々に打って、力を蓄えていてもおかしくない。

 1週間で王都に攻め寄せる大軍ができたのだ。

 多くの女性が関わっているか。

 ステラのようにゴブリンにとって、孕み袋として、相性の良かった相手が居たかのどちらかだ。

「なら決まりじゃな。トモカズ、お前は先ずエイン砦の様子を見てくるのだ。もう落ちてるなら。早急に対策を練り、落ちてないなら事情を話して女だけでも王都へ流すのが良いじゃろう」

「あぁ。それが最善だ。親父、また村を留守にするけど頼んだ」

「おぅ。まかせておけ」

 こうして俺は、エイン砦に打開策を見出し、向かうのだった。
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