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2章 ゴブリン共の脅威から防衛せよ!
消えた商人
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ルカの言葉を聞いたトモカズとリーシアは、城下町に向かった。
トモカズにはルカの言葉に思い当たる人物が1人いた。
そうトゥルー草を買った女商人だ。
しかし、彼女が魔物の手先なら1つ腑に落ちないことがある。
そう、何故トゥルー草を渡してくれたのか。
「ここなのですかトモカズ様?」
「そうだったはず」
「どういうことですの?」
「まるで狸か狐に化かされた気分だ」
「トモカズ様、狸も狐も化かしませんわ。襲ってきますのよ」
「そうなんだね。ごめんごめん」
そうだったこの世界で狸と言えば、フレイムラクーンという身体に炎を纏った獰猛な魔獣で、火山の駆逐屋として有名だ。
そして狐と言えば、雪原の殺戮者ことスノーフォックスのことを指す。
どちらも凶暴で、俺が連れてるシャーベットフォックスは、スノーフォックスの幼児個体ゆえ、その可愛さから雪原の殺戮者として威厳が無いだけであり、俺と出会っていなければどうなっていたかは想像に難くない。
しかし、本当に何も無くなっている。
まるで何かに引き寄せられるように、話しかけた女店主どころか露店から商品棚に至るまで、全ての痕跡が跡形もなく消え、そこには壁があるだけだった。
「すみません。お聞きしたいのですが今時間宜しいでしょうか?」
俺は近くにいた商人の男性に話しかけた。
「おぅ坊主、その歳で女連れとはマセてやがんな。時間があるかだと?客じゃねぇ奴の相手をしてる時間って事ならねぇな」
「それもそうですわね。では、こちらの商品を買わせて頂きますので、少しお時間を頂いても宜しいかしら?」
「おぅ。こっちの坊主と違い、連れのネェちゃんはわかってんじゃねぇか。ヒールポーションのお買い上げで100Gっと。で、聞きたいことってなんだ?」
リーシアが商人の男性にヒールポーションの値段100Gを支払うとこっちに聞き返してきた。
「ここで、商いをしていた女商人が何処に行ったか知らないか?」
「ん?何言ってんだ坊主?ここで露店を構えて商いをしているのは、俺だけのはずだが」
「それは本当か!?」
「あっあぁ。俺が知る限り、ここで商いをしているのは俺だけだ」
「じゃあ、朝ここであった女商人は一体何者なんだ」
「坊主、何言ってんだ?朝、ここには誰もいねぇよ。居たら俺が気付く。なんていっても今日も朝からここで商いしてたからな。間違いねぇよ。魔法使いにでも化かされたんじゃねぇか」
「魔法使いか」
模倣の魔法を使える人間で俺が知ってるのは、勇者が住む街に住んでいる勇者の幼馴染の女の子で、勇者の身代わりとなって、魔王軍に殺される。
この世界では、魔王に勇者を差し出して、共に魔王の配下となったって女神様が言ってたよな。
まさかな。
--------------
王都エインヘリヤルを見渡せる山の上で、もう間近に迫っているゴブリンを見ているフードを深く被って顔を隠し、眠たそうに欠伸をしている女性。
ふわぁ~。
久々に魔法の魔法、ミミクリーを使って人間として過ごしていたからかしら、すごく眠たいわ。
あの小鬼リードの援護は、これぐらいで良いかしら。
あんなのでも一応魔王様の幹部の1人ですからね。
それに、この国の人間は、隅々まで死んでもらわないと。
もっともっと私の勇者様に黒く染まってもらうためにね。
さて、女を苗床にして壊すことしかできない酷い匂いがする小鬼と鉢合わせする前に帰るとしましょうか。
それにしても、クスクス。
魔王様に力を与えられた私の魅了の魔法にかからないなんて、あの坊やには興味ができたわ。
メガパニにかかったお父さんのために薬を求めるなんて、なんて、なんて、愛らしいのかしら~♡
私専属のペットにして、その人間らしくて、尊い家族愛をぶち壊してあげたかったのに~♡
まぁ、今回はサービスよん。
恩を売っておいた方がまた会えるもの。
その時までに、もっと強力な魅了の魔法を覚えないとね。
あぁん♡
待っててね~坊や。
私が必ずペットにしてあげるから~♡
---------------
王都エインヘリヤル近くにある防衛砦にて、魔王によって、幹部に任命されるにあたり、ゴブリードと名付けられたリードというゴブリンの姿があった。
「ゴフッ。このことを一刻も早く王様に御報告せねば、我が身がどうなろうとも」
「ギギギギギギ、まだ生きてる人間が居たか。俺の部下は、手際が悪くてかなわん。おい、ここで働いてた女共は何処だ?」
「誰が貴様如き卑しい小鬼に話すか。ゴホッ」
「話すか話さないかなんて関係ねぇな。答えろって言ってるんだからよ」
「俺たち人間を舐めるな。魔族に話す奴なぞ、このエイン砦には誰もおらんわ」
ブチブチブチと上半身と下半身を力任せに引きちぎる。
「ギイャァァァァァォァァァァァ」
「あーあ。話さねぇから壊しちまった。まぁ良いか。女を探せ!もっともっと増やせ!」
やがて、地下に匿われていた給仕を担当していた女性たち10名が見つかる。
「ギギギギギギ、おいお前ら、好きな女に群がれ、種を仕込め!子を産ませろ!増やして増やして増やしまくって、5日後には王都を攻め滅ぼすぞ」
「キキィ」
王都近くの砦がゴブリンに占拠されたことをまだ誰も知らない。
トモカズにはルカの言葉に思い当たる人物が1人いた。
そうトゥルー草を買った女商人だ。
しかし、彼女が魔物の手先なら1つ腑に落ちないことがある。
そう、何故トゥルー草を渡してくれたのか。
「ここなのですかトモカズ様?」
「そうだったはず」
「どういうことですの?」
「まるで狸か狐に化かされた気分だ」
「トモカズ様、狸も狐も化かしませんわ。襲ってきますのよ」
「そうなんだね。ごめんごめん」
そうだったこの世界で狸と言えば、フレイムラクーンという身体に炎を纏った獰猛な魔獣で、火山の駆逐屋として有名だ。
そして狐と言えば、雪原の殺戮者ことスノーフォックスのことを指す。
どちらも凶暴で、俺が連れてるシャーベットフォックスは、スノーフォックスの幼児個体ゆえ、その可愛さから雪原の殺戮者として威厳が無いだけであり、俺と出会っていなければどうなっていたかは想像に難くない。
しかし、本当に何も無くなっている。
まるで何かに引き寄せられるように、話しかけた女店主どころか露店から商品棚に至るまで、全ての痕跡が跡形もなく消え、そこには壁があるだけだった。
「すみません。お聞きしたいのですが今時間宜しいでしょうか?」
俺は近くにいた商人の男性に話しかけた。
「おぅ坊主、その歳で女連れとはマセてやがんな。時間があるかだと?客じゃねぇ奴の相手をしてる時間って事ならねぇな」
「それもそうですわね。では、こちらの商品を買わせて頂きますので、少しお時間を頂いても宜しいかしら?」
「おぅ。こっちの坊主と違い、連れのネェちゃんはわかってんじゃねぇか。ヒールポーションのお買い上げで100Gっと。で、聞きたいことってなんだ?」
リーシアが商人の男性にヒールポーションの値段100Gを支払うとこっちに聞き返してきた。
「ここで、商いをしていた女商人が何処に行ったか知らないか?」
「ん?何言ってんだ坊主?ここで露店を構えて商いをしているのは、俺だけのはずだが」
「それは本当か!?」
「あっあぁ。俺が知る限り、ここで商いをしているのは俺だけだ」
「じゃあ、朝ここであった女商人は一体何者なんだ」
「坊主、何言ってんだ?朝、ここには誰もいねぇよ。居たら俺が気付く。なんていっても今日も朝からここで商いしてたからな。間違いねぇよ。魔法使いにでも化かされたんじゃねぇか」
「魔法使いか」
模倣の魔法を使える人間で俺が知ってるのは、勇者が住む街に住んでいる勇者の幼馴染の女の子で、勇者の身代わりとなって、魔王軍に殺される。
この世界では、魔王に勇者を差し出して、共に魔王の配下となったって女神様が言ってたよな。
まさかな。
--------------
王都エインヘリヤルを見渡せる山の上で、もう間近に迫っているゴブリンを見ているフードを深く被って顔を隠し、眠たそうに欠伸をしている女性。
ふわぁ~。
久々に魔法の魔法、ミミクリーを使って人間として過ごしていたからかしら、すごく眠たいわ。
あの小鬼リードの援護は、これぐらいで良いかしら。
あんなのでも一応魔王様の幹部の1人ですからね。
それに、この国の人間は、隅々まで死んでもらわないと。
もっともっと私の勇者様に黒く染まってもらうためにね。
さて、女を苗床にして壊すことしかできない酷い匂いがする小鬼と鉢合わせする前に帰るとしましょうか。
それにしても、クスクス。
魔王様に力を与えられた私の魅了の魔法にかからないなんて、あの坊やには興味ができたわ。
メガパニにかかったお父さんのために薬を求めるなんて、なんて、なんて、愛らしいのかしら~♡
私専属のペットにして、その人間らしくて、尊い家族愛をぶち壊してあげたかったのに~♡
まぁ、今回はサービスよん。
恩を売っておいた方がまた会えるもの。
その時までに、もっと強力な魅了の魔法を覚えないとね。
あぁん♡
待っててね~坊や。
私が必ずペットにしてあげるから~♡
---------------
王都エインヘリヤル近くにある防衛砦にて、魔王によって、幹部に任命されるにあたり、ゴブリードと名付けられたリードというゴブリンの姿があった。
「ゴフッ。このことを一刻も早く王様に御報告せねば、我が身がどうなろうとも」
「ギギギギギギ、まだ生きてる人間が居たか。俺の部下は、手際が悪くてかなわん。おい、ここで働いてた女共は何処だ?」
「誰が貴様如き卑しい小鬼に話すか。ゴホッ」
「話すか話さないかなんて関係ねぇな。答えろって言ってるんだからよ」
「俺たち人間を舐めるな。魔族に話す奴なぞ、このエイン砦には誰もおらんわ」
ブチブチブチと上半身と下半身を力任せに引きちぎる。
「ギイャァァァァァォァァァァァ」
「あーあ。話さねぇから壊しちまった。まぁ良いか。女を探せ!もっともっと増やせ!」
やがて、地下に匿われていた給仕を担当していた女性たち10名が見つかる。
「ギギギギギギ、おいお前ら、好きな女に群がれ、種を仕込め!子を産ませろ!増やして増やして増やしまくって、5日後には王都を攻め滅ぼすぞ」
「キキィ」
王都近くの砦がゴブリンに占拠されたことをまだ誰も知らない。
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