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1章 死亡フラグを回避せよ
死亡フラグは砕けない
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王都エインヘリヤル。
城下町と城が一体となった超大型都市である。
城下町の至る所に神秘の水が流れ、中央にはそのすべての水が交差する水溜まりがある。
それを生活用水として、利用している。
それだけでなく、水車を利用した自家発電により、電気が使えるのだ。
水と電気、生活には必要不可欠な物である。
俺の村とは全然違う。
水は川まで汲みに行き。
電気がないため、オイルランプを利用している。
洒落たように言ったが長めの蝋に火をつけ、火が消えないようにガラスで蓋をするだけだ。
このように夜でも決して消えない電球があるわけではない。
暗闇が続くと人の気持ちを暗くさせる。
俺はスタスタと王城へと向かい王様と謁見した。
「よく来た。えーっと誰であったかな?」
「王よ。デストラク村のトモです。何度も申し上げたはずですが」
大臣が王に耳打ちしているが声が大きくてダダ漏れだ。
「ゴホン。よく来たなトモ。してモノノフの武器は何処じゃ?」
「一市民に勿体なき御言葉。これにございます」
俺は、片膝をついて、王に一振りの剣を差し出す。
王はそれを受け取りマジマジと見て、言う。
「まさしく、刀匠モノノフの剣だ。無茶な要求をよくぞ果たしてくれた。感謝するぞ」
「はっ。師匠も喜ぶでしょう」
「うむ。では、トモよ。大義であった」
「はっ。失礼致します」
えっ?
これだけ?
道中、魔物に襲われないか冷や冷やして届けたのに、宿を取っておいたぞ的なものも無し。
勇者なら泊まっていけというのに地方の人間に対しては所詮この程度の扱いか。
俺はこの帰り道、リザードマンの砦を見つけて、背中を撃たれるんだよな。
だが残念だったな。ナイアは俺の女になり、リザードマンの砦の場所も知ってる。
通らなければフラグを踏むことはないのだ。
念の為、1日宿屋で泊まって、帰ることにする。
「宿屋にようこそ。夜まで休憩ですか?それとも一泊していきますか?」
「一泊で頼む」
「かしこまりました。金貨10枚になります」
金貨1枚で日本円にして、だいたい4千円~5千円の価値だ。
金貨10枚ということは4万円~5万円になる。
まぁ王都の宿屋ともなれば少し割高かもしれないが仕方ない。
勿論、この世界の宿屋に三食飯付きみたいなのはない。
俺は払って、眠りにつく。
「よくお休みでしたね、またの起こしをお待ちしております」
宿屋の人に見送られて、俺は村への帰路に着く。
勿論、リザードマンの砦付近を通ることはない。
安全に村へと辿り着くはずだった。
だが現実はそんなに甘くない。
俺は今追われている。
誰にって?
リザードマンの部隊にだ。
「アイツは何処に行った?」
「探せ!この辺りに書かれているはずだ」
どうしてこうなった?
単純な話だリザードマンだって、哨戒活動をする。
その網に偶々引っかかったのだ。
本当にこの身体の持ち主はとことん運が悪いようだ。
前を見てなかった俺は何かにぶつかってコケた。
「イッテェだろ!」
「これはすまない。逃げた人間の子供を探していたのでな。ん?貴様!者共、ここだここにおるぞ」
「しまった」
背を向けた瞬間、俺は槍に貫かれた。
背中に猛烈な痛みが走る。
それは直ぐに胸を貫通していることに気付く。
ハハハ。
死亡フラグは砕けないってか。
俺がこの世界に転生して1週間目のことだった。
死にゆく意識の中、最後に聞こえた言葉は。
「このまま村に攻め込み、1人残らず殺すのだ」
そう命令する俺を貫いた一際大きなリザードマンだった。
------------------
御主人様、私やりましたよ。
変幻自在の玉を見つけました。
今戻りますから待っててください。
御主人様の村を目指す私の目に飛び込んだのは、リザガイル様が御主人様を槍で貫く姿でした。
私は、双剣を握りしめ、リザガイル様に襲いかかります。
「くっ何者だ!お前はナイア、最近姿が見えなくて心配していたのだぞ。その姿は!?貴様、女であったか!」
「えぇ、リザガイル様。私は貴方が貫いた私の大事な人の手によって、女にしてもらいました。私の大事な人に何をした!許さない許さない許さない。貴様は私が必ず殺す!」
「ほぉ。腕をあげたようだが所詮はその程度の力で我に挑むか。片腹痛いわ」
ですが私とリザガイル様との力の差が違いすぎました。
私の力は確かに上がっていました。
理由はわかっています。
御主人様と交わったからです。
あの時、同時に力が溢れるのも感じたのです。
それでも、リザガイル様には及びませんでした。
私は腹部を抑えながら倒れている私の愛しい御主人様の側に這って行き、その手を掴みました。
御主人様の敵も取れず申し訳ありません。
私はやはり非力な女でした。
大事な人、1人すら守れません。
消え行く意識の中、この記憶だけは、別の世界線の私に引き継ぐべく祈ります。
願わくば別の世界線の私が御主人様と添い遂げられることを。
------------------
ここは何処だ?
ワシは確かに死んだはずじゃ。
息子の死で絶望したワシは一気に老け込んだ。
そして、生きていく気力を失い睡眠薬を多量摂取して自殺を測ったのじゃ。
だが、気が付けば、得体の知れない世界で、姿は少し変わっているが見ま違うはずがない。
そこには、確かにワシの大事な息子が寝ていた。
これが世でいう異世界転生というやつかの。
それなら、この世界で息子と生き抜けと神様がワシにチャンスをくださったのじゃな。
そうと決まれば、頑張らねばな。
城下町と城が一体となった超大型都市である。
城下町の至る所に神秘の水が流れ、中央にはそのすべての水が交差する水溜まりがある。
それを生活用水として、利用している。
それだけでなく、水車を利用した自家発電により、電気が使えるのだ。
水と電気、生活には必要不可欠な物である。
俺の村とは全然違う。
水は川まで汲みに行き。
電気がないため、オイルランプを利用している。
洒落たように言ったが長めの蝋に火をつけ、火が消えないようにガラスで蓋をするだけだ。
このように夜でも決して消えない電球があるわけではない。
暗闇が続くと人の気持ちを暗くさせる。
俺はスタスタと王城へと向かい王様と謁見した。
「よく来た。えーっと誰であったかな?」
「王よ。デストラク村のトモです。何度も申し上げたはずですが」
大臣が王に耳打ちしているが声が大きくてダダ漏れだ。
「ゴホン。よく来たなトモ。してモノノフの武器は何処じゃ?」
「一市民に勿体なき御言葉。これにございます」
俺は、片膝をついて、王に一振りの剣を差し出す。
王はそれを受け取りマジマジと見て、言う。
「まさしく、刀匠モノノフの剣だ。無茶な要求をよくぞ果たしてくれた。感謝するぞ」
「はっ。師匠も喜ぶでしょう」
「うむ。では、トモよ。大義であった」
「はっ。失礼致します」
えっ?
これだけ?
道中、魔物に襲われないか冷や冷やして届けたのに、宿を取っておいたぞ的なものも無し。
勇者なら泊まっていけというのに地方の人間に対しては所詮この程度の扱いか。
俺はこの帰り道、リザードマンの砦を見つけて、背中を撃たれるんだよな。
だが残念だったな。ナイアは俺の女になり、リザードマンの砦の場所も知ってる。
通らなければフラグを踏むことはないのだ。
念の為、1日宿屋で泊まって、帰ることにする。
「宿屋にようこそ。夜まで休憩ですか?それとも一泊していきますか?」
「一泊で頼む」
「かしこまりました。金貨10枚になります」
金貨1枚で日本円にして、だいたい4千円~5千円の価値だ。
金貨10枚ということは4万円~5万円になる。
まぁ王都の宿屋ともなれば少し割高かもしれないが仕方ない。
勿論、この世界の宿屋に三食飯付きみたいなのはない。
俺は払って、眠りにつく。
「よくお休みでしたね、またの起こしをお待ちしております」
宿屋の人に見送られて、俺は村への帰路に着く。
勿論、リザードマンの砦付近を通ることはない。
安全に村へと辿り着くはずだった。
だが現実はそんなに甘くない。
俺は今追われている。
誰にって?
リザードマンの部隊にだ。
「アイツは何処に行った?」
「探せ!この辺りに書かれているはずだ」
どうしてこうなった?
単純な話だリザードマンだって、哨戒活動をする。
その網に偶々引っかかったのだ。
本当にこの身体の持ち主はとことん運が悪いようだ。
前を見てなかった俺は何かにぶつかってコケた。
「イッテェだろ!」
「これはすまない。逃げた人間の子供を探していたのでな。ん?貴様!者共、ここだここにおるぞ」
「しまった」
背を向けた瞬間、俺は槍に貫かれた。
背中に猛烈な痛みが走る。
それは直ぐに胸を貫通していることに気付く。
ハハハ。
死亡フラグは砕けないってか。
俺がこの世界に転生して1週間目のことだった。
死にゆく意識の中、最後に聞こえた言葉は。
「このまま村に攻め込み、1人残らず殺すのだ」
そう命令する俺を貫いた一際大きなリザードマンだった。
------------------
御主人様、私やりましたよ。
変幻自在の玉を見つけました。
今戻りますから待っててください。
御主人様の村を目指す私の目に飛び込んだのは、リザガイル様が御主人様を槍で貫く姿でした。
私は、双剣を握りしめ、リザガイル様に襲いかかります。
「くっ何者だ!お前はナイア、最近姿が見えなくて心配していたのだぞ。その姿は!?貴様、女であったか!」
「えぇ、リザガイル様。私は貴方が貫いた私の大事な人の手によって、女にしてもらいました。私の大事な人に何をした!許さない許さない許さない。貴様は私が必ず殺す!」
「ほぉ。腕をあげたようだが所詮はその程度の力で我に挑むか。片腹痛いわ」
ですが私とリザガイル様との力の差が違いすぎました。
私の力は確かに上がっていました。
理由はわかっています。
御主人様と交わったからです。
あの時、同時に力が溢れるのも感じたのです。
それでも、リザガイル様には及びませんでした。
私は腹部を抑えながら倒れている私の愛しい御主人様の側に這って行き、その手を掴みました。
御主人様の敵も取れず申し訳ありません。
私はやはり非力な女でした。
大事な人、1人すら守れません。
消え行く意識の中、この記憶だけは、別の世界線の私に引き継ぐべく祈ります。
願わくば別の世界線の私が御主人様と添い遂げられることを。
------------------
ここは何処だ?
ワシは確かに死んだはずじゃ。
息子の死で絶望したワシは一気に老け込んだ。
そして、生きていく気力を失い睡眠薬を多量摂取して自殺を測ったのじゃ。
だが、気が付けば、得体の知れない世界で、姿は少し変わっているが見ま違うはずがない。
そこには、確かにワシの大事な息子が寝ていた。
これが世でいう異世界転生というやつかの。
それなら、この世界で息子と生き抜けと神様がワシにチャンスをくださったのじゃな。
そうと決まれば、頑張らねばな。
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