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1章 死亡フラグを回避せよ
死なないための作戦を考えよう
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ぼーっとしていた俺に拳骨が飛んでくる。
「イッテェーー」
「ちゃんと聞いてないからだトモ」
「ごめん親方。ちょっと最近の記憶が無くて、どうしたらいいのかわからないんだ」
「親方なんて呼んでねぇだろお前。でも記憶をな。そうか、突然だったもんな。わかった。俺もあんまり気にしてやれなかったからな。自己紹介からするか。俺は武器屋兼鍛冶屋のモノノフだ。人は俺のことを天才武器職人なんて呼ぶ」
モノノフ!?
モノノフと言えば、ダクドラにおける勇者のみが装備できる伝説の武器である天夜叉の剣を作ったとされる伝説の武器職人!
ゲームが始まってからずっと故人だったからその存在を語られるのはゲームの終盤、勇者が訪れることになる王都エインヘリヤルで聞くことになる。
とするとここはエインヘリヤルの近くにある廃墟となった村なのか!?
だとすると俺が死ぬのは確実だ。
魔王はまさか勇者の剣を作るモノノフを殺すためだけにこの村を滅ぼしたというのか?
いや、あり得る。
魔王とて自分を倒す武器を作る人間を放置しているとは思えない。
だが既に完成していて、それは王都エインヘリヤルを訪れる勇者にその存在が明かされるのだ。
その武器を王都に届けたのがこの身体の持ち主ってことか?
いや、待て、王都エインヘリヤルに天夜叉の剣は存在しない。
あれがあったのは、確かこの村の中だ。
その存在についてはエインヘリヤルで聞けるが実際、暗号みたいなメモを頼りに見つけることになる。
モノノフの家のちょうど裏手側の地面を調べると出てくるのだ。
だとしたら俺が届けるのは王都エインヘリヤルの守備兵が使う武器ってことか?
「おーいトモ」
「はっ。すみません。俺はいつもどう呼んでたんですか?」
「そりゃモノノフ先生よ」
「成程、モノノフ先生」
「ハッハッハ。本当に記憶がないみたいだな。モノノフさんと普通に呼んでいたさ」
「だ、騙したんですか?」
「人聞き悪いこと言うんじゃねぇよ。ちょっとからかっただけだろうが」
ガシガシと頭を撫でられる。その手は大きく、俺のと比べても2倍はありそうだった。
「ったく。仕方ねぇな。お前の仕事は、俺の作った武器を道具屋のポンチョが作ってくれた鞘に直す。防具は、この布で拭いてピカピカにする。そういうことだ。理解できたか?」
「はい。モノノフさん」
「よし、じゃあ、頼んだぜ。俺は頼まれた分の武器を作らなきゃならねぇからな。防具は専門外だからよ届いてる分を拭いてくれるだけでいい。拭く時間がないとか抜かす怠け者が作った防具だけどな。ガハハ」
「ははっ」
俺は黙々と武器を鞘に納め、防具を拭いた。
「トモ、随分手際が良いじゃねぇか。昨日よりもな。本当に初めてか?」
「どうやら身体が覚えてるみたいで」
「そうか。家はわかるか?といっても、弟や妹は王都の孤児院に預けられてるんだったな。すまねぇな。流石に子供3人も引き取れなくてよ」
「いえ、あの僕はいつももらった賃金をどのようにして弟や妹に?」
「それは、定期的にお前に教えに来てくれる神父に渡してたな。宜しくお願いしますってな」
「わかりました」
ということは今は弟や妹に関しては気にする必要はないってことか。
で、仕送りみたいな感じで孤児院を運営している教会の神父に渡してたと。
そこまで自分で言った後に疑問が浮かぶ。
王都の神父がわざわざお金を受け取るためだけに村に来るだろうか?
何かおかしい気がするのは俺だけか?
まぁ、今はどうやったら自分が死なないかの方が大事だからこれは一旦頭の隅に追いやっておこう。
ふかふかではなく硬いベッドに横になりながら生き残るための作戦を考える。
俺を殺すのはリザードマンの部隊だ。
そして、そいつのことを知っている。
確か名前はナイア。
勇者が最初に倒すことになる中ボスである。
だが、ここから遠く離れた遠い地にいる勇者がどうして、この村を滅ぼしたリザードマンと最初に戦うのか?
それだけがよくわからない。
プレイしていた当時は『フハハハハ。まさかこのようなところで勇者に会えるとはな。お前も運がない、俺はかつて一つの村を滅ぼしたのだ。勇者の首、このナイアが貰い受けるぞ』と言われてもあまりピンとこず。
終盤、エインヘリヤルに辿り着いて、その意味を知ったのだ。
序盤の中ボスが滅ぼしたのがこの村だと。
でも、何故だ?
ここに居たリザードマンが遠い地にいる勇者の最初の中ボスになるのは何故だ?
魔物にもサラリーマンと同じように人事異動があるということだろうか?
まずはこのリザードマンをどうにかする必要があるだろう。
幸い、俺はこのリザードマンの居場所を知っている。
オープニングで偶然出会ったかに見えるがあれはどう見ても砦だった。
そう、この身体の持ち主は、偶然にもリザードマンの砦を見つけてしまったのだ。
知っているなら行動あるのみ。
武器や防具が完成したら俺は死んでしまうのだから。
幸い、次の日は休みを貰った。
記憶が混濁してるのなら少し外の空気でも吸ってゆっくりしろってことらしい。
体調を気にしてくれる上司に恵まれて幸せ者だ。
この時、俺はリザードマンなんて、序盤の敵を暗殺するなんて、簡単だと楽観的に考えていたのだった。
「イッテェーー」
「ちゃんと聞いてないからだトモ」
「ごめん親方。ちょっと最近の記憶が無くて、どうしたらいいのかわからないんだ」
「親方なんて呼んでねぇだろお前。でも記憶をな。そうか、突然だったもんな。わかった。俺もあんまり気にしてやれなかったからな。自己紹介からするか。俺は武器屋兼鍛冶屋のモノノフだ。人は俺のことを天才武器職人なんて呼ぶ」
モノノフ!?
モノノフと言えば、ダクドラにおける勇者のみが装備できる伝説の武器である天夜叉の剣を作ったとされる伝説の武器職人!
ゲームが始まってからずっと故人だったからその存在を語られるのはゲームの終盤、勇者が訪れることになる王都エインヘリヤルで聞くことになる。
とするとここはエインヘリヤルの近くにある廃墟となった村なのか!?
だとすると俺が死ぬのは確実だ。
魔王はまさか勇者の剣を作るモノノフを殺すためだけにこの村を滅ぼしたというのか?
いや、あり得る。
魔王とて自分を倒す武器を作る人間を放置しているとは思えない。
だが既に完成していて、それは王都エインヘリヤルを訪れる勇者にその存在が明かされるのだ。
その武器を王都に届けたのがこの身体の持ち主ってことか?
いや、待て、王都エインヘリヤルに天夜叉の剣は存在しない。
あれがあったのは、確かこの村の中だ。
その存在についてはエインヘリヤルで聞けるが実際、暗号みたいなメモを頼りに見つけることになる。
モノノフの家のちょうど裏手側の地面を調べると出てくるのだ。
だとしたら俺が届けるのは王都エインヘリヤルの守備兵が使う武器ってことか?
「おーいトモ」
「はっ。すみません。俺はいつもどう呼んでたんですか?」
「そりゃモノノフ先生よ」
「成程、モノノフ先生」
「ハッハッハ。本当に記憶がないみたいだな。モノノフさんと普通に呼んでいたさ」
「だ、騙したんですか?」
「人聞き悪いこと言うんじゃねぇよ。ちょっとからかっただけだろうが」
ガシガシと頭を撫でられる。その手は大きく、俺のと比べても2倍はありそうだった。
「ったく。仕方ねぇな。お前の仕事は、俺の作った武器を道具屋のポンチョが作ってくれた鞘に直す。防具は、この布で拭いてピカピカにする。そういうことだ。理解できたか?」
「はい。モノノフさん」
「よし、じゃあ、頼んだぜ。俺は頼まれた分の武器を作らなきゃならねぇからな。防具は専門外だからよ届いてる分を拭いてくれるだけでいい。拭く時間がないとか抜かす怠け者が作った防具だけどな。ガハハ」
「ははっ」
俺は黙々と武器を鞘に納め、防具を拭いた。
「トモ、随分手際が良いじゃねぇか。昨日よりもな。本当に初めてか?」
「どうやら身体が覚えてるみたいで」
「そうか。家はわかるか?といっても、弟や妹は王都の孤児院に預けられてるんだったな。すまねぇな。流石に子供3人も引き取れなくてよ」
「いえ、あの僕はいつももらった賃金をどのようにして弟や妹に?」
「それは、定期的にお前に教えに来てくれる神父に渡してたな。宜しくお願いしますってな」
「わかりました」
ということは今は弟や妹に関しては気にする必要はないってことか。
で、仕送りみたいな感じで孤児院を運営している教会の神父に渡してたと。
そこまで自分で言った後に疑問が浮かぶ。
王都の神父がわざわざお金を受け取るためだけに村に来るだろうか?
何かおかしい気がするのは俺だけか?
まぁ、今はどうやったら自分が死なないかの方が大事だからこれは一旦頭の隅に追いやっておこう。
ふかふかではなく硬いベッドに横になりながら生き残るための作戦を考える。
俺を殺すのはリザードマンの部隊だ。
そして、そいつのことを知っている。
確か名前はナイア。
勇者が最初に倒すことになる中ボスである。
だが、ここから遠く離れた遠い地にいる勇者がどうして、この村を滅ぼしたリザードマンと最初に戦うのか?
それだけがよくわからない。
プレイしていた当時は『フハハハハ。まさかこのようなところで勇者に会えるとはな。お前も運がない、俺はかつて一つの村を滅ぼしたのだ。勇者の首、このナイアが貰い受けるぞ』と言われてもあまりピンとこず。
終盤、エインヘリヤルに辿り着いて、その意味を知ったのだ。
序盤の中ボスが滅ぼしたのがこの村だと。
でも、何故だ?
ここに居たリザードマンが遠い地にいる勇者の最初の中ボスになるのは何故だ?
魔物にもサラリーマンと同じように人事異動があるということだろうか?
まずはこのリザードマンをどうにかする必要があるだろう。
幸い、俺はこのリザードマンの居場所を知っている。
オープニングで偶然出会ったかに見えるがあれはどう見ても砦だった。
そう、この身体の持ち主は、偶然にもリザードマンの砦を見つけてしまったのだ。
知っているなら行動あるのみ。
武器や防具が完成したら俺は死んでしまうのだから。
幸い、次の日は休みを貰った。
記憶が混濁してるのなら少し外の空気でも吸ってゆっくりしろってことらしい。
体調を気にしてくれる上司に恵まれて幸せ者だ。
この時、俺はリザードマンなんて、序盤の敵を暗殺するなんて、簡単だと楽観的に考えていたのだった。
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