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1章 死亡フラグを回避せよ
ここは何処?
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初めまして、俺の名前は柳平友知。
突然ですが死にそうになってます。
どうしてこうなったのかを話したい。
俺は、この日もいつものように仕事が立て込んでいたそれもこの目の前の先輩のせいである。
「おい柳平、聞いてんのか?俺はさ今日、彼女とデートなわけよ。俺の仕事の分も片付けてくれるよな?」
「葛葉先輩、もう勘弁してほしいっす。毎日じゃないっすか。それに彼女じゃないっすよね」
「ウルセェな。先輩の言葉は絶対だっていつも言ってるだろ。縦社会って言葉わかる?わからねぇよな。じゃあ、そういうことで~」
「ちょっと待って」
「待てと言われて待つわけねぇだろ。学習能力が無いよな~柳平は。じゃあな」
風のように俺に仕事を押し付けて去っていくクズ先輩。
コイツのせいで俺はこれで丸々一ヶ月続けて残業だ。
勿論、残業手当はない。
それどころか残業として認めてくれない。
この部長のせいで。
「はぁ、柳平君、また残業ですか。まぁサービス残業ということであれば問題ありませんよ。ほんと仕事ができない無能な部下を持つと辛いわね。少しは葛葉君を見習って欲しいわね」
「申し訳ありません田尻部長」
この部長と葛葉先輩はデキてる。
部長との濃密な時間のため先輩は俺に仕事を丸投げしているのだ。
こんな職場なら辞めれば良いって?
辞めたいのは山々だがこちらにもやめられない事情がある。
俺の家は父子家庭で、早くに母を亡くした俺のために寝る間も惜しんで働きすぎた父は俺が無事に独り立ちをするのと同時に身体を壊して倒れてしまった。
俺は今まで育ててくれた父のためにも働かなければならないのだ。
そして、今日も1人、栄養剤を飲んで、パソコンと向き合って仕事をしていた。
何度も眠たくなるのをその度に栄養剤を飲んで、誤魔化していた。
これが良くなかった。
用法要領はきちんと守らなければこうなる。
今、俺は胸を抑えて苦しんでいる。
間も無く命の灯火が消える気がした。
こんな事ならもっとまともな職場に就職して、親父に美味しいものを食べさせてやりたかったな。
ごめん親父。
もう、意識が保たない。
ふわっ。急に意識が戻されると俺は見知らぬ場所にいた。
「ここは何処?」
「おぅトモじゃねぇか。今日はどうした?えらく遅いじゃねぇか。とっとと手伝え」
目の前に現れたオッサンの頬には十字に斬った傷があり、服装は熱を通さないような服の上からエプロンのようなものをつけ、汗が滴れないようにだろうか頭には布を巻いていて、手にはハンマーを持ち、鉄を打ち付けながらこちらを見ていた。
トモ?
確かに昔の俺のあだ名の一つだけどこんなオッサンに会ったことなんて勿論ない。
困惑する俺をみて、そのオッサンは続ける。
「おいトモ。両親が死んで辛いのはわかるが弟や妹を養うんだろ。そういうお前の熱い心に共感して、まだ16歳のお前を雇ってやったんだ。仕事しねぇなら追い出すぞ」
言葉は厳しいが俺のことを心底心配しているという想いは伝わる言い方だったが、急に弟や妹と言われても俺は一人っ子だ。
全く意味がわからない。
だが、この世界が何処かわからない以上、お金は必要だ。
この目の前のオッサンが俺の新しい雇い主ということなら。
ここは渋々でも働く必要があるだろう。
だが仕事の内容がさっぱりわからない。
渡された剣をどうしていいかわからず見つめる。
できた防具に関してもそうだ。
どうしていいかさっぱりわからない。
「おいトモ。お前どうしたんだ?まるで、武器や防具を触ったことがないみたいな顔しやがって、働いてもう1週間になるんだぞ。この武器と防具を王都エインヘリヤルに運ぶまでがお前の仕事だと言っただろう」
王都エインヘリヤル?
俺はその言葉に懐かしい気持ちになった。
昔、親父が唯一娯楽として買ってくれたゲーム。
今にして思えば、友達のいない俺に当時流行っていたゲームを買うことで友達作りのサポートをしたかったんだろう。
めちゃくちゃ高いゲームソフトだったことは覚えている。
そして、俺はこのゲームのお陰で友達ができた。
そんな思い入れのあるゲームだったため、ソフトが擦り切れるまで、遊んだ。
知ってるか?
当時のゲームって、ゲームソフトにバックアップ用の電池が内蔵されてて、それが消えるとゲームが初期化されるんだ。
俺はそうなるまでこのゲームを遊び尽くした。
だから、王都エインヘリヤルと聞いて、すぐにここが俺が大好きだったゲーム『ダークドラゴンズ』の世界だと理解した。
ははっ。
嘘だろ。
なろうのサイトでしか見たことがない異世界転生を俺がしてしまうなんて。
そして、俺は偶然光が反射して、剣に映った俺の姿を見て愕然とする。
てっきり勇者として転生したなどと楽観的に考えていた俺を絶望に突き落とすには十分だった。
映った俺の姿は『ダークドラゴンズ』縮めてダクドラと呼ぶ。
その世界でオープニングで滅ぼされる村の少年だった。
えっ?
この小ささで16歳なの?
そう思わずには居られないほど。
俺の身長は120センチといったところだろうか。
それぐらいしかない。
そもそもゲームが始まるまでに滅ぼされる村の人間に名前がある事すら知らなかったわけだが。
いや、待て、確かオープニングムービーでは、何処かからの帰り道にリザードマンの部隊に見つかって、斬られて殺される。
この何処かからの帰り道ってまさか王都エインヘリヤルから村への帰り道だったってことはないだろうか。
そんな、まさか。
もうすぐ俺はまた死ぬのか?
嫌だ。
なんとかしないと。
そう決意するのだった。
突然ですが死にそうになってます。
どうしてこうなったのかを話したい。
俺は、この日もいつものように仕事が立て込んでいたそれもこの目の前の先輩のせいである。
「おい柳平、聞いてんのか?俺はさ今日、彼女とデートなわけよ。俺の仕事の分も片付けてくれるよな?」
「葛葉先輩、もう勘弁してほしいっす。毎日じゃないっすか。それに彼女じゃないっすよね」
「ウルセェな。先輩の言葉は絶対だっていつも言ってるだろ。縦社会って言葉わかる?わからねぇよな。じゃあ、そういうことで~」
「ちょっと待って」
「待てと言われて待つわけねぇだろ。学習能力が無いよな~柳平は。じゃあな」
風のように俺に仕事を押し付けて去っていくクズ先輩。
コイツのせいで俺はこれで丸々一ヶ月続けて残業だ。
勿論、残業手当はない。
それどころか残業として認めてくれない。
この部長のせいで。
「はぁ、柳平君、また残業ですか。まぁサービス残業ということであれば問題ありませんよ。ほんと仕事ができない無能な部下を持つと辛いわね。少しは葛葉君を見習って欲しいわね」
「申し訳ありません田尻部長」
この部長と葛葉先輩はデキてる。
部長との濃密な時間のため先輩は俺に仕事を丸投げしているのだ。
こんな職場なら辞めれば良いって?
辞めたいのは山々だがこちらにもやめられない事情がある。
俺の家は父子家庭で、早くに母を亡くした俺のために寝る間も惜しんで働きすぎた父は俺が無事に独り立ちをするのと同時に身体を壊して倒れてしまった。
俺は今まで育ててくれた父のためにも働かなければならないのだ。
そして、今日も1人、栄養剤を飲んで、パソコンと向き合って仕事をしていた。
何度も眠たくなるのをその度に栄養剤を飲んで、誤魔化していた。
これが良くなかった。
用法要領はきちんと守らなければこうなる。
今、俺は胸を抑えて苦しんでいる。
間も無く命の灯火が消える気がした。
こんな事ならもっとまともな職場に就職して、親父に美味しいものを食べさせてやりたかったな。
ごめん親父。
もう、意識が保たない。
ふわっ。急に意識が戻されると俺は見知らぬ場所にいた。
「ここは何処?」
「おぅトモじゃねぇか。今日はどうした?えらく遅いじゃねぇか。とっとと手伝え」
目の前に現れたオッサンの頬には十字に斬った傷があり、服装は熱を通さないような服の上からエプロンのようなものをつけ、汗が滴れないようにだろうか頭には布を巻いていて、手にはハンマーを持ち、鉄を打ち付けながらこちらを見ていた。
トモ?
確かに昔の俺のあだ名の一つだけどこんなオッサンに会ったことなんて勿論ない。
困惑する俺をみて、そのオッサンは続ける。
「おいトモ。両親が死んで辛いのはわかるが弟や妹を養うんだろ。そういうお前の熱い心に共感して、まだ16歳のお前を雇ってやったんだ。仕事しねぇなら追い出すぞ」
言葉は厳しいが俺のことを心底心配しているという想いは伝わる言い方だったが、急に弟や妹と言われても俺は一人っ子だ。
全く意味がわからない。
だが、この世界が何処かわからない以上、お金は必要だ。
この目の前のオッサンが俺の新しい雇い主ということなら。
ここは渋々でも働く必要があるだろう。
だが仕事の内容がさっぱりわからない。
渡された剣をどうしていいかわからず見つめる。
できた防具に関してもそうだ。
どうしていいかさっぱりわからない。
「おいトモ。お前どうしたんだ?まるで、武器や防具を触ったことがないみたいな顔しやがって、働いてもう1週間になるんだぞ。この武器と防具を王都エインヘリヤルに運ぶまでがお前の仕事だと言っただろう」
王都エインヘリヤル?
俺はその言葉に懐かしい気持ちになった。
昔、親父が唯一娯楽として買ってくれたゲーム。
今にして思えば、友達のいない俺に当時流行っていたゲームを買うことで友達作りのサポートをしたかったんだろう。
めちゃくちゃ高いゲームソフトだったことは覚えている。
そして、俺はこのゲームのお陰で友達ができた。
そんな思い入れのあるゲームだったため、ソフトが擦り切れるまで、遊んだ。
知ってるか?
当時のゲームって、ゲームソフトにバックアップ用の電池が内蔵されてて、それが消えるとゲームが初期化されるんだ。
俺はそうなるまでこのゲームを遊び尽くした。
だから、王都エインヘリヤルと聞いて、すぐにここが俺が大好きだったゲーム『ダークドラゴンズ』の世界だと理解した。
ははっ。
嘘だろ。
なろうのサイトでしか見たことがない異世界転生を俺がしてしまうなんて。
そして、俺は偶然光が反射して、剣に映った俺の姿を見て愕然とする。
てっきり勇者として転生したなどと楽観的に考えていた俺を絶望に突き落とすには十分だった。
映った俺の姿は『ダークドラゴンズ』縮めてダクドラと呼ぶ。
その世界でオープニングで滅ぼされる村の少年だった。
えっ?
この小ささで16歳なの?
そう思わずには居られないほど。
俺の身長は120センチといったところだろうか。
それぐらいしかない。
そもそもゲームが始まるまでに滅ぼされる村の人間に名前がある事すら知らなかったわけだが。
いや、待て、確かオープニングムービーでは、何処かからの帰り道にリザードマンの部隊に見つかって、斬られて殺される。
この何処かからの帰り道ってまさか王都エインヘリヤルから村への帰り道だったってことはないだろうか。
そんな、まさか。
もうすぐ俺はまた死ぬのか?
嫌だ。
なんとかしないと。
そう決意するのだった。
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