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2章 オダ郡を一つにまとめる
127話 ロマーニ・カイロ
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ロマーニはミランダを連れて、テントの中へと入る。
「アタイの思ってた以上だよ」
「ミランダの思ってた以上の人って、サブロー様のことかい?」
「他に誰がいるってのよ。もう。本当にロマーニなのね?」
「そうだよ。会いたかったミランダ」
「アタイ。じゃなくて私も会いたかった」
「それにしても根っからのお嬢様だったミランダが身分も地位も捨てて、盗賊になるなんてね」
「それを言ったらブラザーコンプレックスの塊だったロマーニがカイロ家を飛び出して、農民として、あの領主様の部隊に入ってることの方が驚きよ」
「兄さんにも僕と同じように守りたくて譲れない人がいるからね」
「まだ、マーガレット様、一筋なの?」
「キャッスルのパーティで数回しか会って話したことしか無いそうなんだけどね。兄さんのことだからサブロー様にも通じていると思うけど。マーガレット様の真意にも気付いてるだろうし」
「マーガレット様の真意って何よ?」
「そんなの愛する我が子に本気で敵対するなんて思うかい?きっとマーガレット様は、ロルフ様の罪の清算をしようとしてるのさ」
「親父と組んで、民衆から搾取した極悪人の先代領主の罪なんて、精算できる訳が」
「あれれ、ミランダは口調がコロコロ変わるようになっちゃったね。昔の可愛い感じも良いけど今のも良いね」
「そんな、ロマーニにも褒められても全然嬉しく無いんだからね」
クネクネしてる。
クスクス。
こういうところがミランダの可愛いところなんだよな。
それはそれとして。
ふぅ。
初めまして、僕の名前はカイロ家の次男、ロマーニ・カイロ。
ここで簡単にカイロ家の説明と僕のことについて軽く説明したいと思う。
まず初めにカイロ家は、裏切りの家系って言われるぐらい裏切りの多い家系で、父さんは初め先先代領主のラルフ様の腹心の1人として、ランスオブマスターの異名で武働きで貢献してきた忠臣だった。
そんな父に指南を受け、槍の腕前は相当だと自負している。
でも上には上がいるもので、兄さんやつい先日動かし方を教えただけで軽く会得したサブロー様が武将として見出した女の子もいる。
僕なんて、遠く及ばない天才という人たちだ。
まぁ、それで僕が僻まなかったのは、兄さんとの仲が良好だったから。
そんな僕にも兄さんに無いものを持っていた。
恵まれた顔である。
兄さんはどちらかというと父さんに似て、厳つい感じがして近付き難い雰囲気を醸し出している。
対する僕は母さんに似て、ほんわかとしていて、周りにいつも人が集まっていた。
そんな僕が恋をしたのは、グラン商会を運営しているマーズ・グランの一人娘であるミランダ・グランだった。
女の子に囲まれている僕に向かって。
「顔が良いだけの男に群がるブス共ね」
なんて言って、女の子たちに睨まれてたっけ。
僕は初めて顔だけで判断する人じゃなくて、興味惹かれたんだけどね。
それから僕の方がミランダにべったりなものだから女の子たちは僕と親しくなるためにミランダに絡む。
そんな女の子たちにミランダは。
「ブスと友達になんてならないわよ。あんな顔だけ男の何が良いのかしら?そんなに好きなら私に話しかけていないで、アタックすれば良いじゃない」
その言葉を聞いて、女の子たちが舌打ちしてたっけ。
ミランダの全てが新鮮で、僕の心をときめかせる。
あんな女性はもう二度と会えないだろう。
だから僕はその次の日から来る日も来る日もミランダに告白し続けた。
その数、100回。
これで無理なら諦めよう。
でもきっと諦められないだろうな。
そんな面持ちで告白した100回目にしてようやくオッケーしてもらえた。
それから2人でいろんな話をしたり、ミランダが家のことで悩んでいることを聞いた。
それからしばらくしてのことだった愛するミランダが行方不明になったのは。
僕は、どうしてもその行方を探すために病で他界した父さんに代わり、カイロ家の当主となっていた兄さんに直談判して、家を出る。
ハインリッヒ家のショバタキャッスルにある農民の家に転がり込んで、ミランダの情報を来る日も来る日も集めた。
でも一向にその行方が掴めなかった。
そんな時だ。
ロルフ様が亡くなり、新しい領主となったサブロー様が表向きはロルフ様の追悼の祭りを開くと宣言したのは。
裏向きは、祭りに参加して理解した。
サブロー様は賢いと。
最初の相撲では、足腰の踏ん張る力。
歩兵として最も大事な要素だ。
そしてふたつ目の的当ては、簡単だ。
弓兵としての適正な判断。
3つ目の乗馬も簡単だ。
騎兵としての適正。
でも、僕が1番驚いたのは、サブロー様がこの祭りに敵のはずの兄さんを招待したこと。
そして、性別も階級も問わず全ての祭りの参加者を兵に取り立てたこと。
この祭りがもたらした効果で民衆の支持を確固たるものにしたこと。
民衆たちが安易に食べ物を得られるように市場を整理したこと。
その過程で、ミランダが嫌っていたグラン商会が勢力を大きく落としたこと。
これら全てにサブロー様が関わっていると聞いて、僕は直感した。
この人のそばに居れば、愛するミランダに再会できるかもしれないと。
そして、僕は今愛しい人をこうして抱きしめている。
「もう。痛いってばロマーニ。んぐっ。ぷはっ。何すんのよ」
「僕のことを待たせた罰。ミランダ、愛してる」
「何よ。いきなり」
「ミランダ、あ・い・し・て・る」
「もう、大きな声で言わないで、恥ずかしいから。私も愛してる。ずっとロマーニに会いたかった。ごめんなさい。勝手に消えて本当にごめんなさい」
「僕と結婚してくれるかい?」
「はい」
僕の直感は本当によく当たるんだ。
兄さんの恋もきっと実る。
想いはきっと伝わる。
僕はそう信じてるから。
サブロー様が立派な領主で本当に嬉しい。
ミランダの罪もなんでもないようにしてくれた。
その想いに報いるためにも僕の槍で、サブロー様をお支えする。
「アタイの思ってた以上だよ」
「ミランダの思ってた以上の人って、サブロー様のことかい?」
「他に誰がいるってのよ。もう。本当にロマーニなのね?」
「そうだよ。会いたかったミランダ」
「アタイ。じゃなくて私も会いたかった」
「それにしても根っからのお嬢様だったミランダが身分も地位も捨てて、盗賊になるなんてね」
「それを言ったらブラザーコンプレックスの塊だったロマーニがカイロ家を飛び出して、農民として、あの領主様の部隊に入ってることの方が驚きよ」
「兄さんにも僕と同じように守りたくて譲れない人がいるからね」
「まだ、マーガレット様、一筋なの?」
「キャッスルのパーティで数回しか会って話したことしか無いそうなんだけどね。兄さんのことだからサブロー様にも通じていると思うけど。マーガレット様の真意にも気付いてるだろうし」
「マーガレット様の真意って何よ?」
「そんなの愛する我が子に本気で敵対するなんて思うかい?きっとマーガレット様は、ロルフ様の罪の清算をしようとしてるのさ」
「親父と組んで、民衆から搾取した極悪人の先代領主の罪なんて、精算できる訳が」
「あれれ、ミランダは口調がコロコロ変わるようになっちゃったね。昔の可愛い感じも良いけど今のも良いね」
「そんな、ロマーニにも褒められても全然嬉しく無いんだからね」
クネクネしてる。
クスクス。
こういうところがミランダの可愛いところなんだよな。
それはそれとして。
ふぅ。
初めまして、僕の名前はカイロ家の次男、ロマーニ・カイロ。
ここで簡単にカイロ家の説明と僕のことについて軽く説明したいと思う。
まず初めにカイロ家は、裏切りの家系って言われるぐらい裏切りの多い家系で、父さんは初め先先代領主のラルフ様の腹心の1人として、ランスオブマスターの異名で武働きで貢献してきた忠臣だった。
そんな父に指南を受け、槍の腕前は相当だと自負している。
でも上には上がいるもので、兄さんやつい先日動かし方を教えただけで軽く会得したサブロー様が武将として見出した女の子もいる。
僕なんて、遠く及ばない天才という人たちだ。
まぁ、それで僕が僻まなかったのは、兄さんとの仲が良好だったから。
そんな僕にも兄さんに無いものを持っていた。
恵まれた顔である。
兄さんはどちらかというと父さんに似て、厳つい感じがして近付き難い雰囲気を醸し出している。
対する僕は母さんに似て、ほんわかとしていて、周りにいつも人が集まっていた。
そんな僕が恋をしたのは、グラン商会を運営しているマーズ・グランの一人娘であるミランダ・グランだった。
女の子に囲まれている僕に向かって。
「顔が良いだけの男に群がるブス共ね」
なんて言って、女の子たちに睨まれてたっけ。
僕は初めて顔だけで判断する人じゃなくて、興味惹かれたんだけどね。
それから僕の方がミランダにべったりなものだから女の子たちは僕と親しくなるためにミランダに絡む。
そんな女の子たちにミランダは。
「ブスと友達になんてならないわよ。あんな顔だけ男の何が良いのかしら?そんなに好きなら私に話しかけていないで、アタックすれば良いじゃない」
その言葉を聞いて、女の子たちが舌打ちしてたっけ。
ミランダの全てが新鮮で、僕の心をときめかせる。
あんな女性はもう二度と会えないだろう。
だから僕はその次の日から来る日も来る日もミランダに告白し続けた。
その数、100回。
これで無理なら諦めよう。
でもきっと諦められないだろうな。
そんな面持ちで告白した100回目にしてようやくオッケーしてもらえた。
それから2人でいろんな話をしたり、ミランダが家のことで悩んでいることを聞いた。
それからしばらくしてのことだった愛するミランダが行方不明になったのは。
僕は、どうしてもその行方を探すために病で他界した父さんに代わり、カイロ家の当主となっていた兄さんに直談判して、家を出る。
ハインリッヒ家のショバタキャッスルにある農民の家に転がり込んで、ミランダの情報を来る日も来る日も集めた。
でも一向にその行方が掴めなかった。
そんな時だ。
ロルフ様が亡くなり、新しい領主となったサブロー様が表向きはロルフ様の追悼の祭りを開くと宣言したのは。
裏向きは、祭りに参加して理解した。
サブロー様は賢いと。
最初の相撲では、足腰の踏ん張る力。
歩兵として最も大事な要素だ。
そしてふたつ目の的当ては、簡単だ。
弓兵としての適正な判断。
3つ目の乗馬も簡単だ。
騎兵としての適正。
でも、僕が1番驚いたのは、サブロー様がこの祭りに敵のはずの兄さんを招待したこと。
そして、性別も階級も問わず全ての祭りの参加者を兵に取り立てたこと。
この祭りがもたらした効果で民衆の支持を確固たるものにしたこと。
民衆たちが安易に食べ物を得られるように市場を整理したこと。
その過程で、ミランダが嫌っていたグラン商会が勢力を大きく落としたこと。
これら全てにサブロー様が関わっていると聞いて、僕は直感した。
この人のそばに居れば、愛するミランダに再会できるかもしれないと。
そして、僕は今愛しい人をこうして抱きしめている。
「もう。痛いってばロマーニ。んぐっ。ぷはっ。何すんのよ」
「僕のことを待たせた罰。ミランダ、愛してる」
「何よ。いきなり」
「ミランダ、あ・い・し・て・る」
「もう、大きな声で言わないで、恥ずかしいから。私も愛してる。ずっとロマーニに会いたかった。ごめんなさい。勝手に消えて本当にごめんなさい」
「僕と結婚してくれるかい?」
「はい」
僕の直感は本当によく当たるんだ。
兄さんの恋もきっと実る。
想いはきっと伝わる。
僕はそう信じてるから。
サブロー様が立派な領主で本当に嬉しい。
ミランダの罪もなんでもないようにしてくれた。
その想いに報いるためにも僕の槍で、サブロー様をお支えする。
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