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2章 オダ郡を一つにまとめる
97話 漢、テキーラ、大軍を相手に一歩も退かぬ
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サブロー・ハインリッヒがショバタ城から打って出て、スエモリ城へ向かっている頃、テキーラ・バッカスは、死を覚悟した私兵と志願兵と共にワシヅ砦の守りを固めていた。
「そうか、既に殿は、城におられなんだか。ガハハ。流石、殿じゃ。既に動いておられたか。やれやれマーガレット様にも困ったものじゃ。おモテになるから利用される。して、お前はどうして戻ってきたのじゃ」
「俺のような伝令でもお役に立てるのならと」
「そうか。良い男じゃ。名は何という?」
「コルラドと申す」
「良い名じゃ。共に殿のため戦い抜こうぞ」
「はっ」
テキーラには頼れる指揮官の千人将の副官が2人いた。
彼らが大軍を前に作戦をなっていたところにジャガ・イモがやってきた。
「クライナー、だから言っただろう。それでは悪戯に兵を失うだけだと!」
「ならコカレロは、どうやって、四つの門を守りながら戦うって言うんだ」
「全てを守る必要などない。かんぬきをかけることで」
「それでは、縄梯子は防げないだろう!」
この2人の大声で不安そうにしている兵たちを見て、ジャガ・イモが口を挟む。
「クライナーさんにコカレロさん、そうカッカしないで、くれるか?兵たちが怯えてんだわ」
「なんだ。テキーラ様が新たに迎え入れたジャガか」
「何のようだ。我々は、守るために忙しい」
まだ口論を続けようとする2人に対して、ジャガ・イモが話を続ける。
「全ての門を守る必要がないってのは、コカレロさんに同意しますよ」
「新参は黙っていろ!」
「まぁ、待てクライナー。話を聞いてみようじゃ無いか」
「フン」
鼻を鳴らしながら話してみろって感じな態度を取られたので、話を続けるジャガ・イモ。
「大軍が攻め寄せるところを限定すんのは、戦の基本戦術なんだろ。なら、山側で攻めにくい南門には、鎧を着せた案山子を立てて牽制すんだ。東門は、海に面してるから攻めにくいだろうから、敵さんも本腰を入れない。まぁ、こっちの兵士を分散させようと兵は送り込んでくるだろうけどよ。そうするとだ。敵さんが攻めてくんのは、攻めやすい北門か西門ってこった」
「確かにその通りかもしれん。まさか、コカレロはこれがわかっていたのか」
「盲点であった。そうか、既に敵の攻め口は、2つに絞られてたのか」
この2人は戦の経験こそ豊富だが策を考える点では、柔軟ではなかった。
それに引き換えジャガ・イモは、作物を作る際に、作物が病気にならないようにとか畑を休ませる休養が必要なこと土の改良など常に考えて生活していたこともあり、頭が柔軟だったのである。
「その攻め口をさらに絞ることもできるぜ」
「何だと!?」
「本当か!?」
「あぁ、要はさ。さらに攻めやすくしてやれば良いんだよ。例えば、西門には、馬の侵入を防ぐ柵を作ってしまうとかな。アレなら、コストも費用もそんなにかからねぇし、予め、建設用に運び入れてた丸太とか使えば、行けるだろ」
「確かに、敵の兵は見る限り騎兵が多い」
「しかし、今から設置するのは間に合わんだろう」
「そういうと思ってさ。さっき、村の奴ら数人で、柵を寝かせてきたからよ。これ引っ張れば突然現れた柵に驚いて、馬が勝手に暴れると寸法だ」
「成程、テキーラ様が部下に迎え入れた気持ちがわかった。頼りにしているイモ軍師」
「イモ軍師、頼んだぜ」
「なんか、その呼び方嫌なんだが。まぁ良いか」
間も無く、お互いが大声を出せば会話できる程度の距離に近付く距離にマッサカー・ゲスター辺境伯がやってきた。
「ゲババババババ。久しぶりじゃなぁテキーラ」
「お前は、やはりそちら側に付いたか」
「ゲババババババ。勝ち馬に乗るのは、戦の基本じゃ」
「ギリギリまで日和見してた貴様がよく言うわい」
「ゲババババババ。戦は最後に勝った方が実入が大きいからなぁ。で、一応顔見知りってことで聞いてくるように頼まれたから聞くが、降伏する気はないか?」
「舐められたものじゃな。確かにワシもギリギリまで日和見していた人間に違いなかろうて。じゃがな、今は殿のため死んでも構わんと思うておる。その質問の答えは、言うまでもないわい。死にたい奴からかかってこんかいこの害虫どもが!」
「ゲババババババ。そう来なくてはなぁ。騎馬隊、突撃開始じゃーーーーー!!!」
突撃してくる騎馬隊を前にギリギリまで、惹きつけるように指示を出すジャガ・イモ。
「まだだ。まだだぞ。焦るんじゃねぇぞ」
戦は最初が肝心だって、オッサンも言ってたよな。
ここで、捨て駒同然のゲスター辺境伯の騎馬隊はほぼほぼ殲滅しておきたいよな。
頃合いだな。
「未だ、馬防柵を引け!」
突然、地面から現れた馬防柵に驚いた馬たちが暴れて、前に投げ出されるゲスター騎馬隊の面々が馬防柵の後ろに控えていた槍を持つ志願兵たちによって、串刺しにされる。
「アンタの名前、血塗れだったっけ?残念だったなぁ。考えもなしに突っ込むからお前の大事な兵隊さんが血塗れだぜ」
「貴様ーーーーーーー!!!」
「マッサカー様、怒りを鎮めてください。今は、一旦引いて、連合軍と足並みを」
「わかってるわ!退け退けー」
先ずは、馬の侵入を防ぐ馬防柵を利用した方法で、投げ出されたマッサカー・ゲスターの率いる騎馬隊を殲滅することに成功するのだった。
「そうか、既に殿は、城におられなんだか。ガハハ。流石、殿じゃ。既に動いておられたか。やれやれマーガレット様にも困ったものじゃ。おモテになるから利用される。して、お前はどうして戻ってきたのじゃ」
「俺のような伝令でもお役に立てるのならと」
「そうか。良い男じゃ。名は何という?」
「コルラドと申す」
「良い名じゃ。共に殿のため戦い抜こうぞ」
「はっ」
テキーラには頼れる指揮官の千人将の副官が2人いた。
彼らが大軍を前に作戦をなっていたところにジャガ・イモがやってきた。
「クライナー、だから言っただろう。それでは悪戯に兵を失うだけだと!」
「ならコカレロは、どうやって、四つの門を守りながら戦うって言うんだ」
「全てを守る必要などない。かんぬきをかけることで」
「それでは、縄梯子は防げないだろう!」
この2人の大声で不安そうにしている兵たちを見て、ジャガ・イモが口を挟む。
「クライナーさんにコカレロさん、そうカッカしないで、くれるか?兵たちが怯えてんだわ」
「なんだ。テキーラ様が新たに迎え入れたジャガか」
「何のようだ。我々は、守るために忙しい」
まだ口論を続けようとする2人に対して、ジャガ・イモが話を続ける。
「全ての門を守る必要がないってのは、コカレロさんに同意しますよ」
「新参は黙っていろ!」
「まぁ、待てクライナー。話を聞いてみようじゃ無いか」
「フン」
鼻を鳴らしながら話してみろって感じな態度を取られたので、話を続けるジャガ・イモ。
「大軍が攻め寄せるところを限定すんのは、戦の基本戦術なんだろ。なら、山側で攻めにくい南門には、鎧を着せた案山子を立てて牽制すんだ。東門は、海に面してるから攻めにくいだろうから、敵さんも本腰を入れない。まぁ、こっちの兵士を分散させようと兵は送り込んでくるだろうけどよ。そうするとだ。敵さんが攻めてくんのは、攻めやすい北門か西門ってこった」
「確かにその通りかもしれん。まさか、コカレロはこれがわかっていたのか」
「盲点であった。そうか、既に敵の攻め口は、2つに絞られてたのか」
この2人は戦の経験こそ豊富だが策を考える点では、柔軟ではなかった。
それに引き換えジャガ・イモは、作物を作る際に、作物が病気にならないようにとか畑を休ませる休養が必要なこと土の改良など常に考えて生活していたこともあり、頭が柔軟だったのである。
「その攻め口をさらに絞ることもできるぜ」
「何だと!?」
「本当か!?」
「あぁ、要はさ。さらに攻めやすくしてやれば良いんだよ。例えば、西門には、馬の侵入を防ぐ柵を作ってしまうとかな。アレなら、コストも費用もそんなにかからねぇし、予め、建設用に運び入れてた丸太とか使えば、行けるだろ」
「確かに、敵の兵は見る限り騎兵が多い」
「しかし、今から設置するのは間に合わんだろう」
「そういうと思ってさ。さっき、村の奴ら数人で、柵を寝かせてきたからよ。これ引っ張れば突然現れた柵に驚いて、馬が勝手に暴れると寸法だ」
「成程、テキーラ様が部下に迎え入れた気持ちがわかった。頼りにしているイモ軍師」
「イモ軍師、頼んだぜ」
「なんか、その呼び方嫌なんだが。まぁ良いか」
間も無く、お互いが大声を出せば会話できる程度の距離に近付く距離にマッサカー・ゲスター辺境伯がやってきた。
「ゲババババババ。久しぶりじゃなぁテキーラ」
「お前は、やはりそちら側に付いたか」
「ゲババババババ。勝ち馬に乗るのは、戦の基本じゃ」
「ギリギリまで日和見してた貴様がよく言うわい」
「ゲババババババ。戦は最後に勝った方が実入が大きいからなぁ。で、一応顔見知りってことで聞いてくるように頼まれたから聞くが、降伏する気はないか?」
「舐められたものじゃな。確かにワシもギリギリまで日和見していた人間に違いなかろうて。じゃがな、今は殿のため死んでも構わんと思うておる。その質問の答えは、言うまでもないわい。死にたい奴からかかってこんかいこの害虫どもが!」
「ゲババババババ。そう来なくてはなぁ。騎馬隊、突撃開始じゃーーーーー!!!」
突撃してくる騎馬隊を前にギリギリまで、惹きつけるように指示を出すジャガ・イモ。
「まだだ。まだだぞ。焦るんじゃねぇぞ」
戦は最初が肝心だって、オッサンも言ってたよな。
ここで、捨て駒同然のゲスター辺境伯の騎馬隊はほぼほぼ殲滅しておきたいよな。
頃合いだな。
「未だ、馬防柵を引け!」
突然、地面から現れた馬防柵に驚いた馬たちが暴れて、前に投げ出されるゲスター騎馬隊の面々が馬防柵の後ろに控えていた槍を持つ志願兵たちによって、串刺しにされる。
「アンタの名前、血塗れだったっけ?残念だったなぁ。考えもなしに突っ込むからお前の大事な兵隊さんが血塗れだぜ」
「貴様ーーーーーーー!!!」
「マッサカー様、怒りを鎮めてください。今は、一旦引いて、連合軍と足並みを」
「わかってるわ!退け退けー」
先ずは、馬の侵入を防ぐ馬防柵を利用した方法で、投げ出されたマッサカー・ゲスターの率いる騎馬隊を殲滅することに成功するのだった。
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