79 / 97
2章 オダ郡を一つにまとめる
79話 ショバタ城の戦い
しおりを挟む
モンテロ・ハルトは、突如後方のフジヤマサンに現れた城を見て、奪い取ったショバタ城にて、籠城することを選んだ。
しかし、食べ物も本日分しか無く、残りは持ってきたもので、1週間持つかどうかであった。
「こんなことになるとは。短期決戦を想定していたため。この数の兵を養うための兵糧が僅か1週間分しかないとは」
「やはり、籠城は辞めて、あの山城を落とすであります」
「いや、領民もいないことを考えると計画的移動だ。ここは癪だが。やはり、明日を待って、ガロリング卿に援軍を求めるしか無い」
「了解であります」
「全軍夜襲に警戒せよ!」
モンテロ・ハルトが率いた兵は、正規兵1万である。
対するサブロー・ハインリッヒの兵は、各々が祭りの護衛として連れてきていた兵が合わせて2千と新兵1500の合わせて、3500である。
普通に戦えば、1人で2~3人を打ち倒さないといけない。
こう聞くと現実的な数字に見えるかもしれないが戦とは数が多い方が有利なのは、明らかである。
だからサブロー・ハインリッヒは、策を練り、ルイス・ヴェルトハイムの大胆不敵とも思えるショバタ城囮作戦を遂行し、見事モンテロ・ハルトの1万を初戦で葬る好機に恵まれたのである。
「良し。行動を開始する。頼んだぞウマスキ。お前の働きにかかっている」
「はい。必ずやこの御役目を真っ当し、迅速に戻って参ります」
ウマスキは、レースを戦った5人のうち2人を選び、門に火を付ける役をサブロー・ハインリッヒより賜る。
「マリー様には、本当に驚かされます。馬の駆ける音を無音にしてしまう魔法とやらがあるなんて」
「ウマスキ隊長が驚いてるのって、そこなの!?まぁ、ワタクシは、栄えある白馬の王女様の一歩を踏み出せるのですから良いのですけど」
「名前もホワイト・プリンセスにする程とはな」
「そう言うあなたの名前もトルー・ナイトでしたっけ」
「トゥルーだ!真の騎士を目指す私に相応しかろう」
「まぁ、ウマスキ隊長よりはマシですわね。トゥルー副隊長殿。それにしても、ウマスキ・ダイスキってなんですの!ナルシストですの?」
「どんな名前でも良いってサブロー様が言ってたし、ウマが大好きなんだもん」
ウマスキ・ダイスキは、セシトーバに乗っていたサブロー様に物怖じせず何度も提案をした女性である。
トゥルー・ナイトは、ソウコウヒデーンに乗るサブロー・ハインリッヒを守る真の騎士となることを願う女性だ。
ホワイト・プリンセスは、パイローンに乗る白馬の王子様ならぬ白馬の王女様を目指す夢見がちな女性である。
この3人で、南門以外の門の側に認識阻害で隠していた燃えやすいものに火を付けて回る。
その煙を見て、サブロー・ハインリッヒは、左右に兵を散らして、炎に混乱して中から飛び出してくる敵を待つ。
その頃、城内では。
「モンテロ様、北門・西門・東門で突如として火の手が上がったであります」
「夜襲に警戒しろと言ったであろう!見張りの兵は何をして」
見張り台の兵を的確に狙い撃つ男は、弓兵隊に自信を付けさせるために、訓練も兼ねていた。
「おい。右に角度がズレてんぞ。修正して、よーく狙って撃て」
「はっはいスナイプ隊長!」
「弓櫓の方は、どうなってる?」
「だっダニエル副隊長、間も無く制圧できるかと」
「遅れを取るな。中の奴らは、混乱してるが外の奴らはそうじゃ無い。我らが外の奴らを減らすことで、味方の被害を減らし、敵の損害を増やせるのだ。制圧次第、弓櫓を奪取。そこから更に援護に移る」
「了解しましたダニエル副隊長!」
「スナイプ様、ここはお任せします。俺は弓櫓の方から南門の部隊の支援に」
「ダニエル、そちらは任せたぞ」
「はっ」
見えない位置から狙い撃たれる南門の城壁の弓兵たちは、パニックに陥っていた。
「敵のスナイパーは化け物か。何処だ何処にいる。燃えていない門はここだけだ。何としてもモンテロ様が逃げるまでの時間稼ぎをするのだ。カハッ」
「たっ隊長ーーーーーー!?!?隊長が射抜かれた。もうおしまいだーーーー」
左右の弓櫓からも城壁に矢が降り注ぐ。
「外の弓櫓が制圧されたのか。ど、どうしたら」
「副隊長、早く指示を。今のここの責任者は。カハッ」
「ひぃぃぃぃぃ。全軍この場から逃げるのだ。逃げるのだ」
城壁の兵が動いたのを見たスナイプ・ハンターは、ポンチョ・ヨコヅナに聞こえるように弓鳴りの矢で、合図を送る。
「ポンチョ隊長、合図です」
「セル、了解でごわす。皆ば、ここは間も無く死地となるでごわす。足がすくむこともあるでごわす。おいどんの背を見て、仲間を信じて戦い抜くでごわす」
「ヨコヅナ隊、戦闘体制に移行!辛い時は師匠の背を見て、付いてきてください。行くぞ」
最初に飛び出してきたのは、城壁にいた弓兵たちである。
しかし、腰の剣以外、メイン武器も持たず裸足で逃げ出したような奴らである。
腰の剣を抜く前に、次々と槍で貫かれる。
「俺だって、俺だって、モンテロ様の正規兵何だぞ。オラァ!剣が剣が抜けねぇ。タンマタンマタンマだって、言ってんだろうガハッ」
「ハァハァハァ。やってやったぞコラァ!何が正規兵だ!俺たちはサブロー様の親衛隊だオラァ!」
戦場において、最初の1人を殺せるかという問題はよく聞く。
それは何故か。
誰だろうと好き好んで、人を殺したい人間なんていないからである。
だが、戦場において躊躇すれば、それは己に突き刺す剣となって返ってくる。
だから最初の1人を殺せるかが大事なのである。
全員がこの課題を達成した。
その上で、誰も死体を漁ったりという浅ましい行為は行わなかった。
それをすれば、サブロー・ハインリッヒに対する世間の見方に影響すると全員が理解していたのである。
しかし、食べ物も本日分しか無く、残りは持ってきたもので、1週間持つかどうかであった。
「こんなことになるとは。短期決戦を想定していたため。この数の兵を養うための兵糧が僅か1週間分しかないとは」
「やはり、籠城は辞めて、あの山城を落とすであります」
「いや、領民もいないことを考えると計画的移動だ。ここは癪だが。やはり、明日を待って、ガロリング卿に援軍を求めるしか無い」
「了解であります」
「全軍夜襲に警戒せよ!」
モンテロ・ハルトが率いた兵は、正規兵1万である。
対するサブロー・ハインリッヒの兵は、各々が祭りの護衛として連れてきていた兵が合わせて2千と新兵1500の合わせて、3500である。
普通に戦えば、1人で2~3人を打ち倒さないといけない。
こう聞くと現実的な数字に見えるかもしれないが戦とは数が多い方が有利なのは、明らかである。
だからサブロー・ハインリッヒは、策を練り、ルイス・ヴェルトハイムの大胆不敵とも思えるショバタ城囮作戦を遂行し、見事モンテロ・ハルトの1万を初戦で葬る好機に恵まれたのである。
「良し。行動を開始する。頼んだぞウマスキ。お前の働きにかかっている」
「はい。必ずやこの御役目を真っ当し、迅速に戻って参ります」
ウマスキは、レースを戦った5人のうち2人を選び、門に火を付ける役をサブロー・ハインリッヒより賜る。
「マリー様には、本当に驚かされます。馬の駆ける音を無音にしてしまう魔法とやらがあるなんて」
「ウマスキ隊長が驚いてるのって、そこなの!?まぁ、ワタクシは、栄えある白馬の王女様の一歩を踏み出せるのですから良いのですけど」
「名前もホワイト・プリンセスにする程とはな」
「そう言うあなたの名前もトルー・ナイトでしたっけ」
「トゥルーだ!真の騎士を目指す私に相応しかろう」
「まぁ、ウマスキ隊長よりはマシですわね。トゥルー副隊長殿。それにしても、ウマスキ・ダイスキってなんですの!ナルシストですの?」
「どんな名前でも良いってサブロー様が言ってたし、ウマが大好きなんだもん」
ウマスキ・ダイスキは、セシトーバに乗っていたサブロー様に物怖じせず何度も提案をした女性である。
トゥルー・ナイトは、ソウコウヒデーンに乗るサブロー・ハインリッヒを守る真の騎士となることを願う女性だ。
ホワイト・プリンセスは、パイローンに乗る白馬の王子様ならぬ白馬の王女様を目指す夢見がちな女性である。
この3人で、南門以外の門の側に認識阻害で隠していた燃えやすいものに火を付けて回る。
その煙を見て、サブロー・ハインリッヒは、左右に兵を散らして、炎に混乱して中から飛び出してくる敵を待つ。
その頃、城内では。
「モンテロ様、北門・西門・東門で突如として火の手が上がったであります」
「夜襲に警戒しろと言ったであろう!見張りの兵は何をして」
見張り台の兵を的確に狙い撃つ男は、弓兵隊に自信を付けさせるために、訓練も兼ねていた。
「おい。右に角度がズレてんぞ。修正して、よーく狙って撃て」
「はっはいスナイプ隊長!」
「弓櫓の方は、どうなってる?」
「だっダニエル副隊長、間も無く制圧できるかと」
「遅れを取るな。中の奴らは、混乱してるが外の奴らはそうじゃ無い。我らが外の奴らを減らすことで、味方の被害を減らし、敵の損害を増やせるのだ。制圧次第、弓櫓を奪取。そこから更に援護に移る」
「了解しましたダニエル副隊長!」
「スナイプ様、ここはお任せします。俺は弓櫓の方から南門の部隊の支援に」
「ダニエル、そちらは任せたぞ」
「はっ」
見えない位置から狙い撃たれる南門の城壁の弓兵たちは、パニックに陥っていた。
「敵のスナイパーは化け物か。何処だ何処にいる。燃えていない門はここだけだ。何としてもモンテロ様が逃げるまでの時間稼ぎをするのだ。カハッ」
「たっ隊長ーーーーーー!?!?隊長が射抜かれた。もうおしまいだーーーー」
左右の弓櫓からも城壁に矢が降り注ぐ。
「外の弓櫓が制圧されたのか。ど、どうしたら」
「副隊長、早く指示を。今のここの責任者は。カハッ」
「ひぃぃぃぃぃ。全軍この場から逃げるのだ。逃げるのだ」
城壁の兵が動いたのを見たスナイプ・ハンターは、ポンチョ・ヨコヅナに聞こえるように弓鳴りの矢で、合図を送る。
「ポンチョ隊長、合図です」
「セル、了解でごわす。皆ば、ここは間も無く死地となるでごわす。足がすくむこともあるでごわす。おいどんの背を見て、仲間を信じて戦い抜くでごわす」
「ヨコヅナ隊、戦闘体制に移行!辛い時は師匠の背を見て、付いてきてください。行くぞ」
最初に飛び出してきたのは、城壁にいた弓兵たちである。
しかし、腰の剣以外、メイン武器も持たず裸足で逃げ出したような奴らである。
腰の剣を抜く前に、次々と槍で貫かれる。
「俺だって、俺だって、モンテロ様の正規兵何だぞ。オラァ!剣が剣が抜けねぇ。タンマタンマタンマだって、言ってんだろうガハッ」
「ハァハァハァ。やってやったぞコラァ!何が正規兵だ!俺たちはサブロー様の親衛隊だオラァ!」
戦場において、最初の1人を殺せるかという問題はよく聞く。
それは何故か。
誰だろうと好き好んで、人を殺したい人間なんていないからである。
だが、戦場において躊躇すれば、それは己に突き刺す剣となって返ってくる。
だから最初の1人を殺せるかが大事なのである。
全員がこの課題を達成した。
その上で、誰も死体を漁ったりという浅ましい行為は行わなかった。
それをすれば、サブロー・ハインリッヒに対する世間の見方に影響すると全員が理解していたのである。
1
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説
転生受験生の教科書チート生活 ~その知識、学校で習いましたよ?~
hisa
ファンタジー
受験生の少年が、大学受験前にいきなり異世界に転生してしまった。
自称天使に与えられたチートは、社会に出たら役に立たないことで定評のある、学校の教科書。
戦争で下級貴族に成り上がった脳筋親父の英才教育をくぐり抜けて、少年は知識チートで生きていけるのか?
教科書の力で、目指せ異世界成り上がり!!
※なろうとカクヨムにそれぞれ別のスピンオフがあるのでそちらもよろしく!
※第5章に突入しました。
※小説家になろう96万PV突破!
※カクヨム68万PV突破!
※令和4年10月2日タイトルを『転生した受験生の異世界成り上がり 〜生まれは脳筋な下級貴族家ですが、教科書の知識だけで成り上がってやります〜』から変更しました
勇者のハーレムパーティを追放された男が『実は別にヒロインが居るから気にしないで生活する』ような物語(仮)
石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが
別に気にも留めていなかった。
元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、彼には時期的にやりたい事があったからだ。
リヒトのやりたかった事、それは、元勇者のレイラが奴隷オークションに出されると聞き、それに参加する事だった。
この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。
勿論ヒロインもチートはありません。
そんな二人がどうやって生きていくか…それがテーマです。
他のライトノベルや漫画じゃ主人公になれない筈の二人が主人公、そんな物語です。
最近、感想欄から『人間臭さ』について書いて下さった方がいました。
確かに自分の原点はそこの様な気がしますので書き始めました。
タイトルが実はしっくりこないので、途中で代えるかも知れません。
俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
転生して異世界の第7王子に生まれ変わったが、魔力が0で無能者と言われ、僻地に追放されたので自由に生きる。
黒ハット
ファンタジー
ヤクザだった大宅宗一35歳は死んで記憶を持ったまま異世界の第7王子に転生する。魔力が0で魔法を使えないので、無能者と言われて王族の籍を抜かれ僻地の領主に追放される。魔法を使える事が分かって2回目の人生は前世の知識と魔法を使って領地を発展させながら自由に生きるつもりだったが、波乱万丈の人生を送る事になる
異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!
夜間救急事務受付
ファンタジー
仕事中、気がつくと知らない世界にいた 佐藤 惣一郎(サトウ ソウイチロウ)
安く買った、視力の悪い奴隷の少女に、瓶の底の様な分厚いメガネを与えると
めちゃめちゃ強かった!
気軽に読めるので、暇つぶしに是非!
涙あり、笑いあり
シリアスなおとぼけ冒険譚!
異世界ラブ冒険ファンタジー!
異日本戦国転生記
越路遼介
ファンタジー
五十五歳の消防士、冨沢秀雄は火災指令が入り、出場の準備をしていたところ心不全でこの世を去ることに。しかし目覚めてみれば、戦国時代の武蔵の国に少年に若返って転生していた。でも、この戦国時代は何かおかしい。闘気と法力が存在する和風ファンタジーの世界だった。秀雄にはこの世界に心当たりがあった。生前プレイしていた『異日本戦国転生記』というゲームアプリの世界だと。しかもシナリオは史実に沿ったものではなく『戦国武将、夢の共演』で大祝鶴姫と伊達政宗が同じ時代にいる世界。作太郎と名を改めた秀雄は戦国三英傑、第十三代将軍足利義輝とも出会い、可愛い嫁たちと戦国乱世を生きていく!
※ この小説は『小説家になろう』にも掲載しています。
ユニークスキルで異世界マイホーム ~俺と共に育つ家~
楠富 つかさ
ファンタジー
地震で倒壊した我が家にて絶命した俺、家入竜也は自分の死因だとしても家が好きで……。
そんな俺に転生を司る女神が提案してくれたのは、俺の成長に応じて育つ異空間を創造する力。この力で俺は生まれ育った家を再び取り戻す。
できれば引きこもりたい俺と異世界の冒険者たちが織りなすソード&ソーサリー、開幕!!
第17回ファンタジー小説大賞にエントリーしました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる