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2章 オダ郡を一つにまとめる
77話 演説
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2日目までと違い3日目の今日は祭りが終わってもその場から解散を命じられなかった祭りの参加者たちは、ソワソワしていた。
「なぁ、横綱さん。俺たちは、あんまり良い成績を取れてねぇ。頼む。サブロー様の近衛に選ばれんのが確実なアンタに頭下げるしか俺たちが上を夢見ることはできねぇんだ」
「おいどんはそんなこと思わないでごわす。サブロー様は、祭りに参加してくれた皆のことを褒めていたでごわす。それにおいどんの口添えで、近衛に任命されるような者をサブロー様は信じないのでは無いでごわすか?」
「うっ。でもよ。俺たちには、もうこれしかねぇんだ。確かに前の領主様より暮らしは良くなってる。だけどよ目の届かないところでは、蔑みがあんだ。でもよ。俺たちがサブロー様の近衛になれりゃ」
「それは違うと思います。その考えだと権力で縛り付ける側に回りたいかのように聞こえます。そうじゃ無いですよね?」
「セ、セル!?と、当然だろうが、俺たちはアイツらを守って」
「確かにサブロー様の目の届かない範囲では未だに蔑みや差別が続いてる地域もあるでしょう。でも、その大半は、日和見を決めていた貴族の勢力地域です。彼らもバッカス卿の言葉で考えを改めるでしょう。ほんの少しの前進かもしれない。でも、これだけは言えます。確実に暮らしは良くなります。僕たちがサブロー様に協力したいという気持ちが大事なのでは無いかと。それにサブロー様は、先程、ここにいる皆を士卒として迎えると」
「それは、観客へのリップサービスかもしれねぇ」
「サブロー様は、そのようなことを為さる方では無い!我々が動物たちの狩りで、多くの者が亡くなると相談した時、この弓という兵士だけが使っているのを無償で提供してくれたのだ。俺は、これを貰った時からいつか皆のためにあの方に恩返しをしたいと考えていた。あの方の言葉が心に響くのは、そのどれもが真剣に向き合っているからだ」
「スナイプ殿の言う通りでごわす。おいどんの村も作物の実りが悪くなって困っていたところを二毛作なる方法を教えてもらって、実り溢れる土地となったでごわす」
「お前らは面識があっても俺らは今日が初めてだ。俺たちは、お前らのような農民や商人じゃねぇ。奴隷の子供は奴隷として育てられた者たちだ。不安になるのも仕方ねぇだろ」
「私たちも女ですのに、本当に取り立てて貰えるのかしら」
口々と不安をあらわにする祭りの参加者たちを前にサブロー・ハインリッヒが現れる。
「ザワザワと何か不安に思っていることもあるだろう。ワシが聞いてやろう」
「りょ領主様!?その、何でもしますからどうか俺たちを雇ってください。お願いします。追い出されたら行く宛なんてどこも」
「雇う?追い出す?何を言ってるのだうぬらは?ワシは、先程、民の前で宣言したであろう。お前たちは今日より我が臣下だ。だが、配属先が変わることを伝えねばならん」
「へっ!?」
「ここに集まった兵をワシ、レイヴァンド卿、フロレンス卿、グロスター卿、ヴェルトハイム卿の5人で300づつ分ける事となった。だが、安心せよ4人は、ワシの重臣である。皆のことを大切に預かり立派な兵として育ててくれるだろうと言ってやりたかったのだが、明朝、ここに敵将の1人、モンテロ・ハルトが攻めてくることがわかった。うぬらには、このまま備えに加わってもらいたい。今すぐは、無理だと申す者は遠慮なく申し出るが良い。戦う覚悟のできたものは、武器を取れ!戦ぞ!」
祭りの参加者たちは、サブロー・ハインリッヒの言葉に戸惑った。
だが、誰1人としてその場を離れる者こそ居なかった。
それを肯定と取ったサブロー・ハインリッヒの目配せで、先ずはロー・レイヴァンドが300人を選んで連れて行く。
次にハンネス・フロレンスが300人を選んで連れて行く。
次にルイス・ヴェルトハイムが300人を選んで連れて行った。
そして、ゴルド・グロスターは。
「オルテガにリリアーナだったな」
「あっはい。俺がオルテガです」
「わ、私がリリアーナです」
「そう緊張するな。俺の名はゴルド・グロスター。わかりやすい言葉で言うなら」
「マジカルキラーのグロスター卿!」
「マジカル王国の魔法師を相手に単身で乗り込み多くを叩き斬ったと噂の!」
「ガッハッハ。なんだかむず痒いものだ。お前たちを預かりたい。俺の元で学ぶ覚悟はあるか?」
「ぜ、是非!」
「お役に立てるか分かりませんが」
「そう卑下することはない。俺は、祭りをずっと見ていた。その上でお前たちを預けて欲しいと殿に頼んだのだ。ようこそグロスター家へ。愛する者同士、助け合い決して死ぬで無いぞ」
オルテガとリリアーナが返事をした。
そして最後にサブロー・ハインリッヒが残った300人を。
その中には横綱を始めとして、セル・マーケット、スナイプ・ハンター、ウマスキなどの面々が揃っていた。
「最後にここにいるお前たち全員に名を与える。好きな名を名乗るが良い。名前で悩んだのなら例えば、ジャガ・イモとかニン・ジンとかでも構わん。どんな名前であれ呼び名とは双方にとって大事なものなのだ。味方としては、把握しやすくなるだけでなく、自らを鼓舞する対象にもなる。敵としては名をあげた呼び名は何れ畏怖の対象となる。ワシの配下となる全員に名を名乗ることを許可する。励め」
変な名前で思い出すといえば、ワシは子供達の幼名で、随分と適当な名前を付けた。
ワシが育った日の本では、子供が死ぬ確率が異常に高かったのだ。
そのため、ワシは子供達が地獄の閻魔に嫌われるような適当な名前を付けて、願掛けをしたものだ。
フッ。
親というのは、子に幸せであって欲しいといつも願っているものだ。
第六天魔王などと呼ばれ畏れられたワシですらな。
「なぁ、横綱さん。俺たちは、あんまり良い成績を取れてねぇ。頼む。サブロー様の近衛に選ばれんのが確実なアンタに頭下げるしか俺たちが上を夢見ることはできねぇんだ」
「おいどんはそんなこと思わないでごわす。サブロー様は、祭りに参加してくれた皆のことを褒めていたでごわす。それにおいどんの口添えで、近衛に任命されるような者をサブロー様は信じないのでは無いでごわすか?」
「うっ。でもよ。俺たちには、もうこれしかねぇんだ。確かに前の領主様より暮らしは良くなってる。だけどよ目の届かないところでは、蔑みがあんだ。でもよ。俺たちがサブロー様の近衛になれりゃ」
「それは違うと思います。その考えだと権力で縛り付ける側に回りたいかのように聞こえます。そうじゃ無いですよね?」
「セ、セル!?と、当然だろうが、俺たちはアイツらを守って」
「確かにサブロー様の目の届かない範囲では未だに蔑みや差別が続いてる地域もあるでしょう。でも、その大半は、日和見を決めていた貴族の勢力地域です。彼らもバッカス卿の言葉で考えを改めるでしょう。ほんの少しの前進かもしれない。でも、これだけは言えます。確実に暮らしは良くなります。僕たちがサブロー様に協力したいという気持ちが大事なのでは無いかと。それにサブロー様は、先程、ここにいる皆を士卒として迎えると」
「それは、観客へのリップサービスかもしれねぇ」
「サブロー様は、そのようなことを為さる方では無い!我々が動物たちの狩りで、多くの者が亡くなると相談した時、この弓という兵士だけが使っているのを無償で提供してくれたのだ。俺は、これを貰った時からいつか皆のためにあの方に恩返しをしたいと考えていた。あの方の言葉が心に響くのは、そのどれもが真剣に向き合っているからだ」
「スナイプ殿の言う通りでごわす。おいどんの村も作物の実りが悪くなって困っていたところを二毛作なる方法を教えてもらって、実り溢れる土地となったでごわす」
「お前らは面識があっても俺らは今日が初めてだ。俺たちは、お前らのような農民や商人じゃねぇ。奴隷の子供は奴隷として育てられた者たちだ。不安になるのも仕方ねぇだろ」
「私たちも女ですのに、本当に取り立てて貰えるのかしら」
口々と不安をあらわにする祭りの参加者たちを前にサブロー・ハインリッヒが現れる。
「ザワザワと何か不安に思っていることもあるだろう。ワシが聞いてやろう」
「りょ領主様!?その、何でもしますからどうか俺たちを雇ってください。お願いします。追い出されたら行く宛なんてどこも」
「雇う?追い出す?何を言ってるのだうぬらは?ワシは、先程、民の前で宣言したであろう。お前たちは今日より我が臣下だ。だが、配属先が変わることを伝えねばならん」
「へっ!?」
「ここに集まった兵をワシ、レイヴァンド卿、フロレンス卿、グロスター卿、ヴェルトハイム卿の5人で300づつ分ける事となった。だが、安心せよ4人は、ワシの重臣である。皆のことを大切に預かり立派な兵として育ててくれるだろうと言ってやりたかったのだが、明朝、ここに敵将の1人、モンテロ・ハルトが攻めてくることがわかった。うぬらには、このまま備えに加わってもらいたい。今すぐは、無理だと申す者は遠慮なく申し出るが良い。戦う覚悟のできたものは、武器を取れ!戦ぞ!」
祭りの参加者たちは、サブロー・ハインリッヒの言葉に戸惑った。
だが、誰1人としてその場を離れる者こそ居なかった。
それを肯定と取ったサブロー・ハインリッヒの目配せで、先ずはロー・レイヴァンドが300人を選んで連れて行く。
次にハンネス・フロレンスが300人を選んで連れて行く。
次にルイス・ヴェルトハイムが300人を選んで連れて行った。
そして、ゴルド・グロスターは。
「オルテガにリリアーナだったな」
「あっはい。俺がオルテガです」
「わ、私がリリアーナです」
「そう緊張するな。俺の名はゴルド・グロスター。わかりやすい言葉で言うなら」
「マジカルキラーのグロスター卿!」
「マジカル王国の魔法師を相手に単身で乗り込み多くを叩き斬ったと噂の!」
「ガッハッハ。なんだかむず痒いものだ。お前たちを預かりたい。俺の元で学ぶ覚悟はあるか?」
「ぜ、是非!」
「お役に立てるか分かりませんが」
「そう卑下することはない。俺は、祭りをずっと見ていた。その上でお前たちを預けて欲しいと殿に頼んだのだ。ようこそグロスター家へ。愛する者同士、助け合い決して死ぬで無いぞ」
オルテガとリリアーナが返事をした。
そして最後にサブロー・ハインリッヒが残った300人を。
その中には横綱を始めとして、セル・マーケット、スナイプ・ハンター、ウマスキなどの面々が揃っていた。
「最後にここにいるお前たち全員に名を与える。好きな名を名乗るが良い。名前で悩んだのなら例えば、ジャガ・イモとかニン・ジンとかでも構わん。どんな名前であれ呼び名とは双方にとって大事なものなのだ。味方としては、把握しやすくなるだけでなく、自らを鼓舞する対象にもなる。敵としては名をあげた呼び名は何れ畏怖の対象となる。ワシの配下となる全員に名を名乗ることを許可する。励め」
変な名前で思い出すといえば、ワシは子供達の幼名で、随分と適当な名前を付けた。
ワシが育った日の本では、子供が死ぬ確率が異常に高かったのだ。
そのため、ワシは子供達が地獄の閻魔に嫌われるような適当な名前を付けて、願掛けをしたものだ。
フッ。
親というのは、子に幸せであって欲しいといつも願っているものだ。
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