56 / 166
2章 オダ郡を一つにまとめる
56話 的当てトーナメントの開始
しおりを挟む
上位100名による的当てトーナメント戦が始まった。
100名の中に飛び入り参した数名の女性のうち5人とスナイプ・ハンターが村から連れてきた5人の女性が参加していた。
総勢1100人ほどが参加して、女性が上位に10人残っている。
これは、凄いことだ。
この世界での女性の地位は低い。
独身女性には、自由も名前も与えられず。
既婚女性には、男性が名付けするという男尊女卑の精神が強い。
勿論、結婚した女が戦に出たり、外で働くなど以ての外、家庭に入って家を守れという。
独身女性の扱いはもっと酷い。
よくて、商人の家での下働き。
悪くて、男の性欲と性癖をぶつけられるだけ。
日の本における遊郭よりもよっぽど酷い環境の中、働かされるのだ。
そんな世界だ。
ワシはそれを徹底的に破壊していくつもりだ。
女性が働いて何が悪い?
男の全てを受け入れ、子供を産むだけの機械だとでも思っておるのか?
そんな世界は、壊してやる。
さて、脱線してしまったが面白いことにギリギリ100位に相撲で活躍した少年の名前がマリーによって呼ばれる。
「100位に10点でセル・マーケット様。以上100名によるトーナメント戦となります。形式上は、トーナメント戦と言っていますが全員90メートルからスタートしていき10メートルづつ距離が遠くなっていく中で、的に当たらなかったものから脱落していきます。ですが先程と違い、3射のうち1射でも的の何処かを射抜くことができれば、次に進めますので、皆様の奮闘を期待しております。それでは、トーナメント戦、スタートの前に若様から一言賜りたいと思います。若様、宜しいでしょうか?」
マリーの奴め気の利いたことを。
さて、挨拶してやるとしよう。
「マリーよ。挨拶の機会をくれたこと礼を言う。さて、総勢1100人による予選、実に楽しく拝見させてもらった。予選を突破した100名の中に10名の女性がいること実に嬉しく思う。それにセルよ。ギリギリでの突破だからなどと卑下することはない。お前に魅了されている者もいるのだからな。ところでワシは、女であろうと才があれば取り立てたいと考えている。この結果次第では、新しく弓部隊の増設も考えている。トーナメント戦を楽しみにしている。是非、ここにいる頭の固い貴族どもを唸らせてやってくれ。誰のことを言っているかは、己が1番わかっているだろうがな。では、皆の奮闘を期待する」
ワシは、俯いてばかりのセルを少し激励してやった。
他の者には、贔屓しているように見えたかもしれんがアイツにはそれだけ目と期待をかけているということだ。
横綱の補佐として、新設する重装歩兵隊の副官に任命するつもりだ。
賢いアイツなら横綱の補佐ができよう。
さて、先程の言葉で、突っかからずに日和見していた貴族どもがどう出るか見ものだな。
ワシは、己で考えず風見鶏でどっち付かずの奴は信用できんと考えている。
その際たるがあの日和見の貴族どもだ。
ちなみに99位と100位の点数差だが、何と70店ほど離れている。
要は、70メートルと90メートルを当てられなかったのは、セルだけなのだ。
そんなセルが緊張の面持ちで、弓を構えて、精神を集中させている。
そして、相撲の時と違いこの時間騒いでいけないことを感じた観客の領民たちは、その様子を固唾を飲んで見守っていた。
セル・マーケットは、心の中で何度も何度も呟いていた。
僕ならできる。
僕ならできる。
自分に負けちゃダメだ。
自分に負けちゃ。
「ふぅ~」
大きく息を吐いて放った1射目は、的を大きく逸れて、手前に落下した。
領民たちはため息こそつくが騒ぐことなくその様子を見ている。
そんな中、日和見していた貴族は笑っていた。
「フハハハハ。所詮、それが商人としての限界だよチミ。僕ちんの兵が出ていたら相撲での活躍もなかったかもしれないがね。諦めて、降参したまえよ」
その言葉にカチンときたのは、セル・マーケットに黄色い声援を送り続けていた女性だった。
「アンタ、さっきからうっさいのよ!どこの坊ちゃんか知りませんけどここには頑張っている人を嘲笑う人間なんて、居ないのよ!とっとと出ていきなさいよ!」
この言葉を皮切りに領民たちがそのいかにも貴族の息子丸出しのガキに言葉をぶつける。そんな中、領民に混じって、的確なことをいったのは、ゴルド・グロスターである。
「そうだ。先程、サブロー様の言っていた貴族とはお前のような奴のことだ。思うところのあった貴族は、皆、あそこで頑張る領民を見守っておった。貴様は、アイツの集中力を乱そうとしたのだ!貴様のように領民を貶めようとする者を貴様とは言わん!このままここに居ようとサブロー様に重用されることはないだろう。とっとと出ていくのだな」
ワシが求める貴族の手本を見せ、領民たちの前に守るように立ち塞がったゴルド・グロスターに領民たちからも称賛の声が上がる。
これに耐えきれなくなった坊ちゃん貴族はというと。
「ケッ。こんな甘ちゃんたちなんて、こちらから願い下げだね。僕ちんを敵に回したことをきっと後悔させてあげるよ」
そんな捨て台詞を吐いて、去っていった。
だが、そんなこと全く意に介さず集中力を高めていたセルは、落ち着きを取り戻し、見守る領民たちの前で、2射目を放つのだった。
100名の中に飛び入り参した数名の女性のうち5人とスナイプ・ハンターが村から連れてきた5人の女性が参加していた。
総勢1100人ほどが参加して、女性が上位に10人残っている。
これは、凄いことだ。
この世界での女性の地位は低い。
独身女性には、自由も名前も与えられず。
既婚女性には、男性が名付けするという男尊女卑の精神が強い。
勿論、結婚した女が戦に出たり、外で働くなど以ての外、家庭に入って家を守れという。
独身女性の扱いはもっと酷い。
よくて、商人の家での下働き。
悪くて、男の性欲と性癖をぶつけられるだけ。
日の本における遊郭よりもよっぽど酷い環境の中、働かされるのだ。
そんな世界だ。
ワシはそれを徹底的に破壊していくつもりだ。
女性が働いて何が悪い?
男の全てを受け入れ、子供を産むだけの機械だとでも思っておるのか?
そんな世界は、壊してやる。
さて、脱線してしまったが面白いことにギリギリ100位に相撲で活躍した少年の名前がマリーによって呼ばれる。
「100位に10点でセル・マーケット様。以上100名によるトーナメント戦となります。形式上は、トーナメント戦と言っていますが全員90メートルからスタートしていき10メートルづつ距離が遠くなっていく中で、的に当たらなかったものから脱落していきます。ですが先程と違い、3射のうち1射でも的の何処かを射抜くことができれば、次に進めますので、皆様の奮闘を期待しております。それでは、トーナメント戦、スタートの前に若様から一言賜りたいと思います。若様、宜しいでしょうか?」
マリーの奴め気の利いたことを。
さて、挨拶してやるとしよう。
「マリーよ。挨拶の機会をくれたこと礼を言う。さて、総勢1100人による予選、実に楽しく拝見させてもらった。予選を突破した100名の中に10名の女性がいること実に嬉しく思う。それにセルよ。ギリギリでの突破だからなどと卑下することはない。お前に魅了されている者もいるのだからな。ところでワシは、女であろうと才があれば取り立てたいと考えている。この結果次第では、新しく弓部隊の増設も考えている。トーナメント戦を楽しみにしている。是非、ここにいる頭の固い貴族どもを唸らせてやってくれ。誰のことを言っているかは、己が1番わかっているだろうがな。では、皆の奮闘を期待する」
ワシは、俯いてばかりのセルを少し激励してやった。
他の者には、贔屓しているように見えたかもしれんがアイツにはそれだけ目と期待をかけているということだ。
横綱の補佐として、新設する重装歩兵隊の副官に任命するつもりだ。
賢いアイツなら横綱の補佐ができよう。
さて、先程の言葉で、突っかからずに日和見していた貴族どもがどう出るか見ものだな。
ワシは、己で考えず風見鶏でどっち付かずの奴は信用できんと考えている。
その際たるがあの日和見の貴族どもだ。
ちなみに99位と100位の点数差だが、何と70店ほど離れている。
要は、70メートルと90メートルを当てられなかったのは、セルだけなのだ。
そんなセルが緊張の面持ちで、弓を構えて、精神を集中させている。
そして、相撲の時と違いこの時間騒いでいけないことを感じた観客の領民たちは、その様子を固唾を飲んで見守っていた。
セル・マーケットは、心の中で何度も何度も呟いていた。
僕ならできる。
僕ならできる。
自分に負けちゃダメだ。
自分に負けちゃ。
「ふぅ~」
大きく息を吐いて放った1射目は、的を大きく逸れて、手前に落下した。
領民たちはため息こそつくが騒ぐことなくその様子を見ている。
そんな中、日和見していた貴族は笑っていた。
「フハハハハ。所詮、それが商人としての限界だよチミ。僕ちんの兵が出ていたら相撲での活躍もなかったかもしれないがね。諦めて、降参したまえよ」
その言葉にカチンときたのは、セル・マーケットに黄色い声援を送り続けていた女性だった。
「アンタ、さっきからうっさいのよ!どこの坊ちゃんか知りませんけどここには頑張っている人を嘲笑う人間なんて、居ないのよ!とっとと出ていきなさいよ!」
この言葉を皮切りに領民たちがそのいかにも貴族の息子丸出しのガキに言葉をぶつける。そんな中、領民に混じって、的確なことをいったのは、ゴルド・グロスターである。
「そうだ。先程、サブロー様の言っていた貴族とはお前のような奴のことだ。思うところのあった貴族は、皆、あそこで頑張る領民を見守っておった。貴様は、アイツの集中力を乱そうとしたのだ!貴様のように領民を貶めようとする者を貴様とは言わん!このままここに居ようとサブロー様に重用されることはないだろう。とっとと出ていくのだな」
ワシが求める貴族の手本を見せ、領民たちの前に守るように立ち塞がったゴルド・グロスターに領民たちからも称賛の声が上がる。
これに耐えきれなくなった坊ちゃん貴族はというと。
「ケッ。こんな甘ちゃんたちなんて、こちらから願い下げだね。僕ちんを敵に回したことをきっと後悔させてあげるよ」
そんな捨て台詞を吐いて、去っていった。
だが、そんなこと全く意に介さず集中力を高めていたセルは、落ち着きを取り戻し、見守る領民たちの前で、2射目を放つのだった。
1
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる