56 / 140
2章 オダ郡を一つにまとめる
56話 的当てトーナメントの開始
しおりを挟む
上位100名による的当てトーナメント戦が始まった。
100名の中に飛び入り参した数名の女性のうち5人とスナイプ・ハンターが村から連れてきた5人の女性が参加していた。
総勢1100人ほどが参加して、女性が上位に10人残っている。
これは、凄いことだ。
この世界での女性の地位は低い。
独身女性には、自由も名前も与えられず。
既婚女性には、男性が名付けするという男尊女卑の精神が強い。
勿論、結婚した女が戦に出たり、外で働くなど以ての外、家庭に入って家を守れという。
独身女性の扱いはもっと酷い。
よくて、商人の家での下働き。
悪くて、男の性欲と性癖をぶつけられるだけ。
日の本における遊郭よりもよっぽど酷い環境の中、働かされるのだ。
そんな世界だ。
ワシはそれを徹底的に破壊していくつもりだ。
女性が働いて何が悪い?
男の全てを受け入れ、子供を産むだけの機械だとでも思っておるのか?
そんな世界は、壊してやる。
さて、脱線してしまったが面白いことにギリギリ100位に相撲で活躍した少年の名前がマリーによって呼ばれる。
「100位に10点でセル・マーケット様。以上100名によるトーナメント戦となります。形式上は、トーナメント戦と言っていますが全員90メートルからスタートしていき10メートルづつ距離が遠くなっていく中で、的に当たらなかったものから脱落していきます。ですが先程と違い、3射のうち1射でも的の何処かを射抜くことができれば、次に進めますので、皆様の奮闘を期待しております。それでは、トーナメント戦、スタートの前に若様から一言賜りたいと思います。若様、宜しいでしょうか?」
マリーの奴め気の利いたことを。
さて、挨拶してやるとしよう。
「マリーよ。挨拶の機会をくれたこと礼を言う。さて、総勢1100人による予選、実に楽しく拝見させてもらった。予選を突破した100名の中に10名の女性がいること実に嬉しく思う。それにセルよ。ギリギリでの突破だからなどと卑下することはない。お前に魅了されている者もいるのだからな。ところでワシは、女であろうと才があれば取り立てたいと考えている。この結果次第では、新しく弓部隊の増設も考えている。トーナメント戦を楽しみにしている。是非、ここにいる頭の固い貴族どもを唸らせてやってくれ。誰のことを言っているかは、己が1番わかっているだろうがな。では、皆の奮闘を期待する」
ワシは、俯いてばかりのセルを少し激励してやった。
他の者には、贔屓しているように見えたかもしれんがアイツにはそれだけ目と期待をかけているということだ。
横綱の補佐として、新設する重装歩兵隊の副官に任命するつもりだ。
賢いアイツなら横綱の補佐ができよう。
さて、先程の言葉で、突っかからずに日和見していた貴族どもがどう出るか見ものだな。
ワシは、己で考えず風見鶏でどっち付かずの奴は信用できんと考えている。
その際たるがあの日和見の貴族どもだ。
ちなみに99位と100位の点数差だが、何と70店ほど離れている。
要は、70メートルと90メートルを当てられなかったのは、セルだけなのだ。
そんなセルが緊張の面持ちで、弓を構えて、精神を集中させている。
そして、相撲の時と違いこの時間騒いでいけないことを感じた観客の領民たちは、その様子を固唾を飲んで見守っていた。
セル・マーケットは、心の中で何度も何度も呟いていた。
僕ならできる。
僕ならできる。
自分に負けちゃダメだ。
自分に負けちゃ。
「ふぅ~」
大きく息を吐いて放った1射目は、的を大きく逸れて、手前に落下した。
領民たちはため息こそつくが騒ぐことなくその様子を見ている。
そんな中、日和見していた貴族は笑っていた。
「フハハハハ。所詮、それが商人としての限界だよチミ。僕ちんの兵が出ていたら相撲での活躍もなかったかもしれないがね。諦めて、降参したまえよ」
その言葉にカチンときたのは、セル・マーケットに黄色い声援を送り続けていた女性だった。
「アンタ、さっきからうっさいのよ!どこの坊ちゃんか知りませんけどここには頑張っている人を嘲笑う人間なんて、居ないのよ!とっとと出ていきなさいよ!」
この言葉を皮切りに領民たちがそのいかにも貴族の息子丸出しのガキに言葉をぶつける。そんな中、領民に混じって、的確なことをいったのは、ゴルド・グロスターである。
「そうだ。先程、サブロー様の言っていた貴族とはお前のような奴のことだ。思うところのあった貴族は、皆、あそこで頑張る領民を見守っておった。貴様は、アイツの集中力を乱そうとしたのだ!貴様のように領民を貶めようとする者を貴様とは言わん!このままここに居ようとサブロー様に重用されることはないだろう。とっとと出ていくのだな」
ワシが求める貴族の手本を見せ、領民たちの前に守るように立ち塞がったゴルド・グロスターに領民たちからも称賛の声が上がる。
これに耐えきれなくなった坊ちゃん貴族はというと。
「ケッ。こんな甘ちゃんたちなんて、こちらから願い下げだね。僕ちんを敵に回したことをきっと後悔させてあげるよ」
そんな捨て台詞を吐いて、去っていった。
だが、そんなこと全く意に介さず集中力を高めていたセルは、落ち着きを取り戻し、見守る領民たちの前で、2射目を放つのだった。
100名の中に飛び入り参した数名の女性のうち5人とスナイプ・ハンターが村から連れてきた5人の女性が参加していた。
総勢1100人ほどが参加して、女性が上位に10人残っている。
これは、凄いことだ。
この世界での女性の地位は低い。
独身女性には、自由も名前も与えられず。
既婚女性には、男性が名付けするという男尊女卑の精神が強い。
勿論、結婚した女が戦に出たり、外で働くなど以ての外、家庭に入って家を守れという。
独身女性の扱いはもっと酷い。
よくて、商人の家での下働き。
悪くて、男の性欲と性癖をぶつけられるだけ。
日の本における遊郭よりもよっぽど酷い環境の中、働かされるのだ。
そんな世界だ。
ワシはそれを徹底的に破壊していくつもりだ。
女性が働いて何が悪い?
男の全てを受け入れ、子供を産むだけの機械だとでも思っておるのか?
そんな世界は、壊してやる。
さて、脱線してしまったが面白いことにギリギリ100位に相撲で活躍した少年の名前がマリーによって呼ばれる。
「100位に10点でセル・マーケット様。以上100名によるトーナメント戦となります。形式上は、トーナメント戦と言っていますが全員90メートルからスタートしていき10メートルづつ距離が遠くなっていく中で、的に当たらなかったものから脱落していきます。ですが先程と違い、3射のうち1射でも的の何処かを射抜くことができれば、次に進めますので、皆様の奮闘を期待しております。それでは、トーナメント戦、スタートの前に若様から一言賜りたいと思います。若様、宜しいでしょうか?」
マリーの奴め気の利いたことを。
さて、挨拶してやるとしよう。
「マリーよ。挨拶の機会をくれたこと礼を言う。さて、総勢1100人による予選、実に楽しく拝見させてもらった。予選を突破した100名の中に10名の女性がいること実に嬉しく思う。それにセルよ。ギリギリでの突破だからなどと卑下することはない。お前に魅了されている者もいるのだからな。ところでワシは、女であろうと才があれば取り立てたいと考えている。この結果次第では、新しく弓部隊の増設も考えている。トーナメント戦を楽しみにしている。是非、ここにいる頭の固い貴族どもを唸らせてやってくれ。誰のことを言っているかは、己が1番わかっているだろうがな。では、皆の奮闘を期待する」
ワシは、俯いてばかりのセルを少し激励してやった。
他の者には、贔屓しているように見えたかもしれんがアイツにはそれだけ目と期待をかけているということだ。
横綱の補佐として、新設する重装歩兵隊の副官に任命するつもりだ。
賢いアイツなら横綱の補佐ができよう。
さて、先程の言葉で、突っかからずに日和見していた貴族どもがどう出るか見ものだな。
ワシは、己で考えず風見鶏でどっち付かずの奴は信用できんと考えている。
その際たるがあの日和見の貴族どもだ。
ちなみに99位と100位の点数差だが、何と70店ほど離れている。
要は、70メートルと90メートルを当てられなかったのは、セルだけなのだ。
そんなセルが緊張の面持ちで、弓を構えて、精神を集中させている。
そして、相撲の時と違いこの時間騒いでいけないことを感じた観客の領民たちは、その様子を固唾を飲んで見守っていた。
セル・マーケットは、心の中で何度も何度も呟いていた。
僕ならできる。
僕ならできる。
自分に負けちゃダメだ。
自分に負けちゃ。
「ふぅ~」
大きく息を吐いて放った1射目は、的を大きく逸れて、手前に落下した。
領民たちはため息こそつくが騒ぐことなくその様子を見ている。
そんな中、日和見していた貴族は笑っていた。
「フハハハハ。所詮、それが商人としての限界だよチミ。僕ちんの兵が出ていたら相撲での活躍もなかったかもしれないがね。諦めて、降参したまえよ」
その言葉にカチンときたのは、セル・マーケットに黄色い声援を送り続けていた女性だった。
「アンタ、さっきからうっさいのよ!どこの坊ちゃんか知りませんけどここには頑張っている人を嘲笑う人間なんて、居ないのよ!とっとと出ていきなさいよ!」
この言葉を皮切りに領民たちがそのいかにも貴族の息子丸出しのガキに言葉をぶつける。そんな中、領民に混じって、的確なことをいったのは、ゴルド・グロスターである。
「そうだ。先程、サブロー様の言っていた貴族とはお前のような奴のことだ。思うところのあった貴族は、皆、あそこで頑張る領民を見守っておった。貴様は、アイツの集中力を乱そうとしたのだ!貴様のように領民を貶めようとする者を貴様とは言わん!このままここに居ようとサブロー様に重用されることはないだろう。とっとと出ていくのだな」
ワシが求める貴族の手本を見せ、領民たちの前に守るように立ち塞がったゴルド・グロスターに領民たちからも称賛の声が上がる。
これに耐えきれなくなった坊ちゃん貴族はというと。
「ケッ。こんな甘ちゃんたちなんて、こちらから願い下げだね。僕ちんを敵に回したことをきっと後悔させてあげるよ」
そんな捨て台詞を吐いて、去っていった。
だが、そんなこと全く意に介さず集中力を高めていたセルは、落ち着きを取り戻し、見守る領民たちの前で、2射目を放つのだった。
1
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる