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1章 第六天魔王、異世界に降り立つ
19話 迎撃策
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サブローと無事合流することができたロー、ヤス、タンダザークは、姿の違うマリーに驚きその説明を受ける。
「若、このドジ娘がエルフと呼ばれる亜人族とおっしゃられるのだな?俄には信じられぬがこの異様な姿、我らと異なることはわかるが。しかし」
「サブロー様、俺は気にしませんよ。元々奴隷っていう最下層の人間です。エルフでもなんでも受け入れますよ。この危機を脱せれるなら」
「坊ちゃんは、妙なのを惹きつけますなぁ。しかし、あの足の速かった嬢ちゃんがエルフとは。驚きはするがあの速さは人間離れしてたし納得もできやす、か」
皆、エルフという言葉には引っかからないことから耳長族だとワシが思っていたのがどうやらエルフという亜人であることは周知の事実であるということか。やれやれ、元の世界で聞き覚えのない言葉は、理解するまで難しいな。
「まぁ、そのなんだ。ワシは、マリーがどのような姿でも変わらず家臣だと考えておる。エルフと呼ばれる亜人であったとしてもな」
サブローの言葉を受けて、ローは理解を示す。
「若がそう言われるのでしたら何も異論はござらん。それにしてもあのおっちょこちょいの典型的だったお主がエルフであったとはな。よく隠し切れたものだと感心している」
「ロー様、嘘を吐き続けたこと申し訳ありません」
「何、マリーにも何か事情があってのことなのだろう。謝る必要はない」
「ありがとうございます」
ローはマリーの気持ちを慮り、それ以上謝る必要はないとそれに対してマリーは御礼を言う。
「マリー殿、模擬戦の時みたいに此度も頼りにしてます」
「ヤス様にそう言われると頑張らなければなりませんね」
ヤスは心強い味方を得たと手を差し出し握手を求め、マリーもそれに応えて握手を交わす。
「しかし、マジカル王国の人間だけが魔法を使えるものだとばかり思ってやしたが、あの魔法の威力を見たものとしては、複雑な気もしやすな」
「あんな、紛い物と一緒だと思ったら大間違いなんですからね!」
「ゲゲゲ、あれよりも高威力でやすか?それはちと心に悪いでやすな」
「高威力?紛い物の魔法など軽く打ち砕ける程度ですよ」
魔法を直に見たタンダザークは顔を引き攣らせながらマリーと言葉を交わし、紛い物呼ばわりされて、さらに顔を青くしていた。
「マリーよ。タンザクをそう虐めてやるな。うぬの魔法はこの後見せてやれ良いのだからな」
「はい。若様」
サブローは、比べられたことに腹を立てたマリーに詰め寄られているタンダザークに助け舟をだすと同時にマリーには、発破をかけておく。
「しかし若、ここはハザマオカでしたな?このような建築物などなかったはずだが?」
「うむ。マリーの魔法で簡易で作った砦じゃ」
「魔法で作った砦?」
ロー爺のこの反応からも分かる通りどうやらこちらの世界では防衛設備というものは無いようだ。これは利用すれば我らにとって大きな力となろう。
「うむ。このように相手から攻め込まれにくい地形にはこのような砦と呼ばれる防衛拠点を築いて置くと敵をより深く足止めできるのだ。嘘だと思うのならそこの櫓を登って見てみるが良い」
ロー、ヤス、タンダザークの3人が登って眼下を覗き込み驚きの声を上げる。上から見れば、この丘の罠の構造が一目瞭然なのだ。枝分かれしたルートの片方が行き着く先は開けた窪地なのだが格好の狩場となるだろうことが容易に想像できる。さらにそこへ誘導するための落石罠まで設置しているのだ。一体この丘をどれだけの兵が居たら攻略できるのだろうと。
「若、この戦勝てますぞ!」
「このような地形を利用して計算された罠を張り巡らせるとは、流石サブロー様です」
「いや坊ちゃんの戦術の凄さは、あの時見せてもらったけどよ。こりゃハッキリ言ってやばいぜ。少なくとも俺が敵なら絶対に登りたくねぇな」
「エッヘン、作ったのは私なんですからもっと褒めても良いのですよ」
勝利を確信するロー。その叡智に畏怖しながらもおだてるヤス。遠回しに味方で良かったと伝えてくるタンダザーク。作ったのは私よとドヤ顔のマリー。
「まぁ弱点もあるのだがな」
「弱点とは?一見、どこにもそんなものは見当たらないが」
「俺の方も思い当たりませんね」
「こっちもさっぱりだぜ」
わからないという3人にその答えを教えるサブロー。
「簡単な話だ。1つ、ここを登らず我らを無視して通り抜けられれば、全くの意味はない。2つ、相手がこれを見て罠に敏感な場合、兵を複数分けて被害を最小限にしながら登りきるであろうな」
「若、1つ目に関しては、流石に敵も大将首を前にして、それはあり得ないとは思いますが。成程、2つ目は、攻略方法としては正しい気がしますな」
「まぁ限りなく低くとも可能性として0でない限り、その可能性もあるということを視野に入れなければならない」
「いくらサブロー様でも、まさか?」
「うむ。ヤスよ。無論、兵を分けた場合も考えている。ワシは相手の行動をいくつも予測しておるからな」
「サブロー様なら間違いはありません」
「坊ちゃんが1番、おっかねぇや」
「その歳でそれだけの知謀。若、我らは指示に従いますぞ」
一片の迷いもなく信頼の言葉をかけるヤス。顔を引き攣らせながら戦術の高さにドン引きしているタンダザーク。サブローの智謀を褒め称えるロー。迎撃の確認をして、3日経った眼下には、3千のナバル郡とタルカ郡の連合軍が現れたのである。
「若、このドジ娘がエルフと呼ばれる亜人族とおっしゃられるのだな?俄には信じられぬがこの異様な姿、我らと異なることはわかるが。しかし」
「サブロー様、俺は気にしませんよ。元々奴隷っていう最下層の人間です。エルフでもなんでも受け入れますよ。この危機を脱せれるなら」
「坊ちゃんは、妙なのを惹きつけますなぁ。しかし、あの足の速かった嬢ちゃんがエルフとは。驚きはするがあの速さは人間離れしてたし納得もできやす、か」
皆、エルフという言葉には引っかからないことから耳長族だとワシが思っていたのがどうやらエルフという亜人であることは周知の事実であるということか。やれやれ、元の世界で聞き覚えのない言葉は、理解するまで難しいな。
「まぁ、そのなんだ。ワシは、マリーがどのような姿でも変わらず家臣だと考えておる。エルフと呼ばれる亜人であったとしてもな」
サブローの言葉を受けて、ローは理解を示す。
「若がそう言われるのでしたら何も異論はござらん。それにしてもあのおっちょこちょいの典型的だったお主がエルフであったとはな。よく隠し切れたものだと感心している」
「ロー様、嘘を吐き続けたこと申し訳ありません」
「何、マリーにも何か事情があってのことなのだろう。謝る必要はない」
「ありがとうございます」
ローはマリーの気持ちを慮り、それ以上謝る必要はないとそれに対してマリーは御礼を言う。
「マリー殿、模擬戦の時みたいに此度も頼りにしてます」
「ヤス様にそう言われると頑張らなければなりませんね」
ヤスは心強い味方を得たと手を差し出し握手を求め、マリーもそれに応えて握手を交わす。
「しかし、マジカル王国の人間だけが魔法を使えるものだとばかり思ってやしたが、あの魔法の威力を見たものとしては、複雑な気もしやすな」
「あんな、紛い物と一緒だと思ったら大間違いなんですからね!」
「ゲゲゲ、あれよりも高威力でやすか?それはちと心に悪いでやすな」
「高威力?紛い物の魔法など軽く打ち砕ける程度ですよ」
魔法を直に見たタンダザークは顔を引き攣らせながらマリーと言葉を交わし、紛い物呼ばわりされて、さらに顔を青くしていた。
「マリーよ。タンザクをそう虐めてやるな。うぬの魔法はこの後見せてやれ良いのだからな」
「はい。若様」
サブローは、比べられたことに腹を立てたマリーに詰め寄られているタンダザークに助け舟をだすと同時にマリーには、発破をかけておく。
「しかし若、ここはハザマオカでしたな?このような建築物などなかったはずだが?」
「うむ。マリーの魔法で簡易で作った砦じゃ」
「魔法で作った砦?」
ロー爺のこの反応からも分かる通りどうやらこちらの世界では防衛設備というものは無いようだ。これは利用すれば我らにとって大きな力となろう。
「うむ。このように相手から攻め込まれにくい地形にはこのような砦と呼ばれる防衛拠点を築いて置くと敵をより深く足止めできるのだ。嘘だと思うのならそこの櫓を登って見てみるが良い」
ロー、ヤス、タンダザークの3人が登って眼下を覗き込み驚きの声を上げる。上から見れば、この丘の罠の構造が一目瞭然なのだ。枝分かれしたルートの片方が行き着く先は開けた窪地なのだが格好の狩場となるだろうことが容易に想像できる。さらにそこへ誘導するための落石罠まで設置しているのだ。一体この丘をどれだけの兵が居たら攻略できるのだろうと。
「若、この戦勝てますぞ!」
「このような地形を利用して計算された罠を張り巡らせるとは、流石サブロー様です」
「いや坊ちゃんの戦術の凄さは、あの時見せてもらったけどよ。こりゃハッキリ言ってやばいぜ。少なくとも俺が敵なら絶対に登りたくねぇな」
「エッヘン、作ったのは私なんですからもっと褒めても良いのですよ」
勝利を確信するロー。その叡智に畏怖しながらもおだてるヤス。遠回しに味方で良かったと伝えてくるタンダザーク。作ったのは私よとドヤ顔のマリー。
「まぁ弱点もあるのだがな」
「弱点とは?一見、どこにもそんなものは見当たらないが」
「俺の方も思い当たりませんね」
「こっちもさっぱりだぜ」
わからないという3人にその答えを教えるサブロー。
「簡単な話だ。1つ、ここを登らず我らを無視して通り抜けられれば、全くの意味はない。2つ、相手がこれを見て罠に敏感な場合、兵を複数分けて被害を最小限にしながら登りきるであろうな」
「若、1つ目に関しては、流石に敵も大将首を前にして、それはあり得ないとは思いますが。成程、2つ目は、攻略方法としては正しい気がしますな」
「まぁ限りなく低くとも可能性として0でない限り、その可能性もあるということを視野に入れなければならない」
「いくらサブロー様でも、まさか?」
「うむ。ヤスよ。無論、兵を分けた場合も考えている。ワシは相手の行動をいくつも予測しておるからな」
「サブロー様なら間違いはありません」
「坊ちゃんが1番、おっかねぇや」
「その歳でそれだけの知謀。若、我らは指示に従いますぞ」
一片の迷いもなく信頼の言葉をかけるヤス。顔を引き攣らせながら戦術の高さにドン引きしているタンダザーク。サブローの智謀を褒め称えるロー。迎撃の確認をして、3日経った眼下には、3千のナバル郡とタルカ郡の連合軍が現れたのである。
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