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最終章 第三幕
16話 アンドレが歪んだ理由
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ダスティルの前にも1人の男が立ち塞がる。
「おぅ。オメェら。よう頑張ったな。そいつの相手はしたらあかんで消されるからな。ほらとっととアンドレ様の元に戻って、クレオへの道を切り開いてこんかい」
「了解しました。隊長」
「隊長?」
「せや。俺の名前は229や」
「成程、元は俺と同じと言うことか」
「せや。アンドレ様に名前をもらったんやけどペラペラ喋るもんやあらへん。さぁ楽しませてくれやダスティルはん」
「望むところだ」
そして、クレオの元にアンドレが到達する。
「クレオがいたぞー」
「クレオ様を守れ」
「グワァー」
「久しぶりだな玲王」
「こんな世界でもお前と会うとはな留目」
「義父さんだろ」
「何か変わったな。昔はそう言ったら遠慮なく殴られた」
「そうだな。お前はいつからこの世界に?」
「15年前だ」
「そっかお前が亡くなって49日。そうか現実世界では3日の流れがここでは1年なのか」
「49日?」
「あぁ、、俺が朱莉を殺した日さ」
「母さんを殺した日?」
「朱莉はな。俺が大聖を殺したことを知ってたのさ」
「父さんを殺した?父さんは事故死のはずだ」
「あぁ、そう報道されてたな。名誉の殉職。英雄だとな。あの鉄骨を切り、大聖に直撃させたのは俺なんだ」
「お前は、俺をどれだけ苦しめれば気が済むんだ。そんなことを今明かして、俺の怒りを煽っているのか。俺がまた自滅するように」
「いや、そうじゃねぇんだ。俺はお前らに謝りたかったんだ。そんなことに今更気付くなんてな。大聖はヒーローだ紛れもなくな。俺にはあいつの纏う光は眩しかった。俺が大聖と朱莉に出会ったのは中学の頃だ。当時の俺は死神ホールディングスの次期社長ってことでよ。周りからチヤホヤされて、女も向こうから寄って来た。そんな俺が惚れたのが朱莉だった。今思えばアイツの権力者に媚びないって信念に惹かれてたのかも知れねぇな。俺に平手打ちかます。そういうことするような女なんて居なかったからな。だから俺はどうしても手に入れたいと思った。だから邪魔者だった大聖を排除するためにイジメを行った。でもよ返り討ちにあったんだ。アイツはミニカメラで証拠を撮っていて、それを親父に送った。親父は俺を転校させることで話を付けた」
「自業自得じゃねぇか」
「あぁ、そうだな。俺が悪い。だが、何でも手に入れて来た俺だ。その頃から大聖への恨みがあったんだろう。そんな俺が親父の裏稼業を知ったのは親父が亡くなった日だ」
「裏稼業?」
「あぁ、暗殺を生業としてたんだ。親父は俺にそのことを言わなかった。当時の俺は何でそんな大事なことを言わなかったんだよと棺に向かって、言葉を投げかけた。子供だったんだ。36にもなってよ。今ならわかる親父が俺に裏稼業のことを言わなかったのは俺に自分と同じ道を進ませたくなかったからだ。だが俺は裏稼業を継いだ。そして最初のターゲットを偶然見かけた大聖に決めたのさ。裏稼業を継ごうとしている人間が人を殺したこともないんじゃ箔がつかねぇ」
「何で父さんだったんだよ?」
「本当に偶然だった。偶然あの事件があった現場に来ていた。いや違うな。俺は人を殺すのが怖くて怖くて仕方なかったんだろう。きっとあの燃えるビルを見て、死ねると思ったのかも知れねぇ。そこで見かけた俺と違い人生を謳歌している大聖に嫉妬したんだろう。気付いた時には、鉄骨を切って、それが大聖に直撃してたよ。結果的に人を殺した俺は暗殺稼業に邁進することになった」
「何で踏みとどまらなかったんだよ」
「あぁ、そうだな。そんな俺の元に愛しい朱莉が再婚して欲しいって、来たんだよ。お前を連れてな」
「母さんはお前に復讐するために?」
「そうだろうな。でもそんなことを知らない俺は愛しい人が転がり込んでハッピーだったわけだ。初めはお前のことも愛そうとしたんだ」
「確かに、お前は初めから俺に対して暴力を振るったりしなかった。それが酷くなったのは中学に上がってからだ」
「あぁ、お前は覚えてないだろうが。俺は朱莉を強引に襲ったことがある。その時に朱莉が襖が開いてる。玲王が見てるからやめてってそう言ったんだ。嫌いな奴に抱かれたくない咄嗟の防衛本能だったんだろう。だが俺には、玲王がいるから無理なのに聞こえたんだ。それからだよ。俺がお前を追い出すために陰湿なことをやり始めたのは」
「どうしてリリをシチューに」
「あの犬はお前を虐めると俺を睨み付け吠えやがったからな。いっそのこと玲王の胃袋に収まった方がいいって思ってな」
「俺、あの時すごく嬉しかったんだ。義父さんが俺のために料理してくれたんだって。でも絶望に落とされたよ。あの時だよ。僕もお前に復讐しよって考えたのは」
「あぁ、そうだよな。大事にしてた犬をシチューにして食わそうとしたんだ。今ならよくわかるよ」
「どうして、今過去の話をするんだ?」
「言っただろう。俺は謝りたかったんだ。玲王、遅くなったが本当にすまなかった。さぁ、これがお前の大事にしてた犬だけでなく両親も殺した男だ。転生しても変わらなかった男だ。決着を付けよう」
「いや、お前は変わったよ。変えてくれて人がいるんだろう。でもリリだけじゃなくて母さんや父さんも殺したと聞いてお前を許せるほど俺は人間ができてない。受けて立つよ義父さん。いやアンドレ」
「あぁ、そうだな。玲王。いやクレオよ」
クレオとアンドレによる最後の一騎打ちが幕を開ける。
「おぅ。オメェら。よう頑張ったな。そいつの相手はしたらあかんで消されるからな。ほらとっととアンドレ様の元に戻って、クレオへの道を切り開いてこんかい」
「了解しました。隊長」
「隊長?」
「せや。俺の名前は229や」
「成程、元は俺と同じと言うことか」
「せや。アンドレ様に名前をもらったんやけどペラペラ喋るもんやあらへん。さぁ楽しませてくれやダスティルはん」
「望むところだ」
そして、クレオの元にアンドレが到達する。
「クレオがいたぞー」
「クレオ様を守れ」
「グワァー」
「久しぶりだな玲王」
「こんな世界でもお前と会うとはな留目」
「義父さんだろ」
「何か変わったな。昔はそう言ったら遠慮なく殴られた」
「そうだな。お前はいつからこの世界に?」
「15年前だ」
「そっかお前が亡くなって49日。そうか現実世界では3日の流れがここでは1年なのか」
「49日?」
「あぁ、、俺が朱莉を殺した日さ」
「母さんを殺した日?」
「朱莉はな。俺が大聖を殺したことを知ってたのさ」
「父さんを殺した?父さんは事故死のはずだ」
「あぁ、そう報道されてたな。名誉の殉職。英雄だとな。あの鉄骨を切り、大聖に直撃させたのは俺なんだ」
「お前は、俺をどれだけ苦しめれば気が済むんだ。そんなことを今明かして、俺の怒りを煽っているのか。俺がまた自滅するように」
「いや、そうじゃねぇんだ。俺はお前らに謝りたかったんだ。そんなことに今更気付くなんてな。大聖はヒーローだ紛れもなくな。俺にはあいつの纏う光は眩しかった。俺が大聖と朱莉に出会ったのは中学の頃だ。当時の俺は死神ホールディングスの次期社長ってことでよ。周りからチヤホヤされて、女も向こうから寄って来た。そんな俺が惚れたのが朱莉だった。今思えばアイツの権力者に媚びないって信念に惹かれてたのかも知れねぇな。俺に平手打ちかます。そういうことするような女なんて居なかったからな。だから俺はどうしても手に入れたいと思った。だから邪魔者だった大聖を排除するためにイジメを行った。でもよ返り討ちにあったんだ。アイツはミニカメラで証拠を撮っていて、それを親父に送った。親父は俺を転校させることで話を付けた」
「自業自得じゃねぇか」
「あぁ、そうだな。俺が悪い。だが、何でも手に入れて来た俺だ。その頃から大聖への恨みがあったんだろう。そんな俺が親父の裏稼業を知ったのは親父が亡くなった日だ」
「裏稼業?」
「あぁ、暗殺を生業としてたんだ。親父は俺にそのことを言わなかった。当時の俺は何でそんな大事なことを言わなかったんだよと棺に向かって、言葉を投げかけた。子供だったんだ。36にもなってよ。今ならわかる親父が俺に裏稼業のことを言わなかったのは俺に自分と同じ道を進ませたくなかったからだ。だが俺は裏稼業を継いだ。そして最初のターゲットを偶然見かけた大聖に決めたのさ。裏稼業を継ごうとしている人間が人を殺したこともないんじゃ箔がつかねぇ」
「何で父さんだったんだよ?」
「本当に偶然だった。偶然あの事件があった現場に来ていた。いや違うな。俺は人を殺すのが怖くて怖くて仕方なかったんだろう。きっとあの燃えるビルを見て、死ねると思ったのかも知れねぇ。そこで見かけた俺と違い人生を謳歌している大聖に嫉妬したんだろう。気付いた時には、鉄骨を切って、それが大聖に直撃してたよ。結果的に人を殺した俺は暗殺稼業に邁進することになった」
「何で踏みとどまらなかったんだよ」
「あぁ、そうだな。そんな俺の元に愛しい朱莉が再婚して欲しいって、来たんだよ。お前を連れてな」
「母さんはお前に復讐するために?」
「そうだろうな。でもそんなことを知らない俺は愛しい人が転がり込んでハッピーだったわけだ。初めはお前のことも愛そうとしたんだ」
「確かに、お前は初めから俺に対して暴力を振るったりしなかった。それが酷くなったのは中学に上がってからだ」
「あぁ、お前は覚えてないだろうが。俺は朱莉を強引に襲ったことがある。その時に朱莉が襖が開いてる。玲王が見てるからやめてってそう言ったんだ。嫌いな奴に抱かれたくない咄嗟の防衛本能だったんだろう。だが俺には、玲王がいるから無理なのに聞こえたんだ。それからだよ。俺がお前を追い出すために陰湿なことをやり始めたのは」
「どうしてリリをシチューに」
「あの犬はお前を虐めると俺を睨み付け吠えやがったからな。いっそのこと玲王の胃袋に収まった方がいいって思ってな」
「俺、あの時すごく嬉しかったんだ。義父さんが俺のために料理してくれたんだって。でも絶望に落とされたよ。あの時だよ。僕もお前に復讐しよって考えたのは」
「あぁ、そうだよな。大事にしてた犬をシチューにして食わそうとしたんだ。今ならよくわかるよ」
「どうして、今過去の話をするんだ?」
「言っただろう。俺は謝りたかったんだ。玲王、遅くなったが本当にすまなかった。さぁ、これがお前の大事にしてた犬だけでなく両親も殺した男だ。転生しても変わらなかった男だ。決着を付けよう」
「いや、お前は変わったよ。変えてくれて人がいるんだろう。でもリリだけじゃなくて母さんや父さんも殺したと聞いてお前を許せるほど俺は人間ができてない。受けて立つよ義父さん。いやアンドレ」
「あぁ、そうだな。玲王。いやクレオよ」
クレオとアンドレによる最後の一騎打ちが幕を開ける。
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