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最終章 第三幕
12話 フタゴ砦の陥落
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フタゴ砦、魔王国に迫る最後の砦であるこの大きな砦は、元々は左右別々の個々からなっている。難攻不落の要塞と化すためにアンドレは、この大きな二つの砦を合わせて、自由に行き来できるようにした。そして、このフタゴ砦の総兵数は30万、2人の大将軍により鉄壁を誇っていた。
「兄貴~どうやら魔頂村の奴らがここに迫ってるらしいぜ」
「ほぅ。ヤマハダ砦を落とすとは見事よな。ここを抜かれれば我ら兄弟を徴用してくれたアンドレ様に申し訳が立たぬ。何としても死守するぞ」
「当たり前だぜ」
フタゴ砦に双子の兄弟。左の砦を守る将は、レフト。右の砦を守る将は、ライト。フタゴ砦の守護神ライレフ兄弟である。30万対30万である。圧倒的不利な局面にクレオは策を持って攻略にあたる。
「良し、相手の兵数を左右に均等に振り分けることができたな」
中央のクレオがその場で何かを作り始める。
「親父殿、いったい何を作っておられるのです」
「なーに中に入るのに、あの兄弟な壁を登る必要なんて無いよ。既にシュテンにもダスティルにも待機を命じてるし。サモン、リン、弓兵を用意しておいて、面白いのを見せてあげるからさ」
リンはここに残っていた。ダスティルがあまりにも心配するのでそうなった。
「クレオ様は、役目をくださいますから。嬉しいです。エルフ弓兵を見繕っておきます」
「親父殿、心得た」
クレオが作ってるのは、鉄で作った自動で動く井闌車である。何でもかんでも壁のように高くしていたら要塞ってわけじゃ無い。確かにあの高さから放たれる弓を受けながら真正面の城門を打ち壊そうとしたら甚大な被害が出る。ならどうするか。より上を取れば良い。同じ高さなら弓が届く範囲も威力も落ちる。まぁそれでも危険なことには変わりないのだが。それでも真正面から城門を叩くよりは被害を相当軽微にできる。この自動式井闌車をなんと10台作り。わずかな隙間からスケルトン弓兵とエルフ弓兵による攻撃で城門上に配置された弓兵を排除する。もちろんそれだけでは無い。なんとクレオは壊されても問題ない自動式の衝車まで作り城門に向かわせた。壊したらダスティルやシュテンが流れ込む予定だ。
「なんだあのどでかいものはどうやって動いてやがる。接敵させんじゃねぇ。壊せ壊せ」
弓は鉄の壁に阻まれ、木ではないが炎で燃やされると暑くなると考えて、耐熱素材も使用した。壊すことのできない完璧な井闌車だ。だが接敵はしない。弓の届く範囲に到着すると一斉に弓が飛んでくる。
「ギャァ」
そこら中から弓を受けた魔族の悲鳴が聞こえる。この現状にライレフ兄弟は全く対応できていない。それもそうだ。この世界に巨大な壁の上をいく機械の存在など無かったのだから。そうクレオは完全に相手を手玉に取り、フタゴ砦を攻略する策を立てていたのだ。
「まさか、このようなことが可能なのか。壊すこともできぬ鉄の箱型兵器。どうせよというのだ」
もう一つライレフ兄弟にとって、誤算だったのが。本来矢を避けるための矢避けなるものがあるのだが、この高さだから下からの弓は届かないと配置されていなかったのだ。それは即ち、井闌車からの弓が全て、魔族たちにヒットすることを意味していた。なす術なくその場で倒れる魔族弓兵たち。
「ええい、あの鉄の箱をなんとかするんじゃ」
「兄貴、ダメだ。一度下に引くべきだ。体勢を整えないと」
「馬鹿者、そうすれば上は制圧される。何としても阻止せねば」
「わかった。なら兄貴は上を頼む。俺が下にいって、体勢を整えるからよ」
「頼むぞレフト」
「あぁ任せてくれ」
結果的にレフトが下に降りて正解だった。その頃下では、相手の弓による攻撃が機能しなくなったことにより、門に衝車が取り付き攻撃を始めていたのだ。轟音がなり、城門が開かないように止めている板が悲鳴をあげていた。
「おいおいマジかよ。この要塞は難攻不落だぞ。上だけでなく下もって、マジかよ。こんなのとアンドレ様は対峙しようってのか。お前ら。ついてこい城門を死守するぞ」
「オオオオ」
ほっておいてもフタゴ砦の陥落は目に見えていた。上は相手の弓兵が減るにつれ井闌車が前進し、橋をかけるに至る。そうライレフ兄弟のもう一つの誤算がこのフタゴ砦に近接の魔族兵を置いていなかったことである。落とされないという絶対的な自信といってもあまりにもおざなりである。入られたらほぼ制圧は完了したもの。これも全て、ヒカリからもたらされた配置図のおかげであった。ここに弓兵しかいないことを知っていたクレオはそれを徹底的に排除する方向に動いたのだ。城門が開き、シュテンとダスティルが突入し、ライレフ兄弟は捕縛される。
「ええい離さぬか馬鹿者」
「こんな馬鹿な話があるかよ」
「あるんだよ。どうも魔頂村の村長クレオです」
「お前が」
「こんなガキに、やられたっていうのか。クソクソクソ」
「降る気は無い?」
「フン。そこまで落ちぶれておらんわ」
「忠臣は2君に仕えず。首を切られよ」
この砦は統率もきちんとしていた。奴隷もいなかった。この2人の人材を失うのは惜しいが仕方がない。
「二人の意思を尊重する。遺体は丁重に弔ってやるのだ」
「感謝する」
「心遣いに」
2人の大将軍の死により、フタゴ砦は陥落し。魔王城に至る道が確保される。
「兄貴~どうやら魔頂村の奴らがここに迫ってるらしいぜ」
「ほぅ。ヤマハダ砦を落とすとは見事よな。ここを抜かれれば我ら兄弟を徴用してくれたアンドレ様に申し訳が立たぬ。何としても死守するぞ」
「当たり前だぜ」
フタゴ砦に双子の兄弟。左の砦を守る将は、レフト。右の砦を守る将は、ライト。フタゴ砦の守護神ライレフ兄弟である。30万対30万である。圧倒的不利な局面にクレオは策を持って攻略にあたる。
「良し、相手の兵数を左右に均等に振り分けることができたな」
中央のクレオがその場で何かを作り始める。
「親父殿、いったい何を作っておられるのです」
「なーに中に入るのに、あの兄弟な壁を登る必要なんて無いよ。既にシュテンにもダスティルにも待機を命じてるし。サモン、リン、弓兵を用意しておいて、面白いのを見せてあげるからさ」
リンはここに残っていた。ダスティルがあまりにも心配するのでそうなった。
「クレオ様は、役目をくださいますから。嬉しいです。エルフ弓兵を見繕っておきます」
「親父殿、心得た」
クレオが作ってるのは、鉄で作った自動で動く井闌車である。何でもかんでも壁のように高くしていたら要塞ってわけじゃ無い。確かにあの高さから放たれる弓を受けながら真正面の城門を打ち壊そうとしたら甚大な被害が出る。ならどうするか。より上を取れば良い。同じ高さなら弓が届く範囲も威力も落ちる。まぁそれでも危険なことには変わりないのだが。それでも真正面から城門を叩くよりは被害を相当軽微にできる。この自動式井闌車をなんと10台作り。わずかな隙間からスケルトン弓兵とエルフ弓兵による攻撃で城門上に配置された弓兵を排除する。もちろんそれだけでは無い。なんとクレオは壊されても問題ない自動式の衝車まで作り城門に向かわせた。壊したらダスティルやシュテンが流れ込む予定だ。
「なんだあのどでかいものはどうやって動いてやがる。接敵させんじゃねぇ。壊せ壊せ」
弓は鉄の壁に阻まれ、木ではないが炎で燃やされると暑くなると考えて、耐熱素材も使用した。壊すことのできない完璧な井闌車だ。だが接敵はしない。弓の届く範囲に到着すると一斉に弓が飛んでくる。
「ギャァ」
そこら中から弓を受けた魔族の悲鳴が聞こえる。この現状にライレフ兄弟は全く対応できていない。それもそうだ。この世界に巨大な壁の上をいく機械の存在など無かったのだから。そうクレオは完全に相手を手玉に取り、フタゴ砦を攻略する策を立てていたのだ。
「まさか、このようなことが可能なのか。壊すこともできぬ鉄の箱型兵器。どうせよというのだ」
もう一つライレフ兄弟にとって、誤算だったのが。本来矢を避けるための矢避けなるものがあるのだが、この高さだから下からの弓は届かないと配置されていなかったのだ。それは即ち、井闌車からの弓が全て、魔族たちにヒットすることを意味していた。なす術なくその場で倒れる魔族弓兵たち。
「ええい、あの鉄の箱をなんとかするんじゃ」
「兄貴、ダメだ。一度下に引くべきだ。体勢を整えないと」
「馬鹿者、そうすれば上は制圧される。何としても阻止せねば」
「わかった。なら兄貴は上を頼む。俺が下にいって、体勢を整えるからよ」
「頼むぞレフト」
「あぁ任せてくれ」
結果的にレフトが下に降りて正解だった。その頃下では、相手の弓による攻撃が機能しなくなったことにより、門に衝車が取り付き攻撃を始めていたのだ。轟音がなり、城門が開かないように止めている板が悲鳴をあげていた。
「おいおいマジかよ。この要塞は難攻不落だぞ。上だけでなく下もって、マジかよ。こんなのとアンドレ様は対峙しようってのか。お前ら。ついてこい城門を死守するぞ」
「オオオオ」
ほっておいてもフタゴ砦の陥落は目に見えていた。上は相手の弓兵が減るにつれ井闌車が前進し、橋をかけるに至る。そうライレフ兄弟のもう一つの誤算がこのフタゴ砦に近接の魔族兵を置いていなかったことである。落とされないという絶対的な自信といってもあまりにもおざなりである。入られたらほぼ制圧は完了したもの。これも全て、ヒカリからもたらされた配置図のおかげであった。ここに弓兵しかいないことを知っていたクレオはそれを徹底的に排除する方向に動いたのだ。城門が開き、シュテンとダスティルが突入し、ライレフ兄弟は捕縛される。
「ええい離さぬか馬鹿者」
「こんな馬鹿な話があるかよ」
「あるんだよ。どうも魔頂村の村長クレオです」
「お前が」
「こんなガキに、やられたっていうのか。クソクソクソ」
「降る気は無い?」
「フン。そこまで落ちぶれておらんわ」
「忠臣は2君に仕えず。首を切られよ」
この砦は統率もきちんとしていた。奴隷もいなかった。この2人の人材を失うのは惜しいが仕方がない。
「二人の意思を尊重する。遺体は丁重に弔ってやるのだ」
「感謝する」
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