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最終章 第三幕

11話 フタゴ砦の攻略手順と投石での攻撃開始

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 1発放った投石が魔王城に突き刺さった後のこと。クレオは、このヤマハダ砦からの砲撃により魔王城を攻撃することにし、自身は精鋭を連れ残り2つの砦を落とし、魔王城の包囲に取り掛かる。
「ゴブリット、ここは任せたよ。フレイムとメデイアは、ゴブリットの護衛。ハピネスは物資運搬のためここに残す」
「お任せください。クレオ様が2つの砦を落とす頃には魔王城など跡形もなく吹き飛ばしてやりやす」
「任せるボン。近づく奴には業火の炎で焼き尽くしてやるボン」
「クレオ様、どうかご無事で。こちらの心配は入りませんわ」
「オイラたちにも手伝わせてくれ。防衛なら得意なんだ。だからたまに投石機って奴触っても良いか?」
 目をキラキラさせるピーター率いるエルフ少年たち。
「わかったわかった。変なところに当てたらダメだからゴブリットの指示には従うんだよ」
「ヤッタゼ」
「アラナミ、お前には別の任務を与える。魔王城に潜入し、密かに奴隷たちを解放せよ。その後はわかっているな」
「心得ておりますわ。内外から反乱ですわね」
「あぁ、本当の扇動って奴を見せてやれ」
「かしこまりました。シャドウ、ヤチヨ、行くわよ」
「御意」
「はーい」
 アランたちコボルトが動くのを見て、クレオも動き出す。
「次は2つの砦が中で繋がっている。フタゴ砦だ。ここを落とせば魔王城の包囲が完成する。それゆえ、同時攻略が必須だ。シュテンとシーザーはフタゴ砦の右、ダスティルとロッキーはフタゴ砦の左。僕とサモンで双方の援護でとっとと落とすぞ」
「殿、ようやくですなぁ。最後までお供致しますぞ」
「親父殿の御身はこのワシに任せるが良い」
「クレオ様と出会い、俺の運命も好転した。妹との関係やリンとの出会い。その全てをこの槍に乗せましょう」
「クレオ様と出会わなかったら、いつまでも雑魚で識別番号のリザードマンだった。クレオ様が役目を与えて、時には矛にも盾にもなることを教えてくださった。必ずや魔王に打ち勝ちましょうぞ」
「クレオ様と出会い、食事の大事さが身にしみてわかった。そして平和の尊さもな。貴方様こそ我らの王よ。王は2人もいらぬ。魔族の階級制度や人を苗床としてしか考えられぬ愚かな魔王に今こそ鉄槌を与えん」
「皆、燃えるのは良いけど、まだ最終決戦じゃないからね。そういう言葉は最後に取っておくもんだよ。ハハハ。でも、ありがとう。皆の期待に応えるためにもフタゴ砦を落として、魔王城を包囲しよう」
「オオオオオ」
「じゃあ、フタゴ砦に向けて、出陣」
 クレオたちが出発すると魔王城を丸裸にすることを頼まれたゴブリットも動き出す。
「ハピネス、ありったけの石を魔頂村から運んできてくれんか?」
「わかったわ。みんな~行くわよ~」
 ハピネスたちが石の運搬を始める。
「フレイム、ちと面白いことを考えたんやけど聞いてくれんか?」
「なんだボン」
「この石にやで、お前のカケラを詰めたら」
「成程、ボン。ここであの投石爆弾をやるボンね。こんなこともあろうかとみんなからカケラを集めておいたボン」
「流石やなぁ。よっしゃーおっちゃんも張り切って投石攻撃開始やな。はーいエルフの少年たち集まるんや。この2つの投石機はお前たち専用や。隣でおっちゃんが教えたるから遠慮せんとガンガン打ちかましや」
「ヒャッホーい。待ってました~」
「まず狙うんは、捕らえた女たちを苗床として利用してる生産工場の丸裸や。アランたちが動きやすいようにしたらなあかんからな。角度はこの辺で。おーいエルフの少年たち、話聞かんとあかんで。変なところ当てたらあかんからなぁ」
「はーい」
「おぅメデイア良いところに来たなぁ。あれ作ってくれんか?」
「あれ打つつもりなの。まさか?」
「おぅ。やっぱり最初の砲撃はハデに行かんとあかんやろ」
「はいはい。わかったわよ。調合してくるわ。でも、あれはパレード用に開発したのに」
「ええねん。ええねん。そんな細かいこと気にしとったらあかん」
「もうわかったわよ」
「おっちゃんたちって種族バラバラなのに皆仲良いんだね」
「おぅ。そうやなぁ。苦楽を共にした戦友であると共に同じ人を慕ってるって感じや」
「同じ人ってクレオ様?」
「おぅ。そうや。あの方はな。識別番号でしか呼ばれんワイらに名前をくれ。同等に扱ってくれた。今や全員に名前がある。当たり前のことなんや。命は等しく平等や。先代の魔王は、階級制度を作った。魔王、上級魔族、中級魔族、下級魔族、奴隷って感じでな。ワイらは下級魔族。要は使い捨てにされてたんや」
「今は違う?」
「ガッハッハ。クレオ様はな。誰も使い捨てにせん。ワイらはあの人のためにいつでも死ねる。でもな、あん人はそれを望まん。亡くなった1人1人に手を合わせて、サモンにな。スケルトンとして蘇生させるんや。でもな頭のわかるお人やから。あんだけ周りの人を守ることができるんやで。ほらおっちゃんらの話はもうええから。投石攻撃開始しよか」
「うん。オイラたちもクレオ様に救われたから恩返しする」
「そうかそうか。ほな頼むで坊主たち」
 魔王城に投石攻撃が開始された。
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