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最終章 第一幕

第14話 停戦で訛った身体を模擬闘技で解す

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 全世界停戦期間中に身体が鈍ると再三言われたのでスタジアムを建設した。この度第1回模擬闘技を開催する事にした。武器は怪我程度で抑えるために木の武器のみ使用可とし、気絶・ギブアップによる戦闘不能。戦闘継続が難しいと判断した場合の強制終了などを盛り込んだ。来賓としてリグレスト国のザイールとランスホース帝国の元国王ウルゼ、そしてエルフェアリーナ王国の女王エイミー、そしてクレオのファミリーと枝垂桜海洋国家の盟主織田武が呼ばれていた。各国との停戦を禁止されているだけなのでこの場を設け吸血鬼軍総大将のアーロン、枝垂桜海洋国家の盟主織田武、ランスホース帝国の元国王ウルゼ、エルフェアリーナ王国の女王エイミー、リグレスト国の首相ザイールによる魔王に対する共同戦線の場の提供も兼ねていた。この場で模擬大会の前哨戦を飾るのがクレオとアーサーであった。
「この度はお招きいただき感謝致す。枝垂桜海洋国家で盟主をしておる織田武と申す」
「この大会を企画した魔頂村の領主クレオです。ごゆるりと1週間楽しんでください。いつも美味しい海産物を仕入れさせて頂き感謝しています」
「あの味が魔族の中にもわかるものが居て嬉しく思う。泥臭いだのと文句を言うものも多くてな。それゆえ其方となら気が合うと思いイスルギを通して会談の場を設けて欲しいと考えたのだ。このような面白いところに呼んでくださるとは参加してみたい限りよ」
「次回開催する時は、広く募集してみましょうか」
「是非とも」
「あらークレオちゃん、その時にはエルフェアリーナ王国からも屈強なものを出すわよー」
「エイミー女王陛下もよくお越しくださいました」
「停戦の期間に安定している国同士を結びつけるとはクレオちゃんったら案外策士ねー。会談しながら楽しませてもらうわね」
「おぅクレオ。こんなにたくさんの国同士の結びつきの場を考えるとは恐れ入ったぜ。模擬戦の方も楽しみにしている」
「アーロン叔父様、来てくださり嬉しいです。是非楽しんでいってください」
「クレオ殿、この度はこんな場に呼んでくださり感謝いたします。模擬戦の方も楽しみにしています」
「ザイール首相もよく来てくださいました。楽しんでいってください」
「婿殿、楽しみにしておりますぞ」
「ウルゼ義父さんもどうぞ楽しんでいってください」
 一通り来賓との挨拶が終わると開式宣言をするクレオ。
「この度は我が魔頂村における模擬大会にこのような多くの国の来賓の方にお越しいただき感謝致します。死に至る攻撃は無し。武器の使用は木製のみ。怪我したら医療班である僕の従魔のミミ、ホープシティの名医ユタ、吸血鬼軍からはセリアが待機してくれている。皆大いに楽しみ暴れると良い。まずは会場を温めるとしましょう。レディースアンドジェントルメン。魔頂村の領主である僕とランスホース帝国の若き聖騎士アーサーによるエキシビションマッチをここに開催します」
「きゃークレオ様よ~。あんなへなちょこコテンパンにしちゃって~」
「若き聖騎士の力どのようなものか見せてもらうとしよう」
 観客の様々な反応の後アーサーと言葉を交わす。
「おい、こんな大々的なんて聞いてねぇぞ」
「ビビってるんですか?」
「そんなわけねぇだろう。こんなところでお前を叩きのめせばエレインは。グフフ」
「ニヤケヅラはやめてください気持ち悪いです」
「そんな口聞けねぇようにしてやるぜ」
「まぁ楽しませてもらいます。確かに最近身体鈍ってたもので、本戦にも出場予定なのでエキシビションで怪我する訳にもいきませんし」
「もう言葉は不要だ。殴り合いと洒落込もうぜ」
「えぇ。やり合うとしましょう」
 まず仕掛けたのはアーサーだが格闘戦闘は慣れていないのか殴り掛かっているというより駄々っ子パンチをしているような感じだ。一方のクレオはこの世界に来てから格闘戦闘はアリッサに仕込まれ、武器戦闘においてはエレインに仕込まれると言った感じで資格はない。結果など日を見るより明らかだ。そして、クレオには決して油断はない。どんな相手にも全力を尽くすがモットウだ。アーサーのタコ殴りパンチを受け止め。渾身の一撃を腹に決める。
「グハッ」
 口から血を吐き出すアーサー。それでも立ち上がり向かってくるが相変わらずタコ殴りパンチではクレオに届かない今度はクレオによる3連撃を腹に受ける。
「グハッ。ゴフッ。ガハッ」
 なんでこんなに強いんだといった感じでこちらを見つめるアーサーにクレオは続け様に3連撃を入れる構えをしている。
「参った」
「違うよアーサーくん、もっと大きな声でそれに言葉が足らないよ」
 尚も殴るそぶりをやめないクレオに戦慄を覚えたアーサーがはっきり大きな声で言う。
「参りました。エレインのことは諦める」
「はーい、よくできました。証人はここにいる全員だからね。破ったらどうなるかわかるよね」
 クレオはきつめにアーサーを脅しつけておく。
「ぐっわかっている」
「うおおおおおおおおおおおーーーーーー流石領主様だぜ」
「きゃークレオ様~私とも結婚して~」
「聖騎士殿に格闘戦闘は向いていなかったようですねウルゼ王」
「アーロン殿、面目次第も御座いません。このような場であんな恥を晒すとは」
「よいではありませんか?あれで諦めもつくでしょう」
「えぇ、ザイール殿の言うとおり。いつまでも報われない相手に恋をし続けていては事を仕損じると思いますわ。クレオちゃんに勝てるのなんてうちではいるのかしらね。次回開催が楽しみね」
「うむ。あのような兵と戦えるのであれば喜んで参加する者もいような」
「天下無双を誇る枝垂桜海洋国家の者と手合わせできる機会なんて早々ない。次回開催があるのなら実に楽しみだ」
「お集まりの皆様、エキシビションマッチは、楽しんでいただけましたでしょうか?勇敢に参加してくださったアーサー殿に惜しまない拍手をお願いします。それでは、一部のジェントルマンの部を始めたいと思います」
 第一の部が始まるのであった。
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