魔族に転生したので魔族の頂点を目指したいと思います!

揚惇命

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最終章 第一幕

第11話 ささやかな宴

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 まとまったのを見届けたクレオが手を叩く。
「まとまったのならこれから我が邸宅で食事でもどうですか?」
「親父殿の飯は最高だぞ」
「婿殿、お邪魔させていただいて宜しいのか?」
「父上、何言ってんだ。なんでクレオの家で飯なんて」
「アーサーは呼んでないぞ」
「はっ呼ばれたっていかねぇよ」
「そうが残念だなエレインも来るんだけどなぁ」
「まさかお前エレインと食事の席でイチャイチャするつもりか。許せん気が変わった」
「そういうことでしたらザイール首相をお呼びしなければなりませんね。呼んできますね」
 モネさんがザイールを呼びに向かった。間も無くしてザイールたちも合流して、邸宅にてささやかな宴を開く。そこでは懐かしきものたちがテーブルを囲い会話をしていた。僕は久々に聞き耳のスキルを使い耳をすませてみた。
 ザイールとノエルとフィーとティメールとイスルギはシュテンたちオーガと会話していた。
「お久しぶりです。005君、いえ今は確かシュテンという名なのでしたね」
「こりゃあ、間違えたなぁ。ちっちゃかったのにこんなに大きくなっちまいやがって、こりゃあ男どももほっとかないんじゃねぇか?」
「!?。私が女だと気づいていたの?」
「気付いていたの?ってそんな立派なもんぶら下げといてよく言うぜ。はち切れそうじゃねぇか。未だにサラシ巻いてんのか?」
「男ってことにしてるから巻いてないと舐められるから」
「ガハハ。だそうだぜティメール神父?さんよ」
「何故、俺に振るのだ。フィーもう女として振る舞っても良いんじゃないだろうか」
「いやいやいや、ティメールさんよ。アンタも男装してるから助言してやれって意味で話振ったんだがな。男として振る舞うのかい。ガハハ」
「本当に細かいことによく気付くムカつくオーガよね。アンタは」
「お褒めいただき感謝するぜ」
「まさか団長のとこに世話になってたオーガがクレオ殿のところで部隊長になっていて、尚且つそれが元俺のところの傭兵ってんだからどう反応してやらだぜ」
「イスルギの旦那には色々世話になったのに黙っていなくなっちまった悪かったな」
「全くだぜ。まぁ悪いのはオメェじゃなくてアンタを押しつけてった団長だ。気にすんな。まぁ飲もうや」
 トクトクトクと酒を注がれる。シュテンはそれを一気に飲み干す。
「本当相変わらず見事な飲みっぷりだな」
「ホレ、イスルギの旦那も」
「こりゃすまねぇな」
 イスルギの持っていた盃にシュテンが並々と酒を注ぐ。それを一気に飲み干すイスルギ。
「旦那も相変わらず強いじゃねぇか」
「まだまだ若いもんには負けねぇよ」
「流石殿の作った酒だ。美味しかろう」
「あぁ、こんな美味い酒飲んだことねぇよ」
「飲んだくれの男どもはほっとくとして、まぁもうバレてるし言うけどこのように気付く奴もいてるからサラシなんかで隠す必要はないわよ。もう男だ女だと言われるリグレスト国では無くなったのだから」
「わかりました。じゃあこれからは女らしくしてみます」
「えぇ、それが良いわ」
 この後、リグレスト国では衛士になりたがる人が続出したそうだ。その目当ては一際胸が大きく髪をポニーテールで纏めた女性が前線で指揮する部隊だったとか。それどころかそれまで気にも留めていなかったはずの男からの告白も相次いだらしい。だがそのどれも実らないことから思い他人がいるのではないかと密かに噂されることになる。
 ウルゼとモネはサモンと談笑していた。
「兄上、どうしてスケルトンになったのですか?」
「気が付いたらとこうなっていたとつい最近までなら言っていただろうな」
「違うのですか?」
「うむ。モネの言葉を聞いて確信したことがある。サキュバスであるララーナが力を注いでいたとそれがひょっとしたら魔素では無かったのかとインキュバスにでも変えてずっとそばに置いとくつもりだったのでないか。ハッハッハ」
「母は、力を使い果たした後、小さくなりサキュバスだということ以外は忘れておりました。その母を魔王の魔の手から保護してくださった方がいてくださったそうです。その方が娼館セレナーデのオーナーで、今も恩を返すために働いています」
「男の精を吸い取ることで少しづつ過去のことを思い出しているのですが私が娘であることと父様のことは未だに思い出してくれていません」
「モネ、仕方のないことだ。無事でいてるだけで良いと思わねばない。俺もお前も時間はたっぷりあるのだからな」
「えぇ父様のおっしゃる通りですね」
「兄上、なんとかして取り戻す方法は無いのでしょうか?」
「そんなの俺が知りたいくらいではある」
「そう思って、セレナーデのNo. 1とNo.2による御奉仕というプレゼントを提案したのですが結果は」
「そうかその手があったか。あれはまだ続いているが最近はマンネリだとやる気を出せぬものが居るのだ。ワシがその権利を貰いララと交わればもしかしたら何か思い出すやも知れん」
「それは良いかもしれません。最近は熱烈なファンとの相手ばっかりでつまんなーいと喚いていましたし」
「ララーナらしいな。ワシ以外やりたくなーいとか当時も喚いておった。懐かしい話じゃ」
「それにしてもワシの娘であるエレインが婿殿の妻になったのですから兄上からしても婿殿は甥っ子になるのではありませんか?」
「そうだとしてもワシが親父殿を敬愛していてそう呼ぶことに変わりない。それにもう会えぬと思ってあったはずの弟や娘に会えたのだ。これも全て親父殿のお陰であろう」
「そうですなぁ婿殿には感謝しか無い。兄上にもう一度会えたのですからなぁ」
 所々から褒められて耳を真っ赤にするクレオであったがこちらもアーサーと修羅場になりそうな感じだった。
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