魔族に転生したので魔族の頂点を目指したいと思います!

揚惇命

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5章 束の間の平穏

第4話 道路整備

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クレオは魔頂村の面々を集めた。
「これより高台拠点、南の要塞砦と村を結ぶ道路の建築を行う」
「道路?」
「道路は有難い」
魔族のほとんどは道路と聞いてもパッとしないらしくクエスチョンマークを浮かべている。それと違い人間たちは道路をよく知っているらしく一喜一憂している。
「道路と聞いてもパッとしないのも無理はない。今は土だが歩くことにより地ならしされ道となる。これをコンクリートに変えて舗装する」
「コンクリート?」
「舗装?」
これは聞き覚えのない言葉なのか魔族も人間たちもクエスチョンマークを浮かべていた。
「コンクリートとは、骨材を集めたもの。舗装とは、それらを敷き固めることだ」
「まぁなんだかわからないが領主様のやることに間違いはねぇはずだ。俺たちは何すりゃいい?」
「この骨材を詰めた機械を引いて、まずはここから高台拠点までの道を作る。その後、引いたそれを平らに踏み固めて舗装する。これは力の無いものには無理だ。そこでロッキーたちゴーレムに任せる」
「ワシたちが役に立つのであれば喜んでお役に立ちましょうぞ」
「よろしく頼むよ。みんな、じゃあまずはこの機械を引いて一直線に線を引いてくれるかい」
「おぅ、それなら俺たち投降兵たちに任せてくれねぇかい?」
「アンタは確かメデイアの尻追いかけてた兵士か?」
「どう言う覚え方だよ。確かにそうだけどよ」
恥ずかしいのか頭をポリポリと掻いている。
「すまない。だがどうして?」
「繊細な動きに魔族は向いてなさそうだろ。道路についても知らなかったし、それにまた作るってことは一歩間違えれば歩きにくくもなるだろ。その点俺たちなら道路についても良くわかっているからよ」
「有難い申しで感謝します。お名前を聞いても?」
「俺たちももうこの村の一員だ。良くするのに協力するのは当たり前だろ。気にしないでくれ領主様。俺はグィネヴィア隊の副隊長を務めていたシリウスだ」
「ではシリアスたちに任せるよ」
「おぅ大船に乗ったつもりでいな」
「船には乗ったことないなぁ」
「そう言う意味じゃねぇよ。どんと構えてろってことだよ」
「あぁなるほど」
「全く、領主様は先見の明を持ってんのか持ってねぇのか全くわかんねぇな。ランスホース帝国でも道路は石だ。コンクリートなんて初めて聞いたぜ」
「うちにはスケルトンたちがたくさんいるからね。骨は豊富なんだ」
「それってスケルトンたちを殺したってことか?お前えげつないな」
「えっ、そんなことしないよ。スケルトンたちが傷を負った部分の骨を新しいのに変える。彼らは骨の生成もできるからね。その際捨ててた骨をもらってコンクリートを簡単に作ったんだよ」
「成程、こりゃ第1皇子のアーサー様も勝てなかったわけだ。どんなものでも利用する。そんな考えランスホース帝国にいる奴で考えてたのは第2皇子のモルドレッド様ぐらいだ」
「モルドレッドについても詳しいんだね?じゃあ聞きたい事がアーサーとモルドレッドが戦ったとしてどっちが勝つと思う?」
「十中八九モルドレッド様ですね。アーサー様は、赤子のようにボコボコにされるでしょうな」
「やっぱりか?どうすればアーサーが負けないようにできると思う?」
「それなら簡単です。アーサー様に言ってやれば良いのです。エレインを返して欲しければモルドレッドに負けるなとね」
「あの御方はエレイン様にゾッコンなので、嘘でもそういえば奮起して暫くは持つでしょうな」
「アイツ、相当馬鹿だよな?」
「馬鹿ですねぇ。俺はそこに人間味を感じますからモルドレッド様よりは好きですけどね。それに戦の時は聖騎士と言われる御方です。領主様に膝をつかされたのが初めての負けですよ。直情型にさえならなければあの御方も存外やれる御方です」
「良い意見をありがとう。では、道路の件よろしく頼むよ」
「お任せを」
それから程なくして、シリウスたち投降兵が一直線に線を引き、その後ろをロッキーたちが地ならしで踏み鳴らして固める。間も無く、村から高台拠点までの道の建設が完了した。
「良し、次は高台拠点から要塞までと村から要塞までの2箇所に線を引く」
「容量はわかったので、俺たちにも手伝わせてくれ」
「1番繊細に程遠いシーザーにできるのか?」
「それは偏見で酷いですぞクレオ様」
「フフフ、じゃあロッキーたちの代わりに踏み鳴らすのは?」
「殿、その役目我らに任せてもらおう」
「シュテンなら安心だ」
「即答とは。ガハハ。こりゃ期待に応えねばなりますまいな」
「頼んだよ」
高台拠点から要塞までの方をシリウスとロッキーが担当し、村から要塞までの道をシーザーとシュテンが担当した。程なくして、道が完成した。
「最後に村からホープシティまでの道を作る」
「えっ?」
驚くエレイン。
「緩衝地帯であるホープシティを魔頂村に取り込むことにした」
「はっ?」
「殿、それはまずいのではないか?新魔王による戦争行為の禁止をされているのだ」
「戦争なんてしないよ。僕たちは、偶々緩衝地帯に街ができてたから魔王領に取り込んだのだ。違うかい?」
クレオは悪い笑みを浮かべていた。
「成程、それなら咎められませんな」
「クレオ様、悪い顔してますね」
「シュテン、エレイン、今後のことを考えたらホープシティはかなり重要だ。新魔王は恐らくあの手この手で取り込む算段をしてるはず。その前に僕らが掠め取るんだから。こんなに楽しいことはないよ。しかも自分の決めたルールで戦争行為はできないんだよ」
クレオは先ほどよりも悪い笑みを浮かべていた。
「殿、おー怖い怖い」
「私の旦那様で良かったと本当に思う」
村からホープシティまでの線を引き道を作った。そして戻ろうとする僕らにモネさんが話があるとのことだ。どうしたんだろう?いつにもなく焦っている感じだ。
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