13 / 220
1章 転生と吸血鬼を取り巻く情勢
第8話 ウルファスの隠された過去
しおりを挟む
【レオンダイト視点】
「これはウルファスが城にやってきた80年前の話だ」
扉をノックする音が聞こえて、入ってきたのは白狼の女性を肩に抱えた初老でちょいと丸みを帯びた体型をした父上だった。
「父上、おかえりなさいませ。肩の女性は誰ですか?」
「兄貴、親父がその格好ってことは、趣味の女漁りで、今回の決闘の戦利品が肩の女ってことだろうよ」
「レオンダイト、アーロン、1週間ぶりだなぁ。へへへ。アーロンその通りよ。胸と尻がデカくて容姿の良い女は俺の嫁にしないとなぁ。カッカッカッ」
「ヴェルデ、貴方が女を連れ帰ることにはもう何も言いません。言っても無駄だとわかりましたから。でも連れ帰ってきた女の世話をするのはいつも私なのはどうしてなのかしら」
ヴェルデと父上のことを愛しさを込めて呼ぶこのおおらかで優しそうな女性は僕とアーロンの母で、メイリン・ヴラッド。由緒正しきメメント家の純血吸血鬼である。もちろん父上の趣味で選んでるので胸と尻がデカくて容姿が良い。
「メイリン、そんなにカッカッしちゃあいけねぇよ。可愛い顔が台無しだからよ。女の世話は女に任せるのが上手くいく秘訣だろう」
ニタァと笑みを浮かべてそんなことを平然と言ってのける。
「もう、知りません」
可愛いと言われて赤面している母上が短くそれだけ言って、父上の肩で気絶している女性を預かり、ベットに寝かせて女性が起きて暴れて怪我をしないように手と足を慣れた手つきで拘束してから身体を揺すって起こした。
「えっ此処は何処?」
女性はあたりをキョロキョロ見回してまだ初老で丸みを帯びたままの姿の父上を見て恍惚の表情を浮かべた。
「あぁ、貴方様は私の主人から決闘で私を奪い去った殿方」
「俺はヴェルデだ。へぇーこいつは驚いた。お前さん俺が憎くねぇのかい」
「白狼の女性はより強い殿方を好むので、憎くなんてありません。それに悪いのは決闘に負けるような腑抜けの方です。奪われたくなければ勝ち続けるしかないのですから。うっ実はもう子供が産まれそうなんです」
「他人の子供なんざ面倒見れねぇぞ」
「ヴェルデ何を言ってるんですか、これも貴方の傲慢さが招いたことでしょ。子供に罪はありません、レオン、至急王城のはなれに住んでいるキーンを呼んできなさい。事は一刻を争いますよ」
「はいメイリン母上」
驚いた僕は母上の名前まで呼んでいた。そういうと王城のはなれに向かった。
王城は此処からそう遠く無い。
一刻もかからず着いた。
扉をノックしキーン婆やが出てくる。
「あらあらまぁレオン坊ちゃま、こんな夜更けにどうしたのかしら?」
「婆や、大変なんだ。子供が産まれそうな女性がラーキア城にきてるんだ。来て見てあげてほしい」
「あらあら、まぁ子供がそれは大変ですねぇ。では参りましょうアタシの魔法陣の上に立ってくださいな」
僕が魔法陣の上に乗ると婆やは魔法を唱えてラーキア城の正面にワープした。
「婆や今の何?」
「坊っちゃまにしか見せてないのですから他言無用でお願いしますよ」
婆やはそう言って人差し指を口元に持っていってシィーと言った。
僕はそれをみてくすくす笑って、扉をノックした。
「母上、ただいま戻りました」
「お邪魔いたします。メイリン様」
「レオン、ずいぶん早かったのね。キーンよく来てくれたわ。こっちよ」
母上はそういうと僕とキーンを連れて出産室に向かった。
出産室では、父の妻たちが出産室で準備をして寝ている白狼の女性を励ましたり手を握ったりしていた。
「うぅーーー」
「もう少しだからね」「頑張ろうね」「後少しだよ」
といろんな声を女性にかけていた。
キーン婆やが頭と身体が見えているのを確認して、引っ張り出した。
「オギャーーーオギャーーー」
「あらーまぁ可愛い男の子ですよ。よく頑張りましたね。アタシがいなくてもこんなに出産経験者が居たら大丈夫だったわね」
手慣れた手つきで子供の身体を洗い、タオルで包んで、白狼の女性の隣に置いた。
「可愛い、メイリン様が子供には罪がないと言ってくださったおかげで産まれた命です。宜しければ名前を付けてくださいませんか?」
「私にネームセンスは無いから期待しないでね。そうねウルファスなんてどうかしら?」
「ウルファス良い名ですね。ウルファス、貴方の名前はウルファス・レアンドロよ」
「ガキが産まれたか。でもそのガキは魔族が敵対してる狼族だ。匿うなんて真似できねえから捨ててくるしかねぇな」
平然とそんなことをいう父上にムカついた僕は怒りながら言った。
「クソジジイの女癖の悪さが招いた自業自得じゃねぇか。ふざけんじゃねぇぞ。この子供は俺の弟として俺が面倒見るよ。クソジジイには迷惑かけねぇよ。この子の髪を黒に変えて、目を赤目に見えるようにすれば立派な吸血鬼に見えるだろうさ」
「うっ、勝手にしやがれ」
初めて僕に反論され、尚且つ図星をつかれた親父は何も言えず只そう言うだけだった。
僕は寝ているウルファスの御手手に手を当てて握り返してきたこの可愛い新しい弟を守ると誓ったのだ。
「これはウルファスが城にやってきた80年前の話だ」
扉をノックする音が聞こえて、入ってきたのは白狼の女性を肩に抱えた初老でちょいと丸みを帯びた体型をした父上だった。
「父上、おかえりなさいませ。肩の女性は誰ですか?」
「兄貴、親父がその格好ってことは、趣味の女漁りで、今回の決闘の戦利品が肩の女ってことだろうよ」
「レオンダイト、アーロン、1週間ぶりだなぁ。へへへ。アーロンその通りよ。胸と尻がデカくて容姿の良い女は俺の嫁にしないとなぁ。カッカッカッ」
「ヴェルデ、貴方が女を連れ帰ることにはもう何も言いません。言っても無駄だとわかりましたから。でも連れ帰ってきた女の世話をするのはいつも私なのはどうしてなのかしら」
ヴェルデと父上のことを愛しさを込めて呼ぶこのおおらかで優しそうな女性は僕とアーロンの母で、メイリン・ヴラッド。由緒正しきメメント家の純血吸血鬼である。もちろん父上の趣味で選んでるので胸と尻がデカくて容姿が良い。
「メイリン、そんなにカッカッしちゃあいけねぇよ。可愛い顔が台無しだからよ。女の世話は女に任せるのが上手くいく秘訣だろう」
ニタァと笑みを浮かべてそんなことを平然と言ってのける。
「もう、知りません」
可愛いと言われて赤面している母上が短くそれだけ言って、父上の肩で気絶している女性を預かり、ベットに寝かせて女性が起きて暴れて怪我をしないように手と足を慣れた手つきで拘束してから身体を揺すって起こした。
「えっ此処は何処?」
女性はあたりをキョロキョロ見回してまだ初老で丸みを帯びたままの姿の父上を見て恍惚の表情を浮かべた。
「あぁ、貴方様は私の主人から決闘で私を奪い去った殿方」
「俺はヴェルデだ。へぇーこいつは驚いた。お前さん俺が憎くねぇのかい」
「白狼の女性はより強い殿方を好むので、憎くなんてありません。それに悪いのは決闘に負けるような腑抜けの方です。奪われたくなければ勝ち続けるしかないのですから。うっ実はもう子供が産まれそうなんです」
「他人の子供なんざ面倒見れねぇぞ」
「ヴェルデ何を言ってるんですか、これも貴方の傲慢さが招いたことでしょ。子供に罪はありません、レオン、至急王城のはなれに住んでいるキーンを呼んできなさい。事は一刻を争いますよ」
「はいメイリン母上」
驚いた僕は母上の名前まで呼んでいた。そういうと王城のはなれに向かった。
王城は此処からそう遠く無い。
一刻もかからず着いた。
扉をノックしキーン婆やが出てくる。
「あらあらまぁレオン坊ちゃま、こんな夜更けにどうしたのかしら?」
「婆や、大変なんだ。子供が産まれそうな女性がラーキア城にきてるんだ。来て見てあげてほしい」
「あらあら、まぁ子供がそれは大変ですねぇ。では参りましょうアタシの魔法陣の上に立ってくださいな」
僕が魔法陣の上に乗ると婆やは魔法を唱えてラーキア城の正面にワープした。
「婆や今の何?」
「坊っちゃまにしか見せてないのですから他言無用でお願いしますよ」
婆やはそう言って人差し指を口元に持っていってシィーと言った。
僕はそれをみてくすくす笑って、扉をノックした。
「母上、ただいま戻りました」
「お邪魔いたします。メイリン様」
「レオン、ずいぶん早かったのね。キーンよく来てくれたわ。こっちよ」
母上はそういうと僕とキーンを連れて出産室に向かった。
出産室では、父の妻たちが出産室で準備をして寝ている白狼の女性を励ましたり手を握ったりしていた。
「うぅーーー」
「もう少しだからね」「頑張ろうね」「後少しだよ」
といろんな声を女性にかけていた。
キーン婆やが頭と身体が見えているのを確認して、引っ張り出した。
「オギャーーーオギャーーー」
「あらーまぁ可愛い男の子ですよ。よく頑張りましたね。アタシがいなくてもこんなに出産経験者が居たら大丈夫だったわね」
手慣れた手つきで子供の身体を洗い、タオルで包んで、白狼の女性の隣に置いた。
「可愛い、メイリン様が子供には罪がないと言ってくださったおかげで産まれた命です。宜しければ名前を付けてくださいませんか?」
「私にネームセンスは無いから期待しないでね。そうねウルファスなんてどうかしら?」
「ウルファス良い名ですね。ウルファス、貴方の名前はウルファス・レアンドロよ」
「ガキが産まれたか。でもそのガキは魔族が敵対してる狼族だ。匿うなんて真似できねえから捨ててくるしかねぇな」
平然とそんなことをいう父上にムカついた僕は怒りながら言った。
「クソジジイの女癖の悪さが招いた自業自得じゃねぇか。ふざけんじゃねぇぞ。この子供は俺の弟として俺が面倒見るよ。クソジジイには迷惑かけねぇよ。この子の髪を黒に変えて、目を赤目に見えるようにすれば立派な吸血鬼に見えるだろうさ」
「うっ、勝手にしやがれ」
初めて僕に反論され、尚且つ図星をつかれた親父は何も言えず只そう言うだけだった。
僕は寝ているウルファスの御手手に手を当てて握り返してきたこの可愛い新しい弟を守ると誓ったのだ。
10
お気に入りに追加
443
あなたにおすすめの小説

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした
高鉢 健太
ファンタジー
ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。
ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。
もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。
とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」
完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-
ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。
自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。
いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して!
この世界は無い物ばかり。
現代知識を使い生産チートを目指します。
※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる