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5章 天下統一
水面下で兵を集める曹孟徳
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漢中にて、曹仁たちと合流した曹操は、水面下で兵を集めていた。
というのも、この策を進言したのは、劉義賢である。
時は、曹操が許昌での迅速な救援と漢中での親族に対しての蜀漢の行動に対して、謝辞を述べたいと武都に来た日のことである。
曹操「久しいな。劉義賢殿。曹孟徳である」
義賢「これはこれは。劉義賢です。わざわざ。ここまで訪ねてくるとは、曹孟徳殿。反董卓連合。いや、こうして直接お会いするのは徐州の戦い以来でしたか。ゴホッ。ゴホッ。病を拗らせてしまい、寝たままの姿で申し訳ない」
曹操「そんな些細なことで、気にすることはない。先ずは、礼を言わせてもらいたい。この度の許昌における援軍、本当に感謝している。漢中でのこともだ。だが、俺は力による支配こそがこの国をより良い方向に導くと信じて疑うことはない。劉備が掲げる徳による統一など認めることはできんのだ」
義賢「ハハハ。感謝の言葉の後に宣戦布告とは。それでこそ。我が兄の好敵手に相応しい曹孟徳殿と言えましょう。ゴホッ。ゴホッ」
郭嘉「曹操軍の軍師をしている郭奉孝だ。劉義賢殿と会うのは、初めましてかな?」
義賢「郭嘉殿から挨拶していただけるとは。憲和の奴から話はかねがね。ゴホッ。ゴホッ」
郭嘉「随分と辛そうに見えるけど医者には罹っているのかな?」
義賢「えぇ、勿論。名医から頂いた薬で治療中ですよ」
曹操「うちの妻も世話になった。どうして、人質に取ろうと考えなかった?張角とお前は繋がっているのであろう?」
義賢「ハハハ。だからあんな露骨な名前を診療所の名前にするべきではないと言ったのですが。ゴホッ。ゴホッ。失礼しました。質問に答えるのなら、女子供を人質に取るなど犬畜生にも劣る行為に等しい。そのようなことをして、我が兄の名声を貶めよと?そんなことできようはずもない」
曹操「そうか。確かにな」
義賢「それに子は国の宝。子を産めるのは女性だけ。神に等しい尊き存在を人質に取るなどどんな罰が当たるやら。ゴホッ。ゴホッ」
曹操「ハッハッハ。やはり、貴殿は面白い。我が配下に迎え入れられなかったことだけが残念だ」
義賢「御冗談を。俺が仕えたいのは、我が兄ただ1人です」
郭嘉「振られましたね殿」
曹操「全くだ。貴殿の多大な恩に感謝している。今日は、それを伝えに来たのだ。病で臥せっている中、失礼した」
義賢「まだ、時期尚早です。曹丕殿を。大切な御子息をお救いしたいのなら多くの兵を集めなさいませ。曹操殿の元になら馳せ参じる者たちが沢山居ましょう。ゴホッ。ゴホッ」
曹操「しかし、悠長にしていれば司馬懿の奴が子桓の奴を」
義賢「安心なさいませ。司馬懿の狙いは、時間稼ぎ。その内容までは、教えられませんが。勘のいい郭嘉殿なら察せられるのでは?」
郭嘉「そうか。そういうことか」
曹操「どういうことなのだ?」
郭嘉「これを明かすことはできません」
義賢「別に構いませんよ。隠しているつもりもありませんし」
郭嘉「いえ、これを明かすことは、貴方に対して、我々が受けた恩を仇で返す行為だよ。ただでさえ、こちらの我儘を聞いてもらっているんだからね」
義賢「そうですか。文若から聞いた通りの方のようだ。ゴホッ。ゴホッ。我が兄と共に曹操殿と雌雄を決する戦いを楽しみにお待ちしております。ゴホッ。ゴホッ」
郭嘉「それまでどうか御身体を大事になさってください。肝心な時に病で臥せっていられては、勝った気がしませんからね」
義賢「望むところですよ。万全な状態にしておくとお約束しましょう。ゴホッ。ゴホッ」
郭嘉「頼みますよ(治らない病を背負い、死期を悟っていながら尚、劉備のために忠節を尽くすとはね。本当に劉備なんかには、勿体無い人材だよ君は。君さえ居なければ、殿の天下はきっと揺るがなかった。そう断言できるほどにね)」
義賢「先ずは、曹操殿のお膝元である許昌にて、水面下で行動なさるのが良いかと。奉先には、話を通していますゆえ。暫くの間は、対司馬懿という事で、こちらも少なからず支援させていただきます。ゴホッ。ゴホッ」
曹操「素直に感謝するとしよう」
こうして、立ち去っていく曹操と郭嘉。
士仁は、扉を開けて尋ねる。
士仁「良いのですか殿?あのようなわかりやすいヒントを渡して」
義賢「いずれわかる事だ。我が命の灯火が残り少ないことなど。ゴホッ。ゴホッ、
范疆「殿、ゆっくり休むだ。後のことは、オラたちがやっておくだ」
張達「そうだぜ殿。まだ死なれちゃ困るんだからよ」
麋芳「仕方ない。三人が言うから協力するんだからな」
義賢「麋芳、お前は大して役に立ってないぞ」
麋芳「ひぃぃぃぃ。そんなぁぁぁぁ」
士仁「久々に麋芳のヒィが飛び出したな」
范疆「麋芳はヒィって言ってる方が性に合ってるだ」
張達「全くだな。ヒィ芳さん」
麋芳「馬鹿にしよって、今に劉丁には、俺が居ないとダメだと教えてやるからな!」
義賢「ハハハ。そんな日が来ると良いな」
麋芳「ムキィ」
その頃、曹操と郭嘉は。
曹操「フッ。死期を悟って尚、突き進む男か」
郭嘉「気付いていて、知らないフリをしたのは、劉丁殿のことを思ってかな?」
曹操「俺とて、万全な状態の劉備に勝つ必要があるからな。それには、アイツの存在は必要不可欠だ。それにしても死期をも恐れぬ男に対して、時間稼ぎとは、俺は司馬仲達の事を勝手に恐れていただけかもしれんな。あぁいう男は、目的を果たすまで死なぬと決まっているものだ。ハッハッハ。本当に面白い男だ劉義賢は」
郭嘉「私としては敵に回したくない相手には、死んでくれたらと思ってしまうけどね」
曹操「フッ。今から劉備と雌雄を決する時が楽しみだ」
曹操は許昌にて水面下で兵を集める。
曹仁たち親族衆に楽進・李典・于禁など名だたる臣下たち。
かつて群雄の1人として切磋琢磨してきた鮑信。
司馬懿に並々ならぬ怒りを燃やす劉豹の率いる匈奴。
その数、10万の大軍である。
というのも、この策を進言したのは、劉義賢である。
時は、曹操が許昌での迅速な救援と漢中での親族に対しての蜀漢の行動に対して、謝辞を述べたいと武都に来た日のことである。
曹操「久しいな。劉義賢殿。曹孟徳である」
義賢「これはこれは。劉義賢です。わざわざ。ここまで訪ねてくるとは、曹孟徳殿。反董卓連合。いや、こうして直接お会いするのは徐州の戦い以来でしたか。ゴホッ。ゴホッ。病を拗らせてしまい、寝たままの姿で申し訳ない」
曹操「そんな些細なことで、気にすることはない。先ずは、礼を言わせてもらいたい。この度の許昌における援軍、本当に感謝している。漢中でのこともだ。だが、俺は力による支配こそがこの国をより良い方向に導くと信じて疑うことはない。劉備が掲げる徳による統一など認めることはできんのだ」
義賢「ハハハ。感謝の言葉の後に宣戦布告とは。それでこそ。我が兄の好敵手に相応しい曹孟徳殿と言えましょう。ゴホッ。ゴホッ」
郭嘉「曹操軍の軍師をしている郭奉孝だ。劉義賢殿と会うのは、初めましてかな?」
義賢「郭嘉殿から挨拶していただけるとは。憲和の奴から話はかねがね。ゴホッ。ゴホッ」
郭嘉「随分と辛そうに見えるけど医者には罹っているのかな?」
義賢「えぇ、勿論。名医から頂いた薬で治療中ですよ」
曹操「うちの妻も世話になった。どうして、人質に取ろうと考えなかった?張角とお前は繋がっているのであろう?」
義賢「ハハハ。だからあんな露骨な名前を診療所の名前にするべきではないと言ったのですが。ゴホッ。ゴホッ。失礼しました。質問に答えるのなら、女子供を人質に取るなど犬畜生にも劣る行為に等しい。そのようなことをして、我が兄の名声を貶めよと?そんなことできようはずもない」
曹操「そうか。確かにな」
義賢「それに子は国の宝。子を産めるのは女性だけ。神に等しい尊き存在を人質に取るなどどんな罰が当たるやら。ゴホッ。ゴホッ」
曹操「ハッハッハ。やはり、貴殿は面白い。我が配下に迎え入れられなかったことだけが残念だ」
義賢「御冗談を。俺が仕えたいのは、我が兄ただ1人です」
郭嘉「振られましたね殿」
曹操「全くだ。貴殿の多大な恩に感謝している。今日は、それを伝えに来たのだ。病で臥せっている中、失礼した」
義賢「まだ、時期尚早です。曹丕殿を。大切な御子息をお救いしたいのなら多くの兵を集めなさいませ。曹操殿の元になら馳せ参じる者たちが沢山居ましょう。ゴホッ。ゴホッ」
曹操「しかし、悠長にしていれば司馬懿の奴が子桓の奴を」
義賢「安心なさいませ。司馬懿の狙いは、時間稼ぎ。その内容までは、教えられませんが。勘のいい郭嘉殿なら察せられるのでは?」
郭嘉「そうか。そういうことか」
曹操「どういうことなのだ?」
郭嘉「これを明かすことはできません」
義賢「別に構いませんよ。隠しているつもりもありませんし」
郭嘉「いえ、これを明かすことは、貴方に対して、我々が受けた恩を仇で返す行為だよ。ただでさえ、こちらの我儘を聞いてもらっているんだからね」
義賢「そうですか。文若から聞いた通りの方のようだ。ゴホッ。ゴホッ。我が兄と共に曹操殿と雌雄を決する戦いを楽しみにお待ちしております。ゴホッ。ゴホッ」
郭嘉「それまでどうか御身体を大事になさってください。肝心な時に病で臥せっていられては、勝った気がしませんからね」
義賢「望むところですよ。万全な状態にしておくとお約束しましょう。ゴホッ。ゴホッ」
郭嘉「頼みますよ(治らない病を背負い、死期を悟っていながら尚、劉備のために忠節を尽くすとはね。本当に劉備なんかには、勿体無い人材だよ君は。君さえ居なければ、殿の天下はきっと揺るがなかった。そう断言できるほどにね)」
義賢「先ずは、曹操殿のお膝元である許昌にて、水面下で行動なさるのが良いかと。奉先には、話を通していますゆえ。暫くの間は、対司馬懿という事で、こちらも少なからず支援させていただきます。ゴホッ。ゴホッ」
曹操「素直に感謝するとしよう」
こうして、立ち去っていく曹操と郭嘉。
士仁は、扉を開けて尋ねる。
士仁「良いのですか殿?あのようなわかりやすいヒントを渡して」
義賢「いずれわかる事だ。我が命の灯火が残り少ないことなど。ゴホッ。ゴホッ、
范疆「殿、ゆっくり休むだ。後のことは、オラたちがやっておくだ」
張達「そうだぜ殿。まだ死なれちゃ困るんだからよ」
麋芳「仕方ない。三人が言うから協力するんだからな」
義賢「麋芳、お前は大して役に立ってないぞ」
麋芳「ひぃぃぃぃ。そんなぁぁぁぁ」
士仁「久々に麋芳のヒィが飛び出したな」
范疆「麋芳はヒィって言ってる方が性に合ってるだ」
張達「全くだな。ヒィ芳さん」
麋芳「馬鹿にしよって、今に劉丁には、俺が居ないとダメだと教えてやるからな!」
義賢「ハハハ。そんな日が来ると良いな」
麋芳「ムキィ」
その頃、曹操と郭嘉は。
曹操「フッ。死期を悟って尚、突き進む男か」
郭嘉「気付いていて、知らないフリをしたのは、劉丁殿のことを思ってかな?」
曹操「俺とて、万全な状態の劉備に勝つ必要があるからな。それには、アイツの存在は必要不可欠だ。それにしても死期をも恐れぬ男に対して、時間稼ぎとは、俺は司馬仲達の事を勝手に恐れていただけかもしれんな。あぁいう男は、目的を果たすまで死なぬと決まっているものだ。ハッハッハ。本当に面白い男だ劉義賢は」
郭嘉「私としては敵に回したくない相手には、死んでくれたらと思ってしまうけどね」
曹操「フッ。今から劉備と雌雄を決する時が楽しみだ」
曹操は許昌にて水面下で兵を集める。
曹仁たち親族衆に楽進・李典・于禁など名だたる臣下たち。
かつて群雄の1人として切磋琢磨してきた鮑信。
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