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5章 天下統一
司馬懿の誤算
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兗州の陳留を本拠地に華北の曹丕を相手に持久戦を展開している司馬懿。
対する曹丕は物資も兵も少ない司馬懿が持久戦を展開してくれている以上、無理をする必要はないと判断、それに乗る。
途中、匈奴の跳ねっ返りによる小競り合いなどはあったものの、2ヶ月が過ぎようとしていた。
司馬懿「ここまでは順調だな。劉義賢の動きはどうだ?」
鍾繇「司馬懿殿の言った通り、病に臥せっているとのこと。もう間も無く、その命の灯火も消えましょう」
司馬懿「劉義賢が亡くなり次第、曹丕と和解し、蜀漢を攻める。あの男さえ居なくなれば、我が策に対抗できる者は、そう多くなかろう」
鍾繇「しかし、簡単に曹丕が許すでしょうか?」
司馬懿「曹丕ほど扱いやすい男はいまい。これ全てが蜀漢を嵌めるための策だったと言えば、納得する」
鍾会「それにしても、司馬懿殿も酷いっすね。蔡文姫の嫁ぎ先があの豚のところっすから」
司馬懿「直接豚と関わりがあるわけではない。董家ではあるがな。しかも比較的温和のな」
鍾会「でも豚は所詮豚っすよ。あんなやつのところなんて、俺はごめんっすよ」
司馬徽「だから良いのだ。文姫の奴には、妹を見習って、しっかりと役に立ってもらわねばならんからな」
鍾繇「貞姫殿の嫁ぎ先は、確か呉にも影響力を持っていた羊家でしたかな?」
司馬懿「まぁ、呉が蜀漢に降伏した今となっては、全く意味のない繋がりとなったどころか事あるごとに降伏路線を打ち出してきて鬱陶しかったので、事故に見せかけて夫婦揃って、あの世へと行ってもらったがな」
鍾会「マジで鬼畜の所業っすよ。で、豚なんて今更どう使うつもりなんすか?」
司馬懿「なーに、霊帝の正体が董卓だと吹聴してもらうだけのこと。やっぱり霊帝は死んでいて、霊帝を騙るあの男の正体は傍若無人として畏れられた董卓であり、それを補佐している劉備に仁徳などないとな。まぁ、そのために一目惚れしたとか言っていた文姫を差し出してやるのだ。しっかりと俺の役に立ってもらわねばな」
鍾繇「成程。しかし、証拠もなく信じる者など居るでしょうか?」
司馬懿「必要ない。そう言う噂を流す事が重要なのだ。一部の人間に疑念を抱かせるだけで良い」
鍾会「まぁ、疑念から蜀漢の首都に民衆が責任追及で押しかけてくれれば、それだけ行動を制限できるってのが本音っすよね?」
司馬懿「あれだけ超え太った蜀漢を一息に飲み込むことなどできんからな。隙を作れさえすれば、一つづつ、な」
この数日後、董祀と蔡文姫による婚姻の義が執り行われた。
この董祀と言う人物、董承と同じく董卓と深い繋がりのある人間であり、とそこまで深い繋がりではなく同族というだけの繋がりなのだが。
董祀「あぁ、文姫。君は、本当に美しい。あんな野蛮な蛮族の妻だなんて、勿体無い。これからは、僕が守ってあげよう」
蔡文姫「へぇ。そこまで言うってことはよ。劉豹なんかよりアタイのこと満足させてくれんだろうな?」
董祀「へっ?蔡邕殿の娘がこんな言葉遣い?」
蔡文姫「なんだい?政治家の娘ならお上品とでも思ってたのかい?これがアタイの素さ。なんか文句あんのかい?」
董祀「いや。うん。言葉遣いは、これから僕色に染めれば良いわけだし。うん。何も。問題は。うん」
蔡文姫「へぇ。それは楽しみだ。アタイをアンタ色に染めるって?お手並み拝見だね」
こんな感じを終始貫いた蔡文姫と董祀の初夜は、散々なもので。
董祀が一方的に何度も弄ばれたなんてことはなく。
5歳にも満たない子供によって邪魔されたのである。
???「失礼します。ここに蔡文姫様はいらっしゃいますでしょうか?」
董祀「子供が私の妻に何の用か?」
???「申し遅れました。僕の名前は羊祜と言います。蔡貞姫の息子だと伝えてください。お願いします」
董祀「生憎だが、伝える義務はない。とっとと帰られるが良い。ようやく手に入れた文姫とこれから床を共にするのでな」
羊祜「そこをお願いします。もう僕が頼れる相手は、蔡文姫様しか居ないのです!」
董祀「えぇい。くどい。殴られないうちに帰るが良い!」
蔡文姫「アンタは、子供に乱暴を働くのかい?そんなクズと床を共にすると?舐められたものだね。アンタがとっとと失せな!」
董祀「ヒィ」
こうして蔡文姫は結婚早々に董祀を追い出し、羊祜と共に生活を始めたのである。
当然、董祀は話が違うと司馬懿に詰め寄り、偽報を流す約束は破談。
司馬懿は、怒りを募らせ、蔡文姫の元へと向かう。
司馬懿「文姫、お前は何を考えている!俺がお前の元旦那のことを見逃してやった恩を仇で返すつもりか!そのようなことをするのならこちらも」
蔡文姫「何を勘違いしてんだい?アタイは、子供に暴力を振るおうとしたダメ亭主を止めただけのことさ。それを追い出されたと勘違いして、泣き付いただけのこと。全く、あんなのが劉豹より良い男だって?笑わせてくれるじゃないか」
司馬懿「ぐっ」
蔡文姫「それにアタイは言ったはずさ。劉豹より良い旦那なら尽くしてやるってね。用意できたのは、仲達にぃさんの落ち度じゃないのかい?」
司馬懿「ぐぬぬ。ああ言えば、こう言いよって。良いな。今日中に、董祀を迎え入れるのだ。良いな?」
蔡文姫「あのクズが子供に手を出さないならね」
司馬懿「こちらからよく言っておこう」
司馬懿としても董祀の無能さに呆れていたため、蔡文姫にこう言われては、もっと良い相手が居たのではないかと引き下がるしか無かったのである。
司馬懿にとって、蔡文姫という人質でありながら思い通りにいかない人物もまた誤算であった。
対する曹丕は物資も兵も少ない司馬懿が持久戦を展開してくれている以上、無理をする必要はないと判断、それに乗る。
途中、匈奴の跳ねっ返りによる小競り合いなどはあったものの、2ヶ月が過ぎようとしていた。
司馬懿「ここまでは順調だな。劉義賢の動きはどうだ?」
鍾繇「司馬懿殿の言った通り、病に臥せっているとのこと。もう間も無く、その命の灯火も消えましょう」
司馬懿「劉義賢が亡くなり次第、曹丕と和解し、蜀漢を攻める。あの男さえ居なくなれば、我が策に対抗できる者は、そう多くなかろう」
鍾繇「しかし、簡単に曹丕が許すでしょうか?」
司馬懿「曹丕ほど扱いやすい男はいまい。これ全てが蜀漢を嵌めるための策だったと言えば、納得する」
鍾会「それにしても、司馬懿殿も酷いっすね。蔡文姫の嫁ぎ先があの豚のところっすから」
司馬懿「直接豚と関わりがあるわけではない。董家ではあるがな。しかも比較的温和のな」
鍾会「でも豚は所詮豚っすよ。あんなやつのところなんて、俺はごめんっすよ」
司馬徽「だから良いのだ。文姫の奴には、妹を見習って、しっかりと役に立ってもらわねばならんからな」
鍾繇「貞姫殿の嫁ぎ先は、確か呉にも影響力を持っていた羊家でしたかな?」
司馬懿「まぁ、呉が蜀漢に降伏した今となっては、全く意味のない繋がりとなったどころか事あるごとに降伏路線を打ち出してきて鬱陶しかったので、事故に見せかけて夫婦揃って、あの世へと行ってもらったがな」
鍾会「マジで鬼畜の所業っすよ。で、豚なんて今更どう使うつもりなんすか?」
司馬懿「なーに、霊帝の正体が董卓だと吹聴してもらうだけのこと。やっぱり霊帝は死んでいて、霊帝を騙るあの男の正体は傍若無人として畏れられた董卓であり、それを補佐している劉備に仁徳などないとな。まぁ、そのために一目惚れしたとか言っていた文姫を差し出してやるのだ。しっかりと俺の役に立ってもらわねばな」
鍾繇「成程。しかし、証拠もなく信じる者など居るでしょうか?」
司馬懿「必要ない。そう言う噂を流す事が重要なのだ。一部の人間に疑念を抱かせるだけで良い」
鍾会「まぁ、疑念から蜀漢の首都に民衆が責任追及で押しかけてくれれば、それだけ行動を制限できるってのが本音っすよね?」
司馬懿「あれだけ超え太った蜀漢を一息に飲み込むことなどできんからな。隙を作れさえすれば、一つづつ、な」
この数日後、董祀と蔡文姫による婚姻の義が執り行われた。
この董祀と言う人物、董承と同じく董卓と深い繋がりのある人間であり、とそこまで深い繋がりではなく同族というだけの繋がりなのだが。
董祀「あぁ、文姫。君は、本当に美しい。あんな野蛮な蛮族の妻だなんて、勿体無い。これからは、僕が守ってあげよう」
蔡文姫「へぇ。そこまで言うってことはよ。劉豹なんかよりアタイのこと満足させてくれんだろうな?」
董祀「へっ?蔡邕殿の娘がこんな言葉遣い?」
蔡文姫「なんだい?政治家の娘ならお上品とでも思ってたのかい?これがアタイの素さ。なんか文句あんのかい?」
董祀「いや。うん。言葉遣いは、これから僕色に染めれば良いわけだし。うん。何も。問題は。うん」
蔡文姫「へぇ。それは楽しみだ。アタイをアンタ色に染めるって?お手並み拝見だね」
こんな感じを終始貫いた蔡文姫と董祀の初夜は、散々なもので。
董祀が一方的に何度も弄ばれたなんてことはなく。
5歳にも満たない子供によって邪魔されたのである。
???「失礼します。ここに蔡文姫様はいらっしゃいますでしょうか?」
董祀「子供が私の妻に何の用か?」
???「申し遅れました。僕の名前は羊祜と言います。蔡貞姫の息子だと伝えてください。お願いします」
董祀「生憎だが、伝える義務はない。とっとと帰られるが良い。ようやく手に入れた文姫とこれから床を共にするのでな」
羊祜「そこをお願いします。もう僕が頼れる相手は、蔡文姫様しか居ないのです!」
董祀「えぇい。くどい。殴られないうちに帰るが良い!」
蔡文姫「アンタは、子供に乱暴を働くのかい?そんなクズと床を共にすると?舐められたものだね。アンタがとっとと失せな!」
董祀「ヒィ」
こうして蔡文姫は結婚早々に董祀を追い出し、羊祜と共に生活を始めたのである。
当然、董祀は話が違うと司馬懿に詰め寄り、偽報を流す約束は破談。
司馬懿は、怒りを募らせ、蔡文姫の元へと向かう。
司馬懿「文姫、お前は何を考えている!俺がお前の元旦那のことを見逃してやった恩を仇で返すつもりか!そのようなことをするのならこちらも」
蔡文姫「何を勘違いしてんだい?アタイは、子供に暴力を振るおうとしたダメ亭主を止めただけのことさ。それを追い出されたと勘違いして、泣き付いただけのこと。全く、あんなのが劉豹より良い男だって?笑わせてくれるじゃないか」
司馬懿「ぐっ」
蔡文姫「それにアタイは言ったはずさ。劉豹より良い旦那なら尽くしてやるってね。用意できたのは、仲達にぃさんの落ち度じゃないのかい?」
司馬懿「ぐぬぬ。ああ言えば、こう言いよって。良いな。今日中に、董祀を迎え入れるのだ。良いな?」
蔡文姫「あのクズが子供に手を出さないならね」
司馬懿「こちらからよく言っておこう」
司馬懿としても董祀の無能さに呆れていたため、蔡文姫にこう言われては、もっと良い相手が居たのではないかと引き下がるしか無かったのである。
司馬懿にとって、蔡文姫という人質でありながら思い通りにいかない人物もまた誤算であった。
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