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5章 天下統一

劉備、呉に向かう

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 劉備の元に孫翊の使者を名乗る男が訪れる。

 劉備「お待たせして申し訳ない」

 辺洪「いえ、構いません。俺の名は辺洪と言います。こちらが呉王孫翊様よりの手紙にございます」

 劉備「辺洪殿、遠いところを御苦労であった。すぐに読んで返事するゆえ、しばらくお待ち願おう」

 辺洪「えぇ、構いません」

 劉備が手紙に目を通す。

 劉備「そうか孫策殿が骨を折ってくれたか。呉王の提案は、こちらとしても実に有難い。必ずお伺いしよう」

 辺洪「ありがとうございます。これで、肩の荷がおります」

 劉備「遠路はるばる、感謝する」

 辺洪「では、このことを早く皆に知らせてやりたいので、失礼します」

 辺洪が立ち去ると関羽に張飛、諸葛亮が現れる。

 関羽「義賢の言った通りとなったな」

 張飛「ってことはよ。梟が排除した奴らと別件って事だよな?」

 諸葛亮「あれは、司馬懿が放った刺客でしょう。そして、これは曹丕。呉王が操られているのは確定してしまいました」

 劉備「うむ。丁の奴も厄介な頼み事をしてくれたものだ。どのようにして、兵を呉に移動させるか」

 伊籍「殿、失礼します。孫権殿が袁紅姫を伴い火急の要件とのことでお越しになられてますが如何なさいますか?」

 劉備「婿殿が?すぐに通してくれ」

 移籍「かしこまりました」

 孫権と袁紅姫が入ってくる。

 孫権「義弟よ。いや義父よ。無理を承知でお願いする。呉に向かった兄上からの連絡が途絶えたのだ。何かあったのかもしれない。兵を貸してもらいたい」

 袁紅姫「養父様、私からもお願い致します」

 劉備「そのことで、ちょうど話がしたいと思っていたのだ。孫権よ。これを見てくれ」

 孫権は手渡された手紙を読む。

 孫権「翊の字?孫策兄上は翊を説き伏せることに成功したのか。良かった。では、我々が安全に義父を呉に」

 袁紅姫「これはまずい展開ね」

 孫権「へっ?」

 袁紅姫「義弟は操られて、義兄は捕まってるってことよ」

 劉備「流石、丁のことがよくわかっているな。まさにそのことで頭を悩ませていた。どのように救出する兵を送り込むかとな」

 孫権「そんなの荊州から陸路で、交州から水路で攻め込んで助けるのが。あっ」

 袁紅姫「えぇ、これは十中八九養父様を誘き寄せて暗殺するための策。兵を連れて言ったのがわかれば、相手はこちらが策を見破ったと思って、強硬手段に出るかもしれない」

 諸葛亮「流石、ヨシカタ塾の一期生は違いますね。皆、よく勉強している。関興や張苞も見習ってもらいたいものです」

 関羽「アイタタ。胃が痛とうござる」

 張飛「まぁ、そのなんだ仕方ねぇ。実戦経験が無かったんだからよ」

 諸葛亮「はぁ。劉封の行動は、国家転覆の罪、それを支持するなど。殿の親族がしてはならないことです」

 関羽「ごもっともだ。甘やかせすぎたことは謝ろう」

 張飛「まぁ、若気の至りって奴だ。アイツらも反省してる。もう2度としねぇさ」

 諸葛亮「2度としないじゃなくて、2度目は無いんですよ本来。霊帝様と殿、劉丁殿の御三方の嘆願によって、恩赦されたというだけで」

 関羽「わかっておる。関興に言って聞かせるゆえ、それぐらいで勘弁願いたい」

 張飛「わーったって。言い聞かせるからよ。すまなかったって」

 諸葛亮「はぁ。本当に頼みますよ。袁紅姫の察しの通りのことが呉国内で起こっていることは間違いない。この状況の何がまずいか」

 袁紅姫「味方か敵か判断がつかない。それどころか義兄さえも、今どの状態なのかわからない」

 諸葛亮「えぇ。その通りです。呉王という力のある者すら好きに動かせる力を持つものです。呉に入った瞬間、操られる可能性すら考えられる。そこに兵を送り込めば」

 孫権「大混乱となる?」

 諸葛亮「そういうことです。かと言って、殿の護衛の兵を送り込まないわけにもいかない。悩ましいことだったのですが」

 劉備「うむ。既に丁からは、左慈方士を送り込んでいると聞いている」

 諸葛亮「相変わらず手回しの良いことです。あの御方が未来人だと知らなければ、どこまで見通しているのでしょうと賛辞を送るのですが」

 関羽「その力で、我々は救われてきたのだ。十分、凄いであろう」

 張飛「諸葛亮、お前さん。めんどくさい性格だなって言われるだろ?褒めるところは素直に褒めてやれよ」

 諸葛亮「はぁ。事実を言ったまでのことですが」

 劉備「まぁ、丁が根回ししてくれているのならいきなり操られるということは無いだろう。いきなり、襲われはするかもしれないが」

 関羽「心配めさせるな。兄者の御身は某が守ろう」

 張飛「おぅ。この張飛様に任せてくれ大兄者」

 孫権「操られている人間が民だったら?」

 劉備「うむ。ここまで、めんどくさい手を使う相手だ。私の嫌がることをしてくることは十分考えられよう」

 ???「俺の家族だ。俺が婿殿を安全に呉まで送り、操られてる奴らと戦おう」

 孫権「父上、どうして!?」

 孫堅「権が慌てて、出て行ったのが気になってな。それに俺なら操られている人間の中で馴染みが居れば抑え込めよう」

 孫権「そういうことなら。この孫仲謀もお供致します」

 ???「そういうことなら私も久々に里帰りしたいわ。練師、護衛として付いてきてくれるわよね?」

 歩練師「姫様がお望みなら」

 袁紅姫「義弟にちゃんと挨拶したいわね。私も良いかしら仲謀?」

 孫権「いや、それは危ないんじゃ」

 孫堅「それでこそ虎の娘に虎の嫁よ」

 劉備「しかし、あまり多くては怪しまれ」

 孫堅「その心配はない。親が子に会いたいと手紙を送るのだ。拒否などせん。向こうも怪しまれたく無いであろうからな」

 劉備「了解しました。義父にお任せ致す」

 孫堅「うむ。して、尚香よ。婿殿が心配だからと聞き耳立てていれば、そのうち愛想を尽かされるぞ」

 孫尚香「お父様、その話はしないでよ」

 こうして、劉備は呉に孫一族と共に乗り込むこととなるのであった。
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