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5章 天下統一

甘寧と孫堅の会談

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 交州都督として、交州に善政を敷く、孫堅の元に面会したいという人間が来た。

 孫堅「父に会うのに面会を使うなどどうした2人とも」

 そこには、孫権とその妻となった袁紅姫がいた。

 孫権「私は劉備様に妹をやると宣言していた父上に当初、腹が立っていました。そんな、私が今やその劉備の義理の息子であり義理の兄という何とも訳のわからない状態となりました」

 孫堅「フッ。俺の先見の明も凄かろう?」

 孫権「確かに。此度は、兄上のことでここに」

 孫堅「策にも困ったものだ。婿殿とことを構えた後、行方不明とは。親を心配させる親不孝者よ」

 孫権「そのことなのですが。どうやら張角診療所にて、治療を受けているとのことです」

 孫堅「なんだと!?策は無事なのであろうな!直ぐに、直ぐに会いに行かねば」

 孫権「兄上は御無事です。父上に言伝を頼まれて、こちらに」

 孫堅「策の奴は権、お前のことを特に可愛がっていたからな。婿殿に尻尾を振った俺のことはまだ許せないのだろう」

 孫権「いえ。兄上は、父上は正しかったと。愚かな行為をした償いができぬまま顔を合わせることは憚れると。俺に父上のことを託され、リハビリ?とやらに励んでおられました」

 孫堅「リハビリとは、運動能力の回復を図るための治療だ。張角の奴は、劉丁殿の話す意味のわからぬ言葉をすっかり習得しておる」

 孫権「はぁ。劉丁殿とは、何者なのでしょう。意味のわからぬ言葉。兄上の中に于吉から受けた呪いの残滓が残っていることを危惧して、幾度となく助けようとしていたと聞きました。本当なら我らはずっと劉丁殿と戦っていながら、あの方は我らのことをずっと思ってくださっていたことになります。何故、敵のことまで思いやれるのでしょう?」

 袁紅姫「劉丁叔父様は、袁術の娘である私のことを守るため自らが悪者になるような方なの。私が、劉備様の元にいて、悪い仕打ちを受けなかったのは、全て劉丁叔父様のお陰。心が無いなんて、よく言われてるけど劉丁叔父様ほど、心の優しい方を私は知らないわ。助けられる命は全て助けたいと思っているの。そのための最善の道を常に模索するのが劉丁叔父様なの。惚れない女なんて居ないでしょ」

 孫堅「その口ぶり、紅姫も惚れていた口か?」

 袁紅姫「えぇ。大好きでした。でも、董白様と劉丁叔父様を見てると敵わないなって、だから次に私が好きになった人の妻になることを決めていました。だから仲謀様は幸運なのですよ」

 孫権「ゴホッ。ゴホッ。胃が痛くなる。劉丁様には男として、とても勝てそうに無いからな。いや、目の前で男を見せつけられたのは劉備様の方であったが」

 袁紅姫「そう。しおれないでくださいませ。今日は義父様にもう一つ報告があって、共に来たのでしょう」

 孫権「そうだった。父上、私ももうすぐ子供の父となります」

 孫堅「そうか。んんん!?子供の父!?それは真か!」

 孫権「はい」

 孫堅「でかした。でかしたぞ紅姫よ。そうか。あの泣き虫であった権が人の親か。本当に月日が立つのは、早いものだ。俺の牙が折れるのも頷ける」

 孫権「やはり、父上は戦場にたちたいのですね?」

 孫堅「立ちたく無いと言えば、嘘になろう。しかし、交州を守ることも大事な務めと理解している」

 孫権「私の我儘が許せるのなら、また父上や兄上と同じ戦場に立ちたいと。そう思ってしまうのは、いけないことなのでしょう」

 袁紅姫「あっ。今、お腹の子が蹴ったわ。この子が何悩んでるのよって怒ってるのかもね。立ちたいなら立てば良いじゃ無いって」

 孫堅「そのようなこと。簡単には」

 程普「殿。これは、若君も御一緒でしたか。家族の時間を失礼した。甘寧将軍が面会を求めておられますが如何なされますか?」

 孫堅「荊州の一部を任されている甘寧殿が。北部で何かあったのかもしれん。直ぐにお通しせよ」

 程普「かしこまりました」

 孫権「では、私はこれで」

 そこに甘寧が入ってくる。

 甘寧「おぅ孫権もいたか。ちょうど良い。お前も聞いていけ」

 劉琮「ちょっと甘寧。それは失礼なんじゃ」

 孫権「構いません。甘寧とは、義兄弟のようなものですから」

 甘寧「おぅ。いきなり本題なんだがよ。カクカクシカジカでよ」

 カクカクシカジカの部分を聞いた孫堅たちの顔が青ざめていた。

 孫堅「その話は本当なのか?劉丁殿が治らぬ病で、婿殿のために命を削ってまで、天下統一を急いでいるというのは?」

 甘寧「あぁ。本人から聞いた。多くに話すんじゃねぇとは言われたけどよ。こんな話、義賢に世話になってる奴らに言わないのは、おかしい話だろ。だから、まぁ孫権に残ってもらったわけなんだがよ」

 孫権「どうして。そんな大事なことを黙っておられるのか」

 袁紅姫「劉丁叔父様のこと。養父のために敵に情報が漏れないように徹底しておられるのでしょう。だから話す人間を限定していた。その1人がこうもおしゃべりなわけですけど」

 甘寧「う、ウルセェな。アイツに救われたやつがこの国にどんだけいると思ってんだ。義弟より、アイツが霊帝様の補佐になるべきだったって声も一時あったんだぞ。アイツが笑って、俺は兄上の補佐がしたいので、遠慮しますなんて、かわしてたがよ」

 孫堅「話はわかった。甘寧殿に手を貸そう。だが」

 劉琮は続きの言葉の前に謝罪をする。

 劉琮「確かに孫堅殿が我らの存在を不安に思うのは無理のないことです。父は、貴方から国を奪い。辺境に追いやった張本人です。誤って許されることでは無いでしょう」

 孫堅「ん?劉琮殿は、何を言っている?劉表殿のことを恨んだことなど無い。そもそも、あれは劉丁殿から話を聞いていた通りにしただけだからな。そんなことを言ったら、権の妻が袁術の娘ということも許せんとなるであろう。俺は、そこまで器が小さく見えるか?」

 孫堅の言葉にあっけに取られる劉琮。

 劉琮「へっ?じゃあ、だがの続きは?」

 孫堅「呉王となった翊のことが心配でな。俺が動けるまでに時間がかかるかもしれんということだ。だから、黄蓋を筆頭に程普・韓当・祖茂に兵を率いて参戦してもらうこととなる。それでも良いかとな」

 甘寧「問題ねぇ。弘農を落とすのに、アンタの懐刀を借りられるなら。これほど、心強いことはねぇよ」

 孫堅「劉丁殿のこと。話してくれて感謝する。必ず翊のことが片付けば、参戦するゆえ。拠点の構築は任せるぞ甘寧将軍」

 甘寧「承知ってな」

 孫堅「劉琮殿。貴殿の父は、侮り難い良き好敵手であった。晩年は、汚したかもしれんが、良き為政者だった。誇られよ」

 劉琮「孫堅殿からそんなことを言っていただけて、感謝します。こちらはお任せください。拠点を作り、連絡をお待ちしております」

 孫堅「うむ。貴殿の心遣いに感謝する」

 こうして、孫堅の協力を取り付けることに成功した劉琮と甘寧であった。
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