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5章 天下統一
呂布vs司馬昭
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呂布の足止めをせよと命令された司馬昭だが気は乗らなかった。
司馬昭「はぁ。こうなったのも全て父上のせいなんだよなぁ。人質を取って、主家の滅亡を望むとかまだ混沌としている乱世の状態でやるとか何考えてんだか。そもそも曹丕様だけで人質取る策とか取るわけないんだからバレるっての。飄々とした口調で何度もやんわりと咎めたつもりなんだけどなぁ俺。逃げるか」
???「全く、何を言っている。逃げて何処に行く?劉備のところか?司馬懿の息子を重用するとでも?」
司馬昭「独り言を聞くとかお前、本当に心配りできねぇよな賈充」
賈充「お前が怠けすぎなのが問題だと思うが。して、どうやって呂布を止めるつもりだ。まさか本当に降伏や逃げを考えていたわけではあるまいな?」
司馬昭「降伏はねぇけど逃げは考えてたよ。そもそも父上が招いた自業自得の側面が強いからな。ちょっと前に邸宅であった陳琳殿が仮面のやつに斬られたのも十中八九、父上の仕業だろうしなぁ。崩壊に向かってるのは間違いねぇよ」
賈充「だとして何が問題だ?陳琳は、司馬懿殿が曹丕を誑かしていたことに気付いていた。遅かれ早かれ処分されてたのは、間違いあるまい。人質に暗殺は、常道手段にして、手っ取り早い。何も間違ってはいないと思うがな」
司馬昭「その考えがすでに間違えてんだよなぁ。人質を取るってことは、心を縛るってことだ。心を縛られた側は、表向きには従うだろうさ。でもな。それが一度、解放されるなんてことになったらどうなるよ。その怒りは、人質を取るという選択をした人間に向かう。まぁ、この場合は曹丕だわな。でもよ。あの曹丕が1人で、んなことできるなんて思ってる奴が何人いるよ?そもそも初めから破綻してんだよ。邪道を使うってのは、そういう危険性が伴うってことだ。今や劉備の治世は揺るぎなく王道により民の信頼も厚い。あの噂を流して、魏国内の民は団結できたとして、蜀漢を揺るがすことにはならねぇよ。俺に言わせれば、間近に戦うことが決まってる相手を前に、国内で、誰が実権を握るかなんてことしてるのがそもそも間違いだな。結果的に、父上の予想を上回る勢いで、呂布が許昌に攻めてきたわけだ。孫翊が頼りにならなかったなんて考えてるだろうが違うね。孫翊は、孫堅と孫権が立て続けに蜀漢に降伏して、孫策は行方不明。家臣に祭り上げられたにしては、立派にその務めを果たそうとしているだけ、まだマシな方さ。それに引き換え、父上ときたら。人質に暗殺だの。古臭いやり方で、焦っているようにしか見えねぇな」
賈充「そこまで先行きが見えていて、何故。怠ける。実権を父から奪えば良いだろう」
司馬昭「俺が。無理無理。やる気ねぇもん。兄上なら少しは違うかと思ってっけど。父上には、面と向かって、意見しねぇからな。相変わらず何考えてんのかわかんねぇ分、不気味だわな」
賈充「俺は、この状況でそこまで怠けられるお前が不思議だが」
伝令「司馬昭様、前線の将が相次いで討死。統率の取れなくなった兵も呂布軍の追撃を受け」
司馬昭「まぁ、そうだよなぁ。こっちは睨み合いをしたかったんだけど。向こうは、そうはいかねぇもんなぁ。かったりぃな。で、死んだのは誰?」
伝令「百人将が10人と千人将が1人」
司馬昭「どうせ。呂布が来て手柄を取れるとか思って突撃したバカだろ。俺は持ち場を守れって、厳命したよな?」
伝令「はい。ですが、2千人の兵の統率が一瞬にして無になったのは」
司馬昭「ほっといて構わねえよ」
伝令「はっ?」
司馬昭「馬鹿の救援にきちんと命令守ってる奴向かわせて、綻びが生じたら意味ねぇだろ。それが狙いなんだからよ」
司馬昭の読みは当たっていた。
数で劣っていた呂布軍が曹操の救援に向かうため足止めに現れた部隊を抜く必要があった。
しかし、こちらはせいぜい5千。
対して、足止めに来たのは、4倍の2万。
荀攸は、これに対して、呂布の武力を生かした正面突破を進言する。
荀彧は、この進言を跳ね除け、指揮官を討ち取り、統率を見出すことを進言する。
呂布は、後者を選んで、突出してきた軍の指揮官を狙い撃ち、2千の兵を蹴散らした。
魏兵「ひぃっ。化け物め。逃げろ逃げるのだ」
呂布「1兵たりとも逃すな。追い立てよ!」
しかし、魏軍の固い守備を崩すには至らなかった。
荀彧「これは困りましたね」
荀攸「だから申したのだ。呂布の圧倒的武力を持って、正面から打ち崩して突撃するのが良いとな」
荀彧「いや、そうしていれば、囲まれて殲滅されていたのは、こちらの方でしょう。あの2千は、手柄を焦り突出していました。それを助けるために兵を出すと読んだのですが、流石2万の軍勢を任されている将軍ですね。見捨てる選択を降すとは」
???「司馬懿という人間が人質に暗殺という邪道を取れるのなら、またこれも然りかと」
呂布「王粛、戻ったか。して、どうであった?」
王粛「あの2万を束ねている将軍は、司馬懿の次子である司馬昭と申す者であることがわかった。こちらの足止めのために何としても睨み合いに持ち込みたいのだろう」
王粛とは、王朗の息子であり、揚州を孫策に落とされて以降、徐州に流れてきていた。
荀彧「まずいですね。時をかければ、曹操殿の救出は絶望的になるかと」
呂布「ふむ。荀攸の策を取り、無理にでも攻めるべきか」
王粛「一つ提案が」
膠着する呂布vs司馬昭に王粛がする提案とは?
司馬昭「はぁ。こうなったのも全て父上のせいなんだよなぁ。人質を取って、主家の滅亡を望むとかまだ混沌としている乱世の状態でやるとか何考えてんだか。そもそも曹丕様だけで人質取る策とか取るわけないんだからバレるっての。飄々とした口調で何度もやんわりと咎めたつもりなんだけどなぁ俺。逃げるか」
???「全く、何を言っている。逃げて何処に行く?劉備のところか?司馬懿の息子を重用するとでも?」
司馬昭「独り言を聞くとかお前、本当に心配りできねぇよな賈充」
賈充「お前が怠けすぎなのが問題だと思うが。して、どうやって呂布を止めるつもりだ。まさか本当に降伏や逃げを考えていたわけではあるまいな?」
司馬昭「降伏はねぇけど逃げは考えてたよ。そもそも父上が招いた自業自得の側面が強いからな。ちょっと前に邸宅であった陳琳殿が仮面のやつに斬られたのも十中八九、父上の仕業だろうしなぁ。崩壊に向かってるのは間違いねぇよ」
賈充「だとして何が問題だ?陳琳は、司馬懿殿が曹丕を誑かしていたことに気付いていた。遅かれ早かれ処分されてたのは、間違いあるまい。人質に暗殺は、常道手段にして、手っ取り早い。何も間違ってはいないと思うがな」
司馬昭「その考えがすでに間違えてんだよなぁ。人質を取るってことは、心を縛るってことだ。心を縛られた側は、表向きには従うだろうさ。でもな。それが一度、解放されるなんてことになったらどうなるよ。その怒りは、人質を取るという選択をした人間に向かう。まぁ、この場合は曹丕だわな。でもよ。あの曹丕が1人で、んなことできるなんて思ってる奴が何人いるよ?そもそも初めから破綻してんだよ。邪道を使うってのは、そういう危険性が伴うってことだ。今や劉備の治世は揺るぎなく王道により民の信頼も厚い。あの噂を流して、魏国内の民は団結できたとして、蜀漢を揺るがすことにはならねぇよ。俺に言わせれば、間近に戦うことが決まってる相手を前に、国内で、誰が実権を握るかなんてことしてるのがそもそも間違いだな。結果的に、父上の予想を上回る勢いで、呂布が許昌に攻めてきたわけだ。孫翊が頼りにならなかったなんて考えてるだろうが違うね。孫翊は、孫堅と孫権が立て続けに蜀漢に降伏して、孫策は行方不明。家臣に祭り上げられたにしては、立派にその務めを果たそうとしているだけ、まだマシな方さ。それに引き換え、父上ときたら。人質に暗殺だの。古臭いやり方で、焦っているようにしか見えねぇな」
賈充「そこまで先行きが見えていて、何故。怠ける。実権を父から奪えば良いだろう」
司馬昭「俺が。無理無理。やる気ねぇもん。兄上なら少しは違うかと思ってっけど。父上には、面と向かって、意見しねぇからな。相変わらず何考えてんのかわかんねぇ分、不気味だわな」
賈充「俺は、この状況でそこまで怠けられるお前が不思議だが」
伝令「司馬昭様、前線の将が相次いで討死。統率の取れなくなった兵も呂布軍の追撃を受け」
司馬昭「まぁ、そうだよなぁ。こっちは睨み合いをしたかったんだけど。向こうは、そうはいかねぇもんなぁ。かったりぃな。で、死んだのは誰?」
伝令「百人将が10人と千人将が1人」
司馬昭「どうせ。呂布が来て手柄を取れるとか思って突撃したバカだろ。俺は持ち場を守れって、厳命したよな?」
伝令「はい。ですが、2千人の兵の統率が一瞬にして無になったのは」
司馬昭「ほっといて構わねえよ」
伝令「はっ?」
司馬昭「馬鹿の救援にきちんと命令守ってる奴向かわせて、綻びが生じたら意味ねぇだろ。それが狙いなんだからよ」
司馬昭の読みは当たっていた。
数で劣っていた呂布軍が曹操の救援に向かうため足止めに現れた部隊を抜く必要があった。
しかし、こちらはせいぜい5千。
対して、足止めに来たのは、4倍の2万。
荀攸は、これに対して、呂布の武力を生かした正面突破を進言する。
荀彧は、この進言を跳ね除け、指揮官を討ち取り、統率を見出すことを進言する。
呂布は、後者を選んで、突出してきた軍の指揮官を狙い撃ち、2千の兵を蹴散らした。
魏兵「ひぃっ。化け物め。逃げろ逃げるのだ」
呂布「1兵たりとも逃すな。追い立てよ!」
しかし、魏軍の固い守備を崩すには至らなかった。
荀彧「これは困りましたね」
荀攸「だから申したのだ。呂布の圧倒的武力を持って、正面から打ち崩して突撃するのが良いとな」
荀彧「いや、そうしていれば、囲まれて殲滅されていたのは、こちらの方でしょう。あの2千は、手柄を焦り突出していました。それを助けるために兵を出すと読んだのですが、流石2万の軍勢を任されている将軍ですね。見捨てる選択を降すとは」
???「司馬懿という人間が人質に暗殺という邪道を取れるのなら、またこれも然りかと」
呂布「王粛、戻ったか。して、どうであった?」
王粛「あの2万を束ねている将軍は、司馬懿の次子である司馬昭と申す者であることがわかった。こちらの足止めのために何としても睨み合いに持ち込みたいのだろう」
王粛とは、王朗の息子であり、揚州を孫策に落とされて以降、徐州に流れてきていた。
荀彧「まずいですね。時をかければ、曹操殿の救出は絶望的になるかと」
呂布「ふむ。荀攸の策を取り、無理にでも攻めるべきか」
王粛「一つ提案が」
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