490 / 644
5章 天下統一
荀彧に報告する劉禅
しおりを挟む
荀彧は慌ただしく動いていた。
義賢に頼まれた呂布の補佐をするため徐州へと赴く前に最近増えた間者の対策を練っていたのだ。
翔「言われた通り、毒飲んで、死んだ下手人について、洗ってみたけどよ。どうも劉禅様の暗殺を図ったのは、内部の人間っぽいんだよなぁ。外の方は梟の旦那が寄せ付けないようにしてるし、間者を見逃すことはないっぽいんだよなぁ」
荀彧「そうですか。1番考えたくないことでしたが、やはり何処かに亀裂が生じているのかも知れませんね。あれだけ民のことを第一に考えている殿を裏切り司馬懿に付く利点が分かりませんが」
蓮「まぁ、それで割食ってる奴がいるってことなんじゃねぇか。許貢様が手紙一つで孫策に殺されたみてぇによ。怪しいのは、戦ばかりだから文官だろうな。黄皓って奴も劉封様付きの成り上がりの宦官だったんだろう?」
荀彧「らしいですね」
翔「らしいですねって、まさか知らなかったんですか?」
荀彧「えぇ。宦官などという勢力ができていたことに驚いていたものですから。霊帝様は、宦官がどれだけ脅威か身に染みていらっしゃいますので、その辺りについては、注意なさっていたはずです」
蓮「なら、不味いよなぁ。水面下で着々と腐敗させる奴らが生まれてるってことだろ。流石に人手が足りねぇぜ」
荀彧「確かに、後手に回ってる気がしています。これも劉丁殿の命の灯火が少ないからでしょうか」
翔「???」
荀彧「あぁ。何でもありません。できる限り、食い止めることを優先に、場合によっては実力行使で潰し回って良いと梟に」
蓮「わーったよ。こっちも世話になってる身だ。昔の伝手を使って、許貢様に世話になってた奴らを呼び戻してみらぁ。でも、ホント人手カツカツだからな。霊帝様と劉備様の守りも固めとかねぇと。暗殺の可能性があんだろ?」
荀彧「確かな情報は掴んでいませんが。情報の出所が劉丁殿ですから、ほぼ間違いないかと」
翔「はぁ。何で、罠だってわかってんのに益州に旅立ちますかねあん人は」
荀彧「急いては事を仕損じるでしたか?」
蓮「おぅ。梟の旦那が教訓だってよく言ってるよ」
荀彧「大丈夫ですよ劉丁殿なら。急いでいるように見えて、慎重に動いていますから」
蓮「なら良いけどよ。こっちはできるだけ難民の奴らを洗ってみる。荀彧様の方も人手頼むぜ。マジで」
荀彧「善処します。苦労をかけて申し訳ないと梟に」
翔「あー。もう良いって、世話になってんのはこっちなんすから。梟の旦那が護衛に付いてるからあっちは大丈夫っすよ。あの人、伊達に頭領務めてないっすから」
荀彧「それでも、感謝の気持ちは、お伝えしなければ」
蓮「もう良いってんだよ。じゃ、俺らはこれでもう行くからな」
荀彧「えぇ。お任せ致します」
翔と蓮が消えると劉禅が入ってくる。
劉禅「荀彧軍師、お伝えしたいことが」
荀彧「これは劉禅様、どうなさいましたか?」
劉禅「父の暗殺計画があることは、御存じでしょうか?」
荀彧「!?」
劉禅「その反応で十分です。難民を徹底的に洗うべきかと」
荀彧「血は争えませんね。覚醒遺伝かも知れませんが劉禅様は劉丁殿に良く似ておられる」
劉禅「そう言われると。荀彧軍師の前で、爪を隠す必要はないかな。叔父上でも流石にこの情報は知らないかと思ったんだけどな」
荀彧「劉丁殿を侮ってはいけませんよ。でも、それだけじゃないのでしょう?」
劉禅「難民で紛れ込んできた官女については、僕が躾をしておいたからもう情報が漏れることはないよ。宦官の方も黄皓が死んだことで警戒を強めて、一旦大人しくするだろうからさ」
荀彧「本当によく似ておいでだ。宦官については、劉丁殿も全く同じ意見でしたよ。ですが躾ですか。何をしたかは聞きませんが。それなら劉禅様にも手を貸して貰いましょう。元難民間者の女なら、同じ難民に紛れている間者を見抜けるかもしれません。協力をお願いできますか?」
劉禅「勿論だよ。難民を保護するという父上の優しさに付け込んだ卑劣な真似を許すわけには行かないからね。こっちのことは任せておいてよ」
荀彧「普段からそれぐらいやる気があれば、誰も文句を言わないと思うのですが」
劉禅「いやいや。僕が付け入りやすい隙を作っておくほうが色々便利だと思うよ」
荀彧「そういうことにしておきましょう。街に出てるのも視察と」
劉禅「いや。それは女漁りに決まってるでしょ。まぁ、女性の方が噂好きだからってのもあるんだけどね」
荀彧「ただの好色ではないと。あまり爪を隠しすぎると人が付いてこなくなりますよ」
劉禅「僕は、叔父上のように器用じゃないからね。ずっと隠しておくつもりだよ」
荀彧「そうですか。報告ありがとうございました」
劉禅「じゃ、僕もそろそろ行くよ」
荀彧「えぇ。殿だけでなく劉禅様も狙われているでしょうからお気をつけください」
劉禅「まぁ、兄上を使ってまで狙ってきたわけだからね。十分に用心しておくよ」
荀彧「それがよろしいかと」
劉禅が躾をした女性だけの間者集団が内部を荀彧に協力している闇夜団の面々が外から来る間者に対処することで、これ以上の被害を食い止めることには成功するのだった。
義賢に頼まれた呂布の補佐をするため徐州へと赴く前に最近増えた間者の対策を練っていたのだ。
翔「言われた通り、毒飲んで、死んだ下手人について、洗ってみたけどよ。どうも劉禅様の暗殺を図ったのは、内部の人間っぽいんだよなぁ。外の方は梟の旦那が寄せ付けないようにしてるし、間者を見逃すことはないっぽいんだよなぁ」
荀彧「そうですか。1番考えたくないことでしたが、やはり何処かに亀裂が生じているのかも知れませんね。あれだけ民のことを第一に考えている殿を裏切り司馬懿に付く利点が分かりませんが」
蓮「まぁ、それで割食ってる奴がいるってことなんじゃねぇか。許貢様が手紙一つで孫策に殺されたみてぇによ。怪しいのは、戦ばかりだから文官だろうな。黄皓って奴も劉封様付きの成り上がりの宦官だったんだろう?」
荀彧「らしいですね」
翔「らしいですねって、まさか知らなかったんですか?」
荀彧「えぇ。宦官などという勢力ができていたことに驚いていたものですから。霊帝様は、宦官がどれだけ脅威か身に染みていらっしゃいますので、その辺りについては、注意なさっていたはずです」
蓮「なら、不味いよなぁ。水面下で着々と腐敗させる奴らが生まれてるってことだろ。流石に人手が足りねぇぜ」
荀彧「確かに、後手に回ってる気がしています。これも劉丁殿の命の灯火が少ないからでしょうか」
翔「???」
荀彧「あぁ。何でもありません。できる限り、食い止めることを優先に、場合によっては実力行使で潰し回って良いと梟に」
蓮「わーったよ。こっちも世話になってる身だ。昔の伝手を使って、許貢様に世話になってた奴らを呼び戻してみらぁ。でも、ホント人手カツカツだからな。霊帝様と劉備様の守りも固めとかねぇと。暗殺の可能性があんだろ?」
荀彧「確かな情報は掴んでいませんが。情報の出所が劉丁殿ですから、ほぼ間違いないかと」
翔「はぁ。何で、罠だってわかってんのに益州に旅立ちますかねあん人は」
荀彧「急いては事を仕損じるでしたか?」
蓮「おぅ。梟の旦那が教訓だってよく言ってるよ」
荀彧「大丈夫ですよ劉丁殿なら。急いでいるように見えて、慎重に動いていますから」
蓮「なら良いけどよ。こっちはできるだけ難民の奴らを洗ってみる。荀彧様の方も人手頼むぜ。マジで」
荀彧「善処します。苦労をかけて申し訳ないと梟に」
翔「あー。もう良いって、世話になってんのはこっちなんすから。梟の旦那が護衛に付いてるからあっちは大丈夫っすよ。あの人、伊達に頭領務めてないっすから」
荀彧「それでも、感謝の気持ちは、お伝えしなければ」
蓮「もう良いってんだよ。じゃ、俺らはこれでもう行くからな」
荀彧「えぇ。お任せ致します」
翔と蓮が消えると劉禅が入ってくる。
劉禅「荀彧軍師、お伝えしたいことが」
荀彧「これは劉禅様、どうなさいましたか?」
劉禅「父の暗殺計画があることは、御存じでしょうか?」
荀彧「!?」
劉禅「その反応で十分です。難民を徹底的に洗うべきかと」
荀彧「血は争えませんね。覚醒遺伝かも知れませんが劉禅様は劉丁殿に良く似ておられる」
劉禅「そう言われると。荀彧軍師の前で、爪を隠す必要はないかな。叔父上でも流石にこの情報は知らないかと思ったんだけどな」
荀彧「劉丁殿を侮ってはいけませんよ。でも、それだけじゃないのでしょう?」
劉禅「難民で紛れ込んできた官女については、僕が躾をしておいたからもう情報が漏れることはないよ。宦官の方も黄皓が死んだことで警戒を強めて、一旦大人しくするだろうからさ」
荀彧「本当によく似ておいでだ。宦官については、劉丁殿も全く同じ意見でしたよ。ですが躾ですか。何をしたかは聞きませんが。それなら劉禅様にも手を貸して貰いましょう。元難民間者の女なら、同じ難民に紛れている間者を見抜けるかもしれません。協力をお願いできますか?」
劉禅「勿論だよ。難民を保護するという父上の優しさに付け込んだ卑劣な真似を許すわけには行かないからね。こっちのことは任せておいてよ」
荀彧「普段からそれぐらいやる気があれば、誰も文句を言わないと思うのですが」
劉禅「いやいや。僕が付け入りやすい隙を作っておくほうが色々便利だと思うよ」
荀彧「そういうことにしておきましょう。街に出てるのも視察と」
劉禅「いや。それは女漁りに決まってるでしょ。まぁ、女性の方が噂好きだからってのもあるんだけどね」
荀彧「ただの好色ではないと。あまり爪を隠しすぎると人が付いてこなくなりますよ」
劉禅「僕は、叔父上のように器用じゃないからね。ずっと隠しておくつもりだよ」
荀彧「そうですか。報告ありがとうございました」
劉禅「じゃ、僕もそろそろ行くよ」
荀彧「えぇ。殿だけでなく劉禅様も狙われているでしょうからお気をつけください」
劉禅「まぁ、兄上を使ってまで狙ってきたわけだからね。十分に用心しておくよ」
荀彧「それがよろしいかと」
劉禅が躾をした女性だけの間者集団が内部を荀彧に協力している闇夜団の面々が外から来る間者に対処することで、これ以上の被害を食い止めることには成功するのだった。
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。補足説明と登場人物の設定資料
揚惇命
SF
『えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。』という作品の世界観の説明補足と各勢力の登場人物の設定資料となります。
本編のネタバレを含むため本編を読んでからお読みください。
※小説家になろう様・カクヨム様でも掲載しています。

【新訳】帝国の海~大日本帝国海軍よ、世界に平和をもたらせ!第一部
山本 双六
歴史・時代
たくさんの人が亡くなった太平洋戦争。では、もし日本が勝てば原爆が落とされず、何万人の人が助かったかもしれないそう思い執筆しました。(一部史実と異なることがあるためご了承ください)初投稿ということで俊也さんの『re:太平洋戦争・大東亜の旭日となれ』を参考にさせて頂きました。
これからどうかよろしくお願い致します!
ちなみに、作品の表紙は、AIで生成しております。
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。

メトロポリス社へようこそ! ~「役立たずだ」とクビにされたおっさんの就職先は大企業の宇宙船を守る護衛官でした~
アンジェロ岩井
SF
「えっ、クビですか?」
中企業アナハイニム社の事務課に勤める大津修也(おおつしゅうや)は会社の都合によってクビを切られてしまう。
ろくなスキルも身に付けていない修也にとって再転職は絶望的だと思われたが、大企業『メトロポリス』からの使者が現れた。
『メトロポリス』からの使者によれば自身の商品を宇宙の植民星に運ぶ際に宇宙生物に襲われるという事態が幾度も発生しており、そのための護衛役として会社の顧問役である人工頭脳『マリア』が護衛役を務める適任者として選び出したのだという。
宇宙生物との戦いに用いるロトワングというパワードスーツには適性があり、その適性が見出されたのが大津修也だ。
大津にとっては他に就職の選択肢がなかったので『メトロポリス』からの選択肢を受けざるを得なかった。
『メトロポリス』の宇宙船に乗り込み、宇宙生物との戦いに明け暮れる中で、彼は護衛アンドロイドであるシュウジとサヤカと共に過ごし、絆を育んでいくうちに地球上にてアンドロイドが使用人としての扱いしか受けていないことを思い出す。
修也は戦いの中でアンドロイドと人間が対等な関係を築き、共存を行うことができればいいと考えたが、『メトロポリス』では修也とは対照的に人類との共存ではなく支配という名目で動き出そうとしていた。
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる