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5章 天下統一

決着、劉禅vs劉封

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 劉禅が一見全く関係ない人物と思われる黄皓のことで劉封に揺さぶりをかける。

 劉封「義父は、俺によく尽くしてくれている。父では、この国がよくならないとな」

 劉禅「それこそが答えだよ。劉封兄上は、知らず知らずのうちに操られているのさ」

 劉封「俺が操られているだと。笑止千万!こちらが黄皓を利用しているのだ。俺の野望のためにな」

 劉禅「そもそもみずばらしい姿で城下町に現れて、都合よく兄上の臣下になっているのが問題なんだよ。本当に信用できる人材かな。僕は、この国をめちゃくちゃにしようと現れた魏の者。それこそ簒奪者にしか見えないけど」

 劉封「ほぉ。俺が簒奪者だと。そう言いたいわけだな。簒奪者に簒奪者呼ばわりされる日が来ようとはな。もう良い。次で終わらせてやる」

 劉禅「今の劉封兄上には、何を言っても無駄か。僕は、黄皓と娘の関係すら疑ってるんだけどね。本当に娘なのかな。弱味を握られて利用されているんじゃ」

 劉封「ふざけるな!黄朱美は義父を敬愛している。これ以上、くだらぬことを抜かすな簒奪者」

 劉禅「そっかそっか。劉封兄上には、あれが怯えじゃなくて敬愛に見えるのか。成程、成程。大事な人なら守ってやれよ!このクソ兄貴が」

 劉封「ぐぐっ。俺が簒奪者に押されただと!?」

 劉禅「兄貴は、黄朱美姉さんのことを愛していないのか?愛してもいない女に子供を産ませたのか?違うだろ!卑しい身分の女と知りつつ、愛を育んだんじゃないのか!」

 劉封「お前に何がわかる!俺が俺がこの一騎打ちに勝たないと勝たないといけないんだ。俺の気持ちも知らずヌクヌクと温室で育ったお前に、もう何も奪わせん!」

 劉禅「僕だって負けられないんだ。大事な志を守るため。劉封兄上を救うため!」

 劉封「俺を救うなどと戯言を抜かすな簒奪者が」

 2人がぶつかり合ったタイミングで、吹き矢を劉禅に放った不審な男。

 劉禅「ぐっ。一体何処から。不味い。えっ?」

 劉封「これで俺の勝ちだ!劉禅、俺の負けだ。倒れたフリをしろ。恐らく黄皓の手の者の仕業。毒が塗られている。お前の暗殺を図ったのだろう。哀れな兄ですまぬ。これも朱美と我が子を救うためなのだ。直ぐに張角様の元に行き、治療を」

 劉封が劉禅にだけ聞こえるように本心を話す。
 唖然とする劉禅だったが思った以上に毒の周りが早く意識を保てなかった。

 霊帝「梟、そこにいる曲者を捕らえよ。毒を盛りよった。劉封よ。貴様の反則負けじゃ!張角、直ぐに劉禅を医務室に運んで治療せよ。毒を受けておる」

 御前試合ということで多少なりとも怪我はするだろうとの判断の元、張角を始めとして華佗などを霊帝は予め手配していたのだ。

 張角「承った」

 劉備「劉封、お前はそこまで落ちてしまったのか。阿斗のことを本気で殺そうと。私の手で息子を殺さねばならない日が来ようとは」

 劉封「申し開きもない。父よ。俺は阿斗が憎かったのだ。俺より後に産まれたにも関わらず溺愛される弟のことが。だが、このことに我が妻と息子は関係ない。どうか寛大な後処置を願う」

 劉備「勿論、我が孫に罪はない。お前の妻にもな。この反逆者を牢に繋いでおけ」

 梟が捕らえた男は、毒を噛み砕いて自害した。

 梟「クソッ。コイツ、予め毒を口に含んで、暗殺に。お役に立てず申し訳ござらん。劉宏様」

 霊帝「構わん。それにしても奥深くにまで暗殺を得意とする密偵を忍び込まされるとは。荀彧、これは失態だぞ」

 荀彧「重々、承知しております。原因の解明と根本的な対策を至急整えます」

 劉備「阿斗、阿斗は大丈夫なのであろうな張角!」

 張角「助かるか五分五分じゃ。使われた毒は即効性。解毒剤を飲ませたとはいえ、もう回ってしまっていた。劉禅様の生命力に賭けるしかあるまい」

 その頃、暗殺の成功の報告をしていた男。

 ???「仲達様、潜ませていた間者が命を断ちました。恐らく、劉禅及び劉封の排除に成功したかと。これで、劉備軍は大いに混乱するでしょう。曹操の暗殺を急がれるが宜しい」

 司馬懿「便利な能力だな黄皓。呪術による遠隔通話に間者が死ねば、藁人形が消滅するなど」

 黄皓「于吉が残した副産物ですよ。古の英雄の復活などくだらぬことに費やした男と違い、呪術の使い方などこうして、呪い殺すことに使うものだと思いますがね」

 司馬懿「確かにな。協力に感謝する。蜀漢を討伐した暁にはお前に統治を任せる。これからも私の目となり耳となり、報告をせよ」

 黄皓「かしこまりました」

 司馬懿「では、こちらも行動を開始する。暫く、連絡はやめよ。何処で誰が見ているかわからんからな」

 黄皓「御意」

 こうして呪術による遠隔通信を切った黄皓は、捕らえている赤子と女に目を向ける。

 黄皓「ククッ。劉封は、立派にその務めを果たしてくれましたよ」

 黄朱美「そんな。どうして、私なんかのために。劉封様ーーーーーーー。嫌ーーーーーー」

 劉林「バブ~」

 黄皓「さて、用無しとなった貴方たちの使い道ですが。そうでした。そうでした。士祇が開発してくれた人間爆弾なる面白いものがありましたね。あれで、ここに囚われていると情報を流して駆け付けた劉備軍を木っ端微塵にしましょう。後、もう口が聞けないように舌を。いやいや、傷があれば不審に思いますね。呪術で、声を発せられなくしてあげましょう」

 黄朱美「ん、ん、んんんん(この外道、絶対に許さない。地獄に堕ち、な、さ、い)」

 黄皓「赤子は特にうるさいですからね。お腹を掻っ捌いて、いえいえ。赤子が死んでしまいますね。ここは、子供を産んだ貴方が適任ですね。子宮にねじ込んであげますよ」

 黄朱美「ん、ん、んんんん(劉封様、私なんかのためにごめんなさい。卑しい身分の私なんか捨てて、生きて欲しかった。私も直ぐにそちらに参ります。義父様、巻き込むことになってしまうこと大変申し訳なく思っております)」

 黄朱美は、黄皓に畏れを抱いているので、劉封を殺されたとしても言葉に詰まりながらでしか憎い相手に暴言を言えなかったのである。
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