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5章 天下統一
義賢、甘寧に全てを打ち明ける
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董白に言われた言葉を受け、義賢は協力を仰ぐために荊州南部の統治を任されている劉琮の補佐と護衛を任されている甘寧へと会いに船の中に入った。
義賢「甘寧殿は、居るか?」
蘇飛「興覇なら今は軍事演習中だ。って、劉丁様!?これは、失礼いたしました。おい、お前ら。茶を持ってこい」
錦帆賊「無茶言わんでください副長。船の中で、茶なんてあるわけないでしょうが」
蘇飛「なら水でも構わない。ん?というか、まだ陸地に繋いでるだろうが!ずべこべ言わずに買ってくるのだ!」
錦帆賊「へいへい。わかりましたよ。金は副長待ちっすからね」
義賢「必要ない。訓練中、邪魔したな。これで失礼する」
立ち去ろうとした義賢に鈴の音が聞こえた。
甘寧「おぅ。義賢じゃねぇか。もう帰るなんて、ずいぶんな挨拶じゃねぇの。ほらよ」
甘寧から投げ渡されたのは葡萄酒だ。
義賢「こんなもの何処で?」
甘寧「人生の半分ぐらい船で生活してたんだぜ。色々と独自の交易路があんだよ。あぁ金なら要らねぇよ。俺の奢りだ。劉琮なら悪いが昨晩も文聘の奴とお楽しみでな。腰がガクガクで産まれたばかりの子鹿になってやがんだ。あの調子ならすぐに孫の顔も見れんじゃねぇか。カッカッカ」
義賢「それは、劉琮のことを養子として引き取った兄上も喜ばれるだろう。積もる話があるんだ。2人きりで話がしたい。何処か良い場所はあるか?」
甘寧「おぅ。あるぜ」
義賢「って言ってたけどさ。これはねぇよ!」
2人乗りの船で、沖合にまで連れ出されて、船を大きく揺らして悪戯してくる甘寧に義賢がヒィヒィ言うのも無理はない。
甘寧「何だ何だ。船に弱いのか?おいおい、ほんと陸地の人間は、そんなんでどうすんだ。敵に船で逃げられたら追えねぇぞ。今のうちに慣れとかねぇとな」
義賢「マジでやめろって。お前、タイタニック号のこと知らないだろ!」
甘寧「焼いた肉か。美味いよなぁ」
義賢「焼いた肉の話なんかしてねぇよ!タイタニック号ってのは、沈んだ船の名前だよ!とんでもない死者出したんだぞ。船ってのは怖いんだからな。映画にもなってるのに知らないのか!」
甘寧「へぇ?沈んだ船の名前ね。船に名前なんかあんのか?船は船だろ。それに映画ってなんだ?よくわからん言葉を使う男だな義賢は」
義賢はパニックになって、現実世界でのことを矢継ぎ早に話していたのだ。
勿論、そんな未来の話を甘寧が知ってるわけがない。
冷静さを取り戻した義賢は、取り乱した恥ずかしさで顔を真っ赤にしていた。
義賢「あっ。ホントにもうやめろよ。大事な話をしにわざわざ甘寧のところに訪ねてきたんだからな」
甘寧「わかった。わかった。んで、大事な話って何だよ。おっ、ひょっとして梅のやつがまた懐妊したのか?」
義賢「甘梅義姉さんのことじゃない。俺自身のことだ」
甘寧「まさか、とうとう董白の奴に捨てられたか!カッカッカ。そりゃ、災難だったな。まぁ、何だ俺でよければ慰めてやっからよ」
義賢「いや、違うから。とにかく話聞けよ!」
甘寧「ウッセェな。わかったよ。ったく」
義賢は、自分が遠い未来からやってきたこと。
その世界の歴史では、三国を統一したのが晋という国で、初代皇帝は司馬炎であること。
その世界の歴史では、甘寧は甘梅と会えず劉備の敵となり、夷陵の地にて、沙摩柯の流れ矢を受けて亡くなったということを話した。
甘寧「お前が未来人、おいおい何かの冗談だろ。それに、俺が義弟の敵だ?大事な妹の旦那の敵になるわけねぇだろ。それに俺がたかだか流れ矢に当たって、亡くなるとか。そんな与太話誰が信じんだって言いてぇところだが。そうじゃねぇんだよな?」
義賢「あぁ。今話したことは、事実だ。そして、これから話すことは、俺がこの先の未来で起こるかもしれない可能性を夢で見たという曖昧なものだ」
甘寧「そうか。未来では、船に名前があるのが当たり前なのか。それは良いことを聞いたぜ!早速、俺の相棒にも名前を付けてやらねぇとな」
義賢「いや、話を最後まで聞けよ!」
甘寧「おぅ。すまねぇ。良いこと聞いちまったからよ。つい、な。で、何だ?」
義賢は、曹丕が人質を取り、曹仁たちを漢中に向かわせること。
司馬懿が曹操の暗殺を謀っていること。
孫翊が揚州北部に攻めてくること。
朱褒と雍闓が反乱を起こすこと。
それらをまるで本当に見てきたかのように話した。
甘寧「成程な。でもよ曹操が暗殺されればよ。魏の国力も下がるし、曹仁たちが特攻して死んでくれるなら蜀漢にとっては、何も悪いことはねぇよな?」
義賢「あぁ。でも人質なんて取られて、戦争に駆り出されるなんて間違っている。ゴホッゴホッ」
甘寧「おいおい。どうした急に咳き込んで。って、それ血じゃねぇか!?馬鹿野郎、体調悪いのに何してんだよ。すぐに医者んとこ行くぞ」
義賢「必要ない。俺の命はもう長くはないからな。療養しろなんて言われて時間を無駄にしたくはない。命ある限り、兄上の天下のため力を尽くすことにしたからな」
甘寧「ったくよ。そんなこと言われたら何も言えなくなるだろうがよ。で、俺に何を頼みたいんだよ」
義賢「後方支援と言いたかったができれば、水軍を率いて、司隷州の弘農郡を攻撃して欲しい」
甘寧「成程な。良いところに目を付けたじゃねぇか。弘農は水路が多い。水軍で攻めるなら持ってこいの場所だ。拠点を構築して良いんだよな?」
義賢「あぁ。勿論」
そう、義賢はさらに主攻を増やしてしまったのである。
防衛するのは、蜀漢だと思っていた曹丕にとって、義賢の考えた許昌・弘農・武都への同時攻撃は、対処に困る手と言えた。
だが、義賢はまだ止まらない。
更なる主攻を増やすべく、張飛と関羽を訪ねるのだった。
義賢「甘寧殿は、居るか?」
蘇飛「興覇なら今は軍事演習中だ。って、劉丁様!?これは、失礼いたしました。おい、お前ら。茶を持ってこい」
錦帆賊「無茶言わんでください副長。船の中で、茶なんてあるわけないでしょうが」
蘇飛「なら水でも構わない。ん?というか、まだ陸地に繋いでるだろうが!ずべこべ言わずに買ってくるのだ!」
錦帆賊「へいへい。わかりましたよ。金は副長待ちっすからね」
義賢「必要ない。訓練中、邪魔したな。これで失礼する」
立ち去ろうとした義賢に鈴の音が聞こえた。
甘寧「おぅ。義賢じゃねぇか。もう帰るなんて、ずいぶんな挨拶じゃねぇの。ほらよ」
甘寧から投げ渡されたのは葡萄酒だ。
義賢「こんなもの何処で?」
甘寧「人生の半分ぐらい船で生活してたんだぜ。色々と独自の交易路があんだよ。あぁ金なら要らねぇよ。俺の奢りだ。劉琮なら悪いが昨晩も文聘の奴とお楽しみでな。腰がガクガクで産まれたばかりの子鹿になってやがんだ。あの調子ならすぐに孫の顔も見れんじゃねぇか。カッカッカ」
義賢「それは、劉琮のことを養子として引き取った兄上も喜ばれるだろう。積もる話があるんだ。2人きりで話がしたい。何処か良い場所はあるか?」
甘寧「おぅ。あるぜ」
義賢「って言ってたけどさ。これはねぇよ!」
2人乗りの船で、沖合にまで連れ出されて、船を大きく揺らして悪戯してくる甘寧に義賢がヒィヒィ言うのも無理はない。
甘寧「何だ何だ。船に弱いのか?おいおい、ほんと陸地の人間は、そんなんでどうすんだ。敵に船で逃げられたら追えねぇぞ。今のうちに慣れとかねぇとな」
義賢「マジでやめろって。お前、タイタニック号のこと知らないだろ!」
甘寧「焼いた肉か。美味いよなぁ」
義賢「焼いた肉の話なんかしてねぇよ!タイタニック号ってのは、沈んだ船の名前だよ!とんでもない死者出したんだぞ。船ってのは怖いんだからな。映画にもなってるのに知らないのか!」
甘寧「へぇ?沈んだ船の名前ね。船に名前なんかあんのか?船は船だろ。それに映画ってなんだ?よくわからん言葉を使う男だな義賢は」
義賢はパニックになって、現実世界でのことを矢継ぎ早に話していたのだ。
勿論、そんな未来の話を甘寧が知ってるわけがない。
冷静さを取り戻した義賢は、取り乱した恥ずかしさで顔を真っ赤にしていた。
義賢「あっ。ホントにもうやめろよ。大事な話をしにわざわざ甘寧のところに訪ねてきたんだからな」
甘寧「わかった。わかった。んで、大事な話って何だよ。おっ、ひょっとして梅のやつがまた懐妊したのか?」
義賢「甘梅義姉さんのことじゃない。俺自身のことだ」
甘寧「まさか、とうとう董白の奴に捨てられたか!カッカッカ。そりゃ、災難だったな。まぁ、何だ俺でよければ慰めてやっからよ」
義賢「いや、違うから。とにかく話聞けよ!」
甘寧「ウッセェな。わかったよ。ったく」
義賢は、自分が遠い未来からやってきたこと。
その世界の歴史では、三国を統一したのが晋という国で、初代皇帝は司馬炎であること。
その世界の歴史では、甘寧は甘梅と会えず劉備の敵となり、夷陵の地にて、沙摩柯の流れ矢を受けて亡くなったということを話した。
甘寧「お前が未来人、おいおい何かの冗談だろ。それに、俺が義弟の敵だ?大事な妹の旦那の敵になるわけねぇだろ。それに俺がたかだか流れ矢に当たって、亡くなるとか。そんな与太話誰が信じんだって言いてぇところだが。そうじゃねぇんだよな?」
義賢「あぁ。今話したことは、事実だ。そして、これから話すことは、俺がこの先の未来で起こるかもしれない可能性を夢で見たという曖昧なものだ」
甘寧「そうか。未来では、船に名前があるのが当たり前なのか。それは良いことを聞いたぜ!早速、俺の相棒にも名前を付けてやらねぇとな」
義賢「いや、話を最後まで聞けよ!」
甘寧「おぅ。すまねぇ。良いこと聞いちまったからよ。つい、な。で、何だ?」
義賢は、曹丕が人質を取り、曹仁たちを漢中に向かわせること。
司馬懿が曹操の暗殺を謀っていること。
孫翊が揚州北部に攻めてくること。
朱褒と雍闓が反乱を起こすこと。
それらをまるで本当に見てきたかのように話した。
甘寧「成程な。でもよ曹操が暗殺されればよ。魏の国力も下がるし、曹仁たちが特攻して死んでくれるなら蜀漢にとっては、何も悪いことはねぇよな?」
義賢「あぁ。でも人質なんて取られて、戦争に駆り出されるなんて間違っている。ゴホッゴホッ」
甘寧「おいおい。どうした急に咳き込んで。って、それ血じゃねぇか!?馬鹿野郎、体調悪いのに何してんだよ。すぐに医者んとこ行くぞ」
義賢「必要ない。俺の命はもう長くはないからな。療養しろなんて言われて時間を無駄にしたくはない。命ある限り、兄上の天下のため力を尽くすことにしたからな」
甘寧「ったくよ。そんなこと言われたら何も言えなくなるだろうがよ。で、俺に何を頼みたいんだよ」
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義賢「あぁ。勿論」
そう、義賢はさらに主攻を増やしてしまったのである。
防衛するのは、蜀漢だと思っていた曹丕にとって、義賢の考えた許昌・弘農・武都への同時攻撃は、対処に困る手と言えた。
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