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5章 天下統一
伏皇后によるクーデター
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董承の首と手紙を手に向かっていた秦慶童は、洛陽のきな臭い匂いを感じ取り、雇った人間を送ることにした。
秦慶童「俺の長年培ってきた勘が、今、洛陽に行くのは危険だって、伝えてくれている。さて、どうしたものか」
そう言いながら懐に手をやると少量の金が出てきた。
秦慶童「雲英との結婚資金のために取っておきたかったが背に腹はかえられないか。良し」
秦慶童は酒場に向かいお金に困ってこうな荒くれ者を探して、交渉する。
秦慶童「兄さん、良い仕事があるんだけど引き受けてくれないかい?」
荒くれ者「何だ。ガキが話しかけてんじゃねぇよ。俺は、最後の酒を煽ってんだ。何か文句あっか。コラァ」
秦慶童「これで、引き受けてくれないかな?」
秦慶童は金を取り出して、チラッと見せる。
荒くれ者「そ、そ、そ、それ金。んぐぐ」
秦慶童「おっと他の奴らに聞かれるとまずいんじゃないかな?」
荒くれ者「すまねぇ。で、頼みたいことってのは?」
秦慶童「この箱とこの手紙を献帝様に届けてくれないかな。大事な御主人からの依頼だったんだけど妻がこれでね。もう産まれるかもしれないそうなんだ。御主人の命令よりも我が子可愛さに見たがる男なんだよ俺は」
荒くれ者「おぅ。子供は良い。俺の息子も生きていれば、うっ。湿っぽくなっちまったな。わかったよ。これを献帝様に届ければ良いんだな」
秦慶童「あぁ。頼めるかい?」
荒くれ者「おぅ。任せときな。命の誕生に立ち会えると良いな」
秦慶童「ありがとう」
こうして、その場を後にした秦慶童。
秦慶童「ほんとごめんね。どうなるかわからないけど俺の身代わり頼んだよ。どこかの誰かも知らない人。さて、俺はゆっくりと帰りますか」
荒くれ者が洛陽に辿り着き、伏皇后と謁見していた。
伏皇后「献帝様は、度重なる心労でお疲れです。お話なら私が聞きましょう」
荒くれ者「届け物を頼まれてよ。これとこれだ。中身は見ないようにってことだから俺は何も見てねぇよ」
伏皇后「そうですか。中身を拝見させていただきます。うぷっ。おえっ。成程、これが貴方たちの手ということですか。では、こちらもこんな事をしても仕方ないですね」
荒くれ者「へっ?(俺の身体が真っ二つに?何で?頼まれごとをしただけなのに?いや、いっか。漢中で息子を亡くして、自暴自棄になって、死のうと最後の酒を煽ってたんだ。これで、息子にまた会える。ありがとよ。どこの誰かも知らない運び人さん)」
伏皇后は、偃月刀で、荒くれ者を真っ二つに切り裂いたのである。
伏皇后「これは、曹丕からの宣戦布告です。この使者の首を詰めて、曹丕に送り返してやりなさい!」
朝廷兵「はっ」
朝廷兵がその場を後にすると伏寿は、涙を流した。
伏皇后「董承殿、死に際が穏やかであったことだけは、良かったのかもしれませんが。これを董瑶や献帝様に見せようとしていたことは、断じて許せません。あの世から私の勇姿を見守りください」
曹丕は、秦慶童に手紙を託した後、忌々しい劉備征討のため、漢中より兵を南下させた。献帝による逆賊劉備を討てという偽の詔を持って。
曹丕「程昱、お前の腕は本当に良いな」
程昱「お褒めいただき恐縮でございます。初めからこうしていれば良かったのです。先代は、大義名分を得るため時間をかけておられました。それが時を失わせていたのです」
曹丕「全くだ。お前が早くから俺に鞍替えしてくれたこと心強いぞ。お前のお陰でこうして献帝の字で書かれた詔が手元にあるのだからな」
程昱「偽書はお任せくだされ。字を見れば、癖から何まで全て真似できますからな」
曹丕「フフフ。では、全軍、漢中より益州を平定する。全軍、進め」
伝令「曹丕様!洛陽にて伏皇后による謀反が勃発。曹憲様たちが献帝様を連れて、庇護を求めておられます!」
曹丕「何だと!?献帝の庇護だと。我が妹ながら厄介なことを持ち込んでくれたものだ。如何するべきか」
賈詡「やれやれ。簡単な事かと。献帝を保護し、本物の詔を得て、我が君は謀反の鎮圧を。放っておけば、民心が離れますから。幸い、こちらに献帝様がいるのならいかようにもできますので」
曹丕「流石、賈詡。良い献策だ。曹仁!」
曹仁「ここに」
曹丕「益州の平定はお前に任せる。失敗したらどうなるかわかっているな?」
曹仁「承知しました。我が君のため、某が逆賊を必ずや討ち果たしましょうぞ」
曹丕「それで良い。変な気は起こすなよ」
曹仁「承知」
こうして、曹丕は伏寿によるクーデターを鎮圧するため、兵を分けることとなり、益州平定の総大将に曹仁・曹真を据え、遊撃隊として曹洪・曹休・曹純。子供を人質に取った人間たちを当て、軍師に賈詡、参謀に程昱が付くこととなった。親戚を容赦なく使い捨てにする。それも死と隣り合わせの戦地に。
曹仁「殿、生きてお会いすることはもう叶わぬかもしれませんな」
曹洪「仕方ないさ。これも俺たちが選んだ道だ。子供を捨てて殿に忠誠を尽くす道だってあった。俺たちは子供可愛さに殿より子供を選んだんだ。せめて、戦場で死んでこそだ」
曹仁と曹洪の言葉に頷き、彼らは益州を終焉の地と定めるのだった。
秦慶童「俺の長年培ってきた勘が、今、洛陽に行くのは危険だって、伝えてくれている。さて、どうしたものか」
そう言いながら懐に手をやると少量の金が出てきた。
秦慶童「雲英との結婚資金のために取っておきたかったが背に腹はかえられないか。良し」
秦慶童は酒場に向かいお金に困ってこうな荒くれ者を探して、交渉する。
秦慶童「兄さん、良い仕事があるんだけど引き受けてくれないかい?」
荒くれ者「何だ。ガキが話しかけてんじゃねぇよ。俺は、最後の酒を煽ってんだ。何か文句あっか。コラァ」
秦慶童「これで、引き受けてくれないかな?」
秦慶童は金を取り出して、チラッと見せる。
荒くれ者「そ、そ、そ、それ金。んぐぐ」
秦慶童「おっと他の奴らに聞かれるとまずいんじゃないかな?」
荒くれ者「すまねぇ。で、頼みたいことってのは?」
秦慶童「この箱とこの手紙を献帝様に届けてくれないかな。大事な御主人からの依頼だったんだけど妻がこれでね。もう産まれるかもしれないそうなんだ。御主人の命令よりも我が子可愛さに見たがる男なんだよ俺は」
荒くれ者「おぅ。子供は良い。俺の息子も生きていれば、うっ。湿っぽくなっちまったな。わかったよ。これを献帝様に届ければ良いんだな」
秦慶童「あぁ。頼めるかい?」
荒くれ者「おぅ。任せときな。命の誕生に立ち会えると良いな」
秦慶童「ありがとう」
こうして、その場を後にした秦慶童。
秦慶童「ほんとごめんね。どうなるかわからないけど俺の身代わり頼んだよ。どこかの誰かも知らない人。さて、俺はゆっくりと帰りますか」
荒くれ者が洛陽に辿り着き、伏皇后と謁見していた。
伏皇后「献帝様は、度重なる心労でお疲れです。お話なら私が聞きましょう」
荒くれ者「届け物を頼まれてよ。これとこれだ。中身は見ないようにってことだから俺は何も見てねぇよ」
伏皇后「そうですか。中身を拝見させていただきます。うぷっ。おえっ。成程、これが貴方たちの手ということですか。では、こちらもこんな事をしても仕方ないですね」
荒くれ者「へっ?(俺の身体が真っ二つに?何で?頼まれごとをしただけなのに?いや、いっか。漢中で息子を亡くして、自暴自棄になって、死のうと最後の酒を煽ってたんだ。これで、息子にまた会える。ありがとよ。どこの誰かも知らない運び人さん)」
伏皇后は、偃月刀で、荒くれ者を真っ二つに切り裂いたのである。
伏皇后「これは、曹丕からの宣戦布告です。この使者の首を詰めて、曹丕に送り返してやりなさい!」
朝廷兵「はっ」
朝廷兵がその場を後にすると伏寿は、涙を流した。
伏皇后「董承殿、死に際が穏やかであったことだけは、良かったのかもしれませんが。これを董瑶や献帝様に見せようとしていたことは、断じて許せません。あの世から私の勇姿を見守りください」
曹丕は、秦慶童に手紙を託した後、忌々しい劉備征討のため、漢中より兵を南下させた。献帝による逆賊劉備を討てという偽の詔を持って。
曹丕「程昱、お前の腕は本当に良いな」
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曹丕「全くだ。お前が早くから俺に鞍替えしてくれたこと心強いぞ。お前のお陰でこうして献帝の字で書かれた詔が手元にあるのだからな」
程昱「偽書はお任せくだされ。字を見れば、癖から何まで全て真似できますからな」
曹丕「フフフ。では、全軍、漢中より益州を平定する。全軍、進め」
伝令「曹丕様!洛陽にて伏皇后による謀反が勃発。曹憲様たちが献帝様を連れて、庇護を求めておられます!」
曹丕「何だと!?献帝の庇護だと。我が妹ながら厄介なことを持ち込んでくれたものだ。如何するべきか」
賈詡「やれやれ。簡単な事かと。献帝を保護し、本物の詔を得て、我が君は謀反の鎮圧を。放っておけば、民心が離れますから。幸い、こちらに献帝様がいるのならいかようにもできますので」
曹丕「流石、賈詡。良い献策だ。曹仁!」
曹仁「ここに」
曹丕「益州の平定はお前に任せる。失敗したらどうなるかわかっているな?」
曹仁「承知しました。我が君のため、某が逆賊を必ずや討ち果たしましょうぞ」
曹丕「それで良い。変な気は起こすなよ」
曹仁「承知」
こうして、曹丕は伏寿によるクーデターを鎮圧するため、兵を分けることとなり、益州平定の総大将に曹仁・曹真を据え、遊撃隊として曹洪・曹休・曹純。子供を人質に取った人間たちを当て、軍師に賈詡、参謀に程昱が付くこととなった。親戚を容赦なく使い捨てにする。それも死と隣り合わせの戦地に。
曹仁「殿、生きてお会いすることはもう叶わぬかもしれませんな」
曹洪「仕方ないさ。これも俺たちが選んだ道だ。子供を捨てて殿に忠誠を尽くす道だってあった。俺たちは子供可愛さに殿より子供を選んだんだ。せめて、戦場で死んでこそだ」
曹仁と曹洪の言葉に頷き、彼らは益州を終焉の地と定めるのだった。
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