えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。

揚惇命

文字の大きさ
上 下
461 / 644
5章 天下統一

いざ、反乱の鎮圧へ

しおりを挟む
 目を覚ました義賢の眼前には、董白の背中。

 義賢「あっごめん董白。もう成都か」

 董白「あっ離れちゃった。じゃなくて、いい身分ねずっと寝て、この私に黝廉の手綱を任せるなんて」

 黝廉mark2「ヒヒーン(御主人様を気にして、チラチラ見る董白ちゃん、尊い)」

 義賢「ごめんな。なんかすごく眠たくてさ」

 董白「もう大丈夫なの?」

 義賢「あぁ。スッキリした」

 時間が残り少ないこともわかったしな。董白との時間も大事にするためには、とっとと統一しちまわないとな。そのためにも反乱なんて起こして大事な時間を奪った朱褒と雍闓には、とっとと退場してもらおう。

 董白「そっなら良かったわ。劉備様に益州都督を任されている人に会うんだからシャキッとしてよね」

 義賢「あぁ」

 成都に入ると兄上の義理の兄となった呉懿将軍と軍師の法正に迎えられる。

 呉懿「呉莧から話は聞いている。劉丁、よく来てくれたな。頼りとさせてもらう」

 義賢「兄上と呉莧義姉さんの結婚式以来ですね呉懿義兄さん」

 呉懿「あぁ。しかし、傷物の妹を貰い受けたいと言われた時は何かの冗談かと思ったが」

 義賢「兄上曰く一目惚れとのことです。最近は女御殿なるものを作って、正室と側室とそれの補佐をする侍女だけの女の園に」

 呉懿「呉莧からも聞いている。住み心地が良くて、皆んな仲良く子育てできる空間とのことだが、立案者は劉丁だと聞いたが」

 義賢「まぁ、元は兄上に気兼ねなく子作りに励んでもらおうかと提案したんですが、女性しか居ないから産まれた子供たちを皆んなで世話できるとか。そっちで好評になりましたね」

 呉懿「赤子が産まれたら取り合いになってると聞いたな。しかし、劉備様が遊興に耽ることがないことは良いことだ。此度も威厳たっぷりで、将たちに指示を飛ばしていたと」

 義賢「あぁ。兄上にしては珍しく、焦っている気がしていて、気が気ではないんですが。まぁ気持ちはわかるので、力を尽くすだけですよ」

 呉懿「うむ。長々と悪かった。法正、状況の説明を頼む」

 法正「うむ。朱褒と雍闓が動いたのだが攻めた先が同じく反乱を起こしたはずの高定で、仲間割れならほっとくべきだと進言したのだが、益州総督の考えは違ってな。高定を救援し、その勢いのまま朱褒と雍闓を討ち、南蛮と条約を結ぶべきだと。そう上手くはいくまい。朱褒と雍闓の反乱には、十中八九、魏が絡んでいるのが透けて見える。そこに来て、好機に動かない南蛮も魏と何かしらの協定があるのだろう。高定が攻められていることが罠だった場合、益州総督の命はない。だから止めるのを手伝って」

 義賢「益州総督の作戦は、非常に良いかと。南蛮に関しては、問題ありません。李杏!」

 槃李杏「ここに」

 義賢「孟獲は許可したか?」

 槃李杏「はい。朱褒と雍闓が動けば、益州郡を急襲するでしょう」

 義賢「良し。なら、我々は曹丕の備えに兵を割きます。益州総督には、高定の救援に向かってもらいましょう。益州で起こったことは、益州総督に収めていただくのが民の信頼を勝ち取る1番の近道ですから。魏延!虎熊!一軍を率いて、益州総督の護衛をせよ」

 魏延「総司令官の命とあらば、従いましょう」

 虎熊「コイツらも暴れたがってたんだ。反乱軍なんて喰らい尽くしてやるぜ」

 義賢「俺は総司令官という立場を頂いたが、それは対魏に対してのこと。益州における上下は、劉循様が上。しっかりと御身を守るように」

 魏延「はっ」

 虎熊「お任せくだせぇ」

 劉循「お手を煩わせて、申し訳ない劉丁」

 義賢「まだぎこちないですな。私と劉循様は義兄弟となりました。他人行儀などせず呉懿義兄さんのようにもうちょっとくだけてくださいよ」

 劉循「いや。しかし、父が民にしたことも思えば」

 義賢「それは、兄上と桜蘭《オウラン》義姉さんが背負うと宣言しただろう。劉循義兄さんは気にせず益州を統治することだけを考えたら良い。お前の作戦は的を得ている。誇れ」

 劉循「劉丁、ありがとう。頼りにさせてもらう」

 義賢「勿論だ劉循義兄さん」

 劉循「では、劉丁には魏の侵攻に備え、成都に入り、防衛を任せる。呉懿・張任は、兵を率いて高定の救援に向かう供をせよ。法正には軍師として同道を命じる。費禕・蒋琬・郭攸之・董允は、この地について間も無く、右も左もわからぬ劉丁の補佐をせよ」

 義賢「謹んでお受けいたします」

 呉懿・張任「はっ」

 法正「こうなっては仕方ありませんな。献策はお任せを」

 費禕「こちらのことはお任せくだされ」

 蒋琬「劉丁殿の補佐はお任せください」

 郭攸之「殿の命とあれば」

 董允「殿、御武運を」

 劉循「闡、お前はここに残り、劉丁の世話をせよ」

 劉闡「兄上、どうかご無事で」

 劉循「あぁ。全軍、反乱起こし世を乱そうとする馬鹿どもを討つぞ。出陣」

 劉循は、益州のほとんどの兵を率いて、高定の救援に向かった。残された義賢は、対魏に備えて、場所を復興途上である巴郡に移して居を構える。成都と巴郡を行き来し、必要以上に目立たず劉循に雇われた人間を装って、巴郡の復興に手を貸すのだった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。補足説明と登場人物の設定資料

揚惇命
SF
『えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。』という作品の世界観の説明補足と各勢力の登場人物の設定資料となります。 本編のネタバレを含むため本編を読んでからお読みください。 ※小説家になろう様・カクヨム様でも掲載しています。

続・歴史改変戦記「北のまほろば」

高木一優
SF
この物語は『歴史改変戦記「信長、中国を攻めるってよ」』の続編になります。正編のあらすじは序章で説明されますので、続編から読み始めても問題ありません。 タイム・マシンが実用化された近未来、歴史学者である私の論文が中国政府に採用され歴史改変実験「碧海作戦」が発動される。私の秘書官・戸部典子は歴女の知識を活用して戦国武将たちを支援する。歴史改変により織田信長は中国本土に攻め入り中華帝国を築き上げたのだが、日本国は帝国に飲み込まれて消滅してしまった。信長の中華帝国は殷賑を極め、世界の富を集める経済大国へと成長する。やがて西欧の勢力が帝国を襲い、私と戸部典子は真田信繁と伊達政宗を助けて西欧艦隊の攻撃を退け、ローマ教皇の領土的野心を砕く。平和が訪れたのもつかの間、十七世紀の帝国の北方では再び戦乱が巻き起ころうとしていた。歴史を思考実験するポリティカル歴史改変コメディー。

メトロポリス社へようこそ! ~「役立たずだ」とクビにされたおっさんの就職先は大企業の宇宙船を守る護衛官でした~

アンジェロ岩井
SF
「えっ、クビですか?」 中企業アナハイニム社の事務課に勤める大津修也(おおつしゅうや)は会社の都合によってクビを切られてしまう。 ろくなスキルも身に付けていない修也にとって再転職は絶望的だと思われたが、大企業『メトロポリス』からの使者が現れた。 『メトロポリス』からの使者によれば自身の商品を宇宙の植民星に運ぶ際に宇宙生物に襲われるという事態が幾度も発生しており、そのための護衛役として会社の顧問役である人工頭脳『マリア』が護衛役を務める適任者として選び出したのだという。 宇宙生物との戦いに用いるロトワングというパワードスーツには適性があり、その適性が見出されたのが大津修也だ。 大津にとっては他に就職の選択肢がなかったので『メトロポリス』からの選択肢を受けざるを得なかった。 『メトロポリス』の宇宙船に乗り込み、宇宙生物との戦いに明け暮れる中で、彼は護衛アンドロイドであるシュウジとサヤカと共に過ごし、絆を育んでいくうちに地球上にてアンドロイドが使用人としての扱いしか受けていないことを思い出す。 修也は戦いの中でアンドロイドと人間が対等な関係を築き、共存を行うことができればいいと考えたが、『メトロポリス』では修也とは対照的に人類との共存ではなく支配という名目で動き出そうとしていた。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

四代目 豊臣秀勝

克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。 読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。 史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。 秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。 小牧長久手で秀吉は勝てるのか? 朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか? 朝鮮征伐は行われるのか? 秀頼は生まれるのか。 秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...