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5章 天下統一
包囲されつつある孫翊
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孫翊にとって、最も予想外だったのは、今まで防衛に徹し、全く動かなかった呂布がこのタイミングで動いたことだった。当初の予定では、袁燿の治める揚州北部を迅速に制圧し、徐州と荊州の連絡手段を断ち呂布を討ち取るつもりだった。だが蓋を開けてみれば、呂布はこちらの動きを予測していたかのように目の前に現れ、今とめどない攻めによって防戦一方に追い込まれているのは、孫翊の方である。
孫翊「ぐぬぬ。呂布め。鬼神と呼ばれる男を読み違えたか」
董襲「防戦一方だった奴らの動きじゃねぇぞ!休む暇なく攻め立ててきやがる」
呂蒙「こんなことならもっと戦術の勉強をするべきだった。知恵など俺には必要ないと排除したのが間違いだったか」
蒋欽「ウルセェぞ阿蒙。そんなくだらねぇこと言ってないで、敵を食い止めるぞ」
周泰「、、、、敵もやる」
凌統「徐々に包囲されつつありますよ。何考えてんです孫翊様」
周善「突破されるぞ!」
周善のところが崩れ、目の前に現れたのは呂布の矛、高順である。
高順「我が名は高順。陥陣営は伊達ではないぞ!腕に覚えがあるのならかかってくるがいい」
周善「ひぃ。よりによって、呂布の矛!」
高順「俺を知ってるのか。なら俺に狙われたらどうなるかわかっているな?」
周善「やってやる。やってやるよ。ここでお前を殺せば、呂布も痛手だろ?かかってこいや」
高順「ふっ。その意気を買ってやろう。名を聞いてやる」
周善「周善だ。行くぞオラァ」
ガキーンと軽く弾く高順。
高順「やはり身体が少し鈍っているか」
周善「うぐぐぐぐ。なんて重い一撃だ。勝てるわけねぇ。待て、待ってくれまだ死にたくない。降伏するるるる」
言葉を言い終わる前に高順は、一刀の元に斬り伏せた。
高順「仕えた主が追い込まれたら己が命を最優先に降伏するものなど何の役に立とうか!馬鹿な呉王を諌めなかったことを死んで、償うが良い!敵将、周善。高順が討ち取ったーーーーー」
周善の兵「ひぃぃぃぃぃ。周善様が討ち取られたぞ。ここはもうダメだ!逃げろーーーー」
高順の兵「高順様がやってくれたぞ。逃げる奴らの背を散々に討つんだ。行くぞーーーー」
孫翊は、せめてもの対抗手段として方円の陣を敷き呂布軍に対処していたが、その一角を担っていた周善が崩された。
孫翊「周善では凌ぎきれなかったか。賈華《カカ》のところも持ちそうにないか。これが鬼神の攻めか」
賈華とは、奇しくも呂布と同じ方天画戟の使い手で、呂布のためだけに作られた一点物と流通品との違いはあれど、自身の腕を過大評価していた。呂布如きに負けないと。だから、そこに呂布が攻めてきたことを嬉しく思っていた。
賈華「俺にも運が回ってきたぞ!同じ武器を使い、昔暴れただけで、過大な名声を得た呂奉先。この俺が討ち取ってくれる!」
呂布「ほぉ。俺を討つと言うか。良いだろう。己が武を過信する猪よ」
賈華「誰が猪じゃ。我が名は賈華。どちらが本物の方天画戟使いか教えたるわ!うおおおおお」
カキーンと一撃で吹っ飛ばされる賈華。
賈華「うごっ」
呂布「どうした?その程度か?早く武器を拾って向かってくるが良い。待っててやろう」
賈華「舐めやがって、今に見てろよ」
賈華は、呂布の余裕に腑が煮え繰り返って、武器を拾って、あろうことか砂を巻き上げたのだ。
賈華「その余裕が己が身を滅ぼすんだわ。オラァ」
呂布は方天画戟を振り回して、巻き上がった砂を離散させたつもりだったがそこに賈華の亡骸が転がっていた。そう賈華は、巻き上げた砂で呂布の目を見えなくしてやったとそのまま突っ込んだ所、振り回された方天画戟の餌食となったのである。
呂布「井の中の蛙大海を知らず。目潰しは最もよく使う手法の一つ。対策を取らぬ訳が無かろう。覚悟せよ。ん?」
賈華「・・・・・・・」
呂布「かかって来ないならこちらから行くぞ!」
賈華の兵「流石、賈華様だぜ。呂布に全く怯えてねぇ。テメェら行くぞーーーーーーーー」
急に動き出したことに驚いた馬が動くと賈華の身体は大きくぐらりと横に揺れるとドサリと後を立てて、地面へと落ちた。
荀攸「呂布殿、どうやらあの者は馬の上に座ったまま絶命されていたようですな」
呂布「そのようだな。俺としたことがそんなことにも気付かないとは、やれやれ歳は取りたくないものだ。敵将、賈華。呂奉先が粉砕した」
賈華の兵「そんな。賈華様が負けるなんて。逃げろーーーーーーーーーー」
荀攸「これは、向こうから舞い込んだ好機。誰1人として逃すつもりはない。その背を追い、1人残らず打ち取ってきてもらいますよ」
呂布の兵「はっ。お任せを荀攸軍師」
呂布「この場は荀攸に任せる。そのまま続けよ」
荀攸「言われなくてもわかっていますよ。呂布軍の破壊力に合わせたこの車掛かり、そろそろ孫翊も追い込まれていますよ」
呂布「手負の虎は恐ろしいと聞く。油断はせぬことだ」
荀攸「孫策ならまだしも孫翊に何ができましょう」
荀攸の油断が孫翊を取り逃がすことになることをこの時はまだ誰も知らない。孫翊は、江東の猛虎と恐れられた孫堅の息子であり、項羽の再来と言われた孫策の弟で、その武力は相当なものだったのである。呂布の言う通り、手負の虎は恐ろしかったのである。
孫翊「ぐぬぬ。呂布め。鬼神と呼ばれる男を読み違えたか」
董襲「防戦一方だった奴らの動きじゃねぇぞ!休む暇なく攻め立ててきやがる」
呂蒙「こんなことならもっと戦術の勉強をするべきだった。知恵など俺には必要ないと排除したのが間違いだったか」
蒋欽「ウルセェぞ阿蒙。そんなくだらねぇこと言ってないで、敵を食い止めるぞ」
周泰「、、、、敵もやる」
凌統「徐々に包囲されつつありますよ。何考えてんです孫翊様」
周善「突破されるぞ!」
周善のところが崩れ、目の前に現れたのは呂布の矛、高順である。
高順「我が名は高順。陥陣営は伊達ではないぞ!腕に覚えがあるのならかかってくるがいい」
周善「ひぃ。よりによって、呂布の矛!」
高順「俺を知ってるのか。なら俺に狙われたらどうなるかわかっているな?」
周善「やってやる。やってやるよ。ここでお前を殺せば、呂布も痛手だろ?かかってこいや」
高順「ふっ。その意気を買ってやろう。名を聞いてやる」
周善「周善だ。行くぞオラァ」
ガキーンと軽く弾く高順。
高順「やはり身体が少し鈍っているか」
周善「うぐぐぐぐ。なんて重い一撃だ。勝てるわけねぇ。待て、待ってくれまだ死にたくない。降伏するるるる」
言葉を言い終わる前に高順は、一刀の元に斬り伏せた。
高順「仕えた主が追い込まれたら己が命を最優先に降伏するものなど何の役に立とうか!馬鹿な呉王を諌めなかったことを死んで、償うが良い!敵将、周善。高順が討ち取ったーーーーー」
周善の兵「ひぃぃぃぃぃ。周善様が討ち取られたぞ。ここはもうダメだ!逃げろーーーー」
高順の兵「高順様がやってくれたぞ。逃げる奴らの背を散々に討つんだ。行くぞーーーー」
孫翊は、せめてもの対抗手段として方円の陣を敷き呂布軍に対処していたが、その一角を担っていた周善が崩された。
孫翊「周善では凌ぎきれなかったか。賈華《カカ》のところも持ちそうにないか。これが鬼神の攻めか」
賈華とは、奇しくも呂布と同じ方天画戟の使い手で、呂布のためだけに作られた一点物と流通品との違いはあれど、自身の腕を過大評価していた。呂布如きに負けないと。だから、そこに呂布が攻めてきたことを嬉しく思っていた。
賈華「俺にも運が回ってきたぞ!同じ武器を使い、昔暴れただけで、過大な名声を得た呂奉先。この俺が討ち取ってくれる!」
呂布「ほぉ。俺を討つと言うか。良いだろう。己が武を過信する猪よ」
賈華「誰が猪じゃ。我が名は賈華。どちらが本物の方天画戟使いか教えたるわ!うおおおおお」
カキーンと一撃で吹っ飛ばされる賈華。
賈華「うごっ」
呂布「どうした?その程度か?早く武器を拾って向かってくるが良い。待っててやろう」
賈華「舐めやがって、今に見てろよ」
賈華は、呂布の余裕に腑が煮え繰り返って、武器を拾って、あろうことか砂を巻き上げたのだ。
賈華「その余裕が己が身を滅ぼすんだわ。オラァ」
呂布は方天画戟を振り回して、巻き上がった砂を離散させたつもりだったがそこに賈華の亡骸が転がっていた。そう賈華は、巻き上げた砂で呂布の目を見えなくしてやったとそのまま突っ込んだ所、振り回された方天画戟の餌食となったのである。
呂布「井の中の蛙大海を知らず。目潰しは最もよく使う手法の一つ。対策を取らぬ訳が無かろう。覚悟せよ。ん?」
賈華「・・・・・・・」
呂布「かかって来ないならこちらから行くぞ!」
賈華の兵「流石、賈華様だぜ。呂布に全く怯えてねぇ。テメェら行くぞーーーーーーーー」
急に動き出したことに驚いた馬が動くと賈華の身体は大きくぐらりと横に揺れるとドサリと後を立てて、地面へと落ちた。
荀攸「呂布殿、どうやらあの者は馬の上に座ったまま絶命されていたようですな」
呂布「そのようだな。俺としたことがそんなことにも気付かないとは、やれやれ歳は取りたくないものだ。敵将、賈華。呂奉先が粉砕した」
賈華の兵「そんな。賈華様が負けるなんて。逃げろーーーーーーーーーー」
荀攸「これは、向こうから舞い込んだ好機。誰1人として逃すつもりはない。その背を追い、1人残らず打ち取ってきてもらいますよ」
呂布の兵「はっ。お任せを荀攸軍師」
呂布「この場は荀攸に任せる。そのまま続けよ」
荀攸「言われなくてもわかっていますよ。呂布軍の破壊力に合わせたこの車掛かり、そろそろ孫翊も追い込まれていますよ」
呂布「手負の虎は恐ろしいと聞く。油断はせぬことだ」
荀攸「孫策ならまだしも孫翊に何ができましょう」
荀攸の油断が孫翊を取り逃がすことになることをこの時はまだ誰も知らない。孫翊は、江東の猛虎と恐れられた孫堅の息子であり、項羽の再来と言われた孫策の弟で、その武力は相当なものだったのである。呂布の言う通り、手負の虎は恐ろしかったのである。
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