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5章 天下統一
司馬会議
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長安を本拠地として、曹丕が魏を建国し、初代魏王に就任した。この結果、曹丕と献帝という2人の統治者がいる状況となった魏の内部にて、献帝の排除を目論んでいた男の名を司馬仲達という。諸葛孔明最大のライバルと称されし者でも霊帝の生存は計算外の出来事だった。
司馬懿「まさか、とうの昔に病死したと聞いた霊帝が生きていたか」
張春華「旦那様はどうされるつもりかしら?」
司馬懿「霊帝が生きている状態での献帝の排除は、できんな。曹丕様には、道化としてまだまだ踊ってもらう必要がある」
???「父上が立たずに凡愚を上に据えるからこうなるのだ」
司馬懿「師よ。まだまだ青いな。曹丕様と朝廷勢力を対立させ、民が疲弊したところで立ってこそ正当性が生まれる。司馬家による司馬家のための統治のために、まだまだ民には疲弊してもらい救世主として、民たちからの信奉を集めて立つ。朝廷も魏王も民のことなど考えずまだまだ暴れてもらわなければ。そのための一手だったのだが。劉備め。密かに霊帝を匿っていたか。急かずに済み良かったと捉えるとしよう」
司馬師、字を子元と言い、司馬懿と張春華の長子であり、父に負けずとも劣らない知恵の持ち主だったがまだ青かった。
???「戦なんてする意味あるんですかね?別に平和になるってんなら誰が治めても良いんじゃないですか父上?」
司馬懿「昭よ。お前は、師と違って、あっけらかんとしすぎだ。男ならもっと向上心を持って上を目指さんか」
司馬昭、字を子上と言い、司馬懿と張春華の次子であり、父や兄と違いマイペースで我が道を行くタイプである。
司馬昭「へいへい。そういうのは父上たちに任せますよ」
司馬師「昭よ。俺や父上に万が一があった時、お前が司馬家を継ぐのだぞ。地頭は良いのだ。良い加減な態度はやめて、本気になれ」
司馬昭「いやぁ。父上や兄上が戦場以外で死ぬ未来は見えないですし、そうなったら司馬家を守るために俺は敵に頭下げますよ。戦は悲しみしか生まないですからね」
張春華「はぁ。昭は、ちょっとのんびりさせちゃったかしら。まぁ、それも個性かしらね」
司馬懿「昭よ。それは最悪の場合だ。すぐに頭を下げては、降伏した先での出世は見込めん」
司馬昭「いやぁ。俺は出世とか考えてないですし、父上や兄上には従いますんで、じゃあ」
司馬昭は、そういうと家族会議から早々に離脱した。
司馬懿「全くアイツは、何を考えてるか読めん。あれでいて、盤上遊戯では最善手を常に打つのだから我が子ながら底が見えん」
司馬師「俺も昭には、一度も盤上遊戯で勝つことはできない。どんなに追い詰めていてもひっくり返す一手を打つ。戦でしか輝けないというのがわかっていながら戦で悲しむ人を出したくないのだろう」
張春華「優しさは時に致命的となるわ」
司馬懿「どうしたものか」
司馬師「父上、今は様子を見るしかないかと」
司馬郎「懿よ。お前でも頭を悩ませることがあるのだな」
司馬懿「兄上、揶揄わないで貰えるか」
???「懿兄さん、それよりも今は曹操様から力を削ぐことが大事かと」
司馬孚、字を叔達と言い、司馬懿が信頼を置く弟である。
司馬懿「そうだな。俺が側に居たら曹丕様を好きなように使うと脅して、曹仁と曹洪だけでなく曹休と曹真は、こちらに付けた。夏侯一族と郭嘉は靡かんか。ここまで削げれば、十分か。孚よ。鍾繇に命じよ。こちらに内応してきた雍闓と朱褒を使って、益州の南部で反乱を起こせとな」
司馬孚「承知しました」
司馬懿「兄上は、孫翊を焚きつけ、徐州へと侵攻を促してください」
司馬郎「うむ。曹操様に大恩あれど致し方ない。曹操様よりも家族。ここで曹操様には消えてもらわねばな」
司馬懿「師は、曹丕様に漢中から益州内へ軍へ動かす利点を伝え、攻撃させよ」
司馬師「心得ました」
司馬懿は、曹操排除の邪魔になる人間を次々と関われない位置に向かわせることで、曹操包囲網を敷いたのだ。
司馬懿「後は、曹操に恨みを持つ人間ばかりを集めた野盗に、襲わせ、その仕業を劉備になすりつける。ここまで長かった。絶大な影響力を持つ曹操が劉備に暗殺されたとなれば、多くの者が仇討ちのため曹丕様に従う。後は周りを囲まれた蜀漢を叩き、疲弊したところで、曹操様を殺したのが曹丕様だと流せば、民たちの怒りが頂点に達しよう」
司馬懿は、曹操の側近たちをあの手この手で脅しつけ、曹操様ではなく曹丕様に忠誠を誓わせた。曹仁を例に挙げると、息子を人質に取って、殺されたくなければ、どうすれば良いかわかっているなと曹操から実権を奪うことに協力させた。同様の手口で、曹洪・曹真・曹休からも人質を取り、従わせ、子のいない者は親を人質に、ある日急に連絡が取れなくなり、次の日には司馬懿から脅され、協力を約束させられる。こうして司馬懿によって、勢力図は曹操から曹丕へとスムーズに移譲させられたのである。そして、司馬懿の次なる狙いは、助長した劉備の勢いを削ぎ、曹操の暗殺を成功させることである。曹操の絶体絶命の状況に、魏のもう1人の天才軍師が黙って見ているなんて事はなかった。
司馬懿「まさか、とうの昔に病死したと聞いた霊帝が生きていたか」
張春華「旦那様はどうされるつもりかしら?」
司馬懿「霊帝が生きている状態での献帝の排除は、できんな。曹丕様には、道化としてまだまだ踊ってもらう必要がある」
???「父上が立たずに凡愚を上に据えるからこうなるのだ」
司馬懿「師よ。まだまだ青いな。曹丕様と朝廷勢力を対立させ、民が疲弊したところで立ってこそ正当性が生まれる。司馬家による司馬家のための統治のために、まだまだ民には疲弊してもらい救世主として、民たちからの信奉を集めて立つ。朝廷も魏王も民のことなど考えずまだまだ暴れてもらわなければ。そのための一手だったのだが。劉備め。密かに霊帝を匿っていたか。急かずに済み良かったと捉えるとしよう」
司馬師、字を子元と言い、司馬懿と張春華の長子であり、父に負けずとも劣らない知恵の持ち主だったがまだ青かった。
???「戦なんてする意味あるんですかね?別に平和になるってんなら誰が治めても良いんじゃないですか父上?」
司馬懿「昭よ。お前は、師と違って、あっけらかんとしすぎだ。男ならもっと向上心を持って上を目指さんか」
司馬昭、字を子上と言い、司馬懿と張春華の次子であり、父や兄と違いマイペースで我が道を行くタイプである。
司馬昭「へいへい。そういうのは父上たちに任せますよ」
司馬師「昭よ。俺や父上に万が一があった時、お前が司馬家を継ぐのだぞ。地頭は良いのだ。良い加減な態度はやめて、本気になれ」
司馬昭「いやぁ。父上や兄上が戦場以外で死ぬ未来は見えないですし、そうなったら司馬家を守るために俺は敵に頭下げますよ。戦は悲しみしか生まないですからね」
張春華「はぁ。昭は、ちょっとのんびりさせちゃったかしら。まぁ、それも個性かしらね」
司馬懿「昭よ。それは最悪の場合だ。すぐに頭を下げては、降伏した先での出世は見込めん」
司馬昭「いやぁ。俺は出世とか考えてないですし、父上や兄上には従いますんで、じゃあ」
司馬昭は、そういうと家族会議から早々に離脱した。
司馬懿「全くアイツは、何を考えてるか読めん。あれでいて、盤上遊戯では最善手を常に打つのだから我が子ながら底が見えん」
司馬師「俺も昭には、一度も盤上遊戯で勝つことはできない。どんなに追い詰めていてもひっくり返す一手を打つ。戦でしか輝けないというのがわかっていながら戦で悲しむ人を出したくないのだろう」
張春華「優しさは時に致命的となるわ」
司馬懿「どうしたものか」
司馬師「父上、今は様子を見るしかないかと」
司馬郎「懿よ。お前でも頭を悩ませることがあるのだな」
司馬懿「兄上、揶揄わないで貰えるか」
???「懿兄さん、それよりも今は曹操様から力を削ぐことが大事かと」
司馬孚、字を叔達と言い、司馬懿が信頼を置く弟である。
司馬懿「そうだな。俺が側に居たら曹丕様を好きなように使うと脅して、曹仁と曹洪だけでなく曹休と曹真は、こちらに付けた。夏侯一族と郭嘉は靡かんか。ここまで削げれば、十分か。孚よ。鍾繇に命じよ。こちらに内応してきた雍闓と朱褒を使って、益州の南部で反乱を起こせとな」
司馬孚「承知しました」
司馬懿「兄上は、孫翊を焚きつけ、徐州へと侵攻を促してください」
司馬郎「うむ。曹操様に大恩あれど致し方ない。曹操様よりも家族。ここで曹操様には消えてもらわねばな」
司馬懿「師は、曹丕様に漢中から益州内へ軍へ動かす利点を伝え、攻撃させよ」
司馬師「心得ました」
司馬懿は、曹操排除の邪魔になる人間を次々と関われない位置に向かわせることで、曹操包囲網を敷いたのだ。
司馬懿「後は、曹操に恨みを持つ人間ばかりを集めた野盗に、襲わせ、その仕業を劉備になすりつける。ここまで長かった。絶大な影響力を持つ曹操が劉備に暗殺されたとなれば、多くの者が仇討ちのため曹丕様に従う。後は周りを囲まれた蜀漢を叩き、疲弊したところで、曹操様を殺したのが曹丕様だと流せば、民たちの怒りが頂点に達しよう」
司馬懿は、曹操の側近たちをあの手この手で脅しつけ、曹操様ではなく曹丕様に忠誠を誓わせた。曹仁を例に挙げると、息子を人質に取って、殺されたくなければ、どうすれば良いかわかっているなと曹操から実権を奪うことに協力させた。同様の手口で、曹洪・曹真・曹休からも人質を取り、従わせ、子のいない者は親を人質に、ある日急に連絡が取れなくなり、次の日には司馬懿から脅され、協力を約束させられる。こうして司馬懿によって、勢力図は曹操から曹丕へとスムーズに移譲させられたのである。そして、司馬懿の次なる狙いは、助長した劉備の勢いを削ぎ、曹操の暗殺を成功させることである。曹操の絶体絶命の状況に、魏のもう1人の天才軍師が黙って見ているなんて事はなかった。
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