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4章 三国鼎立
劉馬会談(後編)
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劉備から劉丁の近況を聞き言葉を失った馬超。
姜維「劉丁殿は、殿も認めるほどの才覚を持った軍師だとお聞きしました。それがどうして、一般兵に?」
劉備「荊州南部が賊たちに奪われて、残ったのが長沙だけだった。その長沙の救援に向かって、賊どもとの戦いの際にな。丁は、賊どもに無惨に殺された者を家族に持つたちの怒りを鎮められなかった。それに味方の将が1人囚われていてな。助けるために彼らの復讐の後押しをして、返り討ちに遭ったのだ。その責任を取り、民に。いや違うな心を壊してしまった。自分のせいで多くの民を殺してしまったと自分を守るために愛馬を犠牲にしてしまったと。そんな丁に、孔明が厳しく言ったのだ。民に落とすとな。それは、今まで頑張ってきたアイツに休んで欲しいという我らの願いだった」
馬超「噂には聞いていたが想像を超える戦いだったのだな。劉丁殿の気持ちを慮るとやりきれん気持ちになるな」
劉備「だが、アイツのことを立ち直らせてくれた奴らがいてな。そいつらは、士卒であったのに、アイツのために兵卒となり、その側を支えている」
馬超「しかし、元気になったのならまた軍師とすれば良かったのではないか?」
劉備「私も孔明もそのつもりだった。だが、それを固辞したのは、他ならぬ丁だ。丁は、それでは下のものに示しがつかないと。軍師の器ではなかった。これからは将軍を目指しますとな」
馬超「大きくでましたな」
劉備「あぁ。だからこそ兵卒からやり直しておるのよ」
馬超「なるほど」
姜維「話が脱線していませんか?」
劉備「すまなかった。丁の話となるとな。いや、まぁ、そのなんだ療養施設なるものを作るように張角に助言したのが丁なのだ。その療養施設に一時、劉焉様と劉瑁殿と劉瑁殿の奥方殿がいたらしい。そして、我らが劉璋殿ではなく法正殿に手を貸すことを決めた決定打となったのが丁から聞いた話でな。劉焉様は劉瑁殿とその奥方を連れて、3人で国許に帰られたと言うのだ。なら、どうして、劉瑁殿が行方不明となる。おかしいであろう?まぁ、私も反乱軍と聞いた時には劉璋殿に手を貸すべきだと言ったので、恥ずかしい限りだがな」
姜維「確かにおかしいですね。それが本当なら劉瑁殿が行方不明とされている理由がわかりません。殿、劉璋殿は本当に兄弟を手にかけたかも知れません。血の繋がりを簡単に切るような男です。やはり、私の考えた通り、我らのこともただの捨て駒として、受け入れたと考えるのが良いかと」
馬超「その線が濃厚だな。しかし、困った。こちらも防衛を任されている身、降伏などすれば、柳と霧毯の身に危険が及ぶのだ」
龐統「人質かい?」
馬超「そんなことは思わなかったのだが劉璋殿に付き従い、反乱軍の拠点を攻めているのだ。氐族の若者たちが周りを固めているので大丈夫だとは思うが」
龐統「成程ね。ならこういうのはどうだい?アッシらは、散々に負けて撤退した事にするさ。そうなれば」
姜維「劉璋殿の事です。我らを援軍に呼ぶでしょう」
龐統「全員が居なくなったところで、アッシらが反転攻勢をかけたら城がもぬけの殻だった」
姜維「確かにそれなら我らも馬柳様の救援に迎えるかと」
馬超「だが散々に負けるって何をする気だ?」
龐統「なーに、簡単さ。兵士たちにその場で死んだフリをしてもらうさ。そうさね。関羽殿と張飛殿にも頼めるかい?」
関羽「某らが死んだことで、兄者が撤退したと装いたいのだな?」
張飛「気はすすまねぇが偶には死んだフリするのも良いか。本当に死ぬのは嫌だけどよ」
龐徳「ならば、某が関羽殿と」
閻行「俺が張飛殿と戦うってのが説得力でそうだな。こんなことでなければ、本気でやりたいが命の取り合いはまずいからな」
龐統「良いね~ある程度は本気でやってもらわないといけないよ~。なんせ、アッシら以外の周りの人間全てを騙すんだからね」
姜維「兵の中に劉璋の間者が紛れ込んでいるでしょう。情報は最小限に」
龐統「そうさね。後、関羽殿と張飛殿にはこれを」
関羽「この赤いのは血か?」
張飛「まぁ、騙すんだから必須だよなぁ」
劉備「雲長・翼徳、お前たちにかかっているのだ」
関羽「兄者の頼みとあれば断れませんな」
張飛「おぅよ。いっちょ盛大に死んだフリしてやろうじゃねぇか」
龐統「頼んだよ。後はお互いの信頼できる兵にもあるだけ渡すさ。大激戦で、お互いに被害があったって装わないと信じてくれるそうにないだろうさ」
姜維「えぇ、お預かりしましょう」
馬超「まさか、兵を貸してくれが人質だったとはな」
姜維「だから迂闊に貸すべきではないと進言したのです」
馬超「すまなかった。だがこうして、有意義な会談ができたのだから何もいうことはない」
そこに義賢が1人の兵士を連れて入ってきた。
義賢「兄上、コイツが外でこちらの様子を伺っていました」
間者「ひぃっ。俺は何も何も聞いてない。劉璋様を欺くなんて何も。だから見逃してくれ。なっ。なっ。ガハッ。なんで」
義賢「ペラペラと自分から間者だと明かすからだ。碌なのが居ないのか!馬超殿、申し訳ない。殴って気絶させてしまった」
馬超「構わない。それにしても劉丁殿、久しいな。本当に一般兵なんだな」
義賢「この通り。怪しげなやつがいないか周りをうちの奴らと見回っていた」
馬超「助かった。間者が1人だかということは無いと思うが」
姜維「コイツはここで打ち捨てましょう。本当の死体も入れておくのが良いかと」
馬超「成程、では手筈通りに」
劉備「うむ」
馬超と劉備による茶番劇の幕が開ける。
姜維「劉丁殿は、殿も認めるほどの才覚を持った軍師だとお聞きしました。それがどうして、一般兵に?」
劉備「荊州南部が賊たちに奪われて、残ったのが長沙だけだった。その長沙の救援に向かって、賊どもとの戦いの際にな。丁は、賊どもに無惨に殺された者を家族に持つたちの怒りを鎮められなかった。それに味方の将が1人囚われていてな。助けるために彼らの復讐の後押しをして、返り討ちに遭ったのだ。その責任を取り、民に。いや違うな心を壊してしまった。自分のせいで多くの民を殺してしまったと自分を守るために愛馬を犠牲にしてしまったと。そんな丁に、孔明が厳しく言ったのだ。民に落とすとな。それは、今まで頑張ってきたアイツに休んで欲しいという我らの願いだった」
馬超「噂には聞いていたが想像を超える戦いだったのだな。劉丁殿の気持ちを慮るとやりきれん気持ちになるな」
劉備「だが、アイツのことを立ち直らせてくれた奴らがいてな。そいつらは、士卒であったのに、アイツのために兵卒となり、その側を支えている」
馬超「しかし、元気になったのならまた軍師とすれば良かったのではないか?」
劉備「私も孔明もそのつもりだった。だが、それを固辞したのは、他ならぬ丁だ。丁は、それでは下のものに示しがつかないと。軍師の器ではなかった。これからは将軍を目指しますとな」
馬超「大きくでましたな」
劉備「あぁ。だからこそ兵卒からやり直しておるのよ」
馬超「なるほど」
姜維「話が脱線していませんか?」
劉備「すまなかった。丁の話となるとな。いや、まぁ、そのなんだ療養施設なるものを作るように張角に助言したのが丁なのだ。その療養施設に一時、劉焉様と劉瑁殿と劉瑁殿の奥方殿がいたらしい。そして、我らが劉璋殿ではなく法正殿に手を貸すことを決めた決定打となったのが丁から聞いた話でな。劉焉様は劉瑁殿とその奥方を連れて、3人で国許に帰られたと言うのだ。なら、どうして、劉瑁殿が行方不明となる。おかしいであろう?まぁ、私も反乱軍と聞いた時には劉璋殿に手を貸すべきだと言ったので、恥ずかしい限りだがな」
姜維「確かにおかしいですね。それが本当なら劉瑁殿が行方不明とされている理由がわかりません。殿、劉璋殿は本当に兄弟を手にかけたかも知れません。血の繋がりを簡単に切るような男です。やはり、私の考えた通り、我らのこともただの捨て駒として、受け入れたと考えるのが良いかと」
馬超「その線が濃厚だな。しかし、困った。こちらも防衛を任されている身、降伏などすれば、柳と霧毯の身に危険が及ぶのだ」
龐統「人質かい?」
馬超「そんなことは思わなかったのだが劉璋殿に付き従い、反乱軍の拠点を攻めているのだ。氐族の若者たちが周りを固めているので大丈夫だとは思うが」
龐統「成程ね。ならこういうのはどうだい?アッシらは、散々に負けて撤退した事にするさ。そうなれば」
姜維「劉璋殿の事です。我らを援軍に呼ぶでしょう」
龐統「全員が居なくなったところで、アッシらが反転攻勢をかけたら城がもぬけの殻だった」
姜維「確かにそれなら我らも馬柳様の救援に迎えるかと」
馬超「だが散々に負けるって何をする気だ?」
龐統「なーに、簡単さ。兵士たちにその場で死んだフリをしてもらうさ。そうさね。関羽殿と張飛殿にも頼めるかい?」
関羽「某らが死んだことで、兄者が撤退したと装いたいのだな?」
張飛「気はすすまねぇが偶には死んだフリするのも良いか。本当に死ぬのは嫌だけどよ」
龐徳「ならば、某が関羽殿と」
閻行「俺が張飛殿と戦うってのが説得力でそうだな。こんなことでなければ、本気でやりたいが命の取り合いはまずいからな」
龐統「良いね~ある程度は本気でやってもらわないといけないよ~。なんせ、アッシら以外の周りの人間全てを騙すんだからね」
姜維「兵の中に劉璋の間者が紛れ込んでいるでしょう。情報は最小限に」
龐統「そうさね。後、関羽殿と張飛殿にはこれを」
関羽「この赤いのは血か?」
張飛「まぁ、騙すんだから必須だよなぁ」
劉備「雲長・翼徳、お前たちにかかっているのだ」
関羽「兄者の頼みとあれば断れませんな」
張飛「おぅよ。いっちょ盛大に死んだフリしてやろうじゃねぇか」
龐統「頼んだよ。後はお互いの信頼できる兵にもあるだけ渡すさ。大激戦で、お互いに被害があったって装わないと信じてくれるそうにないだろうさ」
姜維「えぇ、お預かりしましょう」
馬超「まさか、兵を貸してくれが人質だったとはな」
姜維「だから迂闊に貸すべきではないと進言したのです」
馬超「すまなかった。だがこうして、有意義な会談ができたのだから何もいうことはない」
そこに義賢が1人の兵士を連れて入ってきた。
義賢「兄上、コイツが外でこちらの様子を伺っていました」
間者「ひぃっ。俺は何も何も聞いてない。劉璋様を欺くなんて何も。だから見逃してくれ。なっ。なっ。ガハッ。なんで」
義賢「ペラペラと自分から間者だと明かすからだ。碌なのが居ないのか!馬超殿、申し訳ない。殴って気絶させてしまった」
馬超「構わない。それにしても劉丁殿、久しいな。本当に一般兵なんだな」
義賢「この通り。怪しげなやつがいないか周りをうちの奴らと見回っていた」
馬超「助かった。間者が1人だかということは無いと思うが」
姜維「コイツはここで打ち捨てましょう。本当の死体も入れておくのが良いかと」
馬超「成程、では手筈通りに」
劉備「うむ」
馬超と劉備による茶番劇の幕が開ける。
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